【社説・01.11】:インフルエンザ急増 暮らしの中で対策徹底を
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・01.11】:インフルエンザ急増 暮らしの中で対策徹底を
インフルエンザが全国で猛威を振るっている。県内でも患者数が急増している。日常生活の中で「うつらない、うつさない」の感染対策を怠ってはならない。「二十歳の集い」が各地で開催される連休中の感染拡大を防ぎたい。
厚生労働省は9日、全国約5千の定点医療機関から昨年12月23~29日の1週間に報告されたインフルエンザ患者数は計31万7812人で、1医療機関当たり64.39人になったと発表した。前週(12月16~22日)は42.66人で、既に警報レベル(30人)を上回っていた。
この数値は、現行の統計を始めた1999年以降、最多である。昨年同期(21.65人)の約3倍に達しており、今期の患者数の多さは突出している。一部で医療の逼迫(ひっぱく)や治療薬の供給不足も起きており、危機的な状況だ。
沖縄県内の12月23~29日の定点当たり患者数は24.30人で全国最少ではあるが、決して油断はできない。前週10.43人から2.33倍に増えており、伸び率は全国で最も高い。今後、さらに患者数が急増する恐れがある。
昨年の夏以降、県内ではインフルエンザ流行の兆しを見せていた。厚労省統計によると昨年9月から12月末までの間、県内では1校で休校、16校で学年閉鎖、78校で学級閉鎖が出ている。県は昨年8月9日から14週連続でインフルエンザ注意報(基準値10人)を出していた。11月15日に解除したものの、12月27日に再び注意報を出している。
厚労省は基本的な感染対策として「手洗い」と「マスクの着用を含む咳エチケット」を呼びかけている。特に高齢者や基礎疾患のある人が感染した場合、重症化する恐れがある。高齢者と会ったり、大人数で集まったりする場合はマスク着用を心掛けたい。
手洗いや手指消毒、こまめな換気も必要だ。これらは2020年以降の新型コロナウイルス対策の中で実践してきたことだ。自身と周囲の健康を守るためにも思い出してほしい。基本的な対策に加えてワクチン接種も効果的だ。
今以上の医療機関の逼迫と治療薬の供給不足の深刻化を防がなければならない。インフルエンザ治療薬の製造が急激な感染拡大に追いつかず、供給の一時停止を明らかにした製薬会社もある。医療現場の混乱を回避するためにも、生活レベルでの感染対策が不可欠だ。
連休中には県内各地で「二十歳の集い」が開催される。会場には多くの人が集まるはずだ。式典後、飲食を伴う会合を予定している人も多いはずである。これをインフルエンザ感染拡大の場にしてはならない。「咳エチケット」を心掛けてほしい。県や市町村の広報活動も必要だ。
これから受験シーズンに入る。受験生が万全な体調で試験に臨むためにも「うつらない、うつさない」の感染対策が欠かせない。
元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年01月11日 04:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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