【天風録・11.20】:谷川俊太郎さん
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録・11.20】:谷川俊太郎さん
ことし出た「かっぱ語録」という不思議な題の本で、谷川俊太郎さんがこんなふうに呼ばれていたことを知った。「現代詩の世界に朝を連れてきた」人である、と
▲等しく地上に訪れ、生きとし生けるものに光を恵む。朝には肯定の響きがある。教科書で読んだ「朝のリレー」を思い出す人もいれば、谷川さんの詞で小室等さんが歌った「お早うの朝」を口ずさむ人がいるかもしれない。♪夢には明日がかくれている/だからお早(はよ)うの朝はくる
▲うまくいかぬ人生と向き合い、顔を上げるための応援歌にも読める。翻訳した漫画「ピーナッツ」では、苦みの利いた人生訓を少年少女が垂れる。そんな作品を届け続けてくれた谷川さんの訃報がきのう届いた。92歳
▲かつて、世界人権宣言の翻訳をアムネスティ日本に頼まれたのも谷川さんだからこそだろう。〈第8条 泣き寝入りはしない〉〈第14条 逃げるのも権利〉といったふうに、子どもでも読み取りやすい日本語に直した
▲きょう、国連「世界子どもの日」。35年前に子どもの権利条約を採択した日でもある。紛争下で命や人権を奪われた子どもは昨年、1日平均31人に上ったと聞く。等しく照らす朝の光が待たれる。
元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】 2024年11月20日 07:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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