【社説・12.13】:【四国大規模停電】:再発防止策の徹底を
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・12.13】:【四国大規模停電】:再発防止策の徹底を
異例の大規模停電は人為的なミスによるものだった。電気が最も重要なライフラインの一つであることは論をまたない。失態を教訓とし、再発防止策の徹底が求められる。
四国4県で最大約36万5千戸に影響が出た11月9日の大規模停電について、四国電力送配電が原因や再発防止策をまとめた報告書を経済産業省に提出した。原因に、四国―本州間の送電線を共同運用する関西電力送配電との連携ミスを挙げ、操作手順の見直しや会社同士の連携強化などに取り組むとした。
四国で一斉に起こった停電としては過去最大規模で、低圧契約口数全体の1割以上に及んだことになる。しかも、災害時でなく平時の発生だった。親会社の四国電力を含め、ライフラインを担う事業者としての存在を問われかねない事態だと重く受け止める必要がある。
停電は午後8時20分ごろ発生。高知県内の停電戸数も、西部や中部の10市町村で計7万9500戸に上った。早いところは5分ほどで復旧したが、幡多地域を中心に1時間近く続いた場所もあった。
四国電力送配電によると、四国と本州を結ぶ送電線は、瀬戸大橋を通る2回線と徳島―和歌山間の2回線がある。当日は、瀬戸大橋の送電線で起こったトラブルの復旧作業に伴って、徳島―和歌山間を流れる電力の制御装置を停止する必要が生じ、四電側が関西電力送配電に操作を依頼した。
その際、両社の担当者間で作業手順に認識のずれがあり、適切な操作が行われなかった。これに起因して本州向けに大量の電力が流れ続け、四国の電力の需給バランスを維持するための機能が作動して、停電が発生したという。
停電時間は長くて1時間半ほどだったが、さまざまな生活基盤に影響が出た。
各地で道路の信号が消え、警察が交通整理に当たる場面が見られた。高知龍馬空港では滑走路の誘導灯が消えるなどした。商店ではキャッシュレスの決済システムが使えなくなった。徳島県では、暗い室内で転倒して2人がけがをした。
土曜日の夜、平時の停電に、住民は不意を突かれたことだろう。物理的な不自由さはもちろん、いつ復旧するか見通せないことが精神的な負担にもなった。
過ごしやすい季節で良かったが、真夏や真冬の発生なら空調に支障が出るなどして命に関わるケースがあったかもしれない。
四国電力送配電は報告書で、「想定外の操作に対する対応力」や「両社のコミュニケーション」「制御装置に関する知識」の不十分さを認め、誤認を防ぐための文書の記載内容の見直し、運用者のレベル向上のための教育内容の改善、合同訓練の実施など改善策を挙げた。
ミスを防ぐシステムづくりはもちろん、それが着実に運用される姿勢が重要だ。今回の事案に限らない。電力の安定供給を担う事業者として意識の徹底が求められる。
元稿:高知新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年12月13日 05:00:00 これは2自で判断下さい。
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