愛国者の邪論

日々の生活のなかで、アレ?と思うことを書いていきます。おじさんも居ても立っても居られんと小さき声を今あげんとす

沖縄の「抑止力」金の値段(ムダガネ)を曖昧にする「軍事抑止力神話」信奉者の安全保障論

2012-02-21 | 日記
「朝日」(2月14日付)の「オピニオン」に森本敏拓殖大大学院教授(「対中防衛沖縄に米軍必要」)が普天間基地を辺野古に移設しないと普天間は返還されないと脅している。やっぱりな。
ところで沖縄の基地の価値を政府はどれくらいのものと思っているのだろうか。森本教授のご高説を拝見していて、そんなことを思った。

宜野湾市長選挙の際に、マスコミは基地移設が争点と言っていたが、実際はカネだった。どうもスリカエがあったようだ。基地によって生活がなりたっている住民、基地があるがゆえに交付金で潤う住民がいることを過小評価させ、基地撤去が争点であるかのように報道・扇動して選挙を闘わせる。岩国の場合もそうだった。

そういう視点で、森本先生の発言をみると、意外なことに気付いた。以下掲載してみる。

対中防衛沖縄に米軍必要 森本 敏(拓殖大大学院教授 安全保障論)
 今回の見直しの背景には、米国が中国の海洋進出に備え、海兵隊のグアム移転を急いでいることがあります。 中国は日本列島からサイパン、グアムをつなぎ南シナ海を含む西太平洋海域を自由に活動できる能力向上を進めています。 米国はこれに対し海域全体で新たな米軍の態勢を整えるため、グアムを戦略的ハブ(中継点)とし、豪州やフィリピンなどに展開する計画です。 また、米軍を中国のミサイル射程外に分散して配置し、有事の際の「抗堪力」を高める。こうした再編を2020年までに整えたいのです。
 グアムの施設を最新にし、空母や潜水艦が寄港でき、海兵隊の戦闘部隊を置けるようにするためには7~8年はかかります。 ところが肝心の普天間飛行場の問題に進展がないこともあって、米議会が12年度予算を認めなかった。このまま13年度予算もだめだと、計画全体が止まってしまいます。このため、海兵隊の移転と普天間移設のパッケージを切り離し、前者を進めようというわけです。 しかし、これは日本にとっては「もろ刃の剣」といえます。海兵隊がグアムに移転し、嘉手納基地以南の5施設が返還されれば、基地負担の軽減につながる。これはプラスです。 しかし、米国の事情で海兵隊は動くとなったら、普天間飛行場を動かす動機付けが弱くなってしまう。普天間問題の解決は急ぐ必要はないという意見が出るなら、これはマイナスです。
 ■辺野古がベスト
 何より大事なのは、普天間の危険性を早く除去することです。もしまた、普天間で深刻な事故が起きたら、沖縄の米軍基地全体が機能できなくなってしまうでしょう。日本にとって著しく抑止力を失うことになる。一日も早く普天間を返還する。それが最優先課題です。 政府はおよそ8年かけて、全国にある基地に移転できないか検討しました。その結果、軍事的にも政治的にも、移設先は辺野古がペストと確信するに至ったのです。 日米両政府が2度も合意文書を交わした意味も大きく、同盟国としての信頼性の問題もあります。将来的に沖縄の海兵隊が減れば、他の施設にも運営上の余裕が出てくる。自衛隊が施設を米軍と共同管理することを提案したい。そのことによって、住民にとってより望ましい基地の姿に近づけるし、自分たちの防衛に役立っているという意識も持てるでしょう。 沖縄の米軍基地は今までの経緯もあり、私有地に設けられているところが多い。現在、少なくない人が基地からの借料を受けている。土地所有者の生活を考えると国がかかわることが大事です。 日本国民は沖縄問題に関わらず、左右両極端以外のサイレントマジョリティー(声なき多数)の意見は、バランスが取れている。 今回の宜野湾市長選の結果(かつて県内移設を容認していた候補の勝利)も、そうしたことの表れではないでしょうか。 安全保障は日本全体のことなのに、なぜ沖縄にだけ負担を押しつけるのかと言う人がいます。でも、考えてみてください。中国から外洋に出る場合、沖縄は真正面にあります。南西諸島の海域を中国海軍の艦船が絶えず通行しています。日本の位置を変えられないように、沖縄の位置も変えられません。沖縄の米軍基地は、沖縄の安全保障のためにも存在しているのです。
 ■政治意志に期待
 私は最近も沖縄を訪れ、地元の関係者だちと話をしてきました。今後、普天間問題を進める上で重要な点は次の二つです。 一つは、辺野古移設を沖縄県民が理解し、受け入れてくれなければ、普天間飛行場の返還が実現しないことです。そのために必要なもう一つの点は、強い政治意志です。野田佳彦首相と仲井真弘多沖縄県知事がこれを示すことができるか。この二つがそろわないと、普天間の返還はありません。 そのためには、知事が政治決断できる環境をつくる必要があります。現状では可能性は低いのですが、ゼロではないと考えています。(聞き手・高野真吾)

読んでみておかしいなと思う視点・邪論について

1.今回の見直しの背景を中国の海洋進出だけのように言っているが、違うのではないか?イラク・アフガン戦争、テロとの戦いに敗北したこと、その中で膨大な戦費を費やし、米国の危機が進行してきたこと。このことを曖昧にして中国だけに責任を負わせようとしていないか?

2.グアムの施設を最新にし、空母や潜水艦が寄港でき、海兵隊の戦闘部隊を置けるようにするためには7~8年はかかるというが、その資金は日本国民が出してやるということが抜けているな。この場合身を切るのは米軍ではないのか?

3.普天間飛行場の問題に進展がないのは民主党政権の不手際と言いたいようだが、確かにそういう側面もあるが、より本質的には沖縄の県民のたたかいがあったからだが、このことを意図的に抜かしているな。

4.沖縄県民のたたかいがあったからこそ、米議会の動きがあったのだが、このまま13年度予算もだめだ、普天間返還計画全体が止まってしまうと脅かしているな。

5.また普天間で深刻な事故が起きたら、沖縄の米軍基地全体が機能できなくなり、日本にとって著しく抑止力を失うことになる、だから政府はおよそ8年かけて、全国にある基地に移転できないか検討し、その結果、軍事的にも政治的にも、移設先は辺野古がペストと確信するに至ったのだと、日米同盟公共財論者、抑止力論者たちを脅している。

6.しかも日米両政府が2度も合意文書を交わした辺野古移設の意味も大きく、同盟国としての信頼性の問題もあると脅している。

7.将来的に沖縄の海兵隊が減れば、他の施設にも運営上の余裕が出てくる。自衛隊が施設を米軍と共同管理することによって、住民にとってより望ましい基地の姿に近づけること、自分たちの防衛に役立っているという意識も持てるから、早く辺野古移設を決断しろとも。

8.沖縄の米軍基地は米軍が国際法に違反して占拠し、基地を継続使用してきたことを免罪し、少なくない人が基地からの借料(税金)を受けていることをも隠している。

9.沖縄問題に関わらず、左右両極端以外のサイレントマジョリティー(声なき多数)の意見は、バランスが取れているなどと、基地問題を左右のイデオロギー問題にスリカエテいる。民族主権、生活権、生存権、幸福追求権などの問題だ。憲法違反の問題なのだが、スリカエだな。宜野湾市長選挙もカネだったのではないのか?

10.中国から外洋に出る場合などと中国の脅威を煽って、抑止力論を正当化しているが、アメリカでさえ、中国との合同軍事訓練をしていることを隠しているな。日本の自衛隊も中国軍と交流しているではないか。そもそも沖縄は中世においては中継貿易地だったぞ!

11.そもそも中国敵視政策そのものがおかしい。中国との貿易の実態を抜きにした日中関係などありえないのに、軍事的脅威だけを、ことさら取り上げている。意図的だ。日米安全保障条約、日中平和友好条約を公平に扱わない偏った見方だ。

今日の結論
以上、森本先生の、聞こえは「安全保障論」という学問を装っているが、実際は公共事業としての軍事と基地問題という視点を誤魔化している。軍事利権論を抜いた議論ということだ。そもそも米軍自身が沖縄の基地の必要性を疑問視している現状で何としても辺野古に基地を移そうとする日本政府の思惑の奥深い所にある問題、それはカネだな。どんな利権集団があるか、だ。またこの構図は原発ムラに巣くう利益集団と同じだ。

そういうことを思いながら、沖縄に基地をおいておくためのカネ(税金)はどれくらいのものだろうか、と思うのだが。検証は今後に。

米軍の基地に群がるカネとカネ原発ムラのカネこのムラにも
コメント (2)
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