宜野湾市長選でイハ元市長が惜敗した。900票差だった。そこで敗因を考えてみた。次の選挙で勝つためだ。
まず第一に、イハさんというか、宜野湾市における革新側の票の出方を調べてみた。
市長選 H15年04月 55.54 イハ 洋一 17,583 アシトミ 修 16,873
知事選 H18年11月 64.07 糸数 けいこ 20,138 仲井間 弘多 21,944
知事選 H22年11月 66.99 イハ 洋一 24,010 仲井間 弘多 21,412
市長選 H22年11月 67.13 安里 タケシ 23,598 アシトミ 修 21,742
市長選 H24年02月 63.90 イハ 洋一 21,712 佐喜間 アツシ 22,612
イハさんが、2298人の支持を失い、佐喜間さんが、840人の支持を増やしたのは何故か、だ。特にイハさんの失った支持の数と、佐喜間さんが増やした支持の数の違いだ。注目しなければならないのは。
そこで、敗因の第一には、楽観的ムードがあったのではないかということだ。前回の県知事選挙と市長選、沖縄防衛局長の選挙干渉問題にみるように、イハさんにとっては勝てる選挙だった。そのことは、以下の記事をみると裏付けられるような気がする。
・沖縄タイムス社は3、4の両日、宜野湾市内の有権者を対象に、電話による情勢調査を実施した。元職の伊波洋一氏(60)=社民、共産、社大推薦=が先行し、前県議で新人の佐喜真淳氏(47)=自民、公明、新党改革推薦=が追う展開となっている。(沖縄タイムス 7日09時53分)
・市の中心部にある米軍普天間飛行場の移設問題への対応が焦点。移設問題で、両氏はともに「県外移設」を主張するが、かつて名護市辺野古への県内移設を容認した佐喜真氏に対し、伊波氏は強硬な反基地派。(共同・東京11日18時11分)
・市中心部にある普天間飛行場への対応が焦点だったが、継続的な普天間使用への懸念から、移設問題に比較的柔軟な保守派を市民が後押しした格好だ。(共同・東京12日22時58分)
・稲嶺市長は「まったく予想もしていなかった。これまでの流れからして、普天間の政策についても、協力して一緒にやれるもんだとばかり思っていた。まさかこのようになるとは夢にも思っていなかった」と述べた。(沖縄タイムス 13日09時47分)
・午後8時すぎ、伊波陣営には予想外の接戦が伝えられていた。集まった支援者や議員も一様に硬い表情。開票速報では途中までリードしていたが、わずかな差に、拍手の力は弱かった。(沖縄タイムス 13日10時33分)
・落選した元市長・伊波洋一さん(60)は、講話問題が追い風になるとの見方もあったことから、「陣営に若干の油断があった」と語った。(読売新聞13日15時18分)
・講話問題で苦戦が予想されていたため、12日午後10時過ぎ、事務所のテレビ画面に当選確実が流れると、支持者らは「やったー」と一斉に喜びを爆発させた。佐喜真さんは、カチャーシー(沖縄独特の手踊り)で喜びを分かち合った。(読売新聞13日15時19分)
敗因の第二には、普天間基地の「移設」の捉え方、訴え方に微妙な、というか、自民党側の選挙のたたかい方の美味さと革新側の油断、マンネリがあったということだ。
・2010年の知事選、今回の市長選で仲井真氏、佐喜真氏はどちらも米軍普天間飛行場の「県外移設」を掲げて当選した。普天間移設問題で革新側と足並みをそろえ、経済や福祉、教育分野で独自性を主張するという選挙スタイルが今後も定着するだろう。・・・看板政策の基地問題で保守陣営との差別化を図ることが難しくなっており、有権者を引きつける公約の内容や、訴える手法を見直す必要に迫られる。(沖縄タイムス13日 10時22分)
・初当選したさきまあつし氏は13日、普天間の固定化阻止や県外移設に向け、政府と積極的に交渉する姿勢を打ち出した。県外、国外を訴え、政府との対決姿勢を強調した元市長のいは洋一氏と主張は似通ったが、移設問題解決に向けた手法の違いが際立った。・・・沖縄国際大の佐藤学教授(政治学)は、伊波氏の敗因を「知事や佐喜真氏が選挙で県外を主張したため、伊波氏は違いを出すためにより先鋭的な主張を選択した結果、中間票を取りこぼした」と語り、政府との過度な対決姿勢が空回りしたと指摘。ただ、佐喜真氏についても「県外を主張しなければ、勝てなかったということだ」と断言し、当面の方針変更は不可能と見通す。(毎日14日)
・普天間の県内移設に反対する「カマドゥー小たちの集い」の呼び掛け人の1人、国政美恵さん(57)=宜野湾市=は「一日も早い普天間返還を望む市民の気持ちと、国外移設が強調された伊波氏の公約との間にずれがあった」と分析した。(沖縄タイムス13日 09時51分)
・普天間問題では伊波氏も県外、国外移設を訴え、似通う主張となった。(毎日13日)
・ともに県外移設を掲げるが、県内移設をかつて容認していた佐喜真氏と、強硬な反基地派の伊波氏との間には立ち位置に大きな違いがある。(産経2.5 18:16)
・地元では普天間飛行場が固定化されるとの危惧が高まり、早期返還実現に向けて政府との対決よりも対話を重視する佐喜真氏に支持が集まったのだろう。(東京社説14日)
・今回、「反基地」色の強い伊波氏では市政は変わらないと考える市民に対し、「現実路線」を通じて浸透したのが勝因だろう。仲井真弘多知事もそれを後押しした。(読売社説14日)
・佐喜真氏はかつて名護市辺野古への県内移設を容認していたが、県外移設を求める仲井真弘多知事と協調姿勢を強め「県内移設は現実的に困難」と主張してきた。選挙戦では佐喜真氏、伊波氏ともに県外移設を求めるというスタンスになった。選挙結果は、「普天間固定化阻止」を含む政策全般で佐喜真氏が支持を得たと見た方がいい。(琉球新報社説13日)
・選挙で佐喜真、伊波両氏は「県外」移設を訴えた。ただしその主張には濃淡があったとみられる。佐喜真氏がかつて、名護市辺野古への県内移設を容認した経緯があるためだ。しかしきのう仲井真知事は「(佐喜真氏は)『県外』ということで(選挙を戦い)当選した」との認識をあらためて示した。佐喜真氏も「今の段階では県内移設に反対だ」と明言した。高知新聞社説14日08時25分)
・騒音や事故の不安に取り巻かれて暮らす宜野湾市民は、「固定化絶対阻止」を前面に打ち出した佐喜真さんの手腕に期待をかけた。(毎日13日)
・普天間固定化に対する市民の危機感や不安の高まりが、知事とともに政府と交渉していく姿勢を強調した佐喜真氏への支持につながったとみられる。また、選挙戦全体では基地関連予算のさらなる獲得による暮らしや子育ての充実の訴えに重点を置き、1985年以来続いた革新市政の転換を訴えた。告示直前、市長選への介入との批判を浴びた沖縄防衛局長の「講話」問題が発覚。普天間の県内移設をかつて容認していた佐喜真氏側へ影響が出るとみられたが、選挙戦で講話問題に触れずに、悪影響を回避した。(毎日13日)
敗因の第三は、基地問題と地域経済復興策を対立させる手法に反撃できなかったことだ。基地によって食わせてもらっている住民、基地の弊害を少しでも軽減するための一つとしての沖縄振興策だ。そのためには政府と対決するのではなく、予算の取れる首長という構図。しかも「固定化」への危惧が後押しした。もう一つは、これはどこの記事にも見られないが、革新側=基地撤去=イデオロギー派に仕立てたのではないだろうか。それらしき報道もある。
・市民が僅差で選んだのは、「基地問題」に加え、「地域振興」を強く訴えた候補だった。伊波さんはこの後、敗因について、記者団に「働いている若い人たちに(政策を)伝えられなかった」と悔しげな表情を見せた。(読売13日15時18分)
・辺野古移設に反対する名護市辺野古区の住民らでつくる「命を守る会」の西川征夫代表(67)は、佐喜真さんの当選に「いつか辺野古移設を『やむ得ない』と受け入れる可能性は否定できない。危機感を持っている。基地交付金などで市民の心が動かされたのか。とにかく残念だ」と肩を落とした。(沖縄タイムス13日 10時05分)
12日の宜野湾市長選で、佐喜真淳さんが当選したことを受けて、経済振興を強く求める宜野湾市民らは「若さで市内経済を明るくしてくれるはずだ」と歓迎した。(沖縄タイムス13日 09時51分)
・佐喜真氏はかつて県内移設を容認していたことから、日米両政府が沖縄側に県内移設に理解を求める働き掛けを強める可能性もある。佐喜真氏は約27年間にわたった「革新市政による閉塞感」を訴え、昨年12月31日の出馬表明以降、若さを前面に選挙戦を展開したほか、普天間飛行場の県外移設を主張したことが功を奏した。出身地の真志喜地区を中心とした西海岸で支持を広げた。沖縄防衛局の有権者職員リストの作成、局長による投票奨励「講話」問題で火消しに時間がかかったものの、企業や商工業者を中心に若年層への支持を広げた。(琉球新報13日)
・経済振興を強く求める宜野湾市民らは「若さで市内経済を明るくしてくれるはずだ」と歓迎した。約50店舗の商店などでつくる普天間中央通り会の喜瀬正雄会長(69)は「基地反対ばかりでは活性化も進まない。若い市長の誕生で、商店街にも活力が出ることを期待する」と喜んだ。同市西海岸地域の街づくりに取り組む沖縄コンベンションシティ会の小野寺明夫さん(62)は「宜野湾市は、北谷町と浦添市の〝谷間〟のような存在で、区画整理や道路整備なども含めまちづくりが遅れてきた印象がある」と指摘。「新市長は若く、行動力がある。観光客の誘客や商業を効果的に発展させてほしい」と期待した。(沖縄タイムス13日09時51分)
・移設問題で、佐喜真氏は県外移設を主張。普天間の早期返還を最優先させ、防衛予算を活用したまちづくりを訴えた。仲井真弘多知事らの全面支援を受けた。(産経2.12 23:20)
・「普天間を固定化しないために国を動かす行動力のある市長は誰かということと、基地問題だけではなく、市の生活や経済をどうするかというビジョンを訴えた成果だ」。革新市政に歯止めをかけた自民党の大島理森副総裁は13日、党本部で記者団に強調した。ともに「県外移設」を主張して違いが目立たなかった移設問題よりも、仲井真知事と連携して国からの支援策で経済振興を図る佐喜真氏の主張が浸透したとの見方だ。「固定化回避」を掲げた佐喜真氏への後押しになったとの見方も出ている。自民党選対幹部は「普天間固定化の懸念が出てきた。相手候補が元市長の伊波氏で、(伊波氏では)何も変わらないことを嫌がったのではないか」と解説した。(毎日13日21時54分)
・「普天間飛行場の跡地利用や基地関連の予算獲得に、県との太いパイプが役に立つ」。普天間飛行場内に自分の土地を持つ宜野湾市軍用地等地主会の会長、又吉信一さん(68)は、仲井真弘多知事の全面支援を受けた佐喜真氏の当選に期待を寄せた。「国から予算をより多く獲得して、市民の福祉に還元する」との言葉にも共感したという。(毎日13日)
・普天間固定化に対する市民の危機感や不安の高まりが、知事とともに政府と交渉していく姿勢を強調した佐喜真氏への支持につながったとみられる。また、選挙戦全体では基地関連予算のさらなる獲得による暮らしや子育ての充実の訴えに重点を置き、1985年以来続いた革新市政の転換を訴えた。告示直前、市長選への介入との批判を浴びた沖縄防衛局長の「講話」問題が発覚。普天間の県内移設をかつて容認していた佐喜真氏側へ影響が出るとみられたが、選挙戦で講話問題に触れずに、悪影響を回避した。(毎日13日)
基地の騒音被害が続く現状には、「国民が等しく苦しみを共有してほしい」と述べ、「政府と交渉して予算を勝ち取り、福祉や教育、子育て支援などの経済問題に力を入れたい」と、近く上京する意向も示した。(読売13日15時19分)
自民、公明などが推薦した佐喜真氏は「固定化阻止」を訴える半面、辺野古移設に「名護市の民意なら尊重する」とし、当選後も政府対話に意欲を示した。防衛予算の活用で雇用や景気を重視する姿勢も支持を広げた理由だろう。(産経主張2.14 03:29)
・佐喜真氏は公約で掲げた暮らしや子育て・教育、産業支援に関する施策の着実な実施でリーダーシップを発揮してほしい。新年度から交付される一括交付金の有効活用を含め、行財政改革にもしっかり取り組んでもらいたい。公約した待機児童解消プロジェクトチーム、給食費と小学生までの医療費無料化などをいかに実現するか、道筋を示すことも必要だ。普天間飛行場の跡利用も課題だ。実現可能で夢のある構想を描くことが不可欠だ。那覇新都心地区、北谷町美浜・ハンビー地区と同じではパイの奪い合いになりかねない。宜野湾ならではの魅力を具体化する構想力が求められる。(琉球新報社説13日)
・最大の焦点となったのは、米軍普天間飛行場の移設問題への対応だ。有権者は、伊波氏と同様に県外移設を主張しながらも、政府との交渉姿勢を重視する佐喜真氏の方針を支持した。経済振興への関心も高かった。共同通信社の出口調査では、投票の際に「雇用や景気対策」を重視した人の7割が佐喜真氏に投票していた。今回の勝ちパターンは、仲井真弘多氏が再選を決めた2010年の知事選と似ている。このとき仲井真氏はそれまで「辺野古やむなし」としてきた県内移設容認の立場から「県外移設」にかじを切り、自公の支援を受けて伊波氏と戦った。県外移設を主張することで基地問題が争点化するのを避け、雇用・経済を前面に掲げて支持層を広げた。佐喜真氏も、かつての県内移設を容認する姿勢から、仲井真知事と歩調を合わせる形で県外移設に転じた。選挙戦では基地問題を前面に出さず、市民生活に直接かかわる雇用や福祉などの充実を訴える戦術に徹した。これが、騒音被害や危険にさらされながら、普天間返還の見通しが立たない現状に不満があった市民にも響いたといえよう。(沖縄タイムス社説
13日 09時55分)
・共産、社民党などが推し、反基地派の伊波氏よりも移設問題に柔軟な姿勢で臨み、市の活性化などにも積極的に取り組むのでは、との期待があったようだ。選挙戦との関わりで見過ごせないのは、告示後、日米両政府が在日米軍の見直しに関する方針を発表したことだ。在沖縄海兵隊のグアム移転とワンセットとしてきた普天間移設を切り離し、辺野古への県内移設をこれまで通り堅持するなどとした。普天間が現状のまま固定化するのではないか、との懸念が高まった。県外移設の訴えは同じでも、選挙戦で佐喜真氏は、普天間の早期返還を前面に打ち出していた。固定化への市民の危機感が後押しした面は否めない。(信濃毎日社説14日)
敗因の第四は、第三にも関連しているが、「革新市政による閉塞感」と宣伝することで革新側の運動と政策を、革新の側から言えば捻じ曲げたこと、逆に言えば、「革新市政の成果」を浸透・反撃ができなかったことがだろう。
・だが、長年の革新市政下では普天間の危険性除去のために近接小学校を移転させる計画があったにもかかわらず、市民団体などの反対で実現せず、「子供を人質にした反基地活動」との批判も出されていた。こんなやり方は今後通用しないということを改めて確認しておきたい。(産経主張2.14 03:29)
・佐喜真氏は約27年間にわたった「革新市政による閉塞(へいそく)感」を訴え、昨年12月31日の出馬表明以降、若さを前面に選挙戦を展開した(琉球新報13日)
敗因の第五は、自民党陣営の候補者の「人柄論」「人柄」「成果」論に対抗できなかったことか。
・ようやくマイクを握った伊波さんは「私自身、若者や働いている人との接点をつくりきれなかった。さらに、相手のネガティブキャンペーンで市民が切り崩されてしまった」と敗因を分析。(沖縄タイムス13日 10時33分)
・市民は、若さと「チェンジ」を訴えた新人に、市政のかじ取り役を託した。(沖縄タイムス社説13日 09時55分)
・市長2期目途中の10年11月の知事選に出馬し敗れた末の「出戻り」への批判などがあり、票を伸ばせなかった。(毎日13日)
陣営幹部は「基地問題を重視するわりに普天間返還を実現できない革新市政が長期にわたり、市民の倦怠(けんたい)感も強かった」と勝因を語った。(毎日13日)
「伊波さんは7年半務めた市長時代に普天間を閉鎖させることができず、一昨年の知事選でも敗れた。伊波さんでは普天間問題が進まないと、市民は判断したのではないか」。12日夜、佐喜真氏の選挙事務所で、自民党県連の池間淳幹事長は伊波氏の敗因を一気に語ってみせた。伊波氏はそもそもの持論は国外で、日米安保にも否定的な見解を示す。自民側には「日本で議論が完結しない国外を訴えるのは無責任で、逆に普天間固定化を招いている」との批判が根強い。池間幹事長は「仲井真(弘多)知事を先頭に県民一体となり、日米安保の応分の負担を本土に求めるしかない」と語り、県外要求が現実的とする。(毎日14日)
以上、マスコミに書かれた内容を一覧・分類してみたが、第二に、イハさんが支持を失った教訓をまとめてみると、
1.相手陣営が流したと思われる政策以前の「出戻り」批判にどう対応できたか。
2.「革新市政による閉塞感」という宣伝に、これまでの市政と基地撤去の運動の「成果」をどう対置できたか。
3.基地と地域振興=メシ=生活を対立させる宣伝に対して、どう基地撤去と暮らしの改善をリンクできたか。そもそも暮らしを破壊してきたのは自民党であることを宣伝できたか。
4.相手陣営の県外移設変更は、県民の運動の成果として確認すると同時に基地固定化への動きを止めさせるための展望を浸透させることができたか。
5.政策が正しく?ても、人のこころを捉える言葉や響きをどのように絡ませていくか、とりわけ、自民党支持者たちのこころに届く訴えをどうつくるか、それが最大の課題だろうか?
ま、それにしても沖縄の県民の皆さん、ご苦労様でした。たたかいは、基地撤去と平和構築、沖縄の振興の達成まで続きます。
本土も同じです。こういう選挙から何を学ぶか、そのことを一つひとつ確認していってこそ、勝利を得ることができるのでしょう。
それにしても、主権者である国民の支持を得ることに、もっともっと注意深く、賢くならねば、と思ったしだいです。
沖縄の夜明けを願い東よりエール送るも東こそとぞ
まず第一に、イハさんというか、宜野湾市における革新側の票の出方を調べてみた。
市長選 H15年04月 55.54 イハ 洋一 17,583 アシトミ 修 16,873
知事選 H18年11月 64.07 糸数 けいこ 20,138 仲井間 弘多 21,944
知事選 H22年11月 66.99 イハ 洋一 24,010 仲井間 弘多 21,412
市長選 H22年11月 67.13 安里 タケシ 23,598 アシトミ 修 21,742
市長選 H24年02月 63.90 イハ 洋一 21,712 佐喜間 アツシ 22,612
イハさんが、2298人の支持を失い、佐喜間さんが、840人の支持を増やしたのは何故か、だ。特にイハさんの失った支持の数と、佐喜間さんが増やした支持の数の違いだ。注目しなければならないのは。
そこで、敗因の第一には、楽観的ムードがあったのではないかということだ。前回の県知事選挙と市長選、沖縄防衛局長の選挙干渉問題にみるように、イハさんにとっては勝てる選挙だった。そのことは、以下の記事をみると裏付けられるような気がする。
・沖縄タイムス社は3、4の両日、宜野湾市内の有権者を対象に、電話による情勢調査を実施した。元職の伊波洋一氏(60)=社民、共産、社大推薦=が先行し、前県議で新人の佐喜真淳氏(47)=自民、公明、新党改革推薦=が追う展開となっている。(沖縄タイムス 7日09時53分)
・市の中心部にある米軍普天間飛行場の移設問題への対応が焦点。移設問題で、両氏はともに「県外移設」を主張するが、かつて名護市辺野古への県内移設を容認した佐喜真氏に対し、伊波氏は強硬な反基地派。(共同・東京11日18時11分)
・市中心部にある普天間飛行場への対応が焦点だったが、継続的な普天間使用への懸念から、移設問題に比較的柔軟な保守派を市民が後押しした格好だ。(共同・東京12日22時58分)
・稲嶺市長は「まったく予想もしていなかった。これまでの流れからして、普天間の政策についても、協力して一緒にやれるもんだとばかり思っていた。まさかこのようになるとは夢にも思っていなかった」と述べた。(沖縄タイムス 13日09時47分)
・午後8時すぎ、伊波陣営には予想外の接戦が伝えられていた。集まった支援者や議員も一様に硬い表情。開票速報では途中までリードしていたが、わずかな差に、拍手の力は弱かった。(沖縄タイムス 13日10時33分)
・落選した元市長・伊波洋一さん(60)は、講話問題が追い風になるとの見方もあったことから、「陣営に若干の油断があった」と語った。(読売新聞13日15時18分)
・講話問題で苦戦が予想されていたため、12日午後10時過ぎ、事務所のテレビ画面に当選確実が流れると、支持者らは「やったー」と一斉に喜びを爆発させた。佐喜真さんは、カチャーシー(沖縄独特の手踊り)で喜びを分かち合った。(読売新聞13日15時19分)
敗因の第二には、普天間基地の「移設」の捉え方、訴え方に微妙な、というか、自民党側の選挙のたたかい方の美味さと革新側の油断、マンネリがあったということだ。
・2010年の知事選、今回の市長選で仲井真氏、佐喜真氏はどちらも米軍普天間飛行場の「県外移設」を掲げて当選した。普天間移設問題で革新側と足並みをそろえ、経済や福祉、教育分野で独自性を主張するという選挙スタイルが今後も定着するだろう。・・・看板政策の基地問題で保守陣営との差別化を図ることが難しくなっており、有権者を引きつける公約の内容や、訴える手法を見直す必要に迫られる。(沖縄タイムス13日 10時22分)
・初当選したさきまあつし氏は13日、普天間の固定化阻止や県外移設に向け、政府と積極的に交渉する姿勢を打ち出した。県外、国外を訴え、政府との対決姿勢を強調した元市長のいは洋一氏と主張は似通ったが、移設問題解決に向けた手法の違いが際立った。・・・沖縄国際大の佐藤学教授(政治学)は、伊波氏の敗因を「知事や佐喜真氏が選挙で県外を主張したため、伊波氏は違いを出すためにより先鋭的な主張を選択した結果、中間票を取りこぼした」と語り、政府との過度な対決姿勢が空回りしたと指摘。ただ、佐喜真氏についても「県外を主張しなければ、勝てなかったということだ」と断言し、当面の方針変更は不可能と見通す。(毎日14日)
・普天間の県内移設に反対する「カマドゥー小たちの集い」の呼び掛け人の1人、国政美恵さん(57)=宜野湾市=は「一日も早い普天間返還を望む市民の気持ちと、国外移設が強調された伊波氏の公約との間にずれがあった」と分析した。(沖縄タイムス13日 09時51分)
・普天間問題では伊波氏も県外、国外移設を訴え、似通う主張となった。(毎日13日)
・ともに県外移設を掲げるが、県内移設をかつて容認していた佐喜真氏と、強硬な反基地派の伊波氏との間には立ち位置に大きな違いがある。(産経2.5 18:16)
・地元では普天間飛行場が固定化されるとの危惧が高まり、早期返還実現に向けて政府との対決よりも対話を重視する佐喜真氏に支持が集まったのだろう。(東京社説14日)
・今回、「反基地」色の強い伊波氏では市政は変わらないと考える市民に対し、「現実路線」を通じて浸透したのが勝因だろう。仲井真弘多知事もそれを後押しした。(読売社説14日)
・佐喜真氏はかつて名護市辺野古への県内移設を容認していたが、県外移設を求める仲井真弘多知事と協調姿勢を強め「県内移設は現実的に困難」と主張してきた。選挙戦では佐喜真氏、伊波氏ともに県外移設を求めるというスタンスになった。選挙結果は、「普天間固定化阻止」を含む政策全般で佐喜真氏が支持を得たと見た方がいい。(琉球新報社説13日)
・選挙で佐喜真、伊波両氏は「県外」移設を訴えた。ただしその主張には濃淡があったとみられる。佐喜真氏がかつて、名護市辺野古への県内移設を容認した経緯があるためだ。しかしきのう仲井真知事は「(佐喜真氏は)『県外』ということで(選挙を戦い)当選した」との認識をあらためて示した。佐喜真氏も「今の段階では県内移設に反対だ」と明言した。高知新聞社説14日08時25分)
・騒音や事故の不安に取り巻かれて暮らす宜野湾市民は、「固定化絶対阻止」を前面に打ち出した佐喜真さんの手腕に期待をかけた。(毎日13日)
・普天間固定化に対する市民の危機感や不安の高まりが、知事とともに政府と交渉していく姿勢を強調した佐喜真氏への支持につながったとみられる。また、選挙戦全体では基地関連予算のさらなる獲得による暮らしや子育ての充実の訴えに重点を置き、1985年以来続いた革新市政の転換を訴えた。告示直前、市長選への介入との批判を浴びた沖縄防衛局長の「講話」問題が発覚。普天間の県内移設をかつて容認していた佐喜真氏側へ影響が出るとみられたが、選挙戦で講話問題に触れずに、悪影響を回避した。(毎日13日)
敗因の第三は、基地問題と地域経済復興策を対立させる手法に反撃できなかったことだ。基地によって食わせてもらっている住民、基地の弊害を少しでも軽減するための一つとしての沖縄振興策だ。そのためには政府と対決するのではなく、予算の取れる首長という構図。しかも「固定化」への危惧が後押しした。もう一つは、これはどこの記事にも見られないが、革新側=基地撤去=イデオロギー派に仕立てたのではないだろうか。それらしき報道もある。
・市民が僅差で選んだのは、「基地問題」に加え、「地域振興」を強く訴えた候補だった。伊波さんはこの後、敗因について、記者団に「働いている若い人たちに(政策を)伝えられなかった」と悔しげな表情を見せた。(読売13日15時18分)
・辺野古移設に反対する名護市辺野古区の住民らでつくる「命を守る会」の西川征夫代表(67)は、佐喜真さんの当選に「いつか辺野古移設を『やむ得ない』と受け入れる可能性は否定できない。危機感を持っている。基地交付金などで市民の心が動かされたのか。とにかく残念だ」と肩を落とした。(沖縄タイムス13日 10時05分)
12日の宜野湾市長選で、佐喜真淳さんが当選したことを受けて、経済振興を強く求める宜野湾市民らは「若さで市内経済を明るくしてくれるはずだ」と歓迎した。(沖縄タイムス13日 09時51分)
・佐喜真氏はかつて県内移設を容認していたことから、日米両政府が沖縄側に県内移設に理解を求める働き掛けを強める可能性もある。佐喜真氏は約27年間にわたった「革新市政による閉塞感」を訴え、昨年12月31日の出馬表明以降、若さを前面に選挙戦を展開したほか、普天間飛行場の県外移設を主張したことが功を奏した。出身地の真志喜地区を中心とした西海岸で支持を広げた。沖縄防衛局の有権者職員リストの作成、局長による投票奨励「講話」問題で火消しに時間がかかったものの、企業や商工業者を中心に若年層への支持を広げた。(琉球新報13日)
・経済振興を強く求める宜野湾市民らは「若さで市内経済を明るくしてくれるはずだ」と歓迎した。約50店舗の商店などでつくる普天間中央通り会の喜瀬正雄会長(69)は「基地反対ばかりでは活性化も進まない。若い市長の誕生で、商店街にも活力が出ることを期待する」と喜んだ。同市西海岸地域の街づくりに取り組む沖縄コンベンションシティ会の小野寺明夫さん(62)は「宜野湾市は、北谷町と浦添市の〝谷間〟のような存在で、区画整理や道路整備なども含めまちづくりが遅れてきた印象がある」と指摘。「新市長は若く、行動力がある。観光客の誘客や商業を効果的に発展させてほしい」と期待した。(沖縄タイムス13日09時51分)
・移設問題で、佐喜真氏は県外移設を主張。普天間の早期返還を最優先させ、防衛予算を活用したまちづくりを訴えた。仲井真弘多知事らの全面支援を受けた。(産経2.12 23:20)
・「普天間を固定化しないために国を動かす行動力のある市長は誰かということと、基地問題だけではなく、市の生活や経済をどうするかというビジョンを訴えた成果だ」。革新市政に歯止めをかけた自民党の大島理森副総裁は13日、党本部で記者団に強調した。ともに「県外移設」を主張して違いが目立たなかった移設問題よりも、仲井真知事と連携して国からの支援策で経済振興を図る佐喜真氏の主張が浸透したとの見方だ。「固定化回避」を掲げた佐喜真氏への後押しになったとの見方も出ている。自民党選対幹部は「普天間固定化の懸念が出てきた。相手候補が元市長の伊波氏で、(伊波氏では)何も変わらないことを嫌がったのではないか」と解説した。(毎日13日21時54分)
・「普天間飛行場の跡地利用や基地関連の予算獲得に、県との太いパイプが役に立つ」。普天間飛行場内に自分の土地を持つ宜野湾市軍用地等地主会の会長、又吉信一さん(68)は、仲井真弘多知事の全面支援を受けた佐喜真氏の当選に期待を寄せた。「国から予算をより多く獲得して、市民の福祉に還元する」との言葉にも共感したという。(毎日13日)
・普天間固定化に対する市民の危機感や不安の高まりが、知事とともに政府と交渉していく姿勢を強調した佐喜真氏への支持につながったとみられる。また、選挙戦全体では基地関連予算のさらなる獲得による暮らしや子育ての充実の訴えに重点を置き、1985年以来続いた革新市政の転換を訴えた。告示直前、市長選への介入との批判を浴びた沖縄防衛局長の「講話」問題が発覚。普天間の県内移設をかつて容認していた佐喜真氏側へ影響が出るとみられたが、選挙戦で講話問題に触れずに、悪影響を回避した。(毎日13日)
基地の騒音被害が続く現状には、「国民が等しく苦しみを共有してほしい」と述べ、「政府と交渉して予算を勝ち取り、福祉や教育、子育て支援などの経済問題に力を入れたい」と、近く上京する意向も示した。(読売13日15時19分)
自民、公明などが推薦した佐喜真氏は「固定化阻止」を訴える半面、辺野古移設に「名護市の民意なら尊重する」とし、当選後も政府対話に意欲を示した。防衛予算の活用で雇用や景気を重視する姿勢も支持を広げた理由だろう。(産経主張2.14 03:29)
・佐喜真氏は公約で掲げた暮らしや子育て・教育、産業支援に関する施策の着実な実施でリーダーシップを発揮してほしい。新年度から交付される一括交付金の有効活用を含め、行財政改革にもしっかり取り組んでもらいたい。公約した待機児童解消プロジェクトチーム、給食費と小学生までの医療費無料化などをいかに実現するか、道筋を示すことも必要だ。普天間飛行場の跡利用も課題だ。実現可能で夢のある構想を描くことが不可欠だ。那覇新都心地区、北谷町美浜・ハンビー地区と同じではパイの奪い合いになりかねない。宜野湾ならではの魅力を具体化する構想力が求められる。(琉球新報社説13日)
・最大の焦点となったのは、米軍普天間飛行場の移設問題への対応だ。有権者は、伊波氏と同様に県外移設を主張しながらも、政府との交渉姿勢を重視する佐喜真氏の方針を支持した。経済振興への関心も高かった。共同通信社の出口調査では、投票の際に「雇用や景気対策」を重視した人の7割が佐喜真氏に投票していた。今回の勝ちパターンは、仲井真弘多氏が再選を決めた2010年の知事選と似ている。このとき仲井真氏はそれまで「辺野古やむなし」としてきた県内移設容認の立場から「県外移設」にかじを切り、自公の支援を受けて伊波氏と戦った。県外移設を主張することで基地問題が争点化するのを避け、雇用・経済を前面に掲げて支持層を広げた。佐喜真氏も、かつての県内移設を容認する姿勢から、仲井真知事と歩調を合わせる形で県外移設に転じた。選挙戦では基地問題を前面に出さず、市民生活に直接かかわる雇用や福祉などの充実を訴える戦術に徹した。これが、騒音被害や危険にさらされながら、普天間返還の見通しが立たない現状に不満があった市民にも響いたといえよう。(沖縄タイムス社説
13日 09時55分)
・共産、社民党などが推し、反基地派の伊波氏よりも移設問題に柔軟な姿勢で臨み、市の活性化などにも積極的に取り組むのでは、との期待があったようだ。選挙戦との関わりで見過ごせないのは、告示後、日米両政府が在日米軍の見直しに関する方針を発表したことだ。在沖縄海兵隊のグアム移転とワンセットとしてきた普天間移設を切り離し、辺野古への県内移設をこれまで通り堅持するなどとした。普天間が現状のまま固定化するのではないか、との懸念が高まった。県外移設の訴えは同じでも、選挙戦で佐喜真氏は、普天間の早期返還を前面に打ち出していた。固定化への市民の危機感が後押しした面は否めない。(信濃毎日社説14日)
敗因の第四は、第三にも関連しているが、「革新市政による閉塞感」と宣伝することで革新側の運動と政策を、革新の側から言えば捻じ曲げたこと、逆に言えば、「革新市政の成果」を浸透・反撃ができなかったことがだろう。
・だが、長年の革新市政下では普天間の危険性除去のために近接小学校を移転させる計画があったにもかかわらず、市民団体などの反対で実現せず、「子供を人質にした反基地活動」との批判も出されていた。こんなやり方は今後通用しないということを改めて確認しておきたい。(産経主張2.14 03:29)
・佐喜真氏は約27年間にわたった「革新市政による閉塞(へいそく)感」を訴え、昨年12月31日の出馬表明以降、若さを前面に選挙戦を展開した(琉球新報13日)
敗因の第五は、自民党陣営の候補者の「人柄論」「人柄」「成果」論に対抗できなかったことか。
・ようやくマイクを握った伊波さんは「私自身、若者や働いている人との接点をつくりきれなかった。さらに、相手のネガティブキャンペーンで市民が切り崩されてしまった」と敗因を分析。(沖縄タイムス13日 10時33分)
・市民は、若さと「チェンジ」を訴えた新人に、市政のかじ取り役を託した。(沖縄タイムス社説13日 09時55分)
・市長2期目途中の10年11月の知事選に出馬し敗れた末の「出戻り」への批判などがあり、票を伸ばせなかった。(毎日13日)
陣営幹部は「基地問題を重視するわりに普天間返還を実現できない革新市政が長期にわたり、市民の倦怠(けんたい)感も強かった」と勝因を語った。(毎日13日)
「伊波さんは7年半務めた市長時代に普天間を閉鎖させることができず、一昨年の知事選でも敗れた。伊波さんでは普天間問題が進まないと、市民は判断したのではないか」。12日夜、佐喜真氏の選挙事務所で、自民党県連の池間淳幹事長は伊波氏の敗因を一気に語ってみせた。伊波氏はそもそもの持論は国外で、日米安保にも否定的な見解を示す。自民側には「日本で議論が完結しない国外を訴えるのは無責任で、逆に普天間固定化を招いている」との批判が根強い。池間幹事長は「仲井真(弘多)知事を先頭に県民一体となり、日米安保の応分の負担を本土に求めるしかない」と語り、県外要求が現実的とする。(毎日14日)
以上、マスコミに書かれた内容を一覧・分類してみたが、第二に、イハさんが支持を失った教訓をまとめてみると、
1.相手陣営が流したと思われる政策以前の「出戻り」批判にどう対応できたか。
2.「革新市政による閉塞感」という宣伝に、これまでの市政と基地撤去の運動の「成果」をどう対置できたか。
3.基地と地域振興=メシ=生活を対立させる宣伝に対して、どう基地撤去と暮らしの改善をリンクできたか。そもそも暮らしを破壊してきたのは自民党であることを宣伝できたか。
4.相手陣営の県外移設変更は、県民の運動の成果として確認すると同時に基地固定化への動きを止めさせるための展望を浸透させることができたか。
5.政策が正しく?ても、人のこころを捉える言葉や響きをどのように絡ませていくか、とりわけ、自民党支持者たちのこころに届く訴えをどうつくるか、それが最大の課題だろうか?
ま、それにしても沖縄の県民の皆さん、ご苦労様でした。たたかいは、基地撤去と平和構築、沖縄の振興の達成まで続きます。
本土も同じです。こういう選挙から何を学ぶか、そのことを一つひとつ確認していってこそ、勝利を得ることができるのでしょう。
それにしても、主権者である国民の支持を得ることに、もっともっと注意深く、賢くならねば、と思ったしだいです。
沖縄の夜明けを願い東よりエール送るも東こそとぞ