★それにしても民主党は煮え切らない。党関係者が言う。「選挙を考えたら調整すべきだと、かなりの議員が感じている。チャンスとも思っている。しかし、最大のブレーキは連合ではないか。野党共闘が崩れれば、それは連合が妨害したからだ。またその意を受けて元首相・野田佳彦、幹事長・枝野幸男が暗躍しているのも過誤できない」。

連合事務局長・逢見直人は、連合副会長(UAゼンセン会長)時代の昨年6月、秘密裏に首相公邸で約2時間にわたり首相・安倍晋三と会談、「今後も定期的に意見交換することで一致した」としており、連合会長・神津里季生は連合からの派遣で、90年から3年間、在タイ日本国大使館に外交官として派遣されている。この頃の大使は安倍と親しく、一昨年他界した岡崎久彦。つまり今の連合幹部は親安倍派であるということだ。「彼らが労働組合の名を借りて野党共闘の分断工作をしているのは党内では周知の事実」とは前出党関係者。それを押し切れない民主党も情けないが、労働組合も地に落ちたか。(K)※敬称略(引用ここまで)

【安倍政権考】

安倍首相が仕掛ける労組分断作戦

 信条重なる旧同盟系にじわり触手

 祖父・岸信介と重なる巧妙戦術

2015.7.14 07:00更新

http://www.sankei.com/premium/news/150714/prm1507140007-n1.html

安倍晋三首相が日本最大の労組中央組織である日本労働組合総連合会(連合)の分断作戦を本格化させている。連合は民主党最大の支持団体でもあることから、首相は連合内の右派に接近して左派との分裂を誘い民主党の弱体化を図ろうとしているのだ

右派には集団的自衛権の行使容認、原発肯定、憲法9条改正賛成派が多く、政治理念は意外にも首相と近い。

このため、公務員労組などの左派が警戒を強めている。

安倍首相は6月26日夜、連合傘下でスーパー、繊維労組などで構成する産業別労組「UAゼンセン」の逢見直人会長と首相公邸でひそかに会談した。政府は原則として首相との会談相手を公表している。ところが、26日夜に限っては、首相の公邸入り以降の動静が保秘扱いとなり、公にされなかった。

逢見氏は、民主党を支援する民間最大の産業別労組のトップ。連合ナンバー2の事務局長に10月に就任することが、会談の数日前に内定したばかりだった。

会談では、今国会で議論されている労働法制改革をめぐり意見交換し、首相が協力を求めたとみられる。

企業が派遣労働者を受け入れる期間の制限を事実上撤廃する労働者派遣法改正案をめぐり、安倍政権が成立を目指しているのに対し、連合は民主党と足並みをそろえて強く反対している。首相側に民主党を揺さぶる狙いがあったのは明白だった。

そもそも、連合内ではUAゼンセンなど民間労組中心の右派(旧同盟系)と公務員労組中心の左派(旧総評系)が牽制し合っている。

このため、左派の労組幹部は「連合が政府に政策を要求することは大切だが、逢見氏のようにコソコソやることではない」と不快感を示した。

こうした連合内の様子を熟知する首相の労組分断作戦は実に巧妙だ。

首相は自身の経済政策「アベノミクス」を実現させるため、「政労使会議」を発案。

平成25年9月、連合の古賀伸明会長を引きずり出した。それまでの自民党政権は対(たい)峙(じ)型の「政労会見」として、政府と連合だけの枠組みで協議してきたが、政労使会議には経団連も参加することになった。政府が労使を取り持つ形で話し合いを続け、連合内にあった安倍政権アレルギーを徐々に払拭させることに成功。

やがて逢見氏との密会を果たすまでに至った。

ただ、首相の正念場はこれからだ。古賀氏は26年の産経新聞の取材で、こう民主党を批判している。

民主は働く者の視点に立った政策を進めようとしたが、ガバナンス(統治)に問題があった。政権運営に失敗した理由はほぼそれだけだ。自民の場合、いざとなったら政権維持にベクトルが向く。民主は、みんなが(消費増税をめぐり)言いたいことをどんどん言って分裂した

連合が自民党を引き合いに出し、ここまで民主党を批判できるのは、自らのガバナンスに自信を持っているからだ。

連合は平成元年、左派と右派が労働者のための政策実現を目指し結集し、憲法9条改正などイデオロギーの是非を棚上げにした。数の力で国会議員を送り出さなければ、利益団体として連合の望む政策が実現できないと考えたからだ。

両派の政治理念はテーマによっては「水と油」なのにもかかわらず、21年に民主政権樹立をさせ、四半世紀も分裂を回避し続けている。

とはいえ、同盟系の労組幹部は数年前、「総評系の公務員労組と一緒になるべきではなかったという考えは今でも変わらない」と明言している。

首相は、こうした連合のイデオロギー上の矛盾を突いているようだ。

昭和35年、社会党右派が離党し民主社会党が誕生した。実は日米安全保障条約改定を目指していた安倍首相の祖父、岸信介元首相も西尾末広氏ら社会党右派に水面下で接近し、分裂を誘った節がある

安倍首相はそこまでできるか。(政治部 比護義則)(引用ここまで

連合次期事務局長、首相と密かに会談

古賀会長が苦言

2015/7/14 20:26

次期連合事務局長に就任する見通しの逢見直人副会長(UAゼンセン会長)は14日、連合本部での三役会で、先月26日に首相公邸で安倍晋三首相とひそかに会っていたことを明らかにし、陳謝した

古賀伸明会長は「軽率だとの指摘が来ている」と苦言を呈した。逢見氏は3月ころから首相との会談を申し入れていたとするが、古賀会長には事前に伝えておらず「役員交代の時期を狙った官邸の分断工作」(連合幹部)との見方が出ている。

逢見氏は「UAゼンセンが力を入れる日本人拉致問題や労働法制について意見交換した。労働法制では政府の対応を批判した」と釈明。

連合幹部の一人は「連合を混乱させ、官邸はしてやったりと思っているはずだ」と話している。(引用ここまで

 進まぬ野党共闘…

“黒幕”は共産党嫌いの「連合」神津会長

日刊ゲンダイ 2016年1月27日

http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/174091

7月の参院選の“前哨戦”とされた沖縄・宜野湾市、東京・八王子市の両市長選で、安倍政権との対決姿勢を鮮明にしていた候補が敗れた。

考えたくはないが、このまま他の首長選や、4月の衆院北海道5区の補欠選でも自公が勝ったら最悪だ。参院選前に「勝負アリ」となる可能性が高まるからだ。一刻も早く「野党共闘」を急ぐべきだが、遅々として進まないのはなぜか。民主党のテイタラクは言うまでもないが、支持団体「連合」(日本労働組合総連合会)が足を引っ張っているのも原因だろう。

■民主・前原元代表も難色…

「野党がバラバラでは、巨大与党である安倍政権に太刀打ちできない」――。民主党の前原誠司元代表と、生活の党の小沢一郎共同代表は24日夜、都内で会談。参院選に向け、野党勢力の結集が不可欠との認識で一致した。このままトントン拍子で進めばいいが、この期に及んでも「共産党」と手を組むことについて、前原元代表が難色を示した、というからどうしようもない。

前原元代表ら民主党内の保守系議員が共産党アレルギーを持っているのは周知の通りですが、かたくなに共闘を拒んでいる理由として連合の動きがあると指摘されています。連合の神津里季生会長は新年の交歓会で『共産党は目指す世界、目指す国家体系が異なる。同じ受け皿には成り得ない』とあいさつしました。支持団体のトップが断固拒否なのに、民主党も『共産党と手を組む』とは宣言はできないでしょう」(野党関係者)

これじゃあ、いくら時間が経っても野党共闘は期待できない。八王子市長選なんて、共闘どころか、自公推薦の与党に民主党が相乗りした。敗れた政治学者の五十嵐仁氏もブログで選挙戦をこう振り返っている。

〈自民党市議の後援会、創価学会や町内会、労働組合の連合などの力が、そのまま石森さん(現職)の得票になって現れています〉

八王子市は、安倍首相の側近である萩生田官房副長官の地元。そんな敵の“本丸”で連合は自公候補を支援したのだ。

新日鉄出身の神津会長はなぜ、共産党を嫌うのか。「カギ」は90年から3年間、タイの日本大使館に「労組外交官」で派遣されたこと。当時のタイ大使は「安倍外交の師」と呼ばれた故・岡崎久彦氏。「強固な日米同盟がアジアでの日本の発言力を高める」と主張し、集団的自衛権の行使容認に向けて設置された懇談会のメンバーだ。

元外務省国際情報局長の孫崎享氏は岡崎氏は外務省内でも日米安保の旗頭だった人物。自分の考えをストレートに伝える強烈な性格で、神津氏の思想にも影響を与えた面は否めません」とみる。もともと「労組外交官」は日米安保賛成者から派遣されたらしいから、保守色にどっぷり染まっても不思議じゃない。つまり、今の連合幹部の考え方は安倍政権と同じではないか、と疑いたくなる。

治評論家の森田実氏はこう言う。

「いずれにしても、このままだと野党共闘はうまくいかず、相手を利するだけ。とはいえ、連合を見限ればそれまで。連合内部にも執行部の方針に批判的な意見は多数あり、そういった意見を少しずつ掘り起こし、民主党や他党がどう連携していくか。それに尽きるでしょう」

 まさに正念場だ。 (引用ここまで