政治劣化の権化にメスを入れないマスコミの国会「一強他弱」論と
その裏返しの公明党への「期待」の奥にある安倍政権応援ぶり!
前々回、前回に続いて、マスコミの「一強他弱」論について検証してみます。今回は、その「一強他弱」論を補うものとして、公明党への「期待」「応援」があることを強調しておかなければなりません。前回の記事に一覧しておきましたので、今日付けの社説を掲載しておきます。そのポイントは、
1.「一強他弱」論は、皮相な見方で、国民を惑わすものであることです。阿波是民党が高支持率を維持しているのは「他に政権を託せる政党がないという国民の判断の表れ」という表現に象徴的です。共産党の責任が大きいことが、ここで示されたと思いますが、それにしても、この「他に託せる政党がない」ちうことに、マスコミの、安倍応援団ぶりが宇規模になりました。
2.その理由は、沖縄問題の根源にある、また日本お政治、国民の暮らしに大きな影響を与えている日米軍事同盟について、その是非を回避しちること、これを廃棄し、新しい日米関係の構築を提案している共産党を排除していること、そのことそのものが、国民の選択を狭め、「他に政権を託せる政党がないという国民の判断」を創り出していることを黙殺しているからです。
3.そのことは、「国会に巨大与党をチェックする機能がないことは、民主主義にとって危機的状況である」などとして、ここでも上から目線で、政党不信を煽り、自分は高みの見物的に政治を捉え報道しているマスコミの知的退廃が浮き彫りになるのです。先に述べたように、日米軍事同盟の是非を回避して民主主義の機能の危機を語るなかれです。こんなことがよくも言えるものです。
4.こうした状況を補うものとして公明党への応援メッセージがあります。
公明党については、1980年の日米安保と自衛隊を容認する、また共産党を排除する社交合意を結んだこと、このことで、60年代から70年代にかけて構築されてきた革新自治体が崩壊していったこと、受益者負担の名の下に、行政改革が断行され、その結果小さな政府、すなわち現在の新自由主義政策である社会保障や教育費が削減されていたことなど、自民党政権を補完する勢力に変貌していったことをあげなければなりません。
5.公明党に、「『不戦』『「平和』を掲げた結党の原点を再確認することが重要だ」「『生命・生活・生存を最大に尊重する人間主義』を理念に中道政治を掲げてきた公明党である。社会保障や福祉の分野などで実績を残してきたことは評価できる」などとする最大限の賛美が、公明党の歴史の事実を反映していないことは明らかです。
6.このような賛美が、「一強他弱」論の「他弱野党」論を補うものとして語られることの意味は、共産党も同じ「野党」の枠に押し込め、日米軍事同盟容認の世論の中に隠ぺいするものであることを告発しておかなければなりません。「不戦」「平和」「『生命・生活・生存を最大に尊重する人間主義』を理念に中道政治」という訳の判らない理念を称賛することそのものが、日米軍事同盟容認の公明党を免罪するものであることを、逆に浮き彫りにしているのです。
以上の構造について、疑問をもつことなく、また検証することもなく、国民を狭い政治の枠組みに押し込めようとする社説が書かれている日本の思想界は、国民の暮らし、平和を脅かす根本原因から目を背けるものとして、批判されなければなりません。そこで、その証拠となる社説を掲載しておきますので、ご覧ください。
米軍基地の最前線の新聞が日米軍事同盟の評価を回避するのは何故か!
マスコミ界の「野党」論に見る民主主義の危機を直視せよ!
沖縄タイムス 国会の「1強多弱」/野党の存在意義を示せ 2014/9/23 8:07http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=83906
国会は安倍晋三首相を中心とした自民党「1強」体制が続いている。
第2次安倍改造内閣発足後に行われた共同通信の世論調査によると、自民党の支持率は42・0%で前回調査から6・1ポイント上昇した。野党第一党の民主党は3・3ポイント減の4・7%と差がさらに開いた。その他の野党も日本維新の会3・1%、共産党2・6%、公明党2・3%、みんなの党1・3%、社民党1・0%、結いの党0・7%、生活の党0・3%など、軒並み低迷した。
安倍政権の支持率がこれほど高いのはなぜなのか。政権が掲げる経済政策「アベノミクス」と、他に政権を託せる政党がないという国民の判断の表れだろう。
「多弱」といわれる野党はどう存在意義を見いだすのか。29日からの臨時国会を前に動きが出てきた。
日本維新の会、結いの党が合流し、新党「維新の党」を21日、旗揚げした。政権担当可能な勢力の形勢に向け、民主党やみんなの党の一部を巻き込んだ野党再編が目標だ。しかし共同代表2人のスタンスはかみ合っていない。安倍政権に是々非々の立場で臨む橋下徹氏に対し、江田憲司氏は政権との違いを打ち出すべきだと対決姿勢を強める。集団的自衛権をめぐる重要政策の隔たりも埋まっていない。党としてまとまるのか、野党再編の行方とともに先行きは不透明だ。みんなの党は、野党再編に軸足を置く浅尾慶一郎代表と安倍政権との連携強化を主張する渡辺喜美前代表の路線対立から再分裂含みである。
支持率低迷が続く民主党は役員人事を行い、新たな顔ぶれで党勢回復を図る。政権時代に中枢を担った岡田克也氏や枝野幸男氏らを執行部に入れ、挙党態勢の形を整え、背水の陣で臨む。党内には集団的自衛権の行使容認をめぐる意見対立や消費税増税への他の野党と違う立ち位置など、一筋縄ではいかない問題も抱える。これまで、重要政策で意見が集約できなかった「ばらばら感」をどう払拭(ふっしょく)するか。対立を避ける内向きの党運営では展望は望めない。本をただせば、政権を担った民主党が迷走したあげく、有権者に見放され弱小野党に転落したことが現在の政治状況を招いたのである。民主党は野党として、安倍政権へ明確な対立軸を打ち出す必要がある。野党の体たらくは、安倍首相「1強」をさらに利するだけである。国会の「1強多弱」状態は極めて危険である。冷戦期は「55年体制」の下、野党第一党の社会党が自民党政権の監視役となっていた。今、国会に巨大与党をチェックする機能がないことは、民主主義にとって危機的状況である。与党に対抗する政権交代可能な野党の存在は民主政治に不可欠だ。集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈変更の閣議決定など、安倍政権の手法には国民の懸念は大きい。徹底した国会論議こそが批判勢力としての野党の存在意義を示すことになる。(引用ここまで)
政権のブレーキ役とは、阻止ではないということを自覚すべきだ!ゴマカシ浮き彫りに!
南日本新聞 公明党大会/平和の党の原点に返れ 2014/9/23 8:06
http://373news.com/_column/./syasetu.php?ym=201409&storyid=60025
公明党は第10回党大会を開き、4期目となる山口那津男代表の続投を正式に承認した。北側一雄副代表、井上義久幹事長、石井啓一政調会長ら主要幹部の大半も留任が決まった。
1999年に連立政権を組んで以来、民主党政権で野党になった期間を含め、15年にわたる自民党との連携を重視する指導体制が維持されることになる。「生命・生活・生存を最大に尊重する人間主義」を理念に中道政治を掲げてきた公明党である。社会保障や福祉の分野などで実績を残してきたことは評価できる。だが、11月で結党50年の節目となる今年は、党の存在意義が問われる年となった。自民党とともに武器輸出三原則の見直しを行い、これまで禁じてきた集団的自衛権の行使容認に転じたからだ。
山口氏は当初、行使容認について「政府が一方的に解釈変更するのは望ましくない」と反対した。一方で「連立離脱は考えられない」と早々に宣言したことで、自民党に足元をみられた格好で押し切られた。解釈改憲による行使容認は拡大解釈されて、「自衛隊が海外のどこまでも出ていくことにならないか」という懸念が消えない。「平和の党」を掲げてきた公明党の看板が揺らぎかねない事態である。
もっとも、自衛隊の海外活動拡大が公明党の協力で実現したのは今回が初めてではない。2001年の米中枢同時テロを受けたテロ対策特別措置法、03年はイラク復興支援特措法を成立させている。また、自公の連携強化で自民党中心の政権が安定し、右傾化につながっているとの指摘もある。1999年の国旗国歌法、憲法調査会を設置する国会法改正、2006年の教育基本法改正などだ。そもそも15年前、連立政権参加に際して公明党は「政治の安定」を掲げた。しかし、集団的自衛権の行使容認までの経緯を振り返ると、「政治の安定」ではなく「自公政権の安定」を最優先していると受け取られても仕方あるまい。
党大会で採択した活動方針は、集団的自衛権の行使容認に関して「党主導で明確にした自衛措置の歯止めを法整備に反映させ、懸念を払拭(ふっしょく)する」と強調している。来年の通常国会では、自衛隊法改正など安全保障関連法の審議が予定される。政権のブレーキ役に徹して審議に当たってほしい。
山口氏は党大会で「連立与党として内閣を支え、政策実現にまい進する」と強調した。だが、節目を迎えた党の次の50年を見通すなら、「不戦」「平和」を掲げた結党の原点を再確認することが重要だ。(引用ここまで)