「大阪維新の会」は船中八策の主な項目を発表したようだ。そこで検討してみた。
維新の会、TPP参加公約に…橋下氏が骨格表明
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120211-OYT1T00020.htm
維新の会:公約に首相公選制 首長と国会議員兼職も
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20120211k0000m010131000c.html
「毎日」に掲載されていた「大阪維新の会が検討している政権公約の主な項目」は以下のとおりだ。
「大阪都構想」の実現、道州制の実現、首相公選制の導入、首長と国会議員の兼務容認、参院の廃止、地方交付税制度の廃止、掛け捨て型の新年金制度の導入、資産課税の強化、教育・職員基本条例案の法制化、自治体が教育委員会制度を廃止を、選択できる制度の導入、国民皆確定申告制度の導入、日米同盟を基軸とした外交、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉に参加
これは憲法改悪が前提だな。
今ある制度の機能不全現象に対する国民の不満を共産党も含めた「既成政党」の悪政が原因と煽り、「大阪維新の会」という投網で一網打尽という手法だな。メディアを使ってだ。
ヤンチャ坊主の狙いは、ズバリ首相だ。「公職選挙法などで禁じられている首長と国会議員の兼職を容認することも検討している」というが、次の総選挙には、一応出ないと表明している手前、当面は部下を国会に送り込むこと、そうしてその後に憲法を変えて首相になる策を弄している。見え見えだ。そのためにはマスコミ受けする策をちりばめ続けていく必要がある。国民の不満を解決するかのような幻想を振り撒いていくという手法だ。
以下の記事を見る限り部下を当選させるためのパフォーマンスは、今のところ成功している。
維新政治塾:2750人が応募 元国会議員や弁護士も
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20120211k0000e010176000c.html
応募者には元国会議員、地方議員、弁護士なども。維新代表の橋下徹市長は「ここまでとは思っていなかった。今の政治はだめだ、それなら自分で、と思っている方がいて心強い。でも、船中八策を出したら、ぱあっと引いていきますよ。そんな案には乗れないという人がいっぱい出てくるはず」と述べた。・・・ただし出馬は「自己負担」が原則。一般的には衆院小選挙区の場合、2000万円を超える選挙費用がかかるが、維新幹部は「工夫次第で安上がりにできる」と自信を見せる。
だが、この現象は、細川政権の時の「日本新党」現象、政権交代前の民主党現象に似ている。政権交代が起こった一年前の東京都議選のとき、告示一週間前に立候補した候補者が「民主党」公認候補というだけで当選してしまった現象だ。昨年のいっせい地方選挙で「維新の会」と名乗るだけで当選した市議や府議の事例も同じだ。
細川新党である日本新党、「国民の生活が第一」と掲げ、自民党への不満を「民主党」というコピーの投網で、票をかっさらっていったことと同じだ。
今マスコミは、共産党を含めて自公・民主を「既成政党」に押し込め、「新」を装う「大阪維新の会」をヨイショしている。これには歴史がある。60年代に「新左翼」現象をつくったという前歴というか、前科だ。あの時は警察権力も加担した。中曽根元首相は「新左翼」を「泳がせておけ」と言った。今回も全く同じだな。構図は。
だが、「大阪維新の会」の基本的スタンスは自民党政治の枠内だ。憲法の基づく自主自立外交路線は、想定外だ。
維新の会、TPP参加公約に…橋下氏が骨格表明
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120211-OYT1T00020.htm
「(TPPには)基本的には参加だ。ヒト・モノ・カネの移動は国境を意識せず、日本の外から付加価値を取り込む」と述べた。農家などの反発については、「一部の人は痛みを伴うかもしれないが、将来的には必ずプラスになる」と語った。
安保政策については、「日本は自主自立の防衛力を持たない。(米国に)頼らざるを得ないのが現実だ」と述べ、日米同盟を基軸とする外交を支持する考えを示した。一方、米軍普天間飛行場移設など沖縄県の基地問題については、「個人的には考えがある」としたが、党内論議を深めるとして明言は避けた。
また「既成政党」路線との連携はいつも付きまとう。以下の動きを見れば明瞭だ。
東京・大阪・小沢氏と連携 大村知事が「小沢政治塾」で講演
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120211/stt12021119100003-n1.htm
「3大都市圏の自立・独立のために活動していきたい」と東京都の石原慎太郎知事や橋下徹大阪市長率いる「大阪維新の会」と連携して地方分権を推し進める考えを示した。
大村氏はまた、「徹底した地方分権は小沢氏も賛成なので、連携していきたい」と話した。講演後の記者会見では、自らの国政進出は否定した上で「国政選挙では大都市の自立・独立を応援してくれる人を応援したい」と強調した。大村氏は次期衆院選の独自候補擁立のため4月に「東海大志塾」を設立する予定。大村氏は小沢氏と親交があり、上京する際に頻繁に会談している。
元自民党議員の大村秀章と民主党元代表の「小沢政治塾」の連携、まだまだ腹黒い連携は水面下でたくさんあるだろう。小沢・森の政界再編劇もあったし、恐らく小沢・石原連携もあるかもしれない。峠を越えるまで頂上が見えないことはいくらでもあるからだ。
橋下氏が頼り…「みんな」も「石原新党」も
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120129-OYT1T00113.htm
「維新の会と我々はアジェンダ(政策課題)が同じ。だったら一緒に行動するのは当たり前だ。つぶし合いをする必要は全くない」
28日、都内のホテルで開かれたみんなの党の党大会で、渡辺代表は橋下氏が率いる地域政党「大阪維新の会」に連携を呼び掛けた。
同党は党大会で、維新の会との「蜜月ぶり」を盛んにアピールした。採択した2012年の運動方針では「他の政党や政治団体とは、党の『アジェンダ』が一致する範囲で連携、協力していく」と明記。来賓には橋下氏のブレーンで大阪市特別顧問も務める作家の堺屋太一氏を招いた。
【石原新党】基本政策判明「皇室は男系男子」「国軍保持」
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120203/stt12020312050001-n1.htm
現況の政治不信をスリカエテいくためには、常に「新」という餌を撒いていくしかない。マスコミがそれを追いかけ、幻想を振り撒くのだ。
自民はダメ、民主に期待して政権交代というカードを与えたが、自民党になってしまった。
消費税でも普天間でも、だ。これらは皆アメリカと財界の意向を代弁することを意味している。小沢元代表は、「国民の生活が第一」とのスタンスから消費税増税には反対しているが、大村や橋下の動きとの連携も視野に入れているのだから、「国民の生活が第一」の看板の中味は知れたものだ。
スタートは谷垣氏の地元 岡田氏が地方行脚、一体改革訴え
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120211/plc12021119120008-n1.htm
岡田氏は「一体改革の中身は今の野党が与党の時に作ったものとあまり変わっていない。だから賛成してほしい」と野党側に協力を要請。その一方で「お互いちゃんと合意を作り上げ、『日本の政治は成熟している』と国民に感じてもらえる政治をやらなければならない」と譲歩も求めた。講演後、岡田氏は記者団に、今回の講演を「谷垣総裁率いる自民党へのメッセージだ」と強調。
以上の事実だけでも、アメリカと財界政治の枠内の野合の、いわゆる「オール与党」内の政局優先政治ということが判る。これこそが国民との対決を必然足らしめているのだ。彼らの政治は、国民にアメを与えながら、「痛み」というムチも与える。だが、その「痛み」が、真に実感させられた時、変革は起こるのだ。だからこそ、必死なのだ。
それに対抗して、共産党はどうか。イマイチメッセージ性が弱い。
自民も民主もダメ、なら共産党に、という風になるようにするためには、どうすればよいのか、だ。
今必要なことは、自公政権はダメだったし、民主もダメだった。ではみんなの党の政権か?大阪維新の会の政権か?或いは野合政権か?
こういう選択肢が国民の前に出されている時、共産党はどういう政権構想を提示できるか、だ。「日本改革」というコピーがあった90年代後半に820万人もの支持を獲得した。今その人たちの支持を再度獲得することができるか、そのことが、今問われている。成功しなければ、小泉旋風と同じことになる。
目の前の右往左往の政局にウンザリ顔の民数々あり
いつの世も不平不満をエナジーに大きな皿に美味なる味を