《社説②》:東芝の非上場化案 経営の迷走止められるか
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②》:東芝の非上場化案 経営の迷走止められるか
8年近い迷走に終止符を打つことができるのか。経営陣は展望を示す必要がある。
東芝が、国内ファンドの日本産業パートナーズなどによる買収提案を受け入れると表明した。株式の公開買い付け(TOB)で3分の2以上の株主から賛同を得られれば、上場廃止となる。
「物言う株主」を排除して経営の安定化を目指す。上場企業のブランドを捨てる、窮余の策といえる。歴代経営陣の責任は重い。
迷走のきっかけは、2015年に不正会計が発覚したことだ。その後、米原発事業の巨額損失で債務超過に陥り、増資で海外ファンドなど物言う株主の支援を仰いだ。子会社でも不正が見つかり、ガバナンス不全が改めて露呈した。
生き残りに向けて、医療や半導体メモリーなど主力事業の切り売りも余儀なくされた。一方、株主総会で提示した会社分割案が否決されるなど、物言う株主に経営が翻弄(ほんろう)されてきた。
東芝は今も発電、上下水道などのインフラや防衛関連の事業を抱え、東京電力福島第1原発の廃炉作業も担っている。
安定した事業の遂行は、社会的な責務だ。非上場化すれば、目先の利益にとらわれず、中長期的な視点で経営をすることが容易になる。経営陣は、単なる物言う株主の排除や、保身に終わらせてはならない。
今回の決定は、会社の将来を左右する。にもかかわらず、島田太郎社長が記者会見を開かず、資料開示で済ませたことは理解に苦しむ。丁寧な説明が不可欠だ。
2月には、不適切な交際費の処理で副社長が辞任した。一部事業の不振により、業績予想で再度の下方修正も強いられた。これに伴い、TOBで株主から株を買い取る価格も引き下げられている。
買収には、発電事業者や半導体メーカーなど日本企業約20社が参画している。これら出資者と今後、どのように良好な関係を築いていくかも課題だ。株式市場の監視から外れる中で、ガバナンスの強化も重要となる。
かつては経団連会長も出した「名門企業」だが、信頼は地に落ちた。経営の立て直しには、透明性を高め、実績を一つ一つ積み重ねる以外に道はない。