路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

《社説②》:東芝の非上場化案 経営の迷走止められるか

2023-03-31 02:05:40 | 【経済・産業・企業・起業・関税・IT・ベンチャー・クラウドファンティング

《社説②》:東芝の非上場化案 経営の迷走止められるか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②》:東芝の非上場化案 経営の迷走止められるか

 8年近い迷走に終止符を打つことができるのか。経営陣は展望を示す必要がある。

 東芝が、国内ファンドの日本産業パートナーズなどによる買収提案を受け入れると表明した。株式の公開買い付け(TOB)で3分の2以上の株主から賛同を得られれば、上場廃止となる。

 「物言う株主」を排除して経営の安定化を目指す。上場企業のブランドを捨てる、窮余の策といえる。歴代経営陣の責任は重い。

 迷走のきっかけは、2015年に不正会計が発覚したことだ。その後、米原発事業の巨額損失で債務超過に陥り、増資で海外ファンドなど物言う株主の支援を仰いだ。子会社でも不正が見つかり、ガバナンス不全が改めて露呈した。

 生き残りに向けて、医療や半導体メモリーなど主力事業の切り売りも余儀なくされた。一方、株主総会で提示した会社分割案が否決されるなど、物言う株主に経営が翻弄(ほんろう)されてきた。

 東芝は今も発電、上下水道などのインフラや防衛関連の事業を抱え、東京電力福島第1原発の廃炉作業も担っている。

 安定した事業の遂行は、社会的な責務だ。非上場化すれば、目先の利益にとらわれず、中長期的な視点で経営をすることが容易になる。経営陣は、単なる物言う株主の排除や、保身に終わらせてはならない。

 今回の決定は、会社の将来を左右する。にもかかわらず、島田太郎社長が記者会見を開かず、資料開示で済ませたことは理解に苦しむ。丁寧な説明が不可欠だ。

 2月には、不適切な交際費の処理で副社長が辞任した。一部事業の不振により、業績予想で再度の下方修正も強いられた。これに伴い、TOBで株主から株を買い取る価格も引き下げられている。

 買収には、発電事業者や半導体メーカーなど日本企業約20社が参画している。これら出資者と今後、どのように良好な関係を築いていくかも課題だ。株式市場の監視から外れる中で、ガバナンスの強化も重要となる。

 かつては経団連会長も出した「名門企業」だが、信頼は地に落ちた。経営の立て直しには、透明性を高め、実績を一つ一つ積み重ねる以外に道はない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【余禄】:新聞で「悲しい酒」を好きな曲にあげたことを機に…

2023-03-31 02:05:30 | 【訃報・告別式・通夜・お別れの会・病死・事故死・災害死・被害による死他】

【余禄】:新聞で「悲しい酒」を好きな曲にあげたことを機に…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【余禄】:新聞で「悲しい酒」を好きな曲にあげたことを機に…

 新聞で「悲しい酒」を好きな曲にあげたことを機に美空ひばりさんと交流を深めた。ブランデー持参で自宅を訪れたひばりさんから「姉貴として付き合ってほしい」と頼まれた。その後は本名で「和枝さん」と呼んだ

 ▲石原裕次郎さんとは1959年に映画で初共演し、兄嫁を演じた。撮影中、遅刻した裕次郎さんから「不肖の弟で申し訳ありません」と謝罪され、それからも「お姉さん」と呼ばれた

 ▲93歳で亡くなった俳優の奈良岡朋子さん。昭和の大スターに慕われたのは傑出した演技力と人柄ゆえだろう。吉永小百合さんとは映画で何度も母子になった。「おっかさんに頼みたい」と請われ、結婚の保証人になった

 ▲テレビ世代には朝の連続ドラマ「おしん」など知的で落ち着いた語り口のナレーションも印象深い。タクシーの運転手には「奈良岡さんですね。声でわかります」とよく言われたそうだ

 ▲15歳で東京大空襲を体験し、52年の映画「原爆の子」で戦争の傷痕が残る広島ロケに参加した。70歳を過ぎてから戦争の記憶を語り始め、晩年は井伏鱒二作「黒い雨」の朗読がライフワークになった

 ▲「デコ」の愛称の名付け親は劇団民芸の先輩、宇野重吉さん。生前に残したメッセージで「昔のデコじゃないですよ」と新たな旅路での再会を願った。「裕ちゃんや和枝さんと思いっきり遊びます」とも。民芸で同期の大滝秀治さんとは「継続は力なり」と芝居を続けることを約束し合ったという。その通り、役者の道を貫いた人生だった。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【余録】  2023年03月31日  02:06:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

《社説①》:LGBT法案と首相 人権問題をなぜ先送りか

2023-03-31 02:04:50 | 【LGBTQ+=ジェンダー・アイデンティティ、レズ、ゲイ、バイセクシャル、

《社説①》:LGBT法案と首相 人権問題をなぜ先送りか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①》:LGBT法案と首相 人権問題をなぜ先送りか

 LGBTなど性的少数者に対する差別の解消は、一刻の猶予もならない課題だ。その一歩に過ぎない法整備でさえ、岸田文雄首相は、自民党内の事情を優先し、先送りするというのだろうか。

 首相秘書官による性的少数者や同性婚への差別発言を受けて、首相が「LGBT理解増進法案」の国会提出を検討するよう党内に指示してから2カ月近くたつ。

 だが、法案提出の見通しは全く立っていない。法案に慎重な保守層に配慮し、統一地方選の最中での党内対立を避ける思惑があると言われている。

 政治の動きが足踏みを続ける中、トランスジェンダーに対するヘイトがネット交流サービス(SNS)上で拡散し、深刻な問題となっている。

 生まれた時の性別は男性で、性自認は女性という、トランスジェンダー女性に対し「LGBT法ができたら、心は女だと言っただけで、女湯に入れるようになる」という、事実とは異なる言説が広がっている。

 銭湯などの公衆浴場に入れるかどうかは、施設管理者が状況に応じて個別に判断する。当事者はこれまでも施設管理者とその都度、話し合い、時間帯を分けて入浴するなどの工夫をしてきた。

 心が女性と言っただけでは、浴場の利用ルールを無視して女湯に入ることはできない。LGBT法ができたら、それが可能になるというのは誤りだ。

 性的少数者の子どもがいる親たちは、「子どもたちは、社会の深刻な差別によって被害を受け、苦しんでいる。自ら命を絶ってしまう人もいる」と訴える。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2023年03月30日  02:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

《社説②》:京都移転の文化庁 脱東京の視点生かしたい

2023-03-31 02:04:40 | 【学術・哲学・文化・文芸・芸術・芸能・小説・暮らしに根差した民芸】

《社説②》:京都移転の文化庁 脱東京の視点生かしたい

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②》:京都移転の文化庁 脱東京の視点生かしたい

 文化芸術の底上げを図るための好機としたい。文化庁が京都に移転した。

 文化財の保存や活用に関わる部署などが移り、文化観光推進本部も新設された。約590人の職員のうち7割弱が新天地で業務に当たる。

 東京一極集中の是正策として2014年、安倍晋三政権が中央省庁の地方移転を打ち出した。文化庁誘致に手を挙げたのが京都の政財界だった。

 関西圏には由緒ある寺社や遺跡など文化資源が多い。京舞や人形浄瑠璃文楽といった伝統芸能があり、京料理など生活に根ざした豊かな文化を育んできた。

 地元では発信力の強化や経済波及効果への期待が高まる。

 霞が関の硬直的な発想にとらわれない視点も生まれるだろう。多様性を重視する上でも、脱東京のメリットは大きいはずだ。民間の知恵も取り入れ、地の利を最大限に生かす施策を望みたい。

 一方で課題もある。国会議員への説明や他省庁との連携の円滑化だ。コロナ禍でオンライン会議は普及したが、東京へ出張するケースがあるだろう。

 政策の企画立案や著作権、芸術文化の支援を担当する部署などは東京に残る。多くの関係団体との調整が必要なためだ。

 政府は京都移転を機に、文化庁の機能強化を進めると説明してきた。だが、新年度当初予算案は1077億円と、今年度当初とほとんど変わらない。

 国家予算に占める文化予算の割合は、0・1%にも満たない。国を挙げて文化振興に力を入れているフランスや韓国とは大きな開きがある。

 文化芸術を下支えするフリーランスへの支援拡充や、現場でのハラスメント対策など環境改善に向けた法整備も進んでいない。

 国は「稼げる文化」を掲げ、新年度予算案にもグローバル展開やデジタル化への対応を盛り込んでいる。目指しているのは「文化芸術立国」の実現だ。

 そもそも文化庁の使命は、文化の保護と振興である。「基幹産業として育て上げる」ことだけが役割ではないはずだ。

 京都移転にあたり、文化芸術行政のあるべき姿を考えたい。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2023年03月30日  02:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【余禄】:「潭、激流。岩」「舟、構造、舟子4人」…

2023-03-31 02:04:30 | 【不慮の事故・自動車事故・予期せず、意図せず、発生する惨事、火災他】

【余禄】:「潭、激流。岩」「舟、構造、舟子4人」…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【余禄】:「潭、激流。岩」「舟、構造、舟子4人」…

 「潭(ふち)、激流。岩」「舟、構造、舟子4人」。夏目漱石が1907年3月末からの京都旅行で残した日記のメモだ。小説「虞美人草(ぐびじんそう)」の描写に生かされた

 ▲「舟は矢も盾も物かは。一図に此(この)大岩を目懸(めが)けて突きかかる」。京都府亀岡市から京都・嵐山までの保津川(ほづがわ)下りだ。豪商、角倉了以(すみのくらりょうい)が江戸初期に舟運のために改修した川は明治以降、観光資源になった。漱石は登場人物に「実に愉快」と語らせている

 ▲小説では、舟が了以が建立した大悲閣千光寺(だいひかくせんこうじ)のふもとに着く。芭蕉は「花の山二町のぼれば大悲閣」と詠んだ。今の嵐山も桜が見ごろのようだ。コロナ禍も落ち着いた。行楽客が増えるのは当然だ

 ▲歴史的な名所の急流で乗客25人を乗せた舟が岩にぶつかり転覆した。船尾にいた船頭が操作ミスでバランスを崩して転落したのが発端という。後続の舟の連絡で乗客全員が救助されたものの、乗員が犠牲になった

 ▲12年前に静岡・天竜川で起きた川下り舟の死亡事故で救命胴衣の装着が義務づけられた。その効果はあったのだろう。だが、手だれの船頭をなぜ救えなかったか。再発防止のためにもしっかりとした検証が必要になる

 ▲運営会社のずさんさが浮き彫りになった昨年4月の知床観光船の事故を思い出す。大型連休を前に運航を再開した初日の事故だった。保津川も3月12日に川開きしたばかり。シーズン初めには操船の感覚を取り戻すのに時間がかかるという指摘もある。安全あってのレジャーだ。全国の行楽地でも再点検を願いたい。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【余録】  2023年03月30日  02:06:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

《社説①》:デジタル時代の教科書 「考える力」伸ばす活用を

2023-03-31 02:03:50 | 【文科省・教育制度、現場の実態把握・教員の資質・不登校・文化庁・

《社説①》:デジタル時代の教科書 「考える力」伸ばす活用を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①》:デジタル時代の教科書 「考える力」伸ばす活用を

 2024年度から小学校で使われる教科書の検定結果が公表された。デジタルの活用を意識した内容が増えたのが特徴だ。

 17年に学習指導要領が改定され、子どもが主体的に学ぶアクティブラーニングが重視されるようになってから2回目の検定だ。

 児童が議論を通じて課題を探り、解決策を考える方式が主流となっている。教科書の内容と関連した動画や音声、参考資料などの「デジタル教材」に誘導する二次元コード(QRコード)の掲載が増えたことが目を引く。

 例えば、川の働きと水害について学ぶ5年生の理科では、蛇行して流れる川の流域や洪水の様子などが動画で示された。5、6年生の英語では、リズムに合わせて楽しみながら発音などを覚える映像をリンク先で紹介した。

 端末が1人に1台配られ、デジタル教科書の本格導入が始まろうとしている。それに伴って教科書は、教える内容だけを列挙した従来型から、さまざまな情報に接することのできる学びのツールへと変わってきた。

 重要なのは、学校側が新しい機能の長所と短所を見極めて、子どもの考える力を伸ばすため、いかに有効に活用するかだ。

 QRコードには、教科書のページ数を増やさずに豊富な情報にアクセスできるメリットがある。授業の理解を深めることにも役立ち、自宅学習での利便性が高い。

 一方で、参考となる動画や資料が事前に用意され、苦労なく入手できるという便利さに慣れると、必ずしも主体的な学びにはつながらないとの指摘もある。

 端末を使って自分で検索したり、図書館で文献を探したりして、一から調べることが大切だ。目的に応じて学習の仕方を選べるよう、教師が丁寧に指導することが求められる。

 動画などは教科書の補助教材という位置付けのため、検定の対象とはなっていない。教科書会社が独自性のある教材を提供できる半面、質の確保が課題となる。

 新しい教科書の良さを生かすには、まず教師が使いこなせるようスキルを高めることが欠かせない。学校や自治体もそのための環境を整え、サポートする手立てを講じていく必要がある。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2023年03月29日  02:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

《社説②》:政府の追加物価対策 対症療法では不安拭えぬ

2023-03-31 02:03:40 | 【経済対策・物価対策、原油など資源価格の高騰・幅広い品目の値上げ、消費者物価】

《社説②》:政府の追加物価対策 対症療法では不安拭えぬ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②》:政府の追加物価対策 対症療法では不安拭えぬ

 その場しのぎに過ぎない施策をいつまで繰り返すのだろうか。

 政府は2兆円超の追加物価対策を決めた。低所得世帯への給付金として、昨年の5万円に続き、3万円を支給することなどが柱だ。

 今春以降も食料品を中心とした値上げラッシュが続く。所得が低い人ほど負担は重く、的を絞った支援は重要である。

 だが内容には問題が多い。

 まず支援を必要としている人に給付金が届かない恐れがある。

 対象となる住民税非課税世帯は高齢者が6割以上を占め、所得が少なくても、預金などの資産を持つ人がいる。一方、対象外でも、低賃金の非正規労働者など生活に苦しんでいるケースは多い。

 自治体が地域の実情に応じて使える交付金も増やしたが、使途はあいまいだ。政府は消費下支えに向けた商品券発行やポイント付与も推奨している。困窮者支援と無関係のばらまきになりかねない。

 見過ごせないのは、国会審議を経ずに政府の判断で使える予備費で全額を賄うことだ。

 予備費は本来、自然災害など不測の事態に備えた例外措置だ。だが政府は新型コロナウイルス禍を理由に巨額の計上を常態化させた。政府の「便利な財布」と化せば財政民主主義を骨抜きにする。

 昨年春も給付金などに1兆円超をつぎ込んだ。参院選を控えた時期だ。今回は統一地方選や衆参両院の補選と重なる。政府が対策の検討に入った直後、自民党幹部は積極的な活用を促した。選挙目当てとみられても仕方がない。

 予備費が計上されている予算は財源の多くを国債に頼る。膨大な借金を抱える中、将来へのつけを一段と増やす。極めて無責任だ。

 問題の根底には、岸田文雄首相が経済格差の是正にほとんど手を付けていないことがある。

 就任当初は、コロナ禍に伴う生活困窮者の増加を受けて「分配重視」を唱えていた。だが富裕層に有利な資産所得の倍増策を打ち出すなど、成長優先のアベノミクス路線に回帰してしまった。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2023年03月29日  02:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【余禄】:青魚の代表格であるサバ…

2023-03-31 02:03:30 | 【水産資源・海洋環境・漁業・水産加工・缶詰・調査捕鯨・鰻・鮪・鮨・回転寿司】:

【余禄】:青魚の代表格であるサバ…

『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【余禄】:青魚の代表格であるサバ…

 青魚の代表格であるサバ。語源は諸説あるが、「多い」の意味の古語「さは」が転じたという説も有力だ。「さばを読む」も数が多くて正確に数えられないことから生まれたという。昔から大量に取れたことは確かだろう

 ▲傷みやすいが、塩漬けすれば保存がきく。福井の若狭湾と京都を結ぶ「鯖(さば)街道」は人気の観光スポットだが、古い歴史の背景がある。今昔物語には奈良の大仏の開眼供養の際、聖武天皇が夢のお告げに従ってサバ売りの老人を式典に参加させ、サバが仏典に変わったという説話が載っている

 ▲1970年代までは漁獲高の2割前後を占めていた。一方で下(げ)魚(ざかな)扱いされることも多かった。戦前には缶詰にもカツオのラベルをつける業者が後を絶たなかったそうだ

 ▲サバ缶がツナ缶に並ぶ人気商品になったのはこの10年だ。体によい不飽和脂肪酸を多く含み、健康志向にマッチした。ところが昨年来の歴史的不漁で原料が不足し、販売休止や4月1日からの値上げが相次いで発表された

 ▲漁獲量が激減したサンマをめぐる国際会議で漁獲枠の削減などが合意されたばかり。それでも資源回復の見通しはたたない。「次はサバ」では日本人の食生活もさみしくなる

 ▲サバは夏の季語だが、通年で取れる。随筆「若狭春鯖のなれずし」で福井県小浜市のサバを称賛したのは美食家の北大路魯山人(きたおおじ・ろさんじん)だ。「とても下魚とは思えないまでに上品な小味をもち、一度口にしたら忘れがたい風味をもつ美肴(びこう)」。何としても守りたい日本の味である。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【余録】  2023年03月29日  02:06:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

《社説①》:露のベラルーシ核配備 危機深める愚挙許されぬ

2023-03-31 02:02:50 | 【ロシア・北方領土・シベリア開発・サハリン石油天然ガス・ウクライナ侵攻犯罪】

《社説①》:露のベラルーシ核配備 危機深める愚挙許されぬ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①》:露のベラルーシ核配備 危機深める愚挙許されぬ

 核戦争のリスクを高めかねない愚かな行為だ。ウクライナ侵攻を続けるプーチン露大統領が隣国ベラルーシに戦術核兵器を配備すると表明した。

 ベラルーシはかつて、憲法で核兵器を配備しないと定めていた。プーチン氏に近いルカシェンコ大統領の主導で昨年2月、国民投票を実施しこの条項を削除した。

 ロシアは核兵器が搭載できる爆撃機を提供し、弾道ミサイル「イスカンデル」を配備している。7月1日までに戦術核の保管施設を完成させる方針だ。

 旧ソ連は冷戦期、ロシアのほかベラルーシ、ウクライナ、カザフスタンに核兵器を置いていた。1991年のソ連崩壊を受け、ロシアは96年までに国内に移した。

 国外への核兵器配備は27年ぶりとなる。北大西洋条約機構(NATO)や欧州連合(EU)が反発するのは当然だ。

 プーチン氏は米国がNATO加盟のドイツやイタリアなど欧州諸国に戦術核を配備している点を挙げ、自らを正当化している。

 だが、地域を不安定化させたのはロシアだ。ベラルーシへの核配備はNATOとの全面対決につながる恐れがある。

 プーチン氏は英国がウクライナに劣化ウラン弾を提供することへの対抗措置だとも説明する。

 劣化ウランは核兵器や核燃料を製造する過程で生じる放射性物質だ。鉄や鉛より重くて硬いため、貫通力の大きい砲弾が作れる。

 核兵器ではないが、国連環境計画(UNEP)は昨年、「がんのリスクを高める可能性がある」と指摘している。提供は慎重であるべきだ。

 ただ、通常兵器である劣化ウラン弾と大量破壊兵器を同列視する主張は受け入れられない。

 ロシアは核兵器による脅しをエスカレートさせ、米国との核軍縮の枠組み「新戦略兵器削減条約(新START)」の履行停止を表明したばかりだ。

 核拡散防止条約(NPT)は米露英仏中の5カ国に核兵器保有を認める一方、核の拡散防止と軍縮に取り組むことを義務付ける。

 プーチン氏は国際条約を順守し、ベラルーシへの核配備計画を撤回すべきだ。時計の針を冷戦時代に巻き戻すことは許されない。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2023年03月28日  02:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

《社説②》:米中対立下の日独関係 リスク最小化する連携を

2023-03-31 02:02:40 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

《社説②》:米中対立下の日独関係 リスク最小化する連携を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②》:米中対立下の日独関係 リスク最小化する連携を

 ウクライナ危機や米中対立など激動する国際情勢に対応するため、日本とドイツが経済や安全保障分野での協力のレベルを引き上げる。時宜にかなった判断だ。

 岸田文雄首相とドイツのショルツ首相が、外務・防衛・経済などの主要閣僚を交え、初めての政府間協議を東京で開いた。ドイツはインド、中国などとはこうした協議の場を持っているが、日本との間にはなかった。

 ショルツ氏は昨年4月、首相就任後初のアジア訪問先に日本を選んだ。今回は、2回目の来日となった。6人の閣僚や経済界代表を同行させたこととあわせ、関係強化への意欲の表れだろう。

 新型コロナウイルス禍とウクライナ危機は、サプライチェーン(供給網)の強靱(きょうじん)化や、エネルギー確保の重要性を再認識させた。

 米中は、半導体やレアアース(希土類)など戦略物資の流通を「武器化」して対立を激化させている。世界経済のデカップリング(分断)への懸念が広がる。

 日独協議の主な議題は、中国を念頭に置いた経済安全保障だ。

 ともにエネルギーの輸入依存度が高く、産業立国という共通点がある。

 両国にとって中国は最大の貿易相手国だが、重要物資を過度に依存することへの警戒感が強まっている。

 ショルツ氏は共同記者会見で「パートナー国との連携を拡大し、特定の地域や国への依存を軽減し、国内産業の強靱化を進めなければならない」と語った。

 電子機器の生産に不可欠なレアアースは、世界生産の6割を中国が占めるが、欧州は脱中国依存を図っている。ドイツは、レアアースの備蓄を進める日本のノウハウに関心があるという。

 近年は、安全保障分野でも外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)が開かれ、ドイツ海軍のフリゲート艦が日本に寄港するなど、協力が進んでいる。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2023年03月28日  02:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【余禄】:和歌山出身の博物学者、南方熊楠は…

2023-03-31 02:02:30 | 【経済・産業・企業・起業・関税・IT・ベンチャー・クラウドファンティング

【余禄】:和歌山出身の博物学者、南方熊楠は…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【余禄】:和歌山出身の博物学者、南方熊楠は…

 和歌山出身の博物学者、南方熊楠(みなかた・くまぐす)は19世紀末、キューバで日本の軽業師と出会い、親交を結んだ。江戸以来の曲芸や手品は世界的にも水準が高かったそうだ。幕末から明治にかけ、多くの日本人が海外に出てサーカスの巡業に参加した

 ▲日本初のパスポート(旅券)は1866年、第1号の手品師、隅田川浪五郎(すみだがわ・なみごろう)ら18人の曲芸一座に発給された。技に魅せられた米国人が米外交官を通じて幕府を動かしたらしい

 ▲翌年には浮世絵にも描かれた江戸のスター曲芸師、早竹虎吉(はやたけ・とらきち)一座が渡米した。アニメやマンガ、J―POPなど今では世界的に人気を集める日本発の大衆文化のはしりだろうか

 ▲コロナ禍で失われたのはインバウンドだけではない。日本人の海外旅行も激減した。コロナ前に年間450万以上あった旅券の発行数も昨年は136万余。出国数が2000万人の水準に戻るのは容易ではない

 ▲「そろそろ海外行こう」。大手旅行会社がテレビCMを流している。物価高や円安もあり、それどころではないという人も多いだろう。だが、内向き志向が定着しては活力が出ない

 ▲「日本人は日本の国境外に帰化し外国人となり果つるもかまわず」。国家の枠を超えて研究を深めた南方の若き日の言葉だ。そこまでの覚悟がなくても海外で見聞を広げることには意義がある。日本人の旅券取得率は17%で欧米よりかなり低い。オンライン申請も可能になった。この3年、海外に縁のなかった若い人たちはとりあえずパスポートを入手してみては。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【余録】  2023年03月28日  02:06:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【2023年03月29日 今日は?】:「集団的自衛権」を解禁する安全保障関連法が施行

2023-03-31 00:00:40 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

【2023年03月29日 今日は?】:「集団的自衛権」を解禁する安全保障関連法が施行

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【2023年03月29日 今日は?】:「集団的自衛権」を解禁する安全保障関連法が施行

 ◆3月29日=今日はどんな日

  「集団的自衛権」を解禁する安全保障関連法が施行(2016)

 ◆出来事

  ▼25歳以上の男子に選挙権を与える普通選挙法成立(1925)▼英国が欧州連合(EU)からの離脱をトゥスクEU大統領に正式通知(2017)

欧州議会のアントニオ・タイヤーニ議長と英国のテリーザ・メイ首相。2019年2月7日に行われた両者の会談・交渉後の写真。
ウェストミンスター宮殿(英国国会議事堂)前でBrexit関連のデモを行う英国市民ら(2016年11月)

 ◆誕生日

  ▼野沢直子(63年=タレント)▼西島秀俊(71年=俳優)▼篠原ともえ(79年=タレント)▼鈴木亮平(83年=俳優)▼里田まい(84年=タレント)▼深川麻衣(91年=女優)▼柏木ひなた(99年=タレント)▼江籠裕奈(00年=SKE48)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・今日は?】  2023年03月29日  00:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【総務省】:文書の放送法解釈変更は氷山の一角! 安倍官邸は同時期、あの手この手で言論弾圧 古舘、国谷、岸井が次々降板したのも…

2023-03-30 08:13:20 | 【新聞社・報道・テレビ・ラジオ・NHKの功罪・マスコミ・雑誌・著作権】

【総務省】:文書の放送法解釈変更は氷山の一角! 安倍官邸は同時期、あの手この手で言論弾圧 古舘、国谷、岸井が次々降板したのも…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【総務省】:文書の放送法解釈変更は氷山の一角! 安倍官邸は同時期、あの手この手で言論弾圧 古舘、国谷、岸井が次々降板したのも…

 ついに総務省が「行政文書」だと認めた、放送法の解釈変更をめぐる官邸側と総務省側のやりとりなどを記した内部文書問題。ところが、当時総務相だった高市早苗・経済安保担当相はこの期に及んでも「捏造だ」という主張を繰り返している。

 もはやこれは国家の危機と呼ぶほかない。官僚が作成した行政文書を大臣が「捏造」だと言い張ることは、この国の行政文書の信用・信頼性を当の大臣が根底から毀損しているからだ。そもそも文書が「捏造」なのだというのであれば、文書捏造の責任を負うのは当時の総務大臣で責任者である高市大臣にほかならないだろう。

総務省文書の放送法解釈変更は氷山の一角! 安倍官邸は同時期、あの手この手で言論弾圧古舘、国谷、岸井が次々降板したのも…の画像1

                    首相官邸HPより

 しかし、いま大きな問題にしなければならないのは、高市大臣の悪あがきではない。もちろん、「怪文書」「捏造」と啖呵を切ったことの責任を追及することは重要だが、本来、問題にすべきは、この内部文書に示されているように、安倍政権政権批判をおこなう“目障りな番組”を潰すために法を捻じ曲げさせていた、という民主主義の破壊行為のほうだろう。

 しかも重要なのは、この放送法の解釈変更へといたる過程と軌を一にして安倍政権による報道圧力は苛烈さを増し、さらに2015年の法解釈の変更と2016年の高市総務相による「停波」発言によって、安倍政権によるテレビメディア支配は行き着くところまで行ってしまったことだ。

 内部文書がつくられた前後にあたる2014年から2016年にかけて、安倍政権がいかに放送への介入や報道圧力を強め、テレビによる報道を歪めさせていったのか。この重要な事実をあらためて振り返っていこう。

 まず、大前提として触れておかなくてはならないのは、報道圧力は第二次安倍政権からはじまったものではなく、安倍晋三という人物がそもそも報道の自由の重要性についてまったく理解しておらず、平然と放送に介入・圧力をかけてきたということだ。

 それを象徴するのが、2001年に起こったNHK番組改変問題だろう。これは日本軍性奴隷制を裁く女性国際戦犯法廷を取り上げたETV特集『問われる戦時性暴力』に対し、内閣官房副長官だった安倍氏と自民党の中川昭一衆院議員(故人)のふたりが放送直前に政治的な圧力をかけ、その結果、番組が改変されたという事件だが、このとき安倍氏は「勘ぐれ、お前」という直接的ではない脅し文句で圧力をかけてきたことを、当時面会したNHK放送総局長が証言している。

 当然、自身が首相となった第一次政権では、虚偽報道などを理由とした放送法に基づく番組内容への「行政指導」を乱発。メディア論が専門の砂川浩慶・立教大学教授の『安倍官邸とテレビ』(集英社新書)によると、1985年から2015年までの30年間で行政指導がおこなわれた件数は36件だったが、そのうち7件は第一次安倍政権(2006年9月〜2007年9月)のたった約1年のあいだにおこなわれたものだった(ちなみに民主党政権下では一件も行政指導はおこなわれていない)。7件の行政指導がおこなわれた際の総務相は、菅義偉だ。

 日本テレビのディレクターとしてメディアの最前線に身を置いていた水島宏明・上智大学教授は、第一次安倍政権下の2007年ごろ、ある民放キー局の経営者から「やつらは本当にやばい」「一線を越えて手を突っ込んでくる」と聞かされたという(「Journalism」2015年10月号/朝日新聞出版)。この「やつら」とは無論、安倍氏と菅氏のことだ。「やばいやつら」が政権に返り咲き、首相と官房長官としてタッグを組んだのが、第二次安倍政権だったのである。

 ◆フジ・日枝、テレ朝・早河、日テレ・大久保らテレビ幹部と会食を繰り返した安倍首相

 しかし、ここで指摘しておきたいのは、第二次安倍政権においておこなわれたメディア対策は、報道に目を光らせて圧力を強めただけではなかった、ということだ。

 たとえば、安倍首相は総理就任後から、フジテレビ日枝久会長やテレビ朝日早河洋社長、日本テレビの大久保好男社長(肩書はすべて当時)といったテレビ局幹部との会食に繰り出すようになったが、その一方で目立ちはじめたのが、情報バラエティ番組への露出だった。

 実際、2013年1月には「安倍晋三総理誕生SP」と題した『たかじんのそこまで言って委員会』(読売テレビ)に出演。同年4月には『スッキリ!!』(日本テレビ)に約40分間も生出演し、このとき安倍首相は自分から同番組に出演したいと希望したことを明かしたり、海外ドラマの『24』を全部観たと明かすなど、番組は終始なごやかムード。同番組は翌日にも「安倍首相本当にスタジオに来てくれちゃいましたSP」と題し、VTRで安倍首相特集を組んだほどだった。また、同月には『情報7daysニュースキャスター』(TBS)の独占インタビューも放送されたが、そのコーナータイトルも「安倍政権100日 好調のウラに極秘手帳」というものだった。

 くだんの内部文書でも、当時安倍官邸で広報担当の首相秘書官を務めていた山田真貴子氏が、ひとつの番組でも政治的公平かどうかを判断することを可能にしようとする礒崎陽輔首相補佐官の動きに反発する際、「総理はよくテレビに取り上げてもらっており、せっかく上手くいっているものを民主党の岡田代表の時間が足りない等言い出したら困る」と発言していたことが記されている。この発言からもわかるように、安倍首相を好意的に扱う番組にどんどん露出するというのが安倍官邸のメディア対策でもあったのだ。

 逆に、安倍政権に批判をおこなう番組は邪魔なものであり、圧力をかける対象となった。安倍政権が最初に表立って報道圧力のターゲットにしたのは、『NEWS23』(TBS)だ。

 礒崎首相補佐官が『サンデーモーニング』を目の敵にして総務省放送法の解釈変更を要求しはじめるのと同じ2014年11月、自民党は安倍首相が街頭インタビューVTRに逆ギレした『NEWS23』生出演後、自民党筆頭副幹事長だった萩生田光一・現政調会長らが差出人となって在京テレビキー局の編成局長、報道局長宛てに「選挙時期における報道の公平中立ならびに公正の確保についてのお願い」と題した“報道圧力文書”を送りつけている。だが、じつはこの前年の2013年にも、萩生田氏が中心となって『NEWS23』に圧力をかける事件が起こっている。

 ◆『NEWS23』に安倍首相が激怒 取材拒否、恫喝文書で手下の萩生田光一が圧力を

 問題となったのは、第二次安倍政権にとって最初の国会が最終日を迎えた2013年6月26日放送回。この日の『NEWS23』では、安倍首相に対する問責決議のために電気事業法改正案など重要法案が廃案になったことを伝えたのだが、このとき番組では、民間団体「自然エネルギー財団」ディレクターの大林ミカ氏による「政争の道具にされていますよね。(与党は)もしかしたら法案を通す気がなかった」という談話を放送。番組終盤では、岸井成格キャスターが「十分な議論がないまま、最後に問責(決議)で不信任でやっていいですかと一番言いたい」と批判した(毎日新聞2013年7月29日付)。

 ご覧のとおり、キャスターの岸井氏は与野党ともに批判していたわけだが、自民党は大林氏のコメントを標的にし、翌27日、「番組内容の構成は著しく公正を欠いている」としてTBSに抗議。毎日新聞の取材に応えた萩生田氏は「参院選を前に、(党内で)マイナスのイメージを受けることにはきちんと物を申そうと決めていた」と語り、〈番組の放送翌日からプロデューサーや報道部長らと連日会って「ハードなネゴ(交渉)」を続けた〉。しかし、6月末の番組内での訂正放送をおこなうことを要求するもTBSが拒否したため、参院選公示日だった7月4日、安倍首相や石破茂幹事長など党幹部の取材を拒否すると発表したのだ。

「自民党は法案を通す気がなかったのでは」というだけのコメントに対し、「番組で訂正しなければ選挙取材をさせないぞ」と恫喝する──。もはや常軌を逸しているとしか思えないが、このとき自民党が恫喝に動いた理由は、もちろん安倍首相にある。TBS幹部は「安倍さんはよほど怒っていたようだ」と語り、萩生田氏も「決着がつかないなら、TBSに出なくてもいい」と安倍首相が述べ、党の判断を支持したと明かしている。

 安倍首相が『NEWS23』を目の敵にしていたのは、キャスターの岸井氏が父・晋太郎の番記者を務めていた過去があり、父とも関係も深い「保守派」の人物だと認識していたにもかかわらず政権批判を厭わない岸井氏の姿勢に激怒していたとも言われているが、この恫喝の結果、7月5日にTBSの西野智彦報道局長が自民党を訪れ、「指摘を重く受け止める」とする文書を提出。その日の夜、安倍首相は生出演した『プライムニュース』(BSフジ)で「事実上の謝罪をしてもらったので問題は決着した」と発言し、取材拒否の解除となったのだ(TBSは「訂正・謝罪はしていない」とコメント)。

 この2013年に起こった一件を見ても、安倍首相が『NEWS23』を敵視していたこと、実働部隊として萩生田氏が現場への圧力に動いていたことがわかる。そして2014年11月20日、『NEWS23』での街頭インタビューVTRに生出演中の安倍首相が逆ギレし、萩生田氏が在京テレビキー局に恫喝文書を叩きつけた。かたや、安倍首相の片腕だった礒崎首相補佐官は11月26日、総務省に「ひとつの番組だけで政治的公平かどうかを判断できる」ように放送法の解釈変更を迫りはじめたのである。

 しかも、礒崎氏が動きはじめたのと同じ11月26日、自民党は『報道ステーション』(テレビ朝日)のアベノミクスにかんする放送に対しても注意文書を送付している。つまり、安倍自民党および安倍政権が、とりわけTBSの『NEWS23』と『サンデーモーニング』、テレ朝の『報道ステーション』という個別の番組を狙い撃ちして、圧力を強めようとしていたことがわかるだろう。

 ◆『報道ステーション』『クローズアップ現代』幹部を呼び出し“停波”をちらつかせ恫喝

 そして、このあと安倍政権による個別番組を狙い撃ちした圧力は、どんどん強まっていく。

 翌2015年1月、『報道ステーション』の不定期コメンテーターだった古賀茂明氏が、「イスラム国」による邦人人質事件について、安倍首相の外交姿勢を毅然と批判。「I am not ABE”(私は安倍じゃない)というプラカードを掲げて、『日本人は違いますよ』ということを、しっかり言っていく必要がある」と発言した。

 これに官邸が大激怒し、当時、菅官房長官秘書官を務めていた中村格・前警察庁長官が番組放送中から番組編集長に電話をかけまくり、出なかったため、今度はショートメールで猛抗議。その内容は「古賀は万死に値する」というものだったという。この一件により古賀氏の3月末での番組降板、さらに安倍政権に限らず歴代与党からの圧力にも臆することなく『報ステ』のジャーナリズム路線を支えてきた番組統括の女性チーフプロデューサーの更迭、キャスターの古舘伊知郎と絶妙なコンビネーションワークで視聴者に人気のあったコメンテーターの恵村順一郎氏(朝日新聞論説委員)の降板が決まった。

 だが、直接的な官邸の番組介入に古賀氏は黙らなかった。最後の出演回となった2015年3月27日の放送で、古賀氏は「菅官房長官をはじめとして官邸のみなさんからものすごいバッシングを受けてきた」と発言したのだ。

 この発言が火に油を注ぎ、菅官房長官は「事実無根」「放送法がある以上、事実に反する放送をしちゃいけない」と批判。さらに自民党を使って実力行使に出る。同年4月17日、自民党の「情報通信戦略調査会」がNHKテレビ朝日の経営幹部を呼びつけて事情聴取を実施。NHKは『クローズアップ現代』が放送した「追跡“出家詐欺”~狙われる宗教法人~」でやらせ疑惑が発覚した問題、テレ朝は『報ステ』における古賀発言を問題にしたかたちで事情聴取はおこなわれたのだが、聴取のあと、川崎二郎・同調査会会長は「政府は停波の権限まである」と発言したのだ。

 政権党が個別番組に介入し、幹部を呼びつけた挙げ句、停波までちらつかせる──。安保法制国会提出を控え、安倍政権が放送局に対して睨みをきかせるべく、本格的に暴走をはじめた時期ともいえるだろう。

 しかも、その手口は個別番組に介入するだけではなかった。

 たとえば、前述した2014年11月に自民党の萩生田氏らが差出人となり在京テレビキー局の編成局長、報道局長宛てに送りつけた“報道圧力文書”だが、このとき自民党はNHKと在京テレビキー局の官邸記者クラブのキャップを党本部に呼びつけたうえで恫喝文書を示したという。また、2013年の『NEWS23』への抗議の際も、他局の報道内容をチェックして〈TBS以外の局にも口頭で抗議〉していたという(前出・毎日新聞)。

 こうした直接、政治部記者を呼びつけたり、どやしつけることの効果は絶大なものだったと想像に難くない。目を付けられることでネタをもらえず、自社だけが“特オチ”するのではないかという不安に駆られた政治部の記者たちが、社内の報道に横やりを入れるという「忖度」の構造は、こうして蔓延していったのだ。

 ◆高市“放送法解釈変更”答弁から数カ月で『クロ現』国谷、『報ステ』古舘、『NEWS23』岸井が一斉に降板

 そして、安倍官邸によるメディア圧力の総仕上げとして飛び出したのが、今回問題となっている放送法の解釈変更だった。安倍首相によるお墨付きを得たかたちで2015年5月12日、高市総務相によって「一つの番組のみでも極端な場合は一般論として政治的に公平であることを確保していると認められない」という放送法の解釈を変更する答弁がおこなわれたのだ。

 このあとの報道の自由の崩壊、ジャーナリズムの弱体化は、まさにあっという間だった。

 まず、安保法制国会審議がスタートして以降、安倍首相のメディア対応は露骨さを極めた。集団的自衛権を火事にたとえ、煙が生肉にしか見えない模型で自ら解説した『みんなのニュース』(フジテレビ)や、国会開会中に大阪入りしてまで出演した『情報ライブ ミヤネ屋』『そこまで言って委員会NP』(ともに読売テレビ)など、安倍首相のテレビ出演はフジテレビ系や日本テレビ系、NHKに集中。TBSとテレ朝、テレビ東京の番組に出演することはなかった。つまり、厳しい指摘や批判が予想される番組には出ず、自分の主張を垂れ流してくれる番組を選別し、出演したのだ。

 一方、『報ステ』や『NEWS23』は安保法制の報道で気概を見せたが、当然、安倍政権はそれを見逃さなかった。同年9月には自民党の「放送法の改正に関する小委員会」の佐藤勉委員長が、テレビの安保法制の報道をやり玉にあげて「公平・公正・中立は壊れた。放送法も改正したほうがいい」と恫喝発言。

 さらに、同年11月には、小川榮太郎氏やすぎやまこういち氏、ケント・ギルバート氏らといった「安倍応援団」によって設立された「放送法遵守を求める視聴者の会」が、産経新聞読売新聞に全面の意見広告を掲載。その内容は、放送法を曲解し、『NEWS23』とキャスターの岸井氏を攻撃するものだった。

 「視聴者の会」は初代事務局長の小川氏をはじめ、下野時代から安倍氏と密接な関係を持って応援してきた、極めて安倍首相に近いメンバーで構成されていた。同時に日本会議系人脈の多さや接点も指摘されていた。そんな団体が、特定の番組とキャスターを攻撃するために、数千万円はかかると見られる全面意見広告を出す──。その動きは、もはや安倍政権の別働隊といえるものだった。

 このとき、「視聴者の会」はTBSと岸井氏、さらには総務省にまで公開質問状を送りつけたといわれ、この「視聴者の会」の動きにTBS幹部は真っ青。その結果、同月中に一気に岸井氏の番組降板は決まったといわれている。

 しかも、翌12月には『報ステ』の古舘キャスターの降板が、年が明けて2016年1月には、2014年に菅官房長官に厳しく質問を浴びせたことで官邸を激怒させた『クロ現』の国谷裕子キャスターの降板が発表。岸井、古舘、国谷という安倍政権に睨まれつづけてきたキャスターが、3月末をもって一斉にそれぞれの番組から消えることが決定したのである。

 ◆安倍政権で完成した政権による言論支配はいまも…総務省文書問題も他人事報道

 いま振り返ってみても異常事態としか言いようがなく、陰に陽に繰り広げられてきた安倍政権による報道圧力がいかに苛烈なものであったかは、2016年春に起こった各局を代表するキャスター一斉降板劇からも明らかだろう。そして、こうしたキャスターを降板に追いやることに成功し、図に乗っていた安倍政権から飛び出したのが、2016年2月の、高市総務相による「停波」発言だったのである。

 しかし、「停波」をちらつかせずとも、このときすでにテレビ局の“現場”はすっかり骨抜きになっていた。実際、同年2月29日に田原総一朗氏や岸井氏、金平茂紀氏、青木理氏などテレビ業界に身を置くジャーナリストらが「停波」発言に対する抗議声明を発表し記者会見をおこなったが、この会見で読み上げられたテレビ局関係者の声は、あまりに生々しいものだった。

「気付けば、街録で政権と同じ考えを話してくれる人を、何時間でもかけて探しまくって放送している。気付けば、政権批判の強い評論家を出演させなくなっている」
「私たちは今までどおり自由に企画を提案しても、通らないことが多くなったり、作ったものに対しても直しを求められることが増え、それがいつの間にか普通になり、気付けば自由な発想がなくなってきているような状況だ。以前のように政策をチェックし、批判すべき点を批判するということが明らかにできていない。おかしいことをおかしいとは言えない閉塞感が漂っている。若い新入社員などはそれをおかしいとは思わず、これを基準に育っている」

 第二次安倍政権発足時から繰り返されてきた、放送法を曲解・悪用した公権力による報道圧力は、こうして時を経るごとにますます具体化されていった。それはいまも変わらないどころか、さらにひどくなっている。政治にかんする報道はめっきり減り、報道・情報番組では政権の代弁者めいた評論家や御用ジャーナリストばかりが重宝され、批判的報道も必ず政権の言い分を同程度垂れ流すなど、完全に腰砕け。ワイドショーなどでは問題政策や政権不祥事がまともに報じられることなくスルーされることも多い。政権が何も言わなくとも勝手に忖度し、自主規制に走るという言論統制体制が完成してしまったのである。

 しかも、それは今回の内部文書問題でも露呈している。安倍首相の側近による要求によって、放送法の解釈が捻じ曲げられるというとんでもない過程が記された重大文書が出てきたというのに、当初、NHKの『ニュース7』『ニュースウオッチ9』がこの問題を無視。民放各局も、総務省が「行政文書」と認めるまで、詳しく触れようとしなかった。

 安倍政権下で失われてしまった「権力監視」という役割を、テレビは取り戻せるのか。いや、取り戻すためには、このように安倍政権下で繰り広げられた放送法の曲解・悪用や報道圧力を自ら検証し、政治介入を許さないという大原則を確認する必要がある。そのためにも、今回の内部文書問題を、テレビこそが徹底追及しなければならない。(編集部

 元稿:LITERA・リテラ(本と雑誌の知を再発見) 主要ニュース 社会 【マスコミ・総務省が「行政文書」だと認めた、放送法の解釈変更をめぐる官邸側と総務省側のやりとりなどを記した内部文書問題】  2023年03月10日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【ニュースの裏側】:「行政文書」流出問題 「内容は捏造」と断じた高市早苗氏の真意は 感じ取った〝悪意〟と信頼する部下たちへの確信

2023-03-30 07:45:50 | 【公文書・国民の知る権利・国民共有の知的資源・情報公開・権力者による隠ぺい】

【ニュースの裏側】:「行政文書」流出問題 「内容は捏造」と断じた高市早苗氏の真意は 感じ取った〝悪意〟と信頼する部下たちへの確信

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【ニュースの裏側】:「行政文書」流出問題 「内容は捏造」と断じた高市早苗氏の真意は 感じ取った〝悪意〟と信頼する部下たちへの確信 

 いつになれば決着がつくのか―。放送法の「政治的公平」の解釈に関する総務省「行政文書」が流出した問題で、一部野党による高市早苗経済安全保障担当大臣への〝攻撃〟が続いている。

高市早苗経済安全保障担当大臣

 78ページの文書は、立憲民主党の小西洋之参院議員が2日、「総務省の元同僚からもらった」として公開した。その後、総務省も内部で作成された覚書やメモなどの「行政文書」だと認めた。

 内容には安倍晋三政権当時の2014~15年、官邸側と総務省が放送法について協議した経緯とされる記述が含まれる。だが、その信頼性には疑義が深まっている。

 総務省は22日、高市氏に関わる記述がある4つの文書について、「内容についての正確性は確認できなかった」とする精査結果を公表した。

 また、流出文書は公文書管理法に基づく「行政文書ファイル管理簿」に記載されていなかった。管理簿は各省が公開し、情報公開請求などで「国民が知る権利」を担保する。つまり、国民の目に触れない状態で不適切管理されていたのだ。

 一部野党は執拗(しつよう)に、高市氏の辞任を求めている。

 一つの理由は、高市氏が、自身が登場する「4文書」を「(内容が)捏造(ねつぞう)だ」と主張しているからだ。高市氏はなぜ、そう断じたのか。

 捏造とは「実際はなかったことを、わざと事実であったかのように仕立てあげること」だ。そうした文書には、往々にして捏造した人物の〝悪意〟が込められる。高市氏は、その思いを感じ取ったのかもしれない。 

 確かに、文書には奇妙な点が散見される。例えば、15年3月9日付の「高市大臣と(安倍)総理の電話会談の結果」というメモは、作成者も配布先も不明で不可解だ。

 高市氏は「(電話を)盗聴でもしていたのか」と疑問を呈したが、彼女の秘密保持は 徹底している。ハッキングによる映像流出を警戒し、日ごろから、自身の携帯やパソコンのカメラにシールを貼るなど情報管理に神経をとがらせているのだ。

 安倍氏との通話を盗聴された恐れがあり、記憶のない会話がメモに残された―。高市氏は驚愕(きょうがく)したはずだ。

 筆者が知る限り、総務相だった当時の高市氏と、秘書官の関係は非常に良好で信頼があった。衆院議員会館の高市事務所には、秘書官たちとの記念写真が大切に飾られている。

一部野党が「捏造でないなら議員や大臣を辞めるのか」と攻め込むと、高市氏は「結構ですよ」と応じた。自身や元秘書官から情報が洩れるはずなどない。高市氏には、部下たちへのそんな確信があったのだろう。

 2月28日に衆院を通過した新年度予算案は、月内の自然成立が確実だ。だが、国内外の情勢が目まぐるしく動くなか、高市氏の追及を漫然と続けるようでは、参院の〝怠慢〟と批判されかねない。

 一部野党は当初、流出文書が「放送法の解釈を事実上変更し番組に圧力をかけた」証拠などと主張した。野党はこれを即刻、立証し、決着をつける責務がある。(政治ジャーナリスト・安積明子)

 元稿:夕刊フジ ZaKzaK 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース・連載「ニュースの裏側」・担当:安積明子 政治ジャーナリスト】  2023年03月29日  06:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【放送法文書問題】:一部野党の「政治問題化こそ危険」北村晴男弁護士が迫る 「高市氏を潰そうとする意図は非常に恐ろしい」

2023-03-30 07:45:40 | 【新聞社・報道・テレビ・ラジオ・NHKの功罪・マスコミ・雑誌・著作権】

【放送法文書問題】:一部野党の「政治問題化こそ危険」北村晴男弁護士が迫る 「高市氏を潰そうとする意図は非常に恐ろしい」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【放送法文書問題】:一部野党の「政治問題化こそ危険」北村晴男弁護士が迫る 「高市氏を潰そうとする意図は非常に恐ろしい」 

 放送法の「政治的公平」の解釈に関する総務省「行政文書」が流出した問題で、高市早苗経済安全保障担当相は「(内容が)捏造(ねつぞう)だ」と主張するが、一部野党は辞任要求を続けている。政治・社会問題など、幅広い提言で知られる北村晴男弁護士は「正確性の担保を著しく欠いた文書を使い、政治問題化することこそ危険だ」と警鐘を鳴らした。

北村弁護士は、国会の現状にも危機感を持っている

 問題の文書(78ページ)は、安倍晋三政権当時の2014~15年、官邸側と総務省が放送法について協議した経緯とされる。一部野党は「放送法の解釈を事実上変更し、番組に圧力をかける目的があった」などと批判している。

 だが、文書すべてが「行政文書ファイル管理簿」に記載されないなど、不適切管理が判明している。高市氏が登場する4枚についても、3枚が「作成者」「配布先」が不明で、4枚とも「作成目的」が不明だ。

 北村氏はまず、「正確性を担保するための手続きが皆無に等しい。作成者が未記載なうえ、当事者による『回覧』と『確認』も経ていない。民間でも、当事者間の紛争を想定して議事録をつくる。その正確性を担保するには、当事者全員が閲覧し、正確性を確認したうえで保存するのが大原則だ。行政文書でありながら正確性を担保していないのは驚きだ」と述べる。

 では、どう〝白黒〟つけるべきか。国会での証人喚問や、文書を漏洩(ろうえい)した国家公務員法違反や公文書偽造の容疑での捜査を求める声もある。 

 北村氏は「内容の真偽を究明するならば、検察官や弁護士、一般の国民を含めた第三者委員会のような組織が、当事者全員に事実関係をただすかたちが考えられる。だが、これらの文書は、いずれも、国会が真実性を究明すべき価値を有するような代物ではない」と述べて、一部野党の問題提起にも疑問を指摘する。

 「この文書は、総務省内で放送法の解釈を議論した内容とされるが、松本剛明総務相は『放送行政を変えたと認識していない』と語っており、現実として解釈は何も変わっていない。そもそも、法解釈を検討する場合、さまざまな考え方を念頭に議論するのは当然だ。重要なのは議論の結果、どのような結論に達したか、である。今回の騒動は、むしろ、ざっくばらんな議論の途中に出てきた話の『極めて不正確』な言葉尻をとらえ、政治問題化しようとするもので、危険極まりない」

 管理簿に掲載しない行政文書が存在することは、「国民の知る権利」を侵害するものであるという一般論はその通りだ。しかし、そもそも本件のような、極めて「いい加減な文書」が行政文書と位置づけられていることの方が問題だ。

 北村氏は、今回の騒動を総括した。

 「問題の本質が、国会で議論されず、報道もされない現実に改めて驚いた。不正確な行政文書と印象操作によって、高市氏を政治的に潰そうとする意図まで感じる。この現実は非常に恐ろしい。マスコミは本来、この重大な事実を報じ、国民も知るべきだ」

 元稿:夕刊フジ ZaKzaK 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース・放送法の「政治的公平」の解釈に関する総務省「行政文書」が流出した問題】  2023年03月29日  06:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする