【社説②】:首相政倫審へ 内容のある答弁を聞きたい
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:首相政倫審へ 内容のある答弁を聞きたい
岸田首相が自ら範を示すことで、国会の混乱を収拾しようという姿勢は評価すべきだろう。通り一遍の答弁ではなく、政治資金問題について丁寧に説明する必要がある。
自民党の政治資金規正法違反事件を巡り、首相が「党総裁としてマスコミオープンの場で説明責任を果たす」と述べ、衆院政治倫理審査会に出席する考えを示した。政倫審はきょうから開かれる。
与野党は、いったんは政倫審を28、29日に開いて、安倍、二階両派の幹部5人を審査することで合意していた。だが、公開か非公開かを巡って折り合わず、28日の開催が見送られた。
政治資金問題で、岸田内閣と自民党の支持率はともに著しく低下している。首相としては、政倫審さえ開けないようでは政権が持たない、という危機感から出席を決めたのだろう。現職首相の政倫審出席は今回が初となる。
首相の出席を機に、安倍派幹部らもそろって政倫審に出席することになった。いつから「裏金」作りを始め、それをどのように使っていたかなどについて、具体的に内容のある説明をすべきだ。
今国会で政治改革は重要なテーマだ。だが、この問題を巡る与野党対立の影響で、2024年度予算案や重要法案の審議が遅れることは避けねばならない。
首相自身の説明が不十分で、政治不信が高まってしまった面も否定できないのではないか。
今回の事件では、首相が昨年まで10年以上にわたって会長を務めていた岸田派でも、約3000万円の収支報告書への虚偽記入が発覚し、元会計責任者が立件された。首相は「事務的なミスの積み重ね」と述べるにとどめている。
政府は01年に決めた大臣規範で、首相や閣僚による大規模なパーティーの自粛を定めているが、首相は22年、政治資金パーティーを7回も開いていた。
しかし、首相は22年のパーティーを「勉強会だ」と主張し、大臣規範には反していないとの認識を繰り返し示している。これでは国民の信頼は取り戻せない。
政倫審を巡る与野党折衝では自民党の対応が迷走した。審査を公開するかどうか、派閥幹部の意向を党執行部が十分に確認していなかったためだという。執行部の調整能力を疑問視する声は多い。
首相がサプライズ効果にこだわり、党幹部らに十分な相談もなしに岸田派の解散を決めたことで、党内にしらけたムードが 蔓延 したことも否定できない。
元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年02月29日 05:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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