【天風録・12.31】:カーターさんと鐘
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録・12.31】:カーターさんと鐘
年越しそばが並んだ広島市中区本通の土産物店「ひろしま夢ぷらざ」で見つけた。広島県三次市甲奴町特産の「カーターピーナッツ」。包装袋の真ん中に貼った星条旗と日の丸のシールが誇らしげだ
▲種は23年前、米ジョージア州でピーナツ農園を営む政治家から譲り受けた。かつて大統領の座にあったジミー・カーターさんである。甲奴町には以後、その名前を付けた生涯学習拠点や通り、野球場までできた。今で言う地域活性化の先駆けだろう
▲弾みをつけたのがカーターさんのノーベル平和賞受賞である。紛争の平和的解決に力を傾け、長年いがみ合うエジプトとイスラエルの和平に道を開いた。人道支援にも尽くした人生のページをおととい閉じた。100歳だった
▲甲奴町とは、釣り鐘が取り持つ縁である。町内の寺から戦時供出の憂き目に遭い、なぜかジョージア州に渡っていた。カーターさんも警鐘を鳴らし続けた。「力による平和」を危ぶみ、足を運んだ中東で今戦火が広がり、北朝鮮もきなくささを増す
▲<一年のこだまとなりて除夜の鐘>児玉三枝。以前の中国俳壇から引いた。内外の情勢に心のざわついた一年。こよい、百八の鐘にどんな思いが浮かぶか。
元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】 2024年12月31日 07:00:00 これは参考資料です。転載等は、各自で判断下さい。
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