共産党が第6回中央委員会総会を開きました。12月17日の常任幹部会声明、1月4日の党旗びらき、火・水・木・土の「赤旗」に掲載されている「日本共産党の活動」を読むにつけ、今後の選挙における「躍進」は難しいと思っていましたが、今回の会議の「報告」が出され、「全会一致で採択した」との書記局の文書を読み、いっそう心配になりました。
その理由は、選挙の総括、方針について、以下の2つの文書の考え方を見るにつけ、大丈夫だろうか?という心配です。
日本共産党第2回中央委員会総会参議院選挙の総括と教訓について志位委員長の幹部会報告2010年9月27日(月)「しんぶん赤旗」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2010-09-27/2010092701_09_0.html
まず私は、幹部会を代表して、日本共産党を支持してくださった支持者のみなさん、奮闘していただいた党支持者、後援会員、党員のみなさんに、心からのお礼を申し上げます。同時に、選挙指導に日常的に責任を負う常任幹部会を代表して、全国のみなさんの奮闘を議席と得票に結びつけられなかったことについて、おわびします。 7月12日の常任幹部会声明は、今回の選挙結果を重く受け止め、政治論戦、組織活動などあらゆる面で、どこにただすべき問題点があるか、前進のために何が必要かについて、党内外の方々のご意見・ご批判に真摯に耳を傾け、掘り下げた自己検討をおこなう決意を表明しました。 この見地で、全国の都道府県委員長、地区委員長、比例代表・選挙区の候補者から意見と感想を寄せていただきました。私たちは、地方党組織に出向いての直接の聞き取りもおこないました。党内外の文化・知識人など、さまざまの分野の方々からも意見をお聞きしました。党内外の5千人をこえる方々から、電話、メール、ファクス、手紙などで、ご意見、ご批判、叱咤激励をいただきました。総括と教訓についての報告は、これらの意見の一つひとつを検討し、中央(常任幹部会)としての自己分析を明らかにし、国政選挙での巻き返しにむけて、今後の選挙活動を、いかに改善、強化、発展させるべきかについて、のべるものです。(引用ここまで)
第6回中央委員会総会 志位委員長の幹部会報告2013年2月11日(月)
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2013-02-11/2013021106_01_0.html
2中総決定にてらし、参院選勝利に必要不可欠な教訓を明らかにする
この間、1200人を超える方々から、叱咤とともに激励のご意見が寄せられ、その多くは党活動改善の積極的提案となっています。わが党の前途を真剣に考え、ご意見を寄せていただいたすべての方々に心からの感謝を申し上げます。 総選挙の総括と教訓は、2010年参議院選挙から総括と教訓を引き出した2010年9月の2中総決定にたちもどり、この決定にてらして、それ以降の2年半の全党の努力と成果、問題点を明らかにするという基本的姿勢でおこないます。また、5カ月後に迫った参議院選挙での勝利にとって必要不可欠な教訓を明らかにするという立場でおこないます。(引用ここまで)
どうでしょうか?
まず、第一は、
2010年9月の時は、党内外の5千人をこえる方々が、そして今回は1200人を超える方々から、叱咤激励が寄せられたということですが、この数が減ったことの意味について、どう思うかです。叱咤激励の意見を寄せたが、2年半の共産党の活動の結果として、今回の結果がつくられたことに対して、共産党への期待度が減ったことを意味しているのではないでしょうか?
「言ってもムダ」感、共産党の「自己検討」への失望感、また「内外の声に耳を傾けるといっても、本当に耳を傾けていないのではないか、だからどうせ同じことになる」という国民目線、共産党へのイメージ、そういうものが、この叱咤激励の数の減少が示しているように思います。そういう意味で、共産党のおかれている状態は深刻です。
第二は、深刻な状態を示すもう一つの事実は、以下のとおりです。
今回の得票数369万は、2009年総選挙494万より減らしたが、2010年参院選365万より増やした、として、「わずかではありますが得票・得票率ともに前進したことは、今後の前進の足がかりの一歩となるものであります。とりわけ東北ブロックでの勝利は、被災地復興の命綱を守り抜いた勝利として、きわめて重要」述べながら、その原因をいろいろ述べています。しかし、一つひとつをみていくと、原因の原因は極めて曖昧であることが判ります。
以下、その代表的部分をみてみます。志位委員長は、6中総について、以下のように述べています。
総選挙の総括と教訓は、2010年参議院選挙から総括と教訓を引き出した2010年9月の2中総決定にたちもどり、この決定にてらして、それ以降の2年半の全党の努力と成果、問題点を明らかにするという基本的姿勢でおこないます。また、5カ月後に迫った参議院選挙での勝利にとって必要不可欠な教訓を明らかにするという立場でおこないます。(引用ここまで)
どうでしょうか?この言葉は、わずかですが、実は重大な問題点を示しているように思います。以下のようになります。
「2010年参議院選挙から総括と教訓を引き出した」時は、「中央(常任幹部会)としての自己分析を明らかにし、国政選挙での巻き返しにむけて、今後の選挙活動を、いかに改善、強化、発展させるべきかについて、のべ」ているのですが、「今後の選挙活動」の結果、参議院選挙より得票を4万増やし、「わずかではありますが…前進」したとしていることです。しかも、今度も「この決定にてらして、それ以降の2年半の全党の努力と成果、問題点を明らかにするという基本的姿勢で…5カ月後に迫った参議院選挙での勝利にとって必要不可欠な教訓を明らかにする」というのです。
2010年9月から2012年12月までの情勢と選挙の活動をリアルに分析・自己検討する視点は、全く変わっていません。その視点で出される方針がどのように、改善、強化、発展させて実践されるか、この2年間の活動の総括をみると、たった5ヶ月から6ヶ月程度で改善、強化、発展できるとはとても思えません。
できているのであれば、12月の総選挙は違ったものになっていたでしょう。
どんなものごとも、その結果については、原因があることは誰でも判ります。その原因となる諸要素が積み重ねられて結果がつくられるということです。そのような視点に立ってみた時、今回の会議は、選挙「結果」の「原因」について、その諸要素を具体的に指摘し、そこにメスを入れているでしょうか?これで治療は完璧でしょうか?
次の志位委員長の発言は、現在の共産党を変えて参議院選挙で650万、5人当選という目標について確信があるかといえば、ないだろうな、それほど共産党の置かれている実態は厳しいものだろうな、と思います。
この目標をやりきり、参議院選挙で勝利・躍進をかちとる条件はあるでしょうか。もちろんこれは、容易な仕事ではありませんが、私はその条件があるということに、目をひらいてがんばろうではないかということを、訴えたいのであります。その客観的条件・可能性として強調したいのは、総選挙の結果に示された政党間の力関係は、固定的なものでは決してないということです。「二大政党づくり」の動きが無残に破たんしたもとで、政党間の力関係はきわめて流動的なものとなっていることを、リアルにとらえることが大切であります。(引用ここまで)
このような発言をせざるを得ないような共産党の実態になってしまったのは何故か、それについての対策が講じられた6中総かどうか、大いに疑問です。理由は、以下の部分についての自己分析が極めて曖昧だからです。
①支配勢力が氾濫させている思想攻撃ともかみあって、日本共産党の改革ビジョンを伝えるという点では、党中央がおこなった政策・宣伝活動には、さらに改善が求められる課題があります。
②有権者の反応などを踏まえて、選挙中も訴えの改善・発展の努力をおこないましたが、この点での力量を党中央としても、もっとつけなければならないと考えています。
③党中央として、そうした改善の努力をさらにはかり、激動の情勢のもとで進路を探求する国民の気持ちにかみあって、わが党の改革ビジョンを国民多数の合意にしていくために、いっそうの力を傾注する決意であります。
こうした部分は「東アジアの平和・安定・友好」の問題、「自力」の問題、「党機関の指導の改善」の問題などにも見られるます。事態は深刻です!
詳細は後日に