【社説・11.06】:米大統領選 順調な投開票を期待する
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説・11.06】:米大統領選 順調な投開票を期待する
世界が注目する大統領選だ。民主主義の大国として、混乱がないよう投開票を進めなくてはならない。分断をさらに深めないよう、両陣営やその支持者らには、冷静な対応が望まれる。
米大統領選の投票が始まった。選挙戦は最終盤まで、初の女性大統領を目指す民主党候補のハリス副大統領と、返り咲きを狙う共和党候補のトランプ前大統領が、互角の戦いを展開し、大混戦が予想されている。
米紙の投票前最後の世論調査では、両氏の支持率は48%で並んだ。勝敗の鍵を握る東部ペンシルベニア州など激戦7州の支持率も僅差で、大接戦となっている。
選挙結果は米国内だけでなく、世界情勢を左右する。有権者の関心も高いようだ。期日前投票は、3日時点で7800万人を超え、2020年の前回大統領選の投票総数の約5割に上った。
ハリス氏は、トランプ政権という「過去には戻らない」を旗印にし、自由や権利が守られる未来への前進を訴えてきた。トランプ氏は「米国を再び偉大に」を掲げ、在任中のような繁栄を再現すると主張している。
インフレ対策や移民問題、中絶や性的少数者の権利拡大といった課題のほか、ウクライナや中東での戦闘、中国との関係など、争点は多岐にわたった。
しかし、両者による中傷合戦ばかりが目立ち、政策論争が深まらなかったことは残念だ。
トランプ氏は各地の集会で、ハリス氏を「ひどく無能で知能指数(IQ)が低い」とこき下ろした。虚偽を交えて不安もあおるなどしてののしった。
一方、ハリス氏は、トランプ氏を「独裁志向だ」とし、意見が対立する者には容赦せず「不安定で、復讐(ふくしゅう)への強迫観念に駆られている」などと批判を強めた。
両陣営や支持者の間でも非難の応酬となり、米社会の分断が一層深まったことは心配だ。
投開票で不測の事態が起きることも懸念される。
期日前投票では、2カ所で投票箱が放火され、投票用紙数百枚が焼失した。
前回大統領選でトランプ氏が敗北を認めず、支持者らが連邦議会を襲撃した事件が思い出される。
同様の事態が起こりかねないとして、ホワイトハウスや連邦議会議事堂の周囲には追加のフェンスが設置されたほか、街頭の警察官が増員された。
激戦州の一部では、票の集計所に狙撃手を配置し警戒を強める。前回選で「不正があった」とするトランプ氏の根拠のない主張に呼応し、武装した支持者らが集まったためだ。
民主主義の基盤である公正な選挙が、再び暴力や威圧で妨害されることがあれば、米国の威信の低下が避けられない。
元稿:新潟日報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2024年11月06日 06:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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