例のごとく自民党総裁選挙報道が垂れ流されている。民主党の代表選挙も同様の報道が繰り返されるだろう。こうして国民への刷り込みが行われていくのだろう。これも破綻するのは明瞭だ。だがこうした時間は民主主義のためにはムダではないだろうが、それでも判りきったことなので、「いい加減にして、すっきり政治を変えていこう」というようにしなければならない。そこで、これらの報道の特徴をあげ、今必要なことを考えてみた。
1.誰が総裁・代表になった方が良いか、世論調査・人気投票が行われる。この「顔」の「風」によって所属議員と党員などが選挙で選ぶ。それが首相になる。そうして1年限りの総理大臣が繰り返されてきた。こうした反省は、マスコミの中では一つもないし、1年限りで繰り返されてきた「政局」によって「政治不信」をつくりだし、既成政党VA第三極待望論をつくり出してきたことも反省していない。
2.今繰り広げられている報道内容は、橋下維新の会の政党化に伴って、維新の会と誰が組むのか、或いは維新の会の代表者には誰が就任するのか、誰が維新の会に合流するのか、橋下氏は国政選挙に出馬するのか、などなどだ。こうした報道そのものは、「既成政党VS維新の会」という構造の中で行われているのだが、維新の会が既成政党の枠組みであることは、どのマスコミも言っていないし、国民も疑問を呈していない。
4.二大政党政治の破綻にしもて、原発にしても、消費税にしても、オスプレイにしても、TPPにしても、領土問題にしても、戦後の政治の枠組み、すなわち日米安保体制と財界優先、日本国憲法軽視の自民党政治という枠組みがあったことは周知の事実だ。そしてこれを支えてきたのは、マスコミの報道だったことも、マスゴミと呼ばれるようになったことによって証明されたように思う。
5.今既成政党ダメ論を振りまくマスコミだが、その既成の枠組みを打破する綱領と政策を掲げている日本共産党という勢力があることをほとんど取り上げないことが、日本の政治をダメにしていることも事実だろう。選択肢を狭くしているからだ。このことは昨日の「赤旗」が報道していた。
“浮き草”か“草の根”か 「共産党除くと政党らしい政党はない」2012年9月2日(日)
(1)「日本(の政党)で地方組織をしっかりし、どこへいってもそれなりのレベルの地方議員をもっているのはそう多くない。共産党というのは、そこは敵ながらあっぱれで、それなりのレベルの地方議員を持っている」(8月31日、東京・永田町の自民党本部で谷垣禎一総裁が講演)
(2)「政党本来の姿」について「政党には党員がいて、党員たちの願いをかなえるための政策があり、その政策を実現するために候補者を選定して当選させる。議会でそうした候補者が多数派を形成して権力を握り、政策を実現させていく」。この点で、「日本には共産党などを除くと政党らしい政党は事実上ない」(『中央公論』9月号の対談片山善博氏(慶大教授))、
「二大政党はどっちかというと現職議員のクラブ」「政党の体をなしていない」「いろんな(政治)塾が立ち上がるけど、結局、既成政党と同じ事をやっている」(片山善博氏)と批判し、「本来の政党をつくろうという動きがあってもいい」と問題提起。「“自前で組織を”と政党助成金を拒否している共産党はまさにそういう組織論を主張している」(司会の島田敏男NHK解説委員)と応じ、「政党が足腰をきたえること」が今後の政党の課題だという議論が、出席者の間で交わされました。(7月15日のNHK「日曜討論」)
党利党略、個利個略に明け暮れ、国民、有権者から遊離して「浮き草」化してしまった政党や政治家。そんななかで、(日本共産党の地方議員は2743人(8月27日現在)、全国2万余の党支部が、日常的に国民と結びついて活動しています)自前の「草の根」の組織を持ち、「草の根」の国民の声を国政につなげようとまっとうに努力する日本共産党の姿が「本来の政党」「政党らしい政党」の姿として注目されているのです。http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-09-02/2012090201_01_1.html
(引用ここまで)
と述べている。
6.「だが」というか、「だからこそ」というか、国民の中における日本共産党の「存在感」について、感想的に述べてみよう。共産党が存在しているからこそ、脱原発の運動はここまで発展してきたし、消費税増税に反対する国会内外の運動も発展し、問責決議まで到達しただろうし、オスプレイ配備反対についても大きく発展してきたのは、沖縄県民のたたかいを全国に広げるうえで日米安保廃棄を掲げる日本共産党の役割は大きいだろう。こうした役割は国民の要求を全国各地の2万の草の根から取り上げ、国政に結びつけていることが大きな要因だろう。このことは谷垣氏も認めるように、誰もが認めるところだろう。だか、片山氏の言うように「権力」を握るためには、現在の日本共産党の「志」はどうだろうか?それで国民的共感を得ることはできるだろうか。かつて820万もの国民が支持したのだ。その人たちの支持を呼び込むことはできるのだろうか。そのためには、何故820万人が離れていったか、だ。
7.そこで、昨日のNHKの党首インタビューを見た。一番全うなことを言っているのは志位委員長だった。だが、これで、きたるべき二つの国政選挙で前進できるか、疑問に思った。それは総選挙は「すみやかに解散・総選挙を求める」と言って「『五つの大罪』」の根本には、『アメリカ言いなり・財界中心』という政治のゆがみがある。これを断ち切る改革に取り組んでこそ、展望が開けてくる。このことを大いに訴えて躍進をめざしたい」と述べていた。だが、この「断ち切る改革」に「取り組む」というが、どう取り組むか、また「躍進」を実現してしてどのように「取り組む」か、そして「展望を開く」のか、これだけでは見えてこない。こういう発言をしている共産党のアピール度は、国民の中でどうだろうか、という理由からだ。共産党隠しが横行し、マスコミ頼みの「風」などありえない、草の根で起こしていくというのが現状だろうが、それにしても、国民へのアピール度はこれで十分だろうか。820万人に届くだろうか?
8.共産党のアピール度に対して、メディアを賑わしている橋下維新の会の「維新八政」に対する東京の街頭インタビューをテレビ朝日がやっていた。珍しいことに、その期待度はイマイチどころか批判的なものが多かった。これは、民主党の政権公約のデタラメさに辟易している有権者のムードやテレビ朝日の報道姿勢や東京における維新の会に対する一定のムードを反映していたのだと思う。そのなかで、印象的だったのは、「八策は実現できない政策と思うが、それでも期待してしまう」という女性の声だった。
9.選挙というのは、こういう有権者のムードによって票が動くことが多いのではないか。誰もが確信をもって、理論的に整理されて、政党を選択するのではないということだ。確かに理論的にも実践的にも曖昧な、反国民的な政策などが、国民の支持を獲得し続けることないだろう。このことは民主党で証明された。だが、国民の「期待」をどう投票につなげていくか、民主党の政権公約に期待して投票した有権者の行動から、学ぶべきことは多いはずだ。
10.疑問に思ったもう一つの理由は、共産党の主体的な問題だ。今日の「赤旗」によれば、昨年7月から取り組んできた「大運動」の党員拡大の目標達成率は36%、日刊紙と日曜版の到達点は前回総選挙比で、それぞれ89.8%、86.6%だという。7月度は、日刊紙も日曜版も全都道府県で前進し、前進幅も「大運動」期間中最大となり、4ヶ月連続前進となりました、とある。しかし、8月度は日刊紙532人、日曜版は1026人とわずかに後退とある。増やしても増やしても新聞は減っていくという「現実」とたたかっているのが、現在の日本共産党だ。だが減っているのは「赤旗」だけではない。
11.その共産党は「いかに国民運動が高揚し、日本共産党が大きな役割を果たしても、党を大きくしなければ選挙では勝つことができない」という考えから、「わが党にとって。現瞬間での最大・最良の選挙勝利への道は、党勢拡大目標を総達成することに、わき目をふらずにとりくむことにあります。そのなかで、選挙勝利のための大量宣伝、対話、支持拡大を情勢にふさわしく自覚的に推進するようにしましょう」と述べている。
12.こうした考えで、共産党は活動し、総選挙をたたかおうとしているのだと思うが、それで有権者の心を捉えることはできるだろうか。これについては「優先順位」が違うのではないか。共産党ほどの組織のない各政党が、共産党以上に得票を伸ばしているのは何故か、だ。「政権選択選挙」「政権交代」で共産党が脇に追いやられた戦略、「増税の前にやることあるだろう」と主張して「躍進」したみんなの党も、いまや分裂状態だ。これをみれば、一時の「政策」や「アピール度」が偽者だったことが判るだろうが、それにしても、テレビが持ち上げたことも事実だが、共産党以上に票を獲得した、有権者のこころを捉えた選挙活動だ。教訓とすべきは。今、その対象は維新の会に向けられている。
13.共産党は、以下の「政策」を「提言」している。
原発からのすみやかな撤退、自然エネルギーの本格的導入を 国民的討論と合意をよびかけます
(2011年6月13日)
http://www.jcp.or.jp/web_policy/2011/06/post-4.html
消費税大増税ストップ! 社会保障充実、財政危機打開の提言(2012年2月7日)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2012-02-08/2012020803_01_0.html
日米安保条約をなくしたらどういう展望が開かれるか全国革新懇総会 志位委員長の記念講演(2012年5月12日)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-05-13/2012051301_01_1.html
尖閣諸島問題 日本の領有は歴史的にも国際法上も正当――日本政府は堂々とその大義を主張すべき――2010年10月4日 http://www.jcp.or.jp/web_policy/2010/10/post-22.html
これらの政策こそ「既成政党」の「枠組み」を打ち破る「提言」だ。だが、マスコミはこれらをほとんど無視している。だから、とても国民的話題になることはない。だから、「赤旗」を増やせということになるのは当然だろう。だがマスコミが取り上げないことだけが問題かというと、必ずしもそうではないのではないか。今共産党に最も求められているのは、「野党」ではなく与党としての政権担当能力を国民にアピールすることではないだろうか。
NHKの党首インタビューでは日本共産党が政権を取ったら、領土問題でも、TPPでも、消費税でも、社会保障でも、原発ゼロでも、「こういうふうにやります」という主張だ。単なる「提言」ではないのだ。
14.もう一つある。政権担当能力を示すためには、他の勢力とどう連携していくか、このことも大きなウエイトを占める。今度も国会内で「増税阻止」の「一点共闘」によって問責決議が成立した。これは国会外の国民の世論と運動が反映したのだろう。このことを他の課題でも活かしていくのだ。全国300の小選挙区で、地域ごとの課題で選挙の「一点共闘」だ。運動は展開されているが、これを選挙に発展させるのだ。共産党の株が上がるのは必至だろう。アピール度も増すだろう。
例えば、以下の記事を選挙で活かすのはどうだろうか。
官邸前行動 志位委員長の訴え2012年9月1日(土)
一つは、政府のエネルギー政策についての「国民的議論に関する検証会合」が「総括(原案)」を発表しまして、そのなかで、“国民の過半数は原発ゼロを望んでいる”、このことを政府が認めざるを得なくなりました。(拍手) 寄せられたパブリックコメント(意見公募)の中でも、8割が再稼働に反対し、原発の即時ゼロを求めている。このことが明らかになりました。(拍手) みなさん。民意はもう明瞭ではないですか?(いっせいに「そうだ」の声、拍手) ところがこういう結果が示されているのに、野田首相はNHKの「クローズアップ現代」に出て、「さまざまな意見を聞いていく」と言うんです。おかしいじゃないですか。さまざまな意見を聞いた結果がこういう結果になっているんですから、逃げないで、「原発ゼロの日本」の政治決断をただちに行えhttp://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-09-01/2012090104_03_0.html
原発ゼロの日本へ踏み出そう 各界56氏アピール 革新懇のよびかけに応え
2012年9月1日(土) 「私たちは、原発の再稼働に反対し、『原発ゼロの日本』へ踏み出すことを求めます」―「全国革新懇ニュース」編集部のよびかけにこたえて、各界で活躍する56氏が31日、原発ゼロの日本をもとめるアピールを発表しました。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-09-01/2012090101_01_1.html
「緑の党」きょう発足 参院選に候補者擁立へ (2012/07/28 06:40)
脱原発など環境保護や平和主義を前面に打ち出す日本版「緑の党」が28日、発足する。政治団体「みどりの未来」(事務局・東京都杉並区)を発展的に解消、来年夏の参院選の比例代表を中心に、原発事故があった福島選挙区などに10人の候補者を擁立、国政進出を目指す。 緑の党は、1970年代に豪州で始まった自然保護の政治運動がルーツ。その後、欧米を中心に広がり、現在、世界約90カ国に緑の党を名乗る政党やグループがあるという。中でもドイツでは98年から2005年まで連立政権に参加、環境政策を進めて閣僚も出した。昨年の脱原発法成立にも影響を与えたとされる。 日本版の母体「みどりの未来」は、地方議員のネットワーク「虹と緑」などが中心となり08年に発足。会員・サポーターは950人に上る。兵庫県からは、稲村和美尼崎市長をはじめ、地方議員経験者、環境政策コンサルタントらが参加。緑の党発足とともに解散する。 稲村市長は党に合流しないが、「政党に対する不信感が強まる中、市民感覚に基づいた新しい選択肢を示すことで、政治への信頼感を取り戻してくれることを強く期待する」とコメント。サポーターとして応援していくという。今月、尼崎市選出の県議らが立ち上げた地域政党「みどりの未来・尼崎」も連携を図る。 結党総会は28日午前から都内で開く。杉並区議や新潟市議ら4人を共同代表に選出、規約や基本政策などについて話し合う。(白倉麻子、霍見真一郎)http://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/0005247398.shtml
全国農政連「TPP阻止情報交換会」志位委員長のあいさつ2012年8月30日(木)
日本共産党の志位和夫委員長は29日、東京都内で開かれた全国農業者農政運動組織連盟の「TPP交渉参加阻止に向けての情報交換会」であいさつしました。その内容は次のとおりです。
たたかいは重大な正念場
日本共産党を代表して、心からの連帯のごあいさつを申しあげます。 まずTPPをめぐる現状ですが、野田政権は、4月の日米首脳会談、6月のG20サミットでのTPP参加表明を画策してきましたが、国民の強い反対に直面して、先送りをせざるを得なくなりました。さらに今日の報道では、9月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)での参加表明についても「困難」「見送り」などと報じられています。 しかし一方で、日本経団連は、「遅くとも年内にはTPP交渉に参加しなければならない」として、野田政権に早期の参加表明を強く迫っています。 そして、野田政権は、表向きは「情報収集」といいながら、国民に隠れて実質的な交渉をすすめ、なし崩し的にTPPに参加しようとしています。 いまたたかいは、重大な正念場にきています。私は、TPP参加を断念させるまで、みなさんと力をあわせて、総力をあげて頑張り抜く決意を申し上げるものです。
TPP参加反対を国民の圧倒的世論に
最大のカギをにぎっているのは、国民の世論と運動です。(拍手) 先週、私は、日本医師会の横倉義武会長と懇談する機会がありましたが、横倉会長は、TPPに参加すれば、医療への株式会社の参入、混合診療の全面解禁、薬価の引き上げなどが押し付けられ、国民皆保険制度が空洞化する恐れがあるとして、「日本医師会はTPP参加に全面反対」という立場を表明されました。 「医食同源」という言葉もありますが、日本の食をあずかる農協のみなさんと、医療をあずかる医師会のみなさんが、TPP全面反対で頑張っているのは、心強いかぎりであります。(拍手) 昨日の「朝日」の世論調査では、6割の人が「TPPに参加すれば農業に悪影響」と答え、「日本経済全体に悪影響」と答えた人が多数となり、TPP参加の賛否が4割前後で拮抗(きっこう)するところまできました。 TPPに参加すれば、農業が壊され、医療が壊され、雇用が壊され、食の安全が危険にさらされ、そして経済主権そのものが奪われ、国民にとって「百害あって一利なし」だということを、広く国民の共通認識にし、反対の声を国民の圧倒的世論にして、この亡国の企てを阻止するために、最後まで頑張り抜こうではありませんか。(拍手)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-08-30/2012083004_01_0.html