11日の「朝日」は38面に、3段で、「那覇軍港移設焦点 浦添市長選 反対の新顔当選」という小さい見出しで、以下のような記事を書きました。
沖縄県の浦添市長選が10日投開票され、元NPO法人代表で無所属新顔の松本哲治氏(45)が、4選を目指した儀間光男氏(69)ら2人を破り、初当選した。日米政府が決めた米軍那覇軍港(那覇市)の浦添市沖への移設について、松本氏は受け入れ反対を表明している。基地移設の「火種」になる可能性もある。 那覇軍港(55・9㌶)の移設先は約㌔離れた米軍牧港補給地区の沖。日米政府が1996年に合意。市長1期目の儀間氏が01年に受け入れを表明した。06年の米軍再編で、牧港、那覇軍港など、沖縄本島で嘉手納基地より南にある5施設は返還されることになったが、那覇軍港は移設が返還の条件のままだ。 松本氏は、移設のための大規模な海の埋め立ては環境負荷が大きい▽嘉手納以南の基地が返還されるのに軍港だけ残るのは矛盾がある―と移設反対の公約を掲げた。 一方、仲井真弘多知事は8日の記者会見でこうした両市の動きについて「基本的には(移設を条件とした)日米合意を尊重する。意見の交換、すり合わせをしたい」と述べるにとどめた。(奥村智司)(引用ここまで)
現地の新聞は、それぞれ「社説」で、以下のように選挙を「評価」しました。
沖縄タイムス社説 [浦添市長に松本氏]清新さが古さを破った 2013年2月11日 09時25分
http://article.okinawatimes.co.jp/article/2013-02-11_45148
政策の整合性を先送りした保革相乗りと多選に批判的な市民が「古い政治」からの脱却と「市政刷新」を求めた結果である。行政経験の不足よりも、松本氏の若さと未知数の魅力に期待を込めたということだろう。松本氏は、県内初の首長選挙での公募に応募して選ばれており、それも追い風になった。…市長自ら身を削る覚悟を象徴的に示す公約として「市長退職金の廃止」「市長専用車の廃止」を掲げたことも分かりやすかった。 「権力(儀間氏)・政党(西原氏)」対「市民(松本氏)」という選挙構図を有権者に提示し、「市民本位の市政」の確立を訴えたことも受け入れられた。 いわゆる無党派層といわれる若者の支持が草の根的に広がっていった。ミニ集会を頻繁に持つとともに、フェースブックやツイッターなどのソーシャルネットワークシステム(SNS)を使って支持者を増やしていったのも新しい動きだった。…松本氏の当選で浦添市の政策が大転換する可能性が出てきた。那覇軍港の浦添移設問題、西海岸開発である。 翁長雄志那覇市長が那覇軍港返還の条件となっている浦添移設との切り離しを主張すると、松本氏は浦添移設に明確に反対する姿勢に転換した。浦添移設の前提条件がなくなれば受け入れる必要がないからである…選挙公約を実現するための財源をどう確保するのかが松本市政の鍵を握りそうだ。(引用ここまで)
琉球新報社説 浦添市長に無党派 人に優しい活力ある市政を 2013年2月11日
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-202466-storytopic-11.html
松本氏は、既成政党の支持を得ず、「市民が主役の民主主義」「本当の市民主体の政治」などの実現を訴えていた。その勝利は、有権者の「市政変革」への期待の表れであると同時に、既成政党に対する不満の表明でもあろう。 選挙戦を戦った3氏や各政党、支持団体は選挙結果をきちんと総括し、浦添市の地方自治や政党政治の信頼回復につなげてほしい。 大きな争点の那覇軍港移設問題で、松本氏は「受け入れ反対、移設なき返還を求める」立場を前面に打ち出した。…党派を超えた市民党的な取り組みで公約を実現できるか、新市長は戦略構想力と実行力を問われよう…松本氏は子どもの人権を尊重・擁護する「子ども条例」の制定をはじめ、子育て支援策を積極的に打ち出した。その姿勢を評価したい。気掛かりなのは、対立候補が厳しい財政事情を理由に困難視した「学校給食費無料化」について、松本氏が明確に「賛成」とした点だ。財源や施策の優先順位をめぐり、緻密な作業を求められよう。 市政運営は「願望の羅列」では済まず、財源と市民の支持が不可欠だ。それを銘記し、人に優しく、活力のある市政を築いてほしい。(引用ここまで)
次は、記事です。
浦添市長選:市政刷新 市民が支持 2013年2月11日 10時20分
http://article.okinawatimes.co.jp/article/2013-02-11_45160
広がる政治不信を追い風に、市民目線の分かりやすい政策を訴え、無党派層などから支持を得たことが勝利につながった。…市長選を「権力・政党対市民の戦い」と位置付け、街頭で市民に訴える、いわゆる都市型選挙を繰り広げた。 政治不信が広がる中、クリーンな政治を掲げ、無党派層の支持を得た。市政の「リニューアル」を訴え、若さと市民との対話を重視。給食費の無料化や市長退職金廃止などの大胆な政策が市民の心をつかんだ。…軍港移設や西海岸の埋め立て反対などの政策も奏功した。革新系支持者らの共感を呼び、支持を広げた。(引用ここまで)
浦添市議選 全27議席決まる 2013年2月10日
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-202455-storytopic-3.html
…市議選には定数27に対し、現職23人、前職2人、新人10人の計35人が立候補し、伊禮悠記氏(30)=共産、新人=がトップ当選した。…(引用ここまで)
さて、これらの記事から判ることは、何でしょうか!以下、愛国者の邪論の「評価」を書いてみます。
1.新顔の当選に、「社説」をみると、特に基地問題、財源問題についての「評価」に現地マスコミの「戸惑い」が判ります。本来であれば、喜ぶべきところでしょうが、高揚感を感じません。何故でしょうか?
2.それに対して「朝日」は、基地移設反対を掲げた新顔に対して、「基地移設の『火種』になる可能性もある」とか、仲井真弘多知事は8日の記者会見などの伝え方など、冷淡なことが判ります。日米軍事同盟深化派が透けてみえてきます。
本来であれば、基地移設反対派が市長を取ったのです、宜野湾市、名護市などのように注目されてよさそうなものですが、そうではありません!
3.テレビを含めて全国紙など、いわゆる「本土のメディア」の立場が透けて見えてきます。安倍政権を応援するマスコミは、安倍政権とま逆の新顔政権の登場を報道することで、流れができることを恐れているかのようです!
4.ところで、琉球新報の「既成政党」論が、ここでも見えてきます。その既成政党の共産党の候補の2人が、一位と二位になるという「珍現象」が起こったのです。「既成政党」論の誤りの一端が見えてきます。
5.これだけ、中国や北朝鮮の「脅威」が喧伝されるなか(今日のニュースは北朝鮮の核実験オンパレードです)、沖縄の浦添市民は、全くと言ってよいかもしれませんが、生活優先の選挙行動を取ったように思います。中央のマスコミだけでしょうか?「脅威」論を煽っているのは・・・。
6.この選挙で、共産党は、どのような立場で臨んだのか、新顔を支持したのかどうか、判りませんが、「革新系支持者らの共感を呼び、支持を広げた」(タイムス)という記事をみると、また「松本氏の市長自ら身を削る覚悟を象徴的に示す公約として『市長退職金の廃止』『市長専用車の廃止』を掲げた主張をみると、その対応が何となく判ります。しかし、「一点共闘」論はどうだったのでしょうか?
7.浦添市選出の「こんにちは ニシメ純恵です」のブログをみると、いっそう、その立場が見えてきます。しかし、これが良いものかどうか、今後検討が必要でしょう。
8.何故ならば、選挙制度が改善されないなかでは、小選挙区で勝利し、自民党政治型からの脱却を展望した時、今回の市長選と市議選の関係は貴重な教訓を示していると思うからです。この浦添市は社民党の照屋寛徳氏の選挙区であることも、貴重な教訓になるのではないかと思います。
9.先に開かれた6中総において、志位委員長は、「今回の総選挙の比例票を、直近の地方選挙の得票と比較すると、比較可能な自治体の全国総計で、比例票は地方選挙票の78%にとどまっています。この事実は、国政の比例選挙と地方選挙との性格、条件の違いを考慮に入れたとしても、わが党が乗り越えるべき重大な問題を提起しています」と述べていましたが、この浦添市においても例外ではありませんでした。
10.何故このようなことが起こるか?ズバリ!小選挙区で勝つつもりがないこと、そのために、日常活動が疎かになること、市議選など、地方選挙は次の選挙で勝たねばならないので、日常の活動は、そのまま選挙活動になっているのです。共産党の場合は、比例優先で、小選挙区は比例のための票取りの「手段」なのですから、結果は最初から目に見えているのです。ここに共産党が国政選挙で勝てない最大の理由の「一つ」があるのです。ズバリ!共産党の目線の位置です!!
11.このことはニシメ純恵県議のブログの選挙前と選挙後のコメントの違いに、よく出ています。共産党中央は、地方選でも、一つひとつ分析していることと思いますが、最近は選挙戦の教訓などは、あまり新聞に掲載されませんので、どうなっているか?ま、国政選挙でも勝てないのは、こうした小さなことを曖昧にしているから?ではないかと、心配してしまいます。
それでは、資料を掲載しておきます。
平成24年12月16日執行 第46回衆議院議員総選挙〈小選挙区)開票速報 最終
開票率 100.00%
届出順 |
候補者名 |
得票数 |
1 |
金城 としのり |
7,080 |
2 |
ミヤザキ 政久 |
18,015 |
3 |
テルヤ 寛徳 |
20,628 |
4 |
永井 獏 |
525 |
無効票 |
|
1,600 |
有権者数 84,277 人 投票者数 47,848 人 投票率 56.77 %
平成25年2月10日執行 浦添市長・市議会議員選挙 開票速報 最終
1.浦添市長選挙 開票率 100%
届出順 |
候補者名(通称) |
得票数 |
1 |
まつもとてつじ |
19,717 |
2 |
ギマ光男 |
15,501 |
3 |
西原ヒロミ |
16,997 |
無効票 |
|
664 |
有権者数 83,533 人 投票者数 52,879 人 投票率 63.30 %
浦添市における市議選と県議選、総選挙比例区における共産党の獲得票一覧
問題にしなければならないのは、この票から有権者の意識、共産党の日常活動、選挙政策、共産党員や支援者の訴え方、全国情勢、他候補のたたかい方、など、総合的に、科学的に把握して、教訓化しているかどうか、です。全国の共産党の組織と党員の皆さんが。共産党的言い方をすれば、支部が主役であるならば、支部が、です。そして支部の主役が党員であるならば、党員の皆さんが、です。
ま、トップ当選、しかも30歳に入ったばかりの「青年」に、大拍手!でしょう!!そしてサポーターの皆さんも!そしてそして何より応援してくださった有権者の皆さんに!こそ・・・・
選挙の形態 |
候補者 |
得票 |
有権者 |
投票者 |
投票率 |
平成25年02月10日市議選 |
伊禮 悠記 |
3,124 |
83,533 |
52,879 |
63.30 |
西銘 健 |
3,088 |
||||
平成24年06月10日県議選 |
西銘 純恵 |
7,770 |
83,195 |
46,216 |
55.55 |
平成24年12月16日衆院選 |
比例区 |
3,403 |
|
|
|
平成21年02月08日市議選 |
西銘 健 |
2,769 |
80,703 |
52,256 |
64.75 |
比嘉 愛子 |
1,670 |
||||
平成21年08月30日衆院選 |
比例区 |
3,939 |
|
|
|
平成20年06月08日県議選 |
西銘 純恵 |
6,549 |
974,158 |
563,297 |
57.82 |
平成17年02月06日市議選 |
西銘 純恵 |
2,766 |
76,754 |
50,393 |
65.66 |
比嘉 愛子 |
1,243 |
||||
平成17年09月11日衆院選 |
比例区 |
3,473 |
|
|
|
平成16年06月06日県議選 |
不戦敗 |
||||
平成15年11月09日衆院選 |
比例区 |
3,188 |
|
|
|
平成13年02月11日市議選 |
西銘 純恵 |
3,341 |
73,558 |
54,602 |
74.23 |
比嘉 愛子 |
2,046 |
||||
平成12年06月11日県議選 |
西銘 勉 |
5,685 |
956,442 |
623,929 |
65.82 |