愛国者の邪論

日々の生活のなかで、アレ?と思うことを書いていきます。おじさんも居ても立っても居られんと小さき声を今あげんとす

五輪を政治的に利用する亡霊=国威発揚=勝利第一主義から抜け出せるか日本のスポーツ・柔道界その2

2013-02-05 | スポーツと民主主義

柔道ニッポンが揺れています。国際社会からも、東京オリンピック招致からも、スポーツ本来の意味からも、人間の尊厳からも、です。

 

15人の選手の声明に、象徴されているように、柔道連盟など、日本のスポーツ界の、「日本社会」の「体質」こそ、問われなければならないと思います。

 

では、その「体質」とは何でしょうか?、以下の記事を参考に、その特徴をまとめてみました。

 

1.勝利のためには、手段を選ばない。その手段として暴力・暴言指導、人間の尊厳を否定する指導が許されていること。

2.組織を指導部を構成する人たちに、その考えが強いこと。

3.その組織の指導部を構成する人たちは、ある意味、その世界の「成功者・勝利者」たちであること。

4.指導者たちが選手時代に受けてきた「暴力指導」を継承していること。

5.その暴力指導の背中を押しているのは、金メダル至上主義の「世間」であること。

6.それを扇動しているマスコミがあること。(「毎日」「朝日」の記事が示しています)

7.人間の尊厳の否定に立ち上がった選手たちの思いをオリンピック東京招致に歪曲して政治利用していること。

8.暴力指導を否定するマスコミが五輪招致の危機を書けば書くほど、柔道会やスポーツ界、そして選手を脅し、追い詰めている。

9.この発想が、実は金メダル至上主義を温存し暴力指導を容認していることを示している。

10.選手の声明も、その点では矛盾している。

11.日本社会に温存されている「体罰」容認の土壌は根深いことが「毎日」の世論調査で判る。これこそが日本の後進性と言える。

12.体罰=暴力指導容認文化は、日本国憲法がまだまだ深く草の根のように根付いていないことを示している。

13.それは軍国主義の亡霊が日本国民の中に深く沈澱していることを意味している。

 

 断固非難する」国際柔道連盟が声明2013.1.31 23:45

http://sankei.jp.msn.com/sports/news/130131/mrt13013123460018-n1.htm

国際柔道連盟(IJF)は31日、女子日本代表チームでの暴力、パワーハラスメント問題を受けて「IJFはそのような行為に対しては断固非難することを強調する」との声明を発表した。 ビゼール会長は「(暴力は)われわれのスポーツの礎を築いた嘉納治五郎師範が説いた精神と理念では決してない」と批判。倫理規定に反する行為は罰せられ、必要なあらゆる措置を講じると声明で述べた。 IJFの広報担当者は「パリで開かれる大会(2月9、10日)に関係者が集まるので、それまでに情報を集めたい」と語った。(共同)(引用ここまで)

 

毎日 女子柔道暴力:五輪招致に影響か 海外メディアも注視 2013年01月31日http://mainichi.jp/sponichi/news/20130131spn00m050011000c.html

 ◇女子柔道トップ選手 暴力、パワハラ告発 

 柔道の国内トップレベルにも暴力が横行する現実が明らかになった影響は、一競技団体だけにとどまらない。30日に都内で会見した日本オリンピック委員会の市原専務理事は「今後もこういうことがあるかもしれないし、あると思っている。しっかりと対応していかないといけない」と険しい表情を浮かべた。柔道以外の競技からも、選手に対する指導者による暴力などの告発が続く可能性を認めた形だ。 他競技でも同様の訴えが続出すれば、東京が目指す20年五輪招致にも影響しかねない。全柔連が開いたこの日午前の会見には、フランスのAFP通信の記者も出席。「日本の柔道の指導には暴力は付き物なのか?」と質問するなど、海外メディアも注視した。日本の未成熟なスポーツ文化が世界中に配信され、開催地決定の投票権を持つIOC委員が暗い現実を知る。こんな機会が増えれば、五輪招致への“逆風”になるのは間違いない。 この日、東京招致委員会は今月10〜20日に行った都民に対する支持率調査の結果を発表した。前回の調査よりも「賛成」が7ポイント増加し、5回目の調査で初めて70%超えとなる73%をマーク。市原専務理事は「(招致への)影響はない」と断言したが、今後の展開次第では支持率に響く可能性は否定できない。 最大の課題とされるIOCの支持率調査は1〜2月に実施されるとみられる。JOCの橋本聖子理事は「スポーツ界で早急に対応し、五輪招致にマイナスにならないようにしないといけない」と指摘した。3月上旬にはIOC評価委員会の現地調査も行われる。IOC名誉委員の猪谷千春氏は「幸いなことに開催都市決定まで、まだ8カ月残っている」との見方を示し、招致委の水野正人専務理事は「右往左往せず、やるべきことをやるだけだ」と強調した。(スポニチ)(引用ここまで)

  産経 「スポーツ史上最大の危機」 下村文科相、異例のメッセージ2013.2.5 14:54 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130205/crm13020514550018-n1.htm

記者会見する下村文科相=5日午前、文科省

 下村博文文部科学相は5日、柔道女子日本代表での暴力問題を「日本のスポーツ史上最大の危機」として暴力の根絶を呼び掛ける異例のメッセージを発表した。競技団体ごとの通報窓口の設置やトラブルの相談を受け付ける第三者機関の新設も求めた。 メッセージは「スポーツ指導から暴力を一掃するという基本原則に立ち戻り、スポーツ界を挙げて取り組む必要がある」と強調。指導者養成の在り方を改善する必要があるとした。柔道以外の競技についても、暴力行為がなかったか実態調査を進めるよう要請した。(引用ここまで)

 

毎日 女子柔道暴力:女子選手側の声明文全文

http://mainichi.jp/sports/news/m20130205k0000m050083000c.html

柔道女子日本代表の園田隆二前監督の暴力行為などを告発した女子選手15人の代理人を務める辻口信良弁護士(大阪弁護士会)らが4日、大阪市内で記者会見を開き、選手側の声明文を公表した。
 ◇発表された選手たちの声明
 皆様へ
 このたび、私たち15人の行動により、皆様をお騒がせする結果となっておりますこと、また2020年東京オリンピック招致活動に少なからず影響を生じさせておりますこと、まずもっておわび申し上げます。私たちがJOCに対して園田前監督の暴力行為やハラスメントの被害実態を告発した経過について述べさせていただきます。
 私たちは、これまで全日本柔道連盟(全柔連)の一員として、所属先の学校や企業における指導のもと、全柔連をはじめ柔道関係者の皆様の支援をいただきながら柔道を続けてきました。このような立場にありながら、私たちが全柔連やJOCに対して訴え出ざるを得なくなってしまったのは、憧れであったナショナルチームの状況への失望と怒りが原因でした。
 指導の名の下に、または指導とはほど遠い形で、園田前監督によって行われた暴力行為やハラスメントにより、私たちは心身ともに深く傷つきました。人としての誇りをけがされたことに対し、ある者は涙し、ある者は疲れ果て、またチームメートが苦しむ姿を見せつけられることで、監督の存在におびえながら試合や練習をする自分の存在に気付きました。代表選手・強化選手としての責任を果たさなければという思いと、各所属先などで培ってきた柔道精神からは大きくかけ離れた現実との間で、自問自答を繰り返し、悩み続けてきました。
 ロンドン五輪の代表選手発表に象徴されるように、互いにライバルとして切磋琢磨(せっさたくま)し励まし合ってきた選手相互間の敬意と尊厳をあえて踏みにじるような連盟役員や強化体制陣の方針にも、失望し強く憤りを感じました。
 今回の行動を取るに当たっても、大きな苦悩と恐怖がありました。私たちが訴え出ることで、お世話になった所属先や恩師、その他関係者の皆様方、家族にも多大な影響が出るのではないか、今後、自分たちは柔道選手としての道を奪われてしまうのではないか、私たちが愛し人生をかけてきた柔道そのものが大きなダメージを受け、壊れてしまうのではないかと、何度も深く悩み続けてきました。
 決死の思いで、未来の代表選手・強化選手や、未来の女子柔道のために立ち上がった後、その苦しみはさらに深まりました。私たちの声は全柔連の内部では聞き入れられることなく封殺されました。その後、JOCに駆け込む形で告発するに至りましたが、学校内での体罰問題が社会問題となる中、依然、私たちの声は十分には拾い上げられることはありませんでした。一連の報道で、ようやく皆様にご理解をいただき事態が動くに至ったのです。
 このような経過を経て、前監督は責任を取って辞任されました。
 前監督による暴力行為やハラスメントは、決して許されるものではありません。私たちは、柔道をはじめとする全てのスポーツにおいて、暴力やハラスメントが入り込むことに、断固として反対します。
 しかし、一連の前監督の行為を含め、なぜ指導を受ける私たち選手が傷つき、苦悩する状況が続いたのか、なぜ指導者側に選手の声が届かなかったのか、選手、監督・コーチ、役員間でのコミュニケーションや信頼関係が決定的に崩壊していた原因と責任が問われなければならないと考えています。前強化委員会委員長をはじめとする強化体制やその他連盟の組織体制の問題点が明らかにされないまま、ひとり前監督の責任という形をもって、今回の問題解決が図られることは、決して私たちの真意ではありません
 今後行われる調査では、私たち選手のみならず、コーチ陣の先生方の苦悩の声も丁寧に聞き取っていただきたいと思います。暴力や体罰の防止はもちろんのこと、世界の頂点を目指す競技者にとって、またスポーツを楽しみ、愛する者にとって、苦しみや悩みの声を安心して届けられる体制や仕組み作りに生かしていただけることを心から強く望んでいます。
 競技者が安心して競技に打ち込める環境が整備されてこそ、真の意味でスポーツ精神が社会に理解され、2020年のオリンピックを開くにふさわしいスポーツ文化が根付いた日本になるものと信じています。
 2013年2月4日 公益財団法人全日本柔道連盟女子ナショナルチーム国際強化選手15人

 朝日 「暴力とスポーツ」「俺が厳しくしたから勝てた」上 2月5日 朝刊

昨年10月、女子柔道の強化選手の一部が集まる機会があった。15人の告発で明るみに出た園田隆二・日本代表監督による暴力の被害を受けた選手もいた。 「お前、監督に何か言いたいことがあるらしいな。本人に直接言えばいいじゃないか」。強化委員会幹部の一人が威圧的な態度で、その選手を問い詰めた。 その選手が試合で勝つと、今度は園田監督が軽い口調で言ったという。「おれが厳しく指導したから勝てたんだぞ」 間近で見ていた選手たちは、「何も変わっていないじゃないか」「これから4年間、また同じことが繰り返されるのか」と感じた。 9月に全日本柔道連盟に報告があった園田監督による暴力は、本人への厳重注意で決着し、監督留任の方針が決まっていた。 危機感を感じた15選手が全柔連を飛び越え、日本オリンピック委員会(JOC)への告発に踏み切った。 「被害を受けた選手だけでなく、他の選手がおびえてしまった」。4日に会見を開いた15人選手の代理人は、明かした。 監督の暴力だけでなく、練習では暴力的な言葉が浴びせられ、強化合宿中の生活も必要以上に管理された。合宿と大学の試験が重なっても、抜けられない雰囲気があった。そうした監督らのやり方を、注意する上層部もいなかった。こうしたハラスメントが重なり、不安や不満がふくらんだという。 トップ選手が集団で日本代表監督を告発し、組織を批判する前代未聞の事態。その波紋は柔道会からスポーツ界全体へ、そして日本から世界へとまたたく間に広がっていった。 国際柔道連盟は非難声明を出し、国際オリンピック委員会(IOC)は「JOCの的確な対応を信じる」とコメントした。1ヶ月後には2020年五輪開催をめざす東京をIOC委員らが視察にくる。事件発覚直後は「招致に影響はない」と言っていたJOCも、下村博文文部科学相に「影響がでないように早めの対応を」と釘を刺され、大あわてで自ら調査に乗り出した。 1964年東京オリンピック東京五輪で初めて正式競技になり、金メダル3個を稼いだ柔道が、2回目の五輪開催をめざす東京の足を引っ張る事態まで招いている。 スポーツ界で続く体罰や暴力問題。一般とはかけ離れているとまで言われるスポーツ界の常識は大きな転機を迎えている。(引用ここまで)

 「金メダルを稼いだ柔道」、ここに、マスコミの体質が如実に出ていますね。スポーツ柔道界の「常識」は「一般とはかけ離れている」「とまで言われている」などと誤魔化している「朝日」の記者の「常識」、これを掲載させる幹部の「常識」こそ、日本文化の後進性でしょう。

 

毎日新聞 世論調査:体罰認めず53% 一定の範囲で容認42%2013年02月04日

http://mainichi.jp/select/news/20130204mog00m040001000c.html

 毎日新聞が2、3両日実施した全国世論調査で、大阪市立桜宮高校で男子生徒が体罰を受けた翌日に自殺した問題を踏まえ、体罰について聞いたところ、「一切認めるべきでない」との回答が53%と半数を超えた。一方、「一定の範囲で認めてもよい」との一部容認派も42%を占めた。 男女別にみると、男性の「認めてもよい」は54%で、「認めるべきでない」(43%)を上回った。女性の「認めるべきでない」は62%。「認めてもよい」(32%)を大きく上回り、男女で顕著な差が出た。年代別では20代と30代で「認めてもよい」が、「認めるべきでない」より多かった。 大阪市の橋下徹市長が同校の来年度の入学試験(体育系2科)を中止するよう求めたことに対しては、「支持しない」(53%)が、「支持する」(40%)を上回った。【中田卓二】