愛国者の邪論

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沖縄革命をスルーしながら、民自維新に国家像を描けと説教する全国紙の反国民的国家像を正す!

2012-09-12 | 日記

沖縄革命が起こったにもかかわらず、「朝日」と「赤旗」以外はだんまり。ところが今日付けの「東京」社説に「オスプレイ反対 沖縄県民の『声』よ、届け」が掲載された。

だが、「野田佳彦首相は全国に連帯が広がりつつある沖縄県民の声と怒りを受け止め、米政府にしっかりともの申すべきである。民主党代表選、自民党総裁選が行われ、新しい党首が選ばれる。米国や官僚言いなりの指導者は、今の日本には、もはや必要ない」とする内容はあまりに…だった。

ま、他の新聞が「黙殺?」しようとしているなかで、社説に掲載したことそのものは大アッパレだ。そうした意味で、「黙殺」し続ける、恥ずべき全国紙と地方紙だが、民主党代表選や自民党の総裁選、日本維新の八策に対して、皮肉なことに、どこの全国紙も共通して語っていることがあった。

それは「選挙の顔選びより、政策・理念・国家像を描け」の大合唱だった。だが、政党が「選挙の顔」選びに終始するようになったのは何故か。マスコミの小選挙区制と二大政党制の扇動の結果ではなかったのか。

確かに民主党は綱領すら持っていない。自民党は憲法改悪案を提示した。維新の会は、国家像らしきものを掲げ、マスコミ受けする内容を小出しにしながら、注目をひきつける戦術で、もうとっくに馬脚を現しているのに、維新の会の手法であることを承知しながら、依然として第三極として位置づけ、追っかけ報道をしている。橋下維新の会の手法であることを気づきながら、だ。そのマスコミに「国家像を描け」と言われてしまった。

ここ数日の間に、全国紙が掲げた社説のテーマだ。以下一覧してみた。

朝日 民主党代表選―自画像をさぐる場に(9月11日)
毎日 民主代表選始まる 党の危機自覚し議論を(9月11日)
読売 民主代表選告示 日本再生へ責任ある論争を(9月11日)
産経 民主党代表選 原発とTPP明確にせよ(9月11日)
東京 民主代表選告示 「野田政治」徹底検証を(9月11日)

毎日 谷垣氏出馬断念 論戦もせずに撤退とは(9月11日)
産経 谷垣氏不出馬 政権どう担うか知りたい(9月11日)
読売 自民党総裁選 「野党ぼけ」の克服が急務だ(9月12日)

読売 民・自の党首選 「決める政治」への道筋を語れ(9月7日)
日経 選挙だけを意識した党首選では困る(9月8日)
産経 ダブル党首選 まずは国家観を聞きたい(9月8日)
東京 民・自党首選 理念・政策を競い合え(9月8日)
日経 代表選で「決める文化」を培え(9月11日)

読売 大阪維新の会 大衆迎合的な公約が気になる(9月4日)
産経 日本維新の会 「二足のわらじ」は無理だ(9月9日)
日経 維新の国政進出は準備が十分なのか(9月9日)
東京 「維新」討論会 丁々発止でやってこそ(9月11日)
朝日 日本維新の会―国政で何をするのか(9月12日)

さて、これらの全国紙の社説を分類してみた。ポイントとなるものを4つあげてみた。

1.「次の党首は誰が相応しいか」などの世論調査をすることで、党首=「選挙の顔」と煽ってきたのに、「国家像などを語れ」「政策・理念を語れ」と叱咤激励している。

<朝日>
物足りないのは、4氏の口から明確な国家像、社会像が聞かれないことだ。民主党の低迷で救われてはいるが、将来ビジョンを描けない点では自民党も同じだ。有権者が見ているのは、新しい両党首の「顔」だけではない。それを忘れてはならない。

<毎日>
混乱の帰結と言えばそれまでだが、党の崩壊を阻止したいのであれば「なぜ民主党が必要か」を改めて国民に説明できなければなるまい。これまで民主党の代表選は小沢一郎氏を軸とする権力闘争や多数派工作に関心が向けられがちだった。たとえ構図は無風であっても、党の外では世論の冷たい風が吹きすさんでいる。党の危機を直視した政策論争を求めたい。

<読売>
党の体制を立て直し、国民の信頼を回復するためには、民主党政権の3年間を総括し、責任ある政策論争を展開することが肝要である。政権を奪還した後に自民党は何をどう実現するのか。日本のかじ取りを目指す以上、見識や政策で競い合うべきだ。国家観、基本政策、リーダーとしての資質が競われなければならない。党内だけでなく、相手の党も意識した論戦になるだろう。無論、両党は直面する課題への政策論議を深めねばならない。野田、谷垣両氏に対抗馬が出るのは、衆院選での生き残りを懸けているからだ。両党首選の最大の眼目が「選挙の顔」にあることは否めないが、政策が尺度とならないようでは本末転倒である。

<日経>
国会審議そっちのけで、政界の関心は民主、自民両党の党首選に移っている。気になるのは「選挙の顔」選びの動きばかりが目立ち、政策論争が脇に置かれていることだ。首相が代表選で説得力のある公約を示し、態勢を立て直せるかどうかが課題…。自民党でも「選挙の顔」の観点が重視され、政策は二の次といった感がある。国政選挙で「党首力」が重要性を増しているのは確かだが、人気投票では困る。国の行方を左右する経済成長戦略やエネルギー戦略などについて、しっかりとした政策論争をしてもらいたい。この代表選を通じ、未熟な政策決定システムのあり方などを徹底的に議論し、党内に「決める文化」を根付かせる必要がある。

<産経>
いずれの党首選も、次期総選挙の「顔」を決める選挙だ。その結果が政権の継続か、あるいは政権奪回かなど政界の大きな動きにつながっていく。ここは、徹底した政策論争こそ重要である。最高指導者を目指す各候補には、「自らの国家観」を語ってほしい。民主党代表選が告示された。21日に選ばれる新代表には「決められない政治」からの脱却に向けた指導力を求めたい。 民主党はこれまで党内融和を最優先し、主要政策を曖昧にしてきた。政権党に求められるのは、遠い将来の「理想」を語ることではなく、「今日、明日のエネルギー」をどう確保するかだ。民主党政権への批判の受け皿だけでは自民党支持は広がらない。民主党に代わり日本をこうするという具体案が求められている。だが、政権を奪回して何をするかよりも、派閥や世代の利益を優先させる発想がいまだにあるなら残念だ。生まれ変わった自民党とは到底いえまい。

<東京>
次期衆院選の「顔」を選ぶ内輪の選挙だが、国民には次の首相候補を吟味する機会でもある。どんな日本を目指すのか、理念・政策を競い合ってほしい。政策の実現を目指すために、選挙でより多くの議席を得ようとするのは、政党としては当然だ。しかし政策の吟味抜きで、ただ選挙のために党首を代えようというのなら国民を愚弄(ぐろう)している。
総裁に挑むなら、理念・政策の違いを明確に説明すべきだろう。新総裁は次期衆院選後に首相になる可能性が高い。その重みにふさわしい、理念・政策を堂々と競い合う選挙戦としてほしい。

2.問責決議で明らかになった国民無視の民自公3党合意に対する態度は各社によってはっきり分かれた。「東京」以外は評価だ。

<朝日>
一体改革法の成立は、野田政権の最大の成果だが、今度は逆に自民党との違いが見えなくなってしまった。党内から「自民党野田派だ」といった批判が起きるのも、「何をめざす党なのか」がわからなくなった悩みの表れといっていい。自画像を描き直すのは簡単ではあるまい。だが、一体改革と原発問題に、ひとつのヒントがあるのではないか。

<毎日>
紆余(うよ)曲折を経ながらも、消費増税を中心とする税と社会保障の一体改革に関する民主、自民、公明3党合意に谷垣氏が踏み切ったことを私たちはこれまでも高く評価してきた。ところが、こうした政策面での実績は自民党内でほとんど評価されなかったようだ。これまでも注文してきたように、民主党と自民党のダブル党首選は、先の3党合意をきちんと軌道に乗せるための選挙にしなくてはならないと私たちは考える。

<読売>
消費税率引き上げを柱とする一体改革関連法の成立は、野田政権の歴史的な業績だ。衆参ねじれ国会の下、「決められない政治」を脱却する一歩でもあり、首相が民自公路線を継続していく姿勢は評価できる。両党首選の焦点の一つは、社会保障と税の一体改革などで実現した民主、自民、公明の3党による合意路線を今後も維持していくのかどうかである。

<日経>
首相は谷垣氏の不出馬にかかわらず、社会保障と税の一体改革に関する民自公3党の合意は継続されるとの認識を示した。両党の党首選では3党合意の扱いや、今後の政権の枠組みも争点になる。

<産経>
社会保障政策についても、3党合意をどう実現していくのか明確にすべきだ。民主党はいまだに莫大(ばくだい)な税財源を要する「最低保障年金」にこだわりをみせるが、膨張する年金、医療、介護費用をどう抑制させるのかとの問いから逃げてはならない。

<東京>
首相が「政治生命を懸ける」と言明した社会保障と税の「一体」改革関連法は成立したが一体改革とは名ばかりで、社会保障の抜本改革は先送りされ、政府と国会の「身を切る」改革も手付かずだ。首相が「近いうち」と約束した衆院解散も、その前提となる衆院「一票の格差」是正もずるずると先延ばしされ、結局、衆院選マニフェストに反する消費税増税だけが既成事実化しつつある。

3.散々持ち上げてきた橋下「維新の会」、だが、自身の政党化のなかで、少し風向きが変わったか、その政策とその連携について、今さら何を言うか、だが、手放しで評価はしていない。いやできなかくなったというのが正直なところだろう。既成政党VS維新の構図が破綻したことを物語る社説一覧だ。

<朝日>
大阪都の実現を最終目標におく地域政党が国政で何をめざすのか。今なお具体的な政策はみえてこない。参加する議員も、所属政党でできなかったことがなぜ維新ならできると思うのか、きちんと説明する責任がある。それがなければ、橋下人気目当てに集まったとの批判は免れまい。維新がめざす国とはどんなものか。討論会は今後も続けるという。その姿が見えるまで何度でも開いてはどうか。価値観の一致を確かめるなら、参加する議員は合流ありきで討論にのぞむべきではない。橋下政治は本物か、議論を挑む議員がいてもいい。そこまで公開してこそ、既存政党との違いが出るだろう。

<毎日>
突き詰めれば、衆院選を控えて新しい「選挙の顔」を求める党内の声に、谷垣氏は抗し切れなかったということなのだろう。政策や実績より優先されるのは人気。近く国政政党を結成する大阪維新の会の動向におびえる姿がここにある。

<読売>
「日本の国の仕組みを変える」と訴える維新の会が、こうした大衆迎合色の濃い公約を提起している点は、気がかりだ。
維新八策は環太平洋経済連携協定(TPP)への参加を打ち出すなど、評価できる点もある。一方で、思いつきのように見える公約も目立つ。たとえば「衆院議員定数の半減」だ。維新の会代表の橋下徹大阪市長は、小選挙区を統合して拡大し、国会議員が外交・安全保障など国全体を考えるようにする必要があると言う。

<日経>
「維新八策」と呼ぶ公約の内容を含め、よく見極めたい。明確な理念が感じられないものが多い。話題を集めれば十分との甘えがないだろうか。浮ついたブームでなく、しっかりした中身で既成政党を脅かしてもらいたい。

<産経>
国家運営が首相でなく大阪市長の意思で行われるなら、憲法の否定にもつながりかねない。

<東京>
八策には将来のビジョンと、政権を取ればすぐ実現可能な政策が混在している。八策が「綱領」であるとしても、選挙までには、これを基にした公約を示さなければ、有権者は戸惑う。

4.国家像を明確に語ったのは「産経」、特に日米安保について、その不平等性を正直に語ったことは面白い。以下掲載しておこう。

<産経>
尖閣諸島や竹島をめぐる主権・領土の危機感の高まりから、これに対処可能な外交・安全保障政策の構築は喫緊の課題だ。集団的自衛権の行使はその鍵で、日米安保体制下で両国が対等な相互防衛を確立するためにも必要である。(引用ここまで)

このことは、日米安保条約は、対等な相互防衛を確認したものではないこと、不平等・屈辱性を持った条約であることを「産経」自身が述べたことを意味している。だからこそ「対等」を謳っているのだ。屈辱的不平等性のある条約を廃棄するのではなく、「相互防衛の確立」を主張しているのだ。

「従軍慰安婦」に関する河野談話否定は、そのアメリカから何を言われているか、「産経」自身が良く知っているからこそ、「産経」なりに「対等」に物を言うことができないのだろう。「産経」の卑屈さが証明された。

さらに言えば、集団的自衛権の行使、河野談話否定、原発推進、TPP参加などなど、だ。まさにこれまでの自公政権と同じ路線を民主党に迫るものだ。「朝日」に言わせれば、「自民党との違いが見えなくなってしまった」ということだ。この路線を忠実に推進しようとする安倍元首相、それとの連携を模索する橋下「日本維新の会」などなど、まさに、二大政党政治が破綻したことと、維新の会の反動的保守的体質が浮き彫りになってきたことが「産経」によって改めて証明されたと言えよう。

以上、これらの社説に共通しているのは、日本国憲法に基づく国家像の探求ではなく、日米安保条約=日米軍事同盟を容認し、その本質的側面である屈辱性・従属性を打ち破るために日本国憲法を使うのではなく、日本国憲法をないがしろにしながら、曖昧にしながら、国家像を説教する日本のマスコミの体質がある。ここには沖縄県民や日本国民への冒涜がある。

こうした状況を放置したまま、さらに言えば、タブー視したままでは、本当の意味での「決められる政治」は程遠い。マスコミの手練手管によって悪政を「決める政治」はできるかもしれないが、国民のための政治を「決める政治」との対決は、必ずやって来ることだけは確かだ。このことを強調して、終わりとする。

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