ロムさんへ
コメントありがとうございました。どれもこれも、仰るとおりです。問題意識は一致するところが多いように思います。ご質問もありますので、感想を含めて、まとめてみました。
まず共産党について
>「的外れ」が多く、やはりこの人たちは本質的に分かっていないと思います
仰るとおりですね。特に1月24日、学習・教育局長山谷富士雄「情勢の大局をつかみ国民のなかへ」の論文・訴えが出され、それを読み、「中央は判っていないのではないか」「このままでは参議院選挙も同じ結果になる」との思いをいっそう強くしました。
簡単に理由をあげますと、
1.「情勢の大局的な流れに確信をもち、ねばり強く国民に働きかけていく、そこに党の役割があることを認識してもらうこと」と言うことのウラに何を言っているか、判っていませんね。
2.「国民との結びつきを強める努力と一体に、情勢をきりひらく根本の力、党勢拡大の前進のために手立て」というのであれば、「党勢拡大の前進」がない限り共産党の国政選挙における躍進はない、とうことを認めてしまっているのです。これでは民主連合政府は「遥か遠くになりにけるかも」でしょうね。
3.「支部が主役」と言いながら、支部が属している職場や地域、学園で、国民の要求実現の運動を多様に展開しているかどうか、共産党の幹部の発言などを紹介している「赤旗」を見る限り判りません。
因みにどれだけの支部が、また地区委員会がホームページを開設し、それぞれの地域の単位として責任を持った運動を展開しているか、不明です。「草の根」は拡大の下請け「機関」化しています。
4.車の両輪の一方だけ強調しているのですから、まっすぐに進む訳がありません。
5.要求実現の大切さを強調していますが、実際は全国情勢の「要求」実現運動しか、「赤旗」に掲載されていません。新自由主義が国民生活の隅々にまで貫徹しているのですから、そこには多様な要求が蔓延しているはずですが、それらの要求を根こそぎ拾い上げ、地方議会や国会、行政や国、企業に、住民とともに持ち込む運動ができていない、というか、紹介されていません。
共産党は「住民が主人公」「国民が主人公」というスローガンをよく使っています。これは未来社会における「生産手段の社会化」を展望したスローガンだと思いますが、そのためにも、現在において、「主人公」を実現していくために、何を準備していくか、具体的にしていく必要があるでしょう。
それは何かと言えば、「住民自身が要求実現のために、政策をつくり、運動し、行政や国家や企業を変えて、要求を実現していく」「政治的組織的民主主義的訓練」をしていく、このような視点で、「支部が主役」の活動を展開していくこと、このことこそが必要でしょう。
>佐賀県の唐津市会議員選挙、感動的な実例が紙面に登場しました。
確かに、この活動は感動的でした。しかし、今の共産党には、これしかない!?ということですね。1面に掲載されたことが、共産党自身の驚きぶりを示しています。
井上さんは27歳、しかも2011年12月に入党して、昨年9月に立候補を決意。立派です!かつては、このような若者がたくさんいたように思います。
しかし、中央や多くの党員の皆さんは、この「勝利」の意味を判っているのでしょうか?それは以下の記事を見ていて思いました。
「浦田市議は、地域住民の要求を真摯に聞き、その実現・解決のために努力してきました」とありますが、具体的に判りません。判るのは、「若い世代が働けるよう唐津を活性化したい」「何歳になっても安心して暮らせる町にしたい」「若い人の仕事を増やして」「TPPなんかやられたらもう農家はやっていけない」「旧唐津市中心部に偏りがちな施策を批判」「周辺部も農林業で生活できる社会をつくろう」「再生可能エネルギー導入で雇用を生み出す展望」というものですが、この「住民の要求を真摯に聞」いて、「実現・解決のために努力し」た中身です。問題なのは。このことが解明されない限り、参議院選挙は同じことになります。「局地戦の勝利」と「大戦の勝利」を結びつける戦略・戦術が、これまでの「赤旗」を見る限りできていません。
>小選挙区制度下の選挙闘争の方針が間違っていることが証明されているわけです。「高度に発達した資本主義」での闘い方をもう一度洗いなおしていただきたい
この唐津方式を小選挙区制度下の運動に適用することと「大局における勝利のための戦略」を結びつけることです。それはロムさんの仰る、「『社会主義への不安感』をぬぐい去る、ここから始めるしかないのです。それは中国共産党と真摯に向き合い国民に語ることしかない」ということと、「一点共闘」にねざした「限定的暫定政権=よりまし政権」構想の提起だと思います。
歴史認識と歴史教育について
>今日の朝日の紙面「政治断簡」…
全く仰るとおりです。「朝日」は1月16日付けの34面(教育欄)に「歴史教科書を教師の手で」「約30人は研究重ね出版社設立へ」で紹介しましたが、このレベルにもならないお粗末そのものでした。
>日韓の歴史学者などが双方の歴史的事実と解釈で報告書としてまとめたものがあります、
仰るとおりです。安倍首相は、侵略戦争か、否か、を問われ、「歴代首相の後世の史家に任せる」との認識を示していますが、国際社会では通らない馬鹿げた思想です。こういう政治家を選択する国民こそ問題にしなければなりませんが、これもアメリカが天皇制を容認したことが大きいと思います。こうした事実をどのように国民的認識にしていくか、まさに歴史学と歴史教育の課題でしょう。
以下の書籍が、多くの国民が、教師が、学生が読み、特に授業で使われることを願っています。
歴史教育者協議会(日本)・全国歴史教師の会(韓国)編『向かいあう日本と韓国・朝鮮の歴史』上下』(青木書店)
日中韓3国共通歴史教材委員会編『日本・中国・韓国―共同編集 未来をひらく歴史 東アジア3国の近現代史』(高文研)
日中韓3国共通歴史教材委員会『新しい東アジアの近現代史』(日本評論社)
しかし、いくつものハードルがあります。
一つには、「教科書をつくっても、実際に子どもの手に届くには、学習指導要領や検定基準をふまえた内容で内容で検定に合格しなければならない。さらに教育委員会に採択されなければいけない」「朝日」(16日付)
二つには、このような「資料」「教科書」を現場の教師が選択できるかどうか、学校長の縛りもあります。
同時に三つ目には、進学重視の学校で、超底辺校の学校で、どのように使っていくか、教師の主体的な問題です。
以上のようなハードルは、実は、大坂市立高校の「体罰」=「暴力指導」とも密接に関連していると思います。
大阪と大津の市長と教育委員会に共通していることについて
大変難しい問題で、簡単には言えない問題ですね。戦後の教育史、教育行政史などについて語らねばならないからです。とても荷が重い課題です。しかし、せっかくですから、挑戦してみます。
>大阪も大津も学校教育界・教育委員会の本質、私には言葉が見つからなく言葉に尽くせない。橋下市長の強引な政治手法か大津の手法か、今回「実例」が明確に出されたと解釈しています。教育と政治の歴史的関係は戦前の反省から理解しています。要は大阪市、これまで共産党があらゆる分野で闘ってきても解決できなかった事態実例を「足蹴にした手法」で解決し始めています。無論逆の事態の方がはるかに多く進行しています。教育員会への対応どう思いますか。大津の実例は越市長だから出来たと思います。ここにも首長選挙の現代的課題が見えるのですがいかがですか。
まず首長選挙で勝利することの大切さは、60年代から70年代の、いわゆる「革新自治体」づくりに成功したことで証明されています。例えば、京都の場合、蜷川民主府政下の教育委員会行政は、組合や各種教育団体を敵視せず、子どもの学力と評価のあり方について、相対評価とは違う到達度評価について、教育の専門家などとの共同研究が行われていたことに象徴的です。
http://toutatsudo.sitemix.jp/youroku.html
http://web.kyoto-inet.or.jp/people/hase_314/toutatsu/rule21.htm
地方自治体の首長の許認可権限の強さを住民のために使うか、どうかですね。最近では沖縄の宜野湾市長選挙や名護市長選挙などが好例です。
次の問題は、教師、学校、特に校長、教育委員会、この場合は「地方公共団体の長が、議会の同意を得て、任命」された教育委員としての「教育委員会」と、「教育委員会の権限に属する事務を処理させるため、事務局」としての「教育委員会」、これらが「文部科学大臣は都道府県又は市町村に対し、都道府県委員会は市町村に対し、都道府県又は市町村の教育に関する事務の適正な処理を図るため、必要な指導、助言又は援助を行うことができる」文部(科学)省・大臣を頂点とするピラミッド型を支えるものとして存在していることについて、です。以下の法律はそのことを示しています。
地方教育行政の組織及び運営に関する法律
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S31/S31HO162.htm
この構造を抜きに、今回の問題を語ることはできないと思います。マスコミも、橋下市長も、下村文部科学大臣も、この法律にもとづいて仕事をしていたであろう「教育委員会」を「指導」「助言」「援助」ができていなかったからこそ、問題の防止、発生、隠蔽など、すべてに関わっていたはずなのに、このことにいっさい触れていないのです。
全く無責任ですし、マスコミも免罪していると思います。ここに橋下市長のネライ(=敵をつくりだしてマスコミを使ってバッシングし、職員や住民の人権侵害行政や教育を行う彼のネライが貫徹してしまう危険性が透けて見えてきます。
以上のことをふまえて、ロムさんのご質問に応えるとすれば、
大阪の場合は、現場の「自浄力」で解決すべき問題だと思います。現場の「自浄力」のなさを突いている橋下市長ですが、現場の「自浄力」を破壊しようとしてきたのは、他ならぬ橋下府知事・市長です。文部科学省、政府です。だからこそ、現場を尊重すべきなのです。労働組合の教育力・現場の教育力の再生復活です。
しかし、今日のニュースをみると、桜宮高校のカリキュラムは教育委員会が説明したようですが、高校生、中学生の要望や職員の意向など無視したもので、教育の自主性という教育の根本からは、真逆の教育施策が行われました。現場を無視したカリキュラムで何を教育しようとするのでしょうか?しかも付け焼刃です。そんなに簡単にできるものなのでしょうか?学校のカリキュラムは?
もしこれが許されるとすれば、今後問題を起こした学校のカリキュラムは、同じ手法で作られることになります。ということは、これまでのカリキュラムづくりは何だったのか?です。勿論これまでのカリキュラムがすべて良いと言っているわけではありません。
もう一つは大津市の例です。第三者機関に委託して、尾木直樹氏なども参加して「真相解明」が行われました。しかし、これとて、現場の「自浄力」を抜きにした「やり方」という点では大阪の場合と同じです。そういう意味では、今後のことを考えると厳しい評価をせざるを得ません。戦前の「訓導」主義の再来を予想するからです。
現在各学校に設けられている「学校評議会」なるものがありますが、これらの人選をみると、どうも怪しいと思わざるを得ないのです。
学校評議員について
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakko-hyogiin/index.htm
学校評議会
大阪府の学校評議会
http://www.pref.osaka.jp/kotogakko/hirakaretagakkou/gakkoukyougikai.html
大阪市立学校活性化条例について
http://www.city.osaka.lg.jp/kyoiku/page/0000180264.html
学校運営協議会の権限は?
http://www.minpokyo.org/activity/2011/10/819/
教育の営みは、上から目線の命令・指導ではなく、教職員の自主自立の尊重が、生徒の自主自立の土台であるからです。戦前と戦後の決定的違いがここにあります。天皇の官吏として、天皇のために死ぬことを教える教育から、個人の尊厳と個人の人格の尊重主義こそが他人を思いやることに連動していくのです。これこそが民主主義と言えます。
こうした視点が、中教審路線によって形骸化させられてきたことによって形成された子どもらの実態にこそ目を向けていかなければならないと思います。
学校に行けない子どもがどれくらいいるか、いわゆる「落ちこぼれ」た生徒がどれくらいいるか、などなど、全国津々浦々で共通して起こっていることは、教師個人の、学校の責任だけに目を向けても解決できないことは当然です。まさに日本的教育問題の原因・背景、そして責任を明らかにしなければなりません。
まず、第一に、大阪市立桜宮高校のような「特色ある学校」は文部(科学)省が指示してつくってきたことです。中教審路線というものです。
第二に、その最大の特徴は普通教育の理念を形骸化し、多様な学科を時の経済政策に従属させながら、つくっては廃止し、つくっては廃止してきたことです。
第三に、その際のポイントは旧教育基本法に明記された教育の目標と旧学校教育法に明記された小中高の目標に沿って学校目標が立てられ、授業や特別活動などが行われてきたかどうか、です。
http://roppou.aichi-u.ac.jp/joubun/s22-26.htm
ところが、実際は、真逆の教育行政が行われてきた結果が、今日の子どもの実態、教育現場の実態です。
こうした実態を、体罰を容認してきたこと同じように、「受験の学力」優先主義が国民によって容認、支持され、競争主義が徘徊していったのです。予備校や熟の氾濫は、そのことを物語っています。
いい学校からいい企業に行かせるために、熟や予備校に。そのための資金稼ぎのために、親は長時間過密労働にのめりこんでいくのです。家庭の崩壊も出てくるでしょう。勿論すべてではありません。しかし、このようなライフスタイルの被害者が圧倒的ではないでしょうか?家庭の経済力が偏差値格差に比例しているということは70年代から言われてきたことですが、このことは新自由主義の氾濫とともに、いっそう拡大してきたのではないでしょうか?
各県の、いわゆる「特色ある学校」の偏差値一覧を「普通高校」を基準にみれば明瞭です。この偏差値が子どものこころと人生を狂わせていることを、大人はどのように考えるでしょうか?
平成25年度和歌山県立高等学校入学者選抜実施要項
http://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/500200/25youkou.htm
和歌山県 高校偏差値 一覧 2013
http://momotaro.boy.jp/html/KHI%20wakayamakenn.html
特に、以下の偏差値を調べていただければ、今回の問題の本質の一つがわかるのではないでしょうか?
大阪府の高校偏差値一覧
愛知県の高校偏差値一覧
以上長くなりましたが、これくらいで、お許しを!