【社説②】:ラファ侵攻計画 国際法違反を重ねるな
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:ラファ侵攻計画 国際法違反を重ねるな
イスラエルのネタニヤフ首相がパレスチナ自治区ガザの最南部ラファに地上侵攻する方針を表明した。ラファにはガザ住民の半数以上が避難し、侵攻すれば多くの犠牲は避けられない。イスラエルは攻撃を直ちに断念すべきだ。
昨年10月のイスラム組織ハマスによる奇襲後、イスラエル軍はガザ北部から地上侵攻を開始し、住民は南部へと追いやられた。
エジプト国境に近いラファでは人口が侵攻前の28万人から150万人にまで膨らみ、テントで道がふさがれている状態だという。
ネタニヤフ氏はラファを「テロリストの最後の拠点」と見なし、ハマス壊滅と住民避難を組み合わせた計画作成を軍に命じた。
これに対し、国連のグテレス事務総長は「壊滅的な結果を招く」と警告。米国も国連安全保障理事会でラファへの地上侵攻反対と一時停戦に向けて動いている。
イスラエル軍は住民の北部方面への帰還を許しておらず、避難するにはエジプト側への越境しかないが、地上侵攻に反対するエジプトは越境を拒否している。
イスラエル政権内の極右閣僚らは「入植が安全をもたらす」としてガザからの住民追放とユダヤ人の再入植を訴え、軍は侵攻地区で家屋の焼却を続ける。
極右政党が離反すれば政権維持が困難になり、首相の座を追われかねないこともネタニヤフ氏が強硬姿勢を貫く背景にある。
しかし、家屋焼却はもちろん強制移住や民族浄化など国際法違反の非人道的行為は許されまい。
イスラエルの国内世論はハマスなどに捕らえられた人質解放をハマス壊滅より優先すべきだという方向に変わりつつあるが、ラファへの地上侵攻に踏み切れば、第三国を交えた人質解放と休戦交渉の崩壊は避けられない。
4カ月超の戦闘で2万9千人以上のガザ住民が死亡。飢餓や感染症のまん延など人道危機はより深刻化している。
国際社会はこの危機を座視してはならない。イスラエルのラファ地上侵攻を阻止するため、あらゆる外交手段を講じるべきである。
元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年02月21日 07:14:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます