【天風録・11.12】:信なくば
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録・11.12】:信なくば
政治とは何か。弟子に問われ、孔子が説いた。「食を満たし、軍備を十分にし、民に信頼の心を持たせる」。三つのうち最も大事なのは民から信じ託されることだと諭す。「信なくば立たず」と
▲前政権以上に、この論語の言葉が染みる日々だろう。きのう石破茂首相が再選出された。決選で野党の無効票に助けられ、立憲民主党の野田佳彦代表を退けた。30年ぶりの少数与党である。内閣不信任決議案を否決する数を持たない、いばらの道だ
▲政策決定の過程が変わる。花形の衆院予算委員長を立憲民主党が取り、自公の事前調整だけでは予算案が通らない。政策の優先度も変わる。改憲に前向きな勢力は総定数の3分の2を割り、選択的夫婦別姓に賛成の議員が7割超と世論並みに
▲民意がもたらした国会のありようだ。政権維持のため政策実現で釣り、小政党を連立に取り込む自民党の手法が古びて見える。首相には持論の安全保障政策を言う前に政治改革を求める。立憲民主党も熟議を促す論戦や政権担当能力が試されている
▲与野党に論語の格言をもう一つ。「巧言令色、鮮(すくな)し仁」。意訳するとこうだ。言葉巧みで愛想いい政治家に限って民への思いやりに欠ける。
元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】 2024年11月12日 07:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます