路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【総務省】:文書の放送法解釈変更は氷山の一角! 安倍官邸は同時期、あの手この手で言論弾圧 古舘、国谷、岸井が次々降板したのも…

2023-03-30 08:13:20 | 【新聞社・報道・公共放送NHKの功罪・マスコミ・雑誌・世論調査】

【総務省】:文書の放送法解釈変更は氷山の一角! 安倍官邸は同時期、あの手この手で言論弾圧 古舘、国谷、岸井が次々降板したのも…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【総務省】:文書の放送法解釈変更は氷山の一角! 安倍官邸は同時期、あの手この手で言論弾圧 古舘、国谷、岸井が次々降板したのも…

 ついに総務省が「行政文書」だと認めた、放送法の解釈変更をめぐる官邸側と総務省側のやりとりなどを記した内部文書問題。ところが、当時総務相だった高市早苗・経済安保担当相はこの期に及んでも「捏造だ」という主張を繰り返している。

 もはやこれは国家の危機と呼ぶほかない。官僚が作成した行政文書を大臣が「捏造」だと言い張ることは、この国の行政文書の信用・信頼性を当の大臣が根底から毀損しているからだ。そもそも文書が「捏造」なのだというのであれば、文書捏造の責任を負うのは当時の総務大臣で責任者である高市大臣にほかならないだろう。

総務省文書の放送法解釈変更は氷山の一角! 安倍官邸は同時期、あの手この手で言論弾圧古舘、国谷、岸井が次々降板したのも…の画像1

                    首相官邸HPより

 しかし、いま大きな問題にしなければならないのは、高市大臣の悪あがきではない。もちろん、「怪文書」「捏造」と啖呵を切ったことの責任を追及することは重要だが、本来、問題にすべきは、この内部文書に示されているように、安倍政権政権批判をおこなう“目障りな番組”を潰すために法を捻じ曲げさせていた、という民主主義の破壊行為のほうだろう。

 しかも重要なのは、この放送法の解釈変更へといたる過程と軌を一にして安倍政権による報道圧力は苛烈さを増し、さらに2015年の法解釈の変更と2016年の高市総務相による「停波」発言によって、安倍政権によるテレビメディア支配は行き着くところまで行ってしまったことだ。

 内部文書がつくられた前後にあたる2014年から2016年にかけて、安倍政権がいかに放送への介入や報道圧力を強め、テレビによる報道を歪めさせていったのか。この重要な事実をあらためて振り返っていこう。

 まず、大前提として触れておかなくてはならないのは、報道圧力は第二次安倍政権からはじまったものではなく、安倍晋三という人物がそもそも報道の自由の重要性についてまったく理解しておらず、平然と放送に介入・圧力をかけてきたということだ。

 それを象徴するのが、2001年に起こったNHK番組改変問題だろう。これは日本軍性奴隷制を裁く女性国際戦犯法廷を取り上げたETV特集『問われる戦時性暴力』に対し、内閣官房副長官だった安倍氏と自民党の中川昭一衆院議員(故人)のふたりが放送直前に政治的な圧力をかけ、その結果、番組が改変されたという事件だが、このとき安倍氏は「勘ぐれ、お前」という直接的ではない脅し文句で圧力をかけてきたことを、当時面会したNHK放送総局長が証言している。

 当然、自身が首相となった第一次政権では、虚偽報道などを理由とした放送法に基づく番組内容への「行政指導」を乱発。メディア論が専門の砂川浩慶・立教大学教授の『安倍官邸とテレビ』(集英社新書)によると、1985年から2015年までの30年間で行政指導がおこなわれた件数は36件だったが、そのうち7件は第一次安倍政権(2006年9月〜2007年9月)のたった約1年のあいだにおこなわれたものだった(ちなみに民主党政権下では一件も行政指導はおこなわれていない)。7件の行政指導がおこなわれた際の総務相は、菅義偉だ。

 日本テレビのディレクターとしてメディアの最前線に身を置いていた水島宏明・上智大学教授は、第一次安倍政権下の2007年ごろ、ある民放キー局の経営者から「やつらは本当にやばい」「一線を越えて手を突っ込んでくる」と聞かされたという(「Journalism」2015年10月号/朝日新聞出版)。この「やつら」とは無論、安倍氏と菅氏のことだ。「やばいやつら」が政権に返り咲き、首相と官房長官としてタッグを組んだのが、第二次安倍政権だったのである。

 ◆フジ・日枝、テレ朝・早河、日テレ・大久保らテレビ幹部と会食を繰り返した安倍首相

 しかし、ここで指摘しておきたいのは、第二次安倍政権においておこなわれたメディア対策は、報道に目を光らせて圧力を強めただけではなかった、ということだ。

 たとえば、安倍首相は総理就任後から、フジテレビ日枝久会長やテレビ朝日早河洋社長、日本テレビの大久保好男社長(肩書はすべて当時)といったテレビ局幹部との会食に繰り出すようになったが、その一方で目立ちはじめたのが、情報バラエティ番組への露出だった。

 実際、2013年1月には「安倍晋三総理誕生SP」と題した『たかじんのそこまで言って委員会』(読売テレビ)に出演。同年4月には『スッキリ!!』(日本テレビ)に約40分間も生出演し、このとき安倍首相は自分から同番組に出演したいと希望したことを明かしたり、海外ドラマの『24』を全部観たと明かすなど、番組は終始なごやかムード。同番組は翌日にも「安倍首相本当にスタジオに来てくれちゃいましたSP」と題し、VTRで安倍首相特集を組んだほどだった。また、同月には『情報7daysニュースキャスター』(TBS)の独占インタビューも放送されたが、そのコーナータイトルも「安倍政権100日 好調のウラに極秘手帳」というものだった。

 くだんの内部文書でも、当時安倍官邸で広報担当の首相秘書官を務めていた山田真貴子氏が、ひとつの番組でも政治的公平かどうかを判断することを可能にしようとする礒崎陽輔首相補佐官の動きに反発する際、「総理はよくテレビに取り上げてもらっており、せっかく上手くいっているものを民主党の岡田代表の時間が足りない等言い出したら困る」と発言していたことが記されている。この発言からもわかるように、安倍首相を好意的に扱う番組にどんどん露出するというのが安倍官邸のメディア対策でもあったのだ。

 逆に、安倍政権に批判をおこなう番組は邪魔なものであり、圧力をかける対象となった。安倍政権が最初に表立って報道圧力のターゲットにしたのは、『NEWS23』(TBS)だ。

 礒崎首相補佐官が『サンデーモーニング』を目の敵にして総務省放送法の解釈変更を要求しはじめるのと同じ2014年11月、自民党は安倍首相が街頭インタビューVTRに逆ギレした『NEWS23』生出演後、自民党筆頭副幹事長だった萩生田光一・現政調会長らが差出人となって在京テレビキー局の編成局長、報道局長宛てに「選挙時期における報道の公平中立ならびに公正の確保についてのお願い」と題した“報道圧力文書”を送りつけている。だが、じつはこの前年の2013年にも、萩生田氏が中心となって『NEWS23』に圧力をかける事件が起こっている。

 ◆『NEWS23』に安倍首相が激怒 取材拒否、恫喝文書で手下の萩生田光一が圧力を

 問題となったのは、第二次安倍政権にとって最初の国会が最終日を迎えた2013年6月26日放送回。この日の『NEWS23』では、安倍首相に対する問責決議のために電気事業法改正案など重要法案が廃案になったことを伝えたのだが、このとき番組では、民間団体「自然エネルギー財団」ディレクターの大林ミカ氏による「政争の道具にされていますよね。(与党は)もしかしたら法案を通す気がなかった」という談話を放送。番組終盤では、岸井成格キャスターが「十分な議論がないまま、最後に問責(決議)で不信任でやっていいですかと一番言いたい」と批判した(毎日新聞2013年7月29日付)。

 ご覧のとおり、キャスターの岸井氏は与野党ともに批判していたわけだが、自民党は大林氏のコメントを標的にし、翌27日、「番組内容の構成は著しく公正を欠いている」としてTBSに抗議。毎日新聞の取材に応えた萩生田氏は「参院選を前に、(党内で)マイナスのイメージを受けることにはきちんと物を申そうと決めていた」と語り、〈番組の放送翌日からプロデューサーや報道部長らと連日会って「ハードなネゴ(交渉)」を続けた〉。しかし、6月末の番組内での訂正放送をおこなうことを要求するもTBSが拒否したため、参院選公示日だった7月4日、安倍首相や石破茂幹事長など党幹部の取材を拒否すると発表したのだ。

「自民党は法案を通す気がなかったのでは」というだけのコメントに対し、「番組で訂正しなければ選挙取材をさせないぞ」と恫喝する──。もはや常軌を逸しているとしか思えないが、このとき自民党が恫喝に動いた理由は、もちろん安倍首相にある。TBS幹部は「安倍さんはよほど怒っていたようだ」と語り、萩生田氏も「決着がつかないなら、TBSに出なくてもいい」と安倍首相が述べ、党の判断を支持したと明かしている。

 安倍首相が『NEWS23』を目の敵にしていたのは、キャスターの岸井氏が父・晋太郎の番記者を務めていた過去があり、父とも関係も深い「保守派」の人物だと認識していたにもかかわらず政権批判を厭わない岸井氏の姿勢に激怒していたとも言われているが、この恫喝の結果、7月5日にTBSの西野智彦報道局長が自民党を訪れ、「指摘を重く受け止める」とする文書を提出。その日の夜、安倍首相は生出演した『プライムニュース』(BSフジ)で「事実上の謝罪をしてもらったので問題は決着した」と発言し、取材拒否の解除となったのだ(TBSは「訂正・謝罪はしていない」とコメント)。

 この2013年に起こった一件を見ても、安倍首相が『NEWS23』を敵視していたこと、実働部隊として萩生田氏が現場への圧力に動いていたことがわかる。そして2014年11月20日、『NEWS23』での街頭インタビューVTRに生出演中の安倍首相が逆ギレし、萩生田氏が在京テレビキー局に恫喝文書を叩きつけた。かたや、安倍首相の片腕だった礒崎首相補佐官は11月26日、総務省に「ひとつの番組だけで政治的公平かどうかを判断できる」ように放送法の解釈変更を迫りはじめたのである。

 しかも、礒崎氏が動きはじめたのと同じ11月26日、自民党は『報道ステーション』(テレビ朝日)のアベノミクスにかんする放送に対しても注意文書を送付している。つまり、安倍自民党および安倍政権が、とりわけTBSの『NEWS23』と『サンデーモーニング』、テレ朝の『報道ステーション』という個別の番組を狙い撃ちして、圧力を強めようとしていたことがわかるだろう。

 ◆『報道ステーション』『クローズアップ現代』幹部を呼び出し“停波”をちらつかせ恫喝

 そして、このあと安倍政権による個別番組を狙い撃ちした圧力は、どんどん強まっていく。

 翌2015年1月、『報道ステーション』の不定期コメンテーターだった古賀茂明氏が、「イスラム国」による邦人人質事件について、安倍首相の外交姿勢を毅然と批判。「I am not ABE”(私は安倍じゃない)というプラカードを掲げて、『日本人は違いますよ』ということを、しっかり言っていく必要がある」と発言した。

 これに官邸が大激怒し、当時、菅官房長官秘書官を務めていた中村格・前警察庁長官が番組放送中から番組編集長に電話をかけまくり、出なかったため、今度はショートメールで猛抗議。その内容は「古賀は万死に値する」というものだったという。この一件により古賀氏の3月末での番組降板、さらに安倍政権に限らず歴代与党からの圧力にも臆することなく『報ステ』のジャーナリズム路線を支えてきた番組統括の女性チーフプロデューサーの更迭、キャスターの古舘伊知郎と絶妙なコンビネーションワークで視聴者に人気のあったコメンテーターの恵村順一郎氏(朝日新聞論説委員)の降板が決まった。

 だが、直接的な官邸の番組介入に古賀氏は黙らなかった。最後の出演回となった2015年3月27日の放送で、古賀氏は「菅官房長官をはじめとして官邸のみなさんからものすごいバッシングを受けてきた」と発言したのだ。

 この発言が火に油を注ぎ、菅官房長官は「事実無根」「放送法がある以上、事実に反する放送をしちゃいけない」と批判。さらに自民党を使って実力行使に出る。同年4月17日、自民党の「情報通信戦略調査会」がNHKテレビ朝日の経営幹部を呼びつけて事情聴取を実施。NHKは『クローズアップ現代』が放送した「追跡“出家詐欺”~狙われる宗教法人~」でやらせ疑惑が発覚した問題、テレ朝は『報ステ』における古賀発言を問題にしたかたちで事情聴取はおこなわれたのだが、聴取のあと、川崎二郎・同調査会会長は「政府は停波の権限まである」と発言したのだ。

 政権党が個別番組に介入し、幹部を呼びつけた挙げ句、停波までちらつかせる──。安保法制国会提出を控え、安倍政権が放送局に対して睨みをきかせるべく、本格的に暴走をはじめた時期ともいえるだろう。

 しかも、その手口は個別番組に介入するだけではなかった。

 たとえば、前述した2014年11月に自民党の萩生田氏らが差出人となり在京テレビキー局の編成局長、報道局長宛てに送りつけた“報道圧力文書”だが、このとき自民党はNHKと在京テレビキー局の官邸記者クラブのキャップを党本部に呼びつけたうえで恫喝文書を示したという。また、2013年の『NEWS23』への抗議の際も、他局の報道内容をチェックして〈TBS以外の局にも口頭で抗議〉していたという(前出・毎日新聞)。

 こうした直接、政治部記者を呼びつけたり、どやしつけることの効果は絶大なものだったと想像に難くない。目を付けられることでネタをもらえず、自社だけが“特オチ”するのではないかという不安に駆られた政治部の記者たちが、社内の報道に横やりを入れるという「忖度」の構造は、こうして蔓延していったのだ。

 ◆高市“放送法解釈変更”答弁から数カ月で『クロ現』国谷、『報ステ』古舘、『NEWS23』岸井が一斉に降板

 そして、安倍官邸によるメディア圧力の総仕上げとして飛び出したのが、今回問題となっている放送法の解釈変更だった。安倍首相によるお墨付きを得たかたちで2015年5月12日、高市総務相によって「一つの番組のみでも極端な場合は一般論として政治的に公平であることを確保していると認められない」という放送法の解釈を変更する答弁がおこなわれたのだ。

 このあとの報道の自由の崩壊、ジャーナリズムの弱体化は、まさにあっという間だった。

 まず、安保法制国会審議がスタートして以降、安倍首相のメディア対応は露骨さを極めた。集団的自衛権を火事にたとえ、煙が生肉にしか見えない模型で自ら解説した『みんなのニュース』(フジテレビ)や、国会開会中に大阪入りしてまで出演した『情報ライブ ミヤネ屋』『そこまで言って委員会NP』(ともに読売テレビ)など、安倍首相のテレビ出演はフジテレビ系や日本テレビ系、NHKに集中。TBSとテレ朝、テレビ東京の番組に出演することはなかった。つまり、厳しい指摘や批判が予想される番組には出ず、自分の主張を垂れ流してくれる番組を選別し、出演したのだ。

 一方、『報ステ』や『NEWS23』は安保法制の報道で気概を見せたが、当然、安倍政権はそれを見逃さなかった。同年9月には自民党の「放送法の改正に関する小委員会」の佐藤勉委員長が、テレビの安保法制の報道をやり玉にあげて「公平・公正・中立は壊れた。放送法も改正したほうがいい」と恫喝発言。

 さらに、同年11月には、小川榮太郎氏やすぎやまこういち氏、ケント・ギルバート氏らといった「安倍応援団」によって設立された「放送法遵守を求める視聴者の会」が、産経新聞読売新聞に全面の意見広告を掲載。その内容は、放送法を曲解し、『NEWS23』とキャスターの岸井氏を攻撃するものだった。

 「視聴者の会」は初代事務局長の小川氏をはじめ、下野時代から安倍氏と密接な関係を持って応援してきた、極めて安倍首相に近いメンバーで構成されていた。同時に日本会議系人脈の多さや接点も指摘されていた。そんな団体が、特定の番組とキャスターを攻撃するために、数千万円はかかると見られる全面意見広告を出す──。その動きは、もはや安倍政権の別働隊といえるものだった。

 このとき、「視聴者の会」はTBSと岸井氏、さらには総務省にまで公開質問状を送りつけたといわれ、この「視聴者の会」の動きにTBS幹部は真っ青。その結果、同月中に一気に岸井氏の番組降板は決まったといわれている。

 しかも、翌12月には『報ステ』の古舘キャスターの降板が、年が明けて2016年1月には、2014年に菅官房長官に厳しく質問を浴びせたことで官邸を激怒させた『クロ現』の国谷裕子キャスターの降板が発表。岸井、古舘、国谷という安倍政権に睨まれつづけてきたキャスターが、3月末をもって一斉にそれぞれの番組から消えることが決定したのである。

 ◆安倍政権で完成した政権による言論支配はいまも…総務省文書問題も他人事報道

 いま振り返ってみても異常事態としか言いようがなく、陰に陽に繰り広げられてきた安倍政権による報道圧力がいかに苛烈なものであったかは、2016年春に起こった各局を代表するキャスター一斉降板劇からも明らかだろう。そして、こうしたキャスターを降板に追いやることに成功し、図に乗っていた安倍政権から飛び出したのが、2016年2月の、高市総務相による「停波」発言だったのである。

 しかし、「停波」をちらつかせずとも、このときすでにテレビ局の“現場”はすっかり骨抜きになっていた。実際、同年2月29日に田原総一朗氏や岸井氏、金平茂紀氏、青木理氏などテレビ業界に身を置くジャーナリストらが「停波」発言に対する抗議声明を発表し記者会見をおこなったが、この会見で読み上げられたテレビ局関係者の声は、あまりに生々しいものだった。

「気付けば、街録で政権と同じ考えを話してくれる人を、何時間でもかけて探しまくって放送している。気付けば、政権批判の強い評論家を出演させなくなっている」
「私たちは今までどおり自由に企画を提案しても、通らないことが多くなったり、作ったものに対しても直しを求められることが増え、それがいつの間にか普通になり、気付けば自由な発想がなくなってきているような状況だ。以前のように政策をチェックし、批判すべき点を批判するということが明らかにできていない。おかしいことをおかしいとは言えない閉塞感が漂っている。若い新入社員などはそれをおかしいとは思わず、これを基準に育っている」

 第二次安倍政権発足時から繰り返されてきた、放送法を曲解・悪用した公権力による報道圧力は、こうして時を経るごとにますます具体化されていった。それはいまも変わらないどころか、さらにひどくなっている。政治にかんする報道はめっきり減り、報道・情報番組では政権の代弁者めいた評論家や御用ジャーナリストばかりが重宝され、批判的報道も必ず政権の言い分を同程度垂れ流すなど、完全に腰砕け。ワイドショーなどでは問題政策や政権不祥事がまともに報じられることなくスルーされることも多い。政権が何も言わなくとも勝手に忖度し、自主規制に走るという言論統制体制が完成してしまったのである。

 しかも、それは今回の内部文書問題でも露呈している。安倍首相の側近による要求によって、放送法の解釈が捻じ曲げられるというとんでもない過程が記された重大文書が出てきたというのに、当初、NHKの『ニュース7』『ニュースウオッチ9』がこの問題を無視。民放各局も、総務省が「行政文書」と認めるまで、詳しく触れようとしなかった。

 安倍政権下で失われてしまった「権力監視」という役割を、テレビは取り戻せるのか。いや、取り戻すためには、このように安倍政権下で繰り広げられた放送法の曲解・悪用や報道圧力を自ら検証し、政治介入を許さないという大原則を確認する必要がある。そのためにも、今回の内部文書問題を、テレビこそが徹底追及しなければならない。(編集部

 元稿:LITERA・リテラ(本と雑誌の知を再発見) 主要ニュース 社会 【マスコミ・総務省が「行政文書」だと認めた、放送法の解釈変更をめぐる官邸側と総務省側のやりとりなどを記した内部文書問題】  2023年03月10日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【ニュースの裏側】:「行政文書」流出問題 「内容は捏造」と断じた高市早苗氏の真意は 感じ取った〝悪意〟と信頼する部下たちへの確信

2023-03-30 07:45:50 | 【公文書・国民の知る権利・国民共有の知的資源・情報公開・権力者による隠ぺい】

【ニュースの裏側】:「行政文書」流出問題 「内容は捏造」と断じた高市早苗氏の真意は 感じ取った〝悪意〟と信頼する部下たちへの確信

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【ニュースの裏側】:「行政文書」流出問題 「内容は捏造」と断じた高市早苗氏の真意は 感じ取った〝悪意〟と信頼する部下たちへの確信 

 いつになれば決着がつくのか―。放送法の「政治的公平」の解釈に関する総務省「行政文書」が流出した問題で、一部野党による高市早苗経済安全保障担当大臣への〝攻撃〟が続いている。

高市早苗経済安全保障担当大臣

 78ページの文書は、立憲民主党の小西洋之参院議員が2日、「総務省の元同僚からもらった」として公開した。その後、総務省も内部で作成された覚書やメモなどの「行政文書」だと認めた。

 内容には安倍晋三政権当時の2014~15年、官邸側と総務省が放送法について協議した経緯とされる記述が含まれる。だが、その信頼性には疑義が深まっている。

 総務省は22日、高市氏に関わる記述がある4つの文書について、「内容についての正確性は確認できなかった」とする精査結果を公表した。

 また、流出文書は公文書管理法に基づく「行政文書ファイル管理簿」に記載されていなかった。管理簿は各省が公開し、情報公開請求などで「国民が知る権利」を担保する。つまり、国民の目に触れない状態で不適切管理されていたのだ。

 一部野党は執拗(しつよう)に、高市氏の辞任を求めている。

 一つの理由は、高市氏が、自身が登場する「4文書」を「(内容が)捏造(ねつぞう)だ」と主張しているからだ。高市氏はなぜ、そう断じたのか。

 捏造とは「実際はなかったことを、わざと事実であったかのように仕立てあげること」だ。そうした文書には、往々にして捏造した人物の〝悪意〟が込められる。高市氏は、その思いを感じ取ったのかもしれない。 

 確かに、文書には奇妙な点が散見される。例えば、15年3月9日付の「高市大臣と(安倍)総理の電話会談の結果」というメモは、作成者も配布先も不明で不可解だ。

 高市氏は「(電話を)盗聴でもしていたのか」と疑問を呈したが、彼女の秘密保持は 徹底している。ハッキングによる映像流出を警戒し、日ごろから、自身の携帯やパソコンのカメラにシールを貼るなど情報管理に神経をとがらせているのだ。

 安倍氏との通話を盗聴された恐れがあり、記憶のない会話がメモに残された―。高市氏は驚愕(きょうがく)したはずだ。

 筆者が知る限り、総務相だった当時の高市氏と、秘書官の関係は非常に良好で信頼があった。衆院議員会館の高市事務所には、秘書官たちとの記念写真が大切に飾られている。

一部野党が「捏造でないなら議員や大臣を辞めるのか」と攻め込むと、高市氏は「結構ですよ」と応じた。自身や元秘書官から情報が洩れるはずなどない。高市氏には、部下たちへのそんな確信があったのだろう。

 2月28日に衆院を通過した新年度予算案は、月内の自然成立が確実だ。だが、国内外の情勢が目まぐるしく動くなか、高市氏の追及を漫然と続けるようでは、参院の〝怠慢〟と批判されかねない。

 一部野党は当初、流出文書が「放送法の解釈を事実上変更し番組に圧力をかけた」証拠などと主張した。野党はこれを即刻、立証し、決着をつける責務がある。(政治ジャーナリスト・安積明子)

 元稿:夕刊フジ ZaKzaK 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース・連載「ニュースの裏側」・担当:安積明子 政治ジャーナリスト】  2023年03月29日  06:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【放送法文書問題】:一部野党の「政治問題化こそ危険」北村晴男弁護士が迫る 「高市氏を潰そうとする意図は非常に恐ろしい」

2023-03-30 07:45:40 | 【新聞社・報道・公共放送NHKの功罪・マスコミ・雑誌・世論調査】

【放送法文書問題】:一部野党の「政治問題化こそ危険」北村晴男弁護士が迫る 「高市氏を潰そうとする意図は非常に恐ろしい」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【放送法文書問題】:一部野党の「政治問題化こそ危険」北村晴男弁護士が迫る 「高市氏を潰そうとする意図は非常に恐ろしい」 

 放送法の「政治的公平」の解釈に関する総務省「行政文書」が流出した問題で、高市早苗経済安全保障担当相は「(内容が)捏造(ねつぞう)だ」と主張するが、一部野党は辞任要求を続けている。政治・社会問題など、幅広い提言で知られる北村晴男弁護士は「正確性の担保を著しく欠いた文書を使い、政治問題化することこそ危険だ」と警鐘を鳴らした。

北村弁護士は、国会の現状にも危機感を持っている

 問題の文書(78ページ)は、安倍晋三政権当時の2014~15年、官邸側と総務省が放送法について協議した経緯とされる。一部野党は「放送法の解釈を事実上変更し、番組に圧力をかける目的があった」などと批判している。

 だが、文書すべてが「行政文書ファイル管理簿」に記載されないなど、不適切管理が判明している。高市氏が登場する4枚についても、3枚が「作成者」「配布先」が不明で、4枚とも「作成目的」が不明だ。

 北村氏はまず、「正確性を担保するための手続きが皆無に等しい。作成者が未記載なうえ、当事者による『回覧』と『確認』も経ていない。民間でも、当事者間の紛争を想定して議事録をつくる。その正確性を担保するには、当事者全員が閲覧し、正確性を確認したうえで保存するのが大原則だ。行政文書でありながら正確性を担保していないのは驚きだ」と述べる。

 では、どう〝白黒〟つけるべきか。国会での証人喚問や、文書を漏洩(ろうえい)した国家公務員法違反や公文書偽造の容疑での捜査を求める声もある。 

 北村氏は「内容の真偽を究明するならば、検察官や弁護士、一般の国民を含めた第三者委員会のような組織が、当事者全員に事実関係をただすかたちが考えられる。だが、これらの文書は、いずれも、国会が真実性を究明すべき価値を有するような代物ではない」と述べて、一部野党の問題提起にも疑問を指摘する。

 「この文書は、総務省内で放送法の解釈を議論した内容とされるが、松本剛明総務相は『放送行政を変えたと認識していない』と語っており、現実として解釈は何も変わっていない。そもそも、法解釈を検討する場合、さまざまな考え方を念頭に議論するのは当然だ。重要なのは議論の結果、どのような結論に達したか、である。今回の騒動は、むしろ、ざっくばらんな議論の途中に出てきた話の『極めて不正確』な言葉尻をとらえ、政治問題化しようとするもので、危険極まりない」

 管理簿に掲載しない行政文書が存在することは、「国民の知る権利」を侵害するものであるという一般論はその通りだ。しかし、そもそも本件のような、極めて「いい加減な文書」が行政文書と位置づけられていることの方が問題だ。

 北村氏は、今回の騒動を総括した。

 「問題の本質が、国会で議論されず、報道もされない現実に改めて驚いた。不正確な行政文書と印象操作によって、高市氏を政治的に潰そうとする意図まで感じる。この現実は非常に恐ろしい。マスコミは本来、この重大な事実を報じ、国民も知るべきだ」

 元稿:夕刊フジ ZaKzaK 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース・放送法の「政治的公平」の解釈に関する総務省「行政文書」が流出した問題】  2023年03月29日  06:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【総務省文書問題】:高市氏「自然発火」で大炎上 自民「逃げ切り」も徒労感 岸田首相も周囲に嘆き

2023-03-30 07:45:30 | 【公文書・国民の知る権利・国民共有の知的資源・情報公開・権力者による隠ぺい】

【総務省文書問題】:高市氏「自然発火」で大炎上 自民「逃げ切り」も徒労感 岸田首相も周囲に嘆き

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【総務省文書問題】:高市氏「自然発火」で大炎上 自民「逃げ切り」も徒労感 岸田首相も周囲に嘆き

 放送法の「政治的公平」に関する総務省の行政文書を巡る野党の追及は28日の参院予算委員会でも続いたが、高市早苗経済安全保障担当相は「捏造(ねつぞう)」との見解を撤回せず、議論は平行線をたどった。この日、2023年度予算も成立し自民党は「逃げ切った」(幹部)と安堵(あんど)。「もともと高市さんさえ『自然発火』しなければここまで大炎上することはなかった」(同)との徒労感も漂った。<button class="sc-jYIdPM exDZtb" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="38"></button><button class="sc-jYIdPM exDZtb" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="38">(写真:神奈川新聞社)</button>

(写真:神奈川新聞社)(神奈川新聞社)

 「狙いは礒崎つぶしだ」。3月2日、立憲民主党の小西洋之参院議員が会見で明らかにした文書を見た与野党の国会対策委員会関係者から感想が漏れた。

 当時の首相補佐官で一連の文書の主役である礒崎陽輔氏は大分県選出の参院議員だったが落選中。今年の統一地方選の知事選の流れで想定されていた参院補選への出馬が取り沙汰された。政府関係者によると、旧自治省出身で仕事には厳しく特に後輩の多い総務省には恐れられていた。国対関係者の文書流失の共通の見立ては「礒崎氏の出馬を封じるためのリーク」だった。

 「自然発火」とは文書記載当時の総務相だった高市氏の反応。小西氏会見直後の記者団の取材に「捏造」「怪文書まがい」と怒りをあらわにした。

 自民の閣僚関係者は「自分自身がターゲットではないのだから『昔のことは調べないと分からない』とかわした上で『内容は不正確では』とやんわり否定すれば良かったのに」とし、「感情に走ってかつての部下を巻き込み『大臣と官僚のどちらかがうそつき』との構図にしてしまった」と惜しむ。岸田文雄首相も周囲に「だれか事前にアドバイスできなかったのか」と嘆いたという。

 野党の国対幹部も「本来の追及ポイントは所管外の首相補佐官が口をはさんで放送法の解釈をねじまげたことなのだが、高市さんからけんかを売られて焦点がずれた」と認める。「言った言わないの繰り返しは与党のみならず、『何度も同じことを聞くな』という野党への不信も招いてしまった」と歯ぎしりだ。

 元稿:神奈川新聞社 朝刊 カナコロ 主要ニュース 政治 【政策・総務省・放送法の「政治的公平」に関する総務省の行政文書を巡る問題】  2023年03月29日  05:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政界の断面】:高市氏「自然発火」で大炎上 自民「逃げ切り」も徒労感

2023-03-30 07:45:20 | 【公文書・国民の知る権利・国民共有の知的資源・情報公開・権力者による隠ぺい】

【政界の断面】:高市氏「自然発火」で大炎上 自民「逃げ切り」も徒労感

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界の断面】:高市氏「自然発火」で大炎上 自民「逃げ切り」も徒労感 

 放送法の「政治的公平」に関する総務省の行政文書を巡る野党の追及は28日の参院予算委員会でも続いたが、高市早苗経済安全保障担当相は「捏造(ねつぞう)」との見解を撤回せず、議論は平行線をたどった。この日、2023年度予算も成立し自民党は「逃げ切った」(幹部)と安堵(あんど)。「もともと高市さんさえ『自然発火』しなければここまで大炎上することはなかった」(同)との徒労感も漂った。

 「狙いは礒崎つぶしだ」。3月2日、立憲民主党の小西洋之参院議員が会見で明らかにした文書を見た与野党の国会対策委員会関係者から感想が漏れた。

 当時の首相補佐官で一連の文書の主役である礒崎陽輔氏は大分県選出の参院議員だったが落選中。今年の統一地方選の知事選の流れで想定されていた参院補選への出馬が取り沙汰された。政府関係者によると、旧自治省出身で仕事には厳しく特に後輩の多い総務省には恐れられていた。国対関係者の文書流失の共通の見立ては「礒崎氏の出馬を封じるためのリーク」だった。

 「自然発火」とは文書記載当時の総務相だった高市氏の反応。小西氏会見直後の記者団の取材に「捏造」「怪文書まがい」と怒りをあらわにした。

 自民の閣僚関係者は「自分自身がターゲットではないのだから『昔のことは調べないと分からない』とかわした上で『内容は不正確では』とやんわり否定すれば良かったのに」とし、「感情に走ってかつての部下を巻き込み『大臣と官僚のどちらかがうそつき』との構図にしてしまった」と惜しむ。岸田文雄首相も周囲に「だれか事前にアドバイスできなかったのか」と嘆いたという。

 野党の国対幹部も「本来の追及ポイントは所管外の首相補佐官が口をはさんで放送法の解釈をねじまげたことなのだが、高市さんからけんかを売られて焦点がずれた」と認める。「言った言わないの繰り返しは与党のみならず、『何度も同じことを聞くな』という野党への不信も招いてしまった」と歯ぎしりだ。

 ◆今後の鍵握る奈良県知事選

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 元稿:神奈川新聞社 朝刊 カナコロ 主要ニュース 政治 【政策・連載「政界の断面」・総務省・放送法の「政治的公平」に関する総務省の行政文書を巡る問題】  2023年03月29日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【参院予算委要旨】:高市氏「配慮して『捏造』と言った」「偽造でも、変造でもない」

2023-03-30 07:45:10 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【参院予算委要旨】:高市氏「配慮して『捏造』と言った」「偽造でも、変造でもない」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【参院予算委要旨】:高市氏「配慮して『捏造』と言った」「偽造でも、変造でもない」

 岸田文雄首相が出席した28日の参院予算委員会での主なやり取りは次の通り。

                  ◇

 自民党・片山さつき氏「ドイツのショルツ首相は(株価が下落する)ドイツ銀行は『心配する必要がない』と宣言した。首相も『日本の金融機関は大丈夫だ』と宣言してほしい」

 首相「金融市場ではリスク回避的な動きが見られるが、現在日本の金融機関は総じて充実した流動性や資本を有している。金融システムは安定しているとの評価だ。引き続き、さまざまな状況を注視し、警戒感を持って動向を見守りたい」

 立憲民主党・杉尾秀哉氏「(放送法に関する総務省の行政文書は)なぜ(高市早苗経済安全保障担当相が登場する)4枚だけが捏造(ねつぞう)なのか」<button class="sc-jYIdPM exDZtb" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="39"></button><button class="sc-jYIdPM exDZtb" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="39">参院予算委で答弁で挙手する高市早苗経済安保相=28日午前、参院第1委員会室(矢島康弘撮影)</button>

参院予算委で答弁で挙手する高市早苗経済安保相=28日午前、参院第1委員会室(矢島康弘撮影)(株式会社 産経デジタル)

 高市氏「残りの文書については私は当事者ではないので確認のしようがない」

 杉尾氏「高市氏は文書を(記者団の取材に)『怪文書』と切って捨てた。怪文書でも何でもない。行政文書だ」

 高市氏「事実と異なる内容があり、怪文書の類だ。ただ、国会では偽造でもなく、変造でもなく、『捏造』だとかなり配慮して申し上げたつもりだ」

 杉尾氏「予算委の質疑や総務省の調査でどれだけ時間をかけたのか。責任を感じていないのか。閣僚を辞めるべきだ」

 高市氏「杉尾氏に言われ、何らやましいことがないのに、閣僚の職を辞することはない」

 立民・辻元清美氏「(公立小中学校での)給食無償化はぜひやるべきだ」

 首相「子供・子育て政策ではさまざまな提案をいただいている。今月末までに小倉将信こども政策担当相のもとで具体的な政策を整理し、たたき台をつくると申し上げている。その上で予算や財源を踏まえ、6月の(経済財政運営の指針)『骨太の方針』に向け、予算倍増の大枠を示す方針で臨んでいる」

 公明党・若松謙維氏「低所得者への支援などの対策を早急に国民に届けることが重要だ」

 首相「物価高から国民生活や事業活動を守り抜くため、総合経済対策や(令和4年度)補正予算の執行を加速することが重要だ。それとともに、(物価高の)追加策を早急に実行していきたい。世界的な物価高騰は依然として予断を許さず、日々変化する物価や経済の動向を踏まえ、機動的に対応したい」

 日本維新の会・片山大介氏「日本銀行の黒田東彦(はるひこ)総裁は金融緩和を植田和男次期総裁に引き継ぐことになるが、緩和策の出口をどう考えるか」

 黒田氏「出口戦略を具体的に論じるのは時期尚早だ。植田氏はわが国を代表する経済学者であり、中央銀行の実務にも精通している。今後、理論と実務の両面で日銀をリードしてもらえると考えている。総裁を引き継ぐにあたって必要な事項は話をする」

 元稿:産経新聞社 主要ニュース 政治 【政局・国会・参院予算委】  2023年03月28日  12:37:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【総務省】:「高市大臣へのレクあった可能性高い」放送法文書の内容に言及 高市氏は存在否定

2023-03-30 07:45:00 | 【新聞社・報道・公共放送NHKの功罪・マスコミ・雑誌・世論調査】

【総務省】:「高市大臣へのレクあった可能性高い」放送法文書の内容に言及 高市氏は存在否定

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【総務省】:「高市大臣へのレクあった可能性高い」放送法文書の内容に言及 高市氏は存在否定 

 総務省の小笠原情報流通行政局長は13日の参院予算委員会で、放送法の「政治的公平」に関する総務省の行政文書について、当時総務相だった高市早苗経済安全保障担当相が存在を否定している2015年2月の担当局長によるレクは「あった可能性が高いと考えられます」と述べた。

参院予算委で答弁する高市経済安保相(共同)

 

 文書を作成した職員が「8年前で記憶は定かではないが、日頃確実な仕事を心がけており、このような文書が残っているならレクは行われたのではないかと認識している」とも述べた。 同席者の記憶は必ずしも一致はしていないと話した上で、高市氏に対し放送の解釈変更という説明は「なかった」と述べた。

 高市氏は一貫して、自身に関する文書の内容は「捏造(ねつぞう)」と主張している。

 小笠原氏は、当該文書の内容について発言者の確認をとらないまま作成され、8年前の文書で作成者や同席者が個々の内容を覚えていないとしていることを踏まえ「総務省として、内容が正確か否かを現時点でお答えすることは困難だ。引き続き精査を続けて参りたい」とも述べた。

 立憲民主党の福山哲郎氏の質問に答えた。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・参院予算委員会・高市早苗経済安全保障相に関する記載が登場する放送法の「政治的公平」に関する総務省の行政文書について言及した事案】  2023年03月13日  12:11:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【奈良県知事選】:高市早苗“ゴリ押し”候補「支持率上昇」の謎 専門家が指摘する「“高市イジメ”と受け取る岩盤層」の存在

2023-03-30 07:15:50 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【奈良県知事選】:高市早苗“ゴリ押し”候補「支持率上昇」の謎 専門家が指摘する「“高市イジメ”と受け取る岩盤層」の存在

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【奈良県知事選】:高市早苗“ゴリ押し”候補「支持率上昇」の謎 専門家が指摘する「“高市イジメ”と受け取る岩盤層」の存在 

<button class="sc-fwyeXZ ljFcvn" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="38"></button><button class="sc-fwyeXZ ljFcvn" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="38">知事選でミラクルを期待(高市氏)</button>
        知事選でミラクルを期待(高市氏)(新潮社)

 ◆平木候補だけが支持率上昇の怪

 元稿:新潮社 主要出版物 週刊新潮 【デイリー新潮・DAILY SHINCHO】 2023年03月30日 06:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政界地獄耳・02.24】:分裂選挙どうする高市

2023-03-30 07:15:10 | 【選挙・衆院選、参院選、補選・都道府県市町村長・地方議会・公職選挙法・買収事件】

【政界地獄耳・02.24】:分裂選挙どうする高市

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・02.24】:分裂選挙どうする高市 

 ★統一地方選が近づく中、奈良知事選候補者調整がうまくいかず分裂選挙の様相を呈している。今回の奈良県知事選は5選を目指す元海上保安庁長官、元参院議員で現職の荒井正吾と、経済安保相・高市早苗が総務相時代に秘書官を務めた元総務官僚・平木省が自民県連に推薦を要請。県連会長に就任したばかりの高市の判断で平木の推薦を決定したものの、荒井は「推薦がなくとも出馬する」と言い出した。確かに現職は多選批判と78歳という年齢から48歳の平木に変えるのが流れだったが、高市の根回し不足か、保守分裂選挙の雲行きだ。

 ★22日付の毎日新聞によればその推薦を決める選対会議が開かれた1月15日、県議などから自主投票を検討や、結論の延期を求める声があったというが、結局、この場での推薦決定にこだわった高市が県連会長一任を取り付け、平木支援が決まったという。ただそれだけでなく県議で県連選対委員長がその場で辞任した。この県議は「結論は出さずに党本部相談するべき」と主張。その後「会長判断に反するので引責辞任する。任を解いてほしい」と申し出たという。

 ★このいきさつ通りなら、地元の事情や県連の声を吸い上げきれない稚拙県連会長という構図しか浮かんでこない。ましてや自分の元秘書官を強引に押し込もうとしたのは明白で首相・岸田文雄の長男が首相秘書官にコネ就職したこととさして変わりがない。加えてこの県連推薦決定プロセスに問題ありと党本部も推薦を出し切れない。ところが既に荒井には前幹事長・二階俊博が、平木には参議院幹事長・世耕弘成がそれぞれ応援団についたともいわれ、和歌山の代理戦争とまでいわれていて高市の出る幕もない。それどころか以前から奈良取りたいと虎視眈々(たんたん)の日本維新の会擁立する山下真がこのまま保守分裂すき間を縫って当選しかねないという。どうする高市(K)※敬称略

 ◆政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2023年02月24日  07:42:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【高市早苗独白60分】:①「後見人・安倍晋三」と女性総理への道

2023-03-30 07:14:50 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【高市早苗独白60分】:①「後見人・安倍晋三」と女性総理への道

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【高市早苗氏】:①「後見人・安倍晋三」と女性総理への道 

 世界では続々と女性リーダーが誕生しているのに、日本ではいまだ実現していない。それほどまでにこの国の「ガラスの天井」は硬いのか──。先の自民党総裁選で岸田総理に肉薄した高市早苗・同党政調会長(61)は、日本初の女性総理候補のひとりと目される。ノンフィクションライターの常井健一氏が斬り込んだ。「週刊ポスト」の新シリーズ《女性総理、誕生!》から飛び出したスピンアウト企画。【全4回の第1回】

高市早苗・政調会長にノンフィクションライターの常井健一氏がインタビュー

 

高市早苗・政調会長にノンフィクションライターの常井健一氏がインタビュー

 

                     * * *

 ──高市さんといえば、保守系言論誌で独自の国家像を打ち出す硬派な論客、という印象が強かったのですが、昨年9月の自民党総裁選に出た際、いろんなメディアに登場する様子を見て、イメージが変わりました。

 「え?」

 ──高市さんと同じ、関西出身の替え歌のカリスマ、嘉門タツオさんと対談しましたよね?

 「ああ(笑)。『チャラリ~、鼻から牛乳~』ね。あれを『チャラリ~、奈良から総裁~』と嘉門さんがアレンジしてくださっていましたね」

 ──嘉門さんがそれを口ずさんだ瞬間、隣に座っていた高市さんが不意に立ち上がって、「ヨッシャ」と呟いた。「強いリーダー」を演じる総理候補に、こんな気さくな一面があるんだと初めて知った読者も多いと思います。

 「実はあの総裁選の間、コロナワクチンの副反応がひどくて、昼間はほとんど議員宿舎でダウンしていたんですよ。発熱はなかったのですが、体中の関節が痛んで、まともに歩けない状態でした。1日に3錠しか飲めない鎮痛剤を20錠も飲みながら討論会に臨んでいたんです」

 ──全然、そうは見えませんでした……。

 「それだけ薬を飲むと腸が荒れて、座っているだけでお尻から血が噴き出るんです。それでも外に出れば、カメラで撮られるから、力強く歩かなければならない。朝と夜のテレビ討論会に出る直前にも4錠くらい鎮痛剤を飲んで、頭がボーッとして司会者の言っていることがよく理解できない時もありました。だから、自分の考えを一方的に話していた感じがします。ホントに反省です」

 ──見ている方は日に日に議論が深まっていく感じがしましたけど、舞台裏では大変だったんですね。総裁選中には、夜の自宅でTシャツ姿でくつろいでいる様子も映像で流れていましたよね。

 「実は、あれが困ったんや……」

 ──いったい、何が?

 「私は家事もダメだし、料理もヘタやし、何の取り柄もないんですが、テレビ局からあの映像を撮りたいと言われた時は部屋じゅうが『書類の山』で、片付いていなかったんです。総裁選の直前に政策集を1冊書いたでしょう。私は自分で原稿をパソコンで打って、校正も自分でやります」

 ──高市さんクラスの政治家になると口述筆記にして、秘書に丸投げする人がほとんど。ちゃんと自分で書く人は珍しい。

 「でも、自分が持っている情報が古い場合もあるし、海外の事情も含めてファクトチェックをしないといけないから、役所や国会図書館から最新の資料を取り寄せます。それがいくつもの山となり、リビングを埋め尽くし……。ワクチンの副反応で指関節もイカれていたから片付けができなかった」

「三バン(地盤・看板・鞄)がない中でのトップ当選」(写真は1993年、衆議院で初当選を果たし喜ぶ高市氏と両親/共同通信社)

 

「三バン(地盤・看板・鞄)」がない中でのトップ当選(写真は1993年、衆議院で初当選を果たし喜ぶ高市氏と両親/共同通信社)

 

 ──では、テレビで流れていた「自宅」とは?

 「私の選対本部長をしてくださった古屋圭司さん(元国家公安委員長)にお借りしたんですよ。同じ議員宿舎に住んでいて、ものすごいきれい好きだから、いつもカンペキ。人に見せたくてたまらないそうで(笑)、『じゃあ、オレの部屋を貸してやるよ』と言ってくださって。そこで数名で選対会議をしているシーンを映してもらいました」

 ──確かに、すごく整理が行き届いていました。

 「陣営のほんの一部だけには、私が副反応で家で寝ているしかない状況を伝えていました。(対抗馬だった)岸田(文雄)さんは企業視察や車座集会をどんどんやっているけど、私は痛みで歩けない。メディアへの露出が少ないことを陣営が心配して、嘉門さんや世良公則さん、デーモン閣下との対談を急きょ組んでくれたんです」

 ◆安倍氏は「今は一人でいるのがいいよ」

 高市陣営を支えた「軍師」は安倍晋三・元首相だと言われた。戦いの最中、安倍氏が高市氏に、もっと露出を増やすよう忠告する一幕もあったようだ。

 安倍氏は月刊誌『文藝春秋』2月号の単独インタビューでも、高市氏について〈真面目で勉強熱心なうえ、胆力もあります。有力な総理候補として国民の皆様に認識していただいた〉と称える一方、こうも指摘していた。

 〈いささか真面目過ぎて、何でも自分で引き受けてしまうところが玉に瑕。総裁選の時も、テレビに出演してアピールすべきなのに、部屋にこもって細かい政策を練っていた〉

 だが、高市氏はそれどころではなかった。

 「安倍さんは、私がベッドでうめいていることはご存じなかったんです。私からは伝えませんでした。すごくご心配をされる方だから」

 ──政治家にとって体調はトップシークレット。とはいえ、後見人の安倍さんにも黙っていた。

 「単なる副反応なので、すぐ治ると思ったから」

 ──『文藝春秋』は読みました?

 「あの本、高いから(笑)。党本部で借りて帰ってザッと読みました。安倍さんがおっしゃっていたことは間違いで、お電話しましたよ。『褒めてくれてありがとう』って。初めて体調の話も説明しましたね。『あの時は副反応でダウンしていたので、本当にすみませんでした』って」

 ──4か月後の「真相告白」となったわけですね。

 「でも、私のことを雑誌で取り上げてくださって、光栄なことですよ。尊敬する政治家ですから」

 ──安倍さんと高市さんは上下関係がある以前に、1993年衆院選の初当選同期なんですよね。その後、民主党政権時代の2012年に安倍さんが党の総裁に返り咲いた際も、高市さんは町村派(清和政策研究会)を離脱してまで安倍さんを支えて、第2次安倍政権の発足に貢献しています。

 「安倍さんが2007年に病で総理を退陣された後、体調を回復された頃から、私は安倍事務所に何度も通って、『再登板に挑みましょうよ』と言いに行っていたんです。すると、2011年に、町村信孝会長(当時)から『来年の総裁選は出るから、頼むね』と声をかけられました」

 ──それで、町村派を離脱した。

 「町村会長の出馬意向を聞いて、派閥の長の総裁選を応援しないなら、派閥にいる資格はないと考えました。町村派を出たのは、総裁選の1年前でした。直前にやめると町村会長に恥をかかせてしまうので。『財政的に厳しくなって、派閥の会費を払えなくなりました』と、テキトーな理由を(町村派の)事務局に言って」

高市早苗/1961年生まれ。神戸大学経営学部卒業、松下政経塾卒塾

 

高市早苗/1961年生まれ。神戸大学経営学部卒業、松下政経塾卒塾

 

 ──カドが立たないように気を遣った。

 「断腸の思いでしたよ。それまでバリバリの派閥人間で、週1回の例会に行って、みんなで一緒にカレーを食べるだけで楽しくてたまらなかったんですよ。でも、後悔はしていません。無派閥になるといろんな派閥の先輩方が声を掛けてくれるんです。いろんな分野の政策立案のお手伝いをして、党内の人間関係が一気に広がりました。あのフリーで動いた1年間があったおかげで、『もう一度、安倍さんを担ぎましょうよ』と派閥横断的に説得して回って、安倍さんを勝たせることができたと思っています」

 ──その安倍さんが昨年末、清和研の第10代会長に就任しました。安倍派になったことで、高市さんの派閥復帰も取り沙汰されましたが、今も無派閥のまま。過去に離れたことへの反感が一部メンバーの間にくすぶっているとも報じられています。

 「うーん、少し違うかな。私は数年前から『安倍派になったら戻るから』と安倍さんには伝えていましたが、今は党の政調会長なので、人事もなにもかも公平ですよという立場をキープしなきゃいけない。そういう考えを安倍さんにも話したら、『総裁選でいろんな派閥の議員に世話になったのだから、今は一人でいるのがいいよ』と言ってくださった。だから、今も無派閥で一人ぼっち。さびしいのはもう慣れました(笑)」

第2回につづく

【プロフィール】
高市早苗(たかいち・さなえ)/1961年生まれ。神戸大学経営学部卒業、松下政経塾卒塾。1993年に初当選後、衆議院では、文部科学委員長、議院運営委員長などを歴任。内閣では、内閣府特命担当大臣(3回任命)、総務大臣(5回任命で史上最長在職期間を記録)などを歴任。現在は、自民党政調会長(3期)。奈良2区選出、当選9回。

【インタビュアー・構成】
常井健一(とこい・けんいち)/1979年茨城県生まれ。朝日新聞出版などを経て、フリーに。数々の独占告白を手掛け、粘り強い政界取材に定評がある。『地方選』(角川書店)、『無敗の男』(文藝春秋)など著書多数。政治家の妻や女性議員たちの“生きづらさ”に迫った最新刊『おもちゃ 河井案里との対話』(同前)が好評発売中。

 ※週刊ポスト2022年3月18・25日号

 元稿:小学館 主要出版物 週刊ポスト 【NEWSポストセブン】 2023年03月07日 07:04:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【高市早苗独白60分】:②奈良弁で苦労、目の保養はキンプリ…「和製サッチャー」高市早苗氏の意外な弱点

2023-03-30 07:14:40 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【高市早苗独白60分】:②奈良弁で苦労、目の保養はキンプリ…「和製サッチャー」高市早苗氏の意外な弱点

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【高市早苗氏】:②奈良弁で苦労、目の保養はキンプリ…「和製サッチャー」高市早苗氏の意外な弱点

 世界では続々と女性リーダーが誕生しているのに、日本ではいまだ実現していない。それほどまでにこの国の「ガラスの天井」は硬いのか──。先の自民党総裁選で岸田総理に肉薄した高市早苗・同党政調会長(61)は、日本初の女性総理候補のひとりと目される。ノンフィクションライターの常井健一氏が斬り込んだ。「週刊ポスト」の新シリーズ《女性総理、誕生!》から飛び出したスピンアウト企画。【全4回の第2回。第1回から読む

高市早苗/1961年生まれ。神戸大学経営学部卒業、松下政経塾卒塾

 

安倍元総理についても語る高市早苗氏

 

 * * *
 高市氏は初当選からまもなく30年を迎える。デビュー直後から脚光を浴び、同世代の小池百合子や野田聖子、辻元清美各氏らと並ぶ「女性政治家の代表格」として平成という時代を駆け抜けた。

 高市氏の過去のインタビューを読むと、「心の支え」となった恩人について言及するものが目立つ。営業マンの父、県警勤めの母、松下政経塾で師事した「経営の神様」松下幸之助、そして、憧れのマーガレット・サッチャー(元英首相)。その顔ぶれは男性優位の日本政治を反映していると思った。たとえば、サッチャーに匹敵する女性政治家のロールモデル(お手本)が、いまだに永田町には存在しない。

 政策論議を仕掛けようとしても旧体制を牛耳るおじさんたちは相手にしてくれない。ならば、おじさんたちを頼って理想を実現しようとするが、こんどは「“女”を使った」といって蔑まれる。女性議員を取り巻く環境は、想像する以上に落とし穴だらけだ。

 高市氏の場合、人は男社会にうまく順応したように見ている。だが、実際は多くの女性たちと同様に修羅の道を歩み、2度の落選を経験して、今がある。

 ──当選9回、政府・与党の要職を歴任して、名立たる大物との邂逅を重ねる中で、政界遊泳術の手ほどを受けたような「師匠」は誰に当たるのでしょうか。

 「いや……。私、誰にも手ほどきをしてもらったことないんです。尊敬する女性政治家は、たとえば参院議員の有村治子さん(元行革相)や小野田紀美さん(元法務政務官)かな……」

 ──おふたりとも高市さんよりだいぶ後輩ですね。

 「見習うべきところがいっぱいあります。有村さんは知識が豊かなうえに、言葉遣いがとても綺麗。私はうっかり期数が下の議員にタメ口をきいたりして、後で国会便覧で年上だと知って、『申し訳ないことしてしもうた!』と、後悔ばかりです。小野田さんはテキパキとすごいスピードで、わかりやすくしゃべれる。あれだけの能力があるのはうらやましい」

 ──高市さんの若手時代には、土井たか子さん(女性初の衆院議長)や森山真弓さん(女性初の官房長官)が現職で永田町にいましたよね?

 「土井さんや、森山さんはすごいなあって見ていましたが、私はあのようにキリッとした感じにはなれない。性別に関係なく現職で最も尊敬しているのは、やっぱり安倍元総理かな。閣僚としてそばで見ていてすごいなと思いました」

 ──安倍さんのどういった点が?

 「頭の回転の早さ。予算委員会で批判されたら、パパパパッと即言い返す。野党からは評判悪かったけど、あの反射神経のすごさっていうか、よく短時間で頭回るなあと思って。あと、かなり長い演説であっても、原稿ナシで、力強く演説をされますよね。あれは、ご自宅で昭恵さんに『うるさい!』と叱られながら、大声で練習するらしいんですが、あれだけ堂々と早口でしゃべるのは、私じゃできへん」

 ──そうですか?

 「まず、奈良県民は割としゃべるの遅いんで。最初から最後まで関西弁でよかったら相当な速さでしゃべれるんですが、標準語で無理すると、けっこう噛むんですよ。イントネーションを一瞬考えるので、すごく遅くなるんです」

 ──なるほど、標準語を話している高市さんの話し方は、関西弁の時よりマイルドに聞こえます。

 「たとえば、国会質疑の前に30分で収まるように、文字数を計算してパソコンに打ち込んでおくんですよ。ほんで、声を出して読んでみるんです。標準語でやると時間オーバーして、終わらへん。で、関西弁でやるとピターッとはまる。はまるどころか、時間が余る。今日はどっちにしようって迷って、無理して標準語でがんばってみて、やっぱり関西弁でやるべきだったと後悔する時もあります」

「三バン(地盤・看板・鞄)がない中でのトップ当選」(写真は1993年、衆議院で初当選を果たし喜ぶ高市氏と両親/共同通信社)

 

「三バン(地盤・看板・鞄)」がない中でのトップ当選(写真は1993年、衆議院で初当選を果たし喜ぶ高市氏と両親/共同通信社) 

 

 ──へえ~。

 「困ることもあるんですよ。テレビ討論を関西弁でやると、視聴者から抗議の電話やメールをたくさん受けるんです。『一国の総理を目指す人間なのに、国民に失礼だ』とか。国会質疑にしても、全国から見られているわけで、関西弁がわかりにくい方もいらっしゃる。だから、標準語でやらなあかん、というプレッシャーもあり、総裁選の時も、鎮痛剤でボーッとした頭ではありながら、とにかく標準語、標準語って自分に言い聞かせながらがんばったんですよ。だけど、家で録画を見直したらかなり関西弁が入っていましたね。いやー、まだまだ未熟者ですね」

 ──そんな弱点があったとは……。

 「実は、視力も弱いんで、これが二重苦なんです。国会質疑では机上に置いてある時計も見えない」

 ──近眼なんですね。今日はコンタクトレンズを入れているんですか?

 「いや、裸眼で過ごしています。私、目にモノを入れるのが怖いので。しかも、肌が弱くて、メガネをかけると鼻の付け根のところが剥けるんです。メガネは、運転用と、家用を1個ずつ持っているだけ」

 ──家ではかけている?

 「いいえ。テレビをつけていて、King & Princeが出てきた時だけ、見なきゃってパッとかけて。そういう時に使うメガネ。ドラマの時はボヤッとしていてもストーリーはわかりますから、かけない」

 ──政治家の場合、顔が命だから、途中からメガネをかけはじめると有権者に気付いてもらえなくなるというリスクがある。

 「肌が弱くなければ、メガネ美人をめざしたいですがね。いちばん面白かったのは、本会議場でダンナ(山本拓・前衆院議員)が目の前を通って、私にニコッと笑って会釈した。その時、全然見えていなくて、完全に無視したらしいんですよ。それで『仮面夫婦』という噂がワッと広まって、週刊誌に出た。反対に、ダンナと輪郭が似た人が参院にいて、私、その人に間違えて手を振ったことがあるんです。『どうして、高市がオレに???』という感じで、その人がすごく不思議がっていたという話は、後になって知りました」

第3回につづく

【プロフィール】
高市早苗(たかいち・さなえ)/1961年生まれ。神戸大学経営学部卒業、松下政経塾卒塾。1993年に初当選後、衆議院では、文部科学委員長、議院運営委員長などを歴任。内閣では、内閣府特命担当大臣(3回任命)、総務大臣(5回任命で史上最長在職期間を記録)などを歴任。現在は、自民党政調会長(3期)。奈良2区選出、当選9回。

【インタビュアー・構成】
常井健一(とこい・けんいち)/1979年茨城県生まれ。朝日新聞出版などを経て、フリーに。数々の独占告白を手掛け、粘り強い政界取材に定評がある。『地方選』(角川書店)、『無敗の男』(文藝春秋)など著書多数。政治家の妻や女性議員たちの“生きづらさ”に迫った最新刊『おもちゃ 河井案里との対話』(同前)が好評発売中。

 ※週刊ポスト2022年3月18・25日号

 元稿:小学館 主要出版物 週刊ポスト 【NEWSポストセブン】 2023年03月07日 07:02:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【高市早苗独白60分】:③「相手が岸田総理でも2人で飲みには行きません」

2023-03-30 07:14:30 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【高市早苗独白60分】:③「相手が岸田総理でも2人で飲みには行きません」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【高市早苗氏】:③「相手が岸田総理でも2人で飲みには行きません」 

 世界では続々と女性リーダーが誕生しているのに、日本ではいまだ実現していない。それほどまでにこの国の「ガラスの天井」は硬いのか──。先の自民党総裁選で岸田総理に肉薄した高市早苗・同党政調会長(61)は、日本初の女性総理候補のひとりと目される。ノンフィクションライターの常井健一氏が斬り込んだ。「週刊ポスト」の新シリーズ《女性総理、誕生!》から飛び出したスピンアウト企画。【全4回の第3回。第1回から読む

高市早苗・政調会長にノンフィクションライターの常井健一氏がインタビュー

 女性であるがゆえのバッシングも

               * * *

 ──政界では女性というだけで男にはありえない期待をされ、男にはありえない叩かれ方をする。女性であるがゆえのバッシングはありますか。

 「それはあります。第2次安倍改造内閣の時に女性閣僚が5人も選ばれたのですが、予算委員会で野党やマスコミから責め立てられたのは主に女性閣僚でした。出版社や新聞社の偉い人の中には女性が出世するのを快く思わないような人がいて、狙い撃ちにしているんじゃないかなって疑ってみたくなったほど」

 ──どうしてそんなことが起こるのでしょう。

 「そうねえ。仲良くしている女性記者がおめでたで産休と育休を取るって言ったのに、出産後まもなく永田町を歩いていたの。聞けば、女性の権利に関する記事が多い新聞社なのに、自社の記者が産休を終えるなり、人手が足りないからとにかく働けと。女性の体のこととか、それに見合った働き方とか、一部のマスコミの上層部はわかっていませんね」

 ──そんな男社会だから、どんなに実力がある女性閣僚であっても「“女”を使った」と非難される。

 「そういうのがいちばんたちが悪い。私も初めて選挙に出る準備をはじめた30歳から40代で結婚するまでは、ものすごくやられました。たとえば、企業の社長さんや病院の院長さんが政策に賛同するから応援します、うちでミニ集会を開いてあげます、と。で、集会に行ったら、すぐに『高市早苗の愛人』と、実名で怪文書がまかれる。県会議員さんの家々も挨拶回りするでしょ。そうしたら、1回しか会ったことのない大物県議が『高市の愛人』にされる。で、やっと当選して国会に来たら、こんどは週刊誌に『森喜朗先生の愛人』と書かれる」

 ──散々ですね。

 「ありえない。私の好みは別として(笑)、森先生は見上げるような大先輩ですよ。私は独身だったからいいけど、相手のご家族に不快な思いをさせることを事実無根で書かれて、迷惑かけてしまう。すると、もう、普通に事務所に訪ねて行って、ご挨拶すらしにくくなるでしょ」

 ──本会議場で隣にいるだけでも、ヘンな噂を仕立て上げられる。

 「そうそう。だから私は同僚議員と飲み会にも行かないので、付き合いが悪いって。それが私の弱みであるように報道されてましたけど、もう若い頃に懲りて、誰から誘われても、ほとんど行かないんですよ」

 ──政界では会食を通じて互いを知ることの重要性を説く人が多いけど、女性の身になればそれが出世の壁になっている。

 「誘ってくださるのは、ありがたいんですよ。だけど、男性議員と4人で飲んだとしても、たまたまその中の一人と店を出た時に写真を撮られたら、それだけで迷惑がかかる。後援会の懇親会でも、男女両方がいる時でないと出ません。悩ましいのは、地元の選挙で誰を立てるか、その候補者を私が極秘で説得するといった場面ですよ。絶対に二人っきりで会わない。電話で済ますか、昼間に事務所に来てもらって話す。そうなると、やっぱり人間関係って密になりませんよ。高市はドライとか、友達が少ないとか言われてしまう理由は、そこなんですね……」

 ──女性にとっては生きづらい世界ですね。

 「相手が岸田総理であっても、私一人だけお店に呼ばれたら行きません」 

「三バン(地盤・看板・鞄)がない中でのトップ当選」(写真は1993年、衆議院で初当選を果たし喜ぶ高市氏と両親/共同通信社)

「三バン(地盤・看板・鞄)」がない中でのトップ当選(写真は1993年、衆議院で初当選を果たし喜ぶ高市氏と両親/共同通信社)

 ──そこまで「危機管理」を徹底されている。

 「女性どうしで集まると、みんなしんどい思いを吐露しますよ。選挙区で怪文書まかれたら打ち消す手段がないでしょ。選挙期間中にまかれた場合、あれはウソですって文書をまき返したら、文書違反で私が逮捕されます。ネットでやられる場合も、忙しい選挙事務所で特定のスタッフがずっとチェックはできないし、否定コメントの投げ方も難しいですよね。知らない人にまで知られてしまう」

 ──そうですね。

 「やっぱり怪文書がいちばんつらかった。2003年の衆院選は、事前の自民党の世論調査で2桁も勝っていましたが、公示日直後の週末に怪文書が戸別配布されました。ネットでも落選運動をやられて、次の月曜日に街頭に立ったらガラッと空気が変わった。ビラを渡しても目の前で破かれる。誰も手を振ってくれない。まあ、そういう時は運命だと思って、最後まで一生懸命、政策だけを訴えて、案の定落ちました」

 ──あの時の対抗馬は馬淵澄夫さん(現立憲民主党国対委員長)でした。それから2005年の郵政選挙で返り咲くまで、2年近い浪人生活が続きました。

 「浪人中は、大学で若者に経済を教えるのが楽しかったし、テレビの出演料は政治家時代に税込み3万3333円だったのが、文化人枠になって20万円もいただけた。国会議員の時は講演料をもらわなかったし、手取りでいえば議員歳費からいろいろ引かれて月37万円」

  ──37万円ですか!

  「ハイ。美容室だって3~4か月に1回しか行きませんよ、今でも」

  ──では、その髪は……。

  「自分で切っている。それがいちばん経済的なんですよ。1センチ伸びたら1センチ切っていけば、間違いない。年末に行ったんで、次は4月頃(笑)。でも落選中は月にいっぺん美容室に行くという贅沢もできました」

  ──ハハハ。自宅で切る時はどこで切るんですか。

  「自分の部屋で。床に新聞紙を敷いて」

  ──鏡は何枚?

  「いや、普通の小さい鏡で。この前までは文房具バサミで切ってた」

高市早苗/1961年生まれ。神戸大学経営学部卒業、松下政経塾卒塾

 

高市早苗/1961年生まれ。神戸大学経営学部卒業、松下政経塾卒塾  

 

 ──文房具バサミ!

 「総裁選の時は美容室に行く暇もないまま突入しちゃったんで、奈良の美容師さんが東京出張に来たついでにパパパッと切ってくれて、ちょっとマシになったんですよ。私が、文房具バサミの話をどっかで言ったら、セルフカット用のハサミとクシを贈ってくれた方がおられました。おかげで、美容室に行く間隔が延ばせるようになりました」

 ──やっぱり違いますか、文房具バサミとは?

 「ぜ~んぜん違う。以前のように前髪ぱっつんにならない!」

第4回につづく

【プロフィール】
高市早苗(たかいち・さなえ)/1961年生まれ。神戸大学経営学部卒業、松下政経塾卒塾。1993年に初当選後、衆議院では、文部科学委員長、議院運営委員長などを歴任。内閣では、内閣府特命担当大臣(3回任命)、総務大臣(5回任命で史上最長在職期間を記録)などを歴任。現在は、自民党政調会長(3期)。奈良2区選出、当選9回。

【インタビュアー・構成】
常井健一(とこい・けんいち)/1979年茨城県生まれ。朝日新聞出版などを経て、フリーに。数々の独占告白を手掛け、粘り強い政界取材に定評がある。『地方選』(角川書店)、『無敗の男』(文藝春秋)など著書多数。政治家の妻や女性議員たちの“生きづらさ”に迫った最新刊『おもちゃ 河井案里との対話』(同前)が好評発売中。

※週刊ポスト2022年3月18・25日号

 元稿:小学館 主要出版物 週刊ポスト 【NEWSポストセブン】 2023年03月07日 07:03:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【高市早苗独白60分】:④「ガラスの天井はなかった」 野田聖子氏とは異なる女性論

2023-03-30 07:14:20 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【高市早苗独白60分】:④「ガラスの天井はなかった」独白60分 野田聖子氏とは異なる女性論

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【高市早苗独白60分】:④「ガラスの天井はなかった」独白60分 野田聖子氏とは異なる女性論 

 世界では続々と女性リーダーが誕生しているのに、日本ではいまだ実現していない。それほどまでにこの国の「ガラスの天井」は硬いのか──。

「ガラスの天井はなかった」と語る高市早苗氏

 

「ガラスの天井はなかった」と語る高市早苗氏

 

 先の自民党総裁選で岸田総理に肉薄した高市早苗・同党政調会長(61)は、日本初の女性総理候補のひとりと目される。ノンフィクションライターの常井健一氏が斬り込んだ。「週刊ポスト」の新シリーズ《女性総理、誕生!》から飛び出したスピンアウト企画。【全4回の第4回。第1回から読む

 * * *
 昨今の高市氏といえば、保守系言論誌の誌面を飾るような「タカ派的発言」に注目が集まり、その思想性が称賛や批判の対象にされることが多い。だが、総務相時代は行政手腕を発揮し、当時を知る記者たちからの評価は高い。

 かんぽ生命の不正販売問題や、ゆうちょ銀行の不正引出事件をめぐり、総務省や日本郵政が隠蔽に走る中、高市氏が率先して情報公開に踏み切る場面が相次いだ。役所の論理と対峙し、国民のために戦う大臣を演じた。

 そんな高市氏が目標とするマーガレット・サッチャーは、こんな言葉を残している。「リーダーは好かれなくてよい。しかし、尊敬されなければならない」。

 サッチャーは領土を侵す他国の暴挙に立ち向かい、弱者を困窮させる不人気な改革も断行した。お国のために──。男より男らしい「鉄の女」は、女性の出世をはばむ「ガラスの天井」をものともしなかった。

 一方、日本版サッチャーは保守派の男性たちを惹きつける反面、一部のフェミニストからは「女性に厳しい女性」と批判を浴びる。それも女性の総理候補ならではの「宿命」なのかもしれない。

 「私、『ガラスの天井』って言葉があまりよくわからなくて。総裁選って20人の推薦人を集めたら男性でも女性でも出れるやないですか。別に、『ガラスの天井』はなかった」

 ──男性の有力議員であっても、推薦人を集められない人はいました。高市さんの出馬経過を見ていると、推薦人集めで性差を感じませんでした。

 「それに、女性議員は増えてほしいけど、無理やり増やすための枠を作っちゃうと、行き過ぎた結果平等になってしまいます。私は昔から『チャンスの平等』をちゃんと確保すべきだという信念なので、法律を変えてクオータ制(候補者の一定比率を女性にする規定)を導入することには明確に反対です。公職選挙法は男性も女性も同じ条件で、配れるビラの数も法定費用もまったく同じですから。そこは法律をいじっちゃいけない」

 ──クオータ制を主張する野田聖子さんと真っ向から対立する立場ですね。

 「でも、同じ阪神ファンなの。ついでに福島瑞穂さんもタイガース」

 ──意外な共通点(爆)。

 「多くの女性議員にとってネックになっているのは、子どもを産んで育てたり、親の介護もある中で、出馬する時期や上のポストを狙うチャンスを逸することですよ。元日も含めて1日も休みが取れない仕事ですから。私もしんどい思いをしたのは親の看病と介護の時でした。父が最初で母が次って、長いこと続いたんで。そういう負担が女性にのし掛かる場合が多い現状は変えていかないといけない」

 ──高市さんは自分の苦労を他人に一切見せない。

 「そんなの私の事情ですから、みなさんに語ったって仕方ない。ただ、そういう中で一生懸命働いて、大臣になっても、男性議員には『女性枠だから』と揶揄されます。『いいよな、女は。オレも性転換したいよ』と面と向かって言われましたよ」

 ──「永田町は嫉妬の海」と言われますが、思った以上にシビアですね。

 「安倍政権で総務相を足掛け4年やりましたが、『アイツに総務省が回せるのか』と、周りから見ていた男性議員も多かったでしょう。私はずっと経済産業の分野をやってきたので、(地方自治や郵政を所管する)総務省はミスマッチだという声もあがりました。安倍総理が、(総務省が所管する)情報通信政策に私が強いと言葉を添えてくださったので少し救いになりましたが、地方自治に詳しい男性議員には申し訳ないという気持ちがありました」

「三バン(地盤・看板・鞄)がない中でのトップ当選」(写真は1993年、衆議院で初当選を果たし喜ぶ高市氏と両親/共同通信社)

 

「三バン(地盤・看板・鞄)」がない中でのトップ当選(写真は1993年、衆議院で初当選を果たし喜ぶ高市氏と両親/共同通信社)

 

 ──男たちが良かれと思って結果平等を促す「女性枠」には功と罪がある。

 「だから、女性が申し訳ないという気持ちで働くのと、『実力があるから選ばれたんや』と自信と誇りを持って働くのでは、エラい違いなんです。多様性という言葉で女性を大事にしているように見えて、結果的に傷つけてしまうという現実があるということも、しっかり踏まえたうえで政策を打ち出していきたいですね」

(了。第1回から読む

 【プロフィール】
高市早苗(たかいち・さなえ)/1961年生まれ。神戸大学経営学部卒業、松下政経塾卒塾。1993年に初当選後、衆議院では、文部科学委員長、議院運営委員長などを歴任。内閣では、内閣府特命担当大臣(3回任命)、総務大臣(5回任命で史上最長在職期間を記録)などを歴任。現在は、自民党政調会長(3期)。奈良2区選出、当選9回。

 【インタビュアー・構成】
常井健一(とこい・けんいち)/1979年茨城県生まれ。朝日新聞出版などを経て、フリーに。数々の独占告白を手掛け、粘り強い政界取材に定評がある。『地方選』(角川書店)、『無敗の男』(文藝春秋)など著書多数。政治家の妻や女性議員たちの“生きづらさ”に迫った最新刊『おもちゃ 河井案里との対話』(同前)が好評発売中。

 ※週刊ポスト2022年3月18・25日号

 元稿:小学館 主要出版物 週刊ポスト 【NEWSポストセブン】 2023年03月07日 07:04:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【松井一郎 維新伝心】:岸田首相のウクライナ電撃訪問を評価 「必勝しゃもじ」批判も重要なのは支援の中身 高市氏追及の立民、世論調査で支持率下落

2023-03-30 07:10:50 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【松井一郎 維新伝心】:岸田首相のウクライナ電撃訪問を評価 「必勝しゃもじ」批判も重要なのは支援の中身 高市氏追及の立民、世論調査で支持率下落

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【松井一郎 維新伝心】:岸田首相のウクライナ電撃訪問を評価 「必勝しゃもじ」批判も重要なのは支援の中身 高市氏追及の立民、世論調査で支持率下落

 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、わが日本代表「侍ジャパン」が優勝して1週間が過ぎた。まだ、あの感動が続いている。「世界一」を目標として集まった侍たちは、試合ごとにたくましくなった。準決勝でメキシコにサヨナラ勝ちし、決勝戦では大リーガーばかりの米国を下した。

 決勝戦9回表の死闘は、野球史に残る名勝負だった。大谷翔平投手は泥の付いたユニホーム姿で登板し、優勝まであとアウト1つまでたどり着いたが、迎えた打者は「世界最高」と称されるマイク・トラウト選手。大谷投手は160キロ台の直球を連投し、最後はスライダーで空振り三振に仕留めた。

 「野球は筋書きのないドラマ」と言われ、長嶋茂雄監督はかつて「メークドラマ」と言っていたが、こんなすごいドラマは見たことがない。私はテレビ観戦していたが、体が熱くなるような興奮と感動を覚えた。選手をはじめ、関係者の方々には心から敬意を表したい。

 さて、岸田文雄首相が21日、ウクライナの首都キーウを電撃訪問した。G7(先進7カ国)の首脳として最後となり、情報管理や安全確保などで課題が指摘されているが、私は「行かないよりも、行ってよかった」と評価している。中国の習近平国家主席のロシア訪問とタイミングが重なったことも、結果的に日本の存在感を高めた。 

 岸田首相は現地で、「ウクライナの平和を取り戻すため最大限の支援を行いたい」と語っていた。一部野党やメディアが、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領に「必勝しゃもじ」を贈ったことを批判しているが、あれは「のし紙」のようなもので、重要なのは支援の中身だ。ウクライナ復興までの道のりは長い。日本にふさわしい支援を期待したい。

 日本維新の会の議員団は21日、ウクライナへの支援として、ピックアップトラック20台を、セルギー・コルスンスキー駐日ウクライナ大使に引き渡した。費用は「身を切る改革」の一環で、党所属国会議員の歳費の一部を積み立てた資金から約1億5000万円を充てた。

 さて、放送法の「政治的公平」の解釈に関する総務省の行政文書が流出した問題に絡み、高市早苗経済安全保障担当相が一部野党の追及を受け続けている。

 この問題のポイントは、安倍晋三政権下で、放送法の「政治的公平性」の解釈が変わったのか否かだが、松本剛明総務相は「従来の解釈を変更するものとは考えておらず、放送行政を変えたとは認識していない」と否定している。通常ならばこれで終わる話だ。

 高市氏は自身に関わる4文書について、「(内容が)捏造(ねつぞう)だ」と答弁した。野党議員が「捏造の文書でなければ閣僚や議員を辞職するか」とただし、高市氏が「結構だ」と応じたこともあり、騒動が収束しない。

 日経新聞が27日朝刊で報じた世論調査で、高市氏を最も追及している立憲民主党の支持率は8%で前回調査から1ポイント下落した。国会では、防衛力強化や少子化対策、経済対策など、他にも審議すべき問題が多々ある。国民は冷静に政治を見ているようだ。 (大阪市長、日本維新の会顧問・松井一郎)

 元稿:夕刊フジ ZaKzaK 主要ニュース 政治・国際 【政治ニュース・連載「維新伝心」・担当:松井一郎・大阪市長、日本維新の会顧問】  2023年03月30日  06:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【さすが 姑息・維新】:吉村府知事が大阪ダブル選告示直前の米10キロ支給に「知事選とは関係ない」と“バラマキ”否定

2023-03-30 07:09:50 | 【地方自治・都道府県市町村・地方議会・議員年金・デジタル田園構想・地方地盤沈下】

【さすが 姑息・維新】:吉村府知事が大阪ダブル選告示直前の米10キロ支給に「知事選とは関係ない」と“バラマキ”否定

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【さすが 姑息・維新】:吉村府知事が大阪ダブル選告示直前の米10キロ支給に「知事選とは関係ない」と“バラマキ”否定

 大阪府の吉村洋文知事(47)が22日、府庁で取材に応じ、府内在住の18歳未満の子供1人につき米10キロ(5000円相当)を配布する物価高騰の子育て世帯への支援策について、3月22日から保護者らからの申請を専用サイトで受け付けると発表した。

吉村洋文知事(2022年3月9日撮影)吉村洋文知事(2022年3月9日撮影)

 受け付け開始が大阪府知事・大阪市長のダブル選(3月23日告示、4月9日投開票)の告示日直前となるが、再選を目指し府知事選に出馬する吉村知事は「これは知事選とは関係ない。できるだけ早くお届けするという意味でこの日になった」と選挙対策の“バラマキ”を否定した。

 ※税金一票搾取する、さすが姑息の日本維新の会共同代表の悪知恵!!

 「お米10キロ」の府内対象者は約139万人。当初は自宅に直接配送する現物支給の方向で検討していたが、地域限定の電子クーポンを配り、スーパーや米穀店で購入できる仕組みに変更した。米以外を希望する人には、相当額の別の食料品を選べるようにする。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・地方自治・大阪府・日本維新の会】  2023年02月22日  14:54:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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