攻撃一歩手前までに発展してきた日中間ですが、軍事衝突に醸成していくか、平和的解決の道をきりひらいていくか、次第に正念場にさしかかっているように思います。マスコミは中国の「脅威」を煽っていますが、不思議なことに、安倍首相は冷静でした。以下のニュースが象徴的でした。
首相“中国側に冷静な対応求める” 2月7日 19時34分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130207/k10015370401000.html
衆議院予算委員会は、7日から今年度の補正予算案に関する質疑が始まり、安倍総理大臣は、中国海軍の艦艇が海上自衛隊の護衛艦に射撃管制レーダーを照射した問題について「極めて遺憾な出来事だが、対話の窓口を閉ざさないことが大切だ」と述べ、中国側に対し冷静な対応を求めていく考えを示しました。…安倍総理大臣は、「中国側に、政府として遺憾の意を表明し、強く抗議をしている。中国の外交は、関係が悪化をすると対話をすべて止めてしまうが、これは間違っている。問題が起こるからこそ、対話は続けるべきで、国際社会のルールは、お互いに守っていくのが正しい道だ」と述べました。小野寺防衛大臣は、先月30日に起きたレーダー照射の事案について、防衛省から報告を受けたのは、発生から6日後の5日だったことを明らかにしました。これに関連して安倍総理大臣は、「先月19日に起きた事案は、ただちに私と防衛大臣に報告があったが、結果として、中国側のレーダー照射だと認識できなかった。このことで事務方が慎重になり、報告が遅くなったのだと思う。今後は、発生した時点で、私と防衛大臣に報告をさせる」と述べました。さらに小野寺防衛大臣は、レーダーが照射された場所について、「東シナ海の公海上であり、日中中間線の日本側だ」と述べ、EEZ=排他的経済水域の境界に定めている「日中中間線」の日本側だったことを明らかにしました。(引用ここまで)
護憲派は、ここに注目してみるべきでしょう。憲法9条改悪派の、自衛隊の国軍化を狙う安倍首相でさえも、平素は勇ましいことを言っているにもかかわらず、「国際法のルール」と「対話」を強調したのです。笑ってしまいました。しかし、アッパレ!でしょうね。
しかし、これが、憲法改悪のための、「暴走運転」前の「安全運転」段階、車で言えば、ローからセコンド・トップへの予定通りの段階としての物言いであるとすれば、「二枚舌」ということになるでしょう。憲法9条は、国際紛争を武力や威嚇(脅し)、戦争で解決することを永久に放棄したのですから、安倍首相の言葉は、憲法9条の精神そのものと言えます。その点で言えば中国自身が憲法9条違反的行為を行っているということになります。
そういう意味で憲法9条の多様な使い方が、日本国に試されているのだと思います。
ということは、この日中間の「紛争」に対して、憲法9条改悪反対派は、安倍首相の「改憲」論を、ただ批判するだけでは、また、ただ憲法9条の危機や「9条を守れ」式の訴えだけでは、国民の共感と支持を得ていくことはできないということを自覚すべきでしょう。
安倍首相でさえも、「国際法のルール」と「対話」を強調するのですから、安倍首相との違い(勿論一致点もですが)を鮮明にしていく必要があります。
それでは、その「違い」とは何か、です。
社民党のHPを検索してみました。驚くべきことでした。今回の問題について、コメントがないのです。福島党首のツィッターにも、この問題について触れていません。あるのは、以下の記事でした。
広範な改憲阻止の共闘を
自治労の旗開きで又市副党首が提唱 自治労(徳永秀昭委員長)は16日、都内で「2013年新年交歓会」を開いた。…又市副党首は、参院選に込めた安倍政権の思惑について「自公で過半数を取り、できるならばその他の改憲勢力を含めて3分の2を取り、一気呵成(いっきかせい)に戦後レジームからの脱却に突き進みたいというのが本音だろう。これにどう立ち向かっていくのか」と問題提起。その上で又市副党首は「憲法9条を変え、自衛隊を『国防軍』に変えて米軍と一緒にどこへでも行き、集団的自衛権を行使できる国を、と思っている国民はほとんどいないのではないか」と述べ、この憲法改悪阻止のテーマに加えて税財政、社会保障、雇用・労働政策に関わる国民生活の向上および原発依存政策からの脱却の課題を挙げ、「こういうことで意思統一できる政党は可能な限り選挙協力をやり、総体として改憲勢力を阻止する戦い(の態勢)を敷くべきだ」と呼びかけた。(引用ここまで)
こういう感覚で国民から共感と支持を得ることはできるでしょうか?
次共産党について調べてみました。赤旗の2面にありました。
危険な行為 極めて遺憾 中国の射撃レーダー照射 会見で穀田氏
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-02-07/2013020702_01_1.html
日本共産党の穀田恵二国対委員長は6日の記者会見で、中国軍艦が海上自衛隊護衛艦に射撃用の火器管制レーダーを照射していたと政府が発表したことについて聞かれ、「不測の事態を招きかねない危険な行為で極めて遺憾だ」と述べました。 穀田氏は、「『公海』上でというが、場所など状況が不明な点もあり、中国側も調査するといっているので事実をはっきりさせることが必要だ」と述べたうえで、「尖閣諸島をはじめとした一連の緊張がつづいているもとで、不測の事態、つまり軍事衝突をおこしてはならないということだ」と指摘しました。 穀田氏は、「こういった事態が繰り返されないことが必要であり、冷静で理性的な話し合いこそが唯一の解決の道だ」と述べました。(引用ここまで)
共産党は大丈夫でしょうか?何故ならば、「政府が発表したことについて聞かれ」てから「遺憾」だと述べているのです。そうではないのではないでしょうか?
共産党がやるべきことは、
1.事態を独自のルートで調査すること。とりわけ、北京に特派員を派遣しているのですから、中国政府乃至中国共産党関係者に「事実確認」をすべきではないでしょうか。
2.同時に中国大使館に出向き、要請すること、或いは習近平総書記に親書を出す、或いは会談を申し入れるなど、具体的な行動が必要でしょう。
3.日中間で「不測の事態」「軍事衝突」を起こさせないために、共産党として、何をやるかです。
4.そのためには、「どのような野党外交を実践するのか」です。いや「共産党が政権を獲得したら、こんな平和外交をやるぞ」ということを見せていくことです。
5.具体的には、領土問題の解決のために、歴史的経過の確認を行うことです。
(1)その際に、日本共産党としては尖閣諸島が日本の領土であることを明確にしていますので、中国領と主張する中国政府と中国共産党、中国国民に対して、その主張に対しては事実と道理をもって日本領であることを訴え、理性的解決のための努力を道理を尽くして要請することでしょう。
(2)武力や脅しで解決することが道理のあるやり方かどうか、中国国民に訴えていくべきです。
(3)それはかつて中国が侵略で蒙った被害や屈辱、怨念を、現段階で中国自身が逆に繰り返すのかどうか、そうしたやり方をするのであれば、中国を植民地と占領にした欧米列強や日本を中国政府や国民が批判していることの道理が成り立たないことを説得していくことです。
(4)ということは、大東亜共栄圏構想を具体化した日本帝国主義・軍国主義について、きっぱりとした反省の立場を日本国において構築することです。
6.以上の視点を確認できるまで、中国国民に、日本国民に、安倍自公政権、その他の政党や政治家にも要請していくことです。
7.当然日米軍事同盟について凍結的事態をつくりだすことです。中国にしてみれば、日米軍事同盟は「脅威」であり、それを取り除くための「軍備拡張」ということになるのですから、この「悪魔のサイクル」を断ち切っていく必要があります。中国の「軍備拡張」の「口実」を与える「日米軍事同盟」、「日米同盟の深化」の「口実」、憲法9条改悪の「口実」となっている中国の「軍備拡張」という「悪魔のサイクル」を、今こそ断ち切る提案です。
8.そのためにも、アセアン加盟諸国、東南アジア平和友好条約締結国に日本共産党の主張を提案し、会談し、日本国に民主連合政府を樹立した時には、以上の外交政策を採用すること、民主連合政府を樹立する前であっても、日本政府と日本国民に働きかけを強めていくことを宣言するのです。
以上のことを具体的に行動していくことが日本共産党への国民的共感と支持が広がっていくになるのではないでしょうか?
そうではなく、「提言」「提案」だけしていたとすれば、7月の参議院選挙でも躍進は望めないでしょう。むしろ大打撃を受けることになるでしょう。
何故ならば、総選挙の前に中国大使館を訪問した程度の行動では、国民的支持を獲得することができなかったのです。勿論マスコミが取り上げなかったこともあります。いや、だからこそ、あれ以上の行動を起こしていくことではないでしょうか?
現在のようなやり方、ただ日本政府に要求するだけでは、国民的理解は得られないでしょう。国民にしてみれば、第三者的に位置から、口で言ってるだけだ、野党時代にはいろいろ言うが、政権を取ったら何もできない民主党と同じだと見られるでしょう。
そういう状況に国民の雰囲気が、今あることを自覚すべきです。連日漁船を含めた軍艦・飛行機などが尖閣付近に接近し、領海・領空を「侵犯した」などいう報道がなされています。さらに言えば黄砂ならぬ汚染された空気が日本列島を押し寄せている報道が繰り返されているのです。
中国、すなわち共産党一党独裁の中国が日本国の主権と国民の健康権を侵しているとの報道が連日繰り返されているのです。この「共産党」=「キョーサントー」報道は、国民の腹の奥底に沈澱していくのです。何かあると、腹の奥深いところに汚染された沈殿物が吹き上がって、吹き荒れて、日本国民の脳みそを侵していくのです。これは天安事件に匹敵する内容です。第二次天安門事件と言えます。
しかし、今日の穀田氏の記者会見の内容を見ると、「危機感」「切迫感」はまるでナシ!ですね。これだけ「キョーサントー」に対するイメージの悪さが振りまかれているのに、「無関心」なのです。ピンボケなのです。
むしろ、絶好のチャンスと捉えて、「キョーサントー」の宣伝になるようなインパクトある政策を打ち出し実践する必要があります。勿論全国的統一闘争です。
以上、日米軍事同盟廃棄派が、日米軍事同盟深化派、日本国憲法改悪派の安倍自公政権勢力との違いを鮮明にするための、試案を考えてみました。
まだありますが、今日のところは、これくらいにしておきます。以下の記事をみると、安倍首相の護憲的対応は、護憲派にヒントを与えてくれたように思います。アッパレ!
首相が中国への抗議指示 現場では粛々と回避措置2013.2.6 00:19
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130206/plc13020600210001-n1.htm
自衛隊の護衛艦に射撃管制用のレーダーを照射した中国海軍のフリゲート艦(海上自衛隊撮影、防衛省提供)
中国海軍艦艇による射撃管制用レーダーの照射を受け、安倍晋三首相は万全の対応と中国側への抗議を指示した。1月19、30両日という短期間に立て続けに照射されたことは、到底看過できないためだ。政府としては今後も同じような威嚇には粛々と回避措置をとり、外交面では自制を求めることで、中国側の不当さを国際社会に訴えていく考えだ。
「自制を求めないと大変心配な状況になる」
小野寺五典防衛相は5日夜の記者会見でレーダー照射の危険性を繰り返し訴えた。「攻撃意図ありとのメッセージ」(自衛隊幹部)ともいえるレーダー照射だけに当然の懸念といえる。
防衛省は先月30日の時点でレーダー照射について首相官邸に報告。首相は「国民と国際社会に隠す話ではない」と判断し公表を指示した。公表にあたり詳細なデータ分析・検証で事実関係を固めたのは、「中国側が『ぬれぎぬ』と言いがかりをつけてくる」(政府高官)ことを念頭に反論の余地を残さないためだ。
レーダーを照射された際、海自艦艇とヘリは回避行動をとった。回避行動では針路を変えるのが一般的だが、対抗電波の発信やアルミ片の散布で防御措置をとった可能性もある。
同じ威嚇が繰り返されても自衛隊の対処はこの範囲にとどめる見通しだ。対応を先鋭化させている中国とは対照的に抑制的な対処を続けることが、沖縄県・尖閣諸島をめぐる対立で国際世論を味方につけることにつながるためだ。
ただ、「不法」な行為には対抗措置を強めることも排除しない。首相は領空侵犯機が無線での警告に従わない場合、曳(えい)光(こう)弾を使った警告射撃を行うことも検討するよう指示しており、日本の領土・領海を守り抜くために必要不可欠な措置は講じていく構えだ。
「日本に元凶」中国ネットメディアが“責任転嫁”2013.2.7 20:08 http://sankei.jp.msn.com/world/news/130207/chn13020720110006-n1.htm
6日、すさまじい大気汚染でかすむ朝日=中国・北京(ロイター)
【上海=河崎真澄】中国で深刻化している大気汚染について「日本に元凶がある」との論調が出回り始めている。中国のニュースサイトには「日本から汚染物質が飛来した」「中国で操業している日系企業の工場排気が汚染源だ」などとする論評が掲載されている。 いずれの論評も反日的な論調で知られる評論員によるもので、飛来説を唱える中国経済網の張捷氏は「日本は原発事故後に火力発電所やゴミ焼却施設から有害な排気が増えた」と主張。華竜網の謝偉鋒氏は「30年も前から労働力を求めて中国に工場進出してきた多数の日系企業に環境汚染の責任がある」と批判した。 これに対し日系企業関係者は「中国の工場で環境基準や関連法規を徹底順守しているのは日系や欧米系など外資系ばかりで批判は当たらない」と反論。ネット上でも中国国内から「日本を非難する前に、自分たちの汚染源を止めろ」と冷静にみる声が上がっている。
だが、日系企業の一部工場が大気汚染を理由に、周辺工場と合わせて地元当局から一斉に操業停止を命じられたケースがあった。尖閣問題で強硬論が渦巻くネット世論が今後、大気汚染でも日本に“責任転嫁”する可能性があり、日系企業では懸念を強めている。(引用ここまで)
産経が、こうした記事を書くことは予想できましたが、中国にも産経的主張をする勢力があることが、証明されて「面白い記事」でした。「類は友を呼ぶ」、これは真理でしょうか?
時間が来ました。明日も多忙につき、これにて終わりにします。