いつでも、どこでも、強大な地震は起こりうる
すべての国民が人ごとではなく
「明日はわが身」の意識を新たにしなければならない
であるならば、原発はどうすべきか!
新聞の社説が書いた川内原発に関わる社説
慎重に監視した上で
早めの運転停止もためらわずに選択肢とすべきだろう
全くそのとおり!山陽新聞にアッパレ!
熊本地震と原発/広がる震源に不安拭えぬ
山陽新聞/2016/4/19 8:05
http://www.sanyonews.jp/article/334924/1/?rct=shasetsu
熊本県を襲った地震は発生から4日が経過した。余震は一向に収まる気配を見せず、むしろ大分県側や逆方向の南西側へも震源域が拡大している状況だ。九州の原発は大丈夫なのか。そんな不安に対して、原子力規制委員会がきのう、安全に問題はないとの判断を示した。
最も気になるのは、稼働中の九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)である。予防的に原発を停止させることについて、田中俊一委員長は「安全上の理由があれば止めなければならないが、今の状況では問題はない」と述べた。
摩川内市では最大震度4を観測した。九州電力は、原発に伝わった揺れはそれより小さく、安全に影響はないとして運転を続けている。
原子力規制庁は、今回の地震で活動した布田川・日奈久断層についてはマグニチュード(M)8・1と想定して適合審査を行ったとした。実際に観測されたのはM7・3で想定を下回ってはいる。原発までの距離も約90キロあり、影響は限定的と判断した。
九州には停止中の九電玄海原発(佐賀県玄海町)もある。同原発は今回の地震で、揺れの大きさを示す最大加速度20・3ガルを観測した。これは原子炉が自動停止する設定値を下回るものという。
数値的にはそうだとしても心配は尽きない。
福島原発では、事前に事故リスクが指摘されたのに適切な対応がなされなかった。安全神話に寄りかかり、自然の力を甘く見た結果だ。
今、断層を原因とする内陸地震としては想定できない頻度と規模で余震が続いている。慎重に監視した上で、早めの運転停止もためらわずに選択肢とすべきだろう。
もう一つ気になるのは対岸にある四国電力伊方原発(愛媛県伊方町)である。
熊本地震では、九州を斜めに縦断するように走る断層が動いた。その延長線上には四国を横断して紀伊半島に至る中央構造線がある。伊方原発は、中央構造線が走る海域の南8キロに立地しているからだ。
伊方原発は再稼働に向けた規制委の審査に合格済みだ。審査は中央構造線の影響をどう評価するかで長引いた。結局、想定する揺れを引き上げなければならなかった経緯があり、大きな不安要因になっていることは確かである。
専門家からは、熊本地震を引き金に近い将来、中央構造線上で地震が発生する可能性も指摘されている。さかのぼれば、1596年に別府湾(大分県)の海底断層から地震が始まり、数日で四国、近畿地方へ大地震が連鎖した記録がある。それが中央構造線に沿った地震だったことを思うと不安は拭えない。
“地震の巣”といっても過言ではない地盤の上で、原発と共存している私たちの生活である。事故が起きてからでは取り返しがつかない。地震の今後の動きに十分な目配りを続けねばならない。(引用ここまで)
原発のリスクも切り離せないことを
肝に銘じてもらいたい
とは言うものの停止は求めていない!
活断層と原発/リスク再点検が必要だ
中國新聞/2016/4/19 10:00
http://www.chugoku-np.co.jp/column/article/article.php?comment_id=239979&comment_sub_id=0&category_id=142
2千を超す活断層が走る日本列島に原発が立地することも強く意識せざるを得ない。活断層が原因とみられる熊本、大分両県の地震被害で率直な不安を抱く人も少なくないだろう。それが政府や電力会社に十分伝わっていないのではないか。
新規制基準をクリアし、全国で唯一稼働する鹿児島県の九州電力川内(せんだい)原発も直接の被害はなかったとはいえ、予防的に停止すべきだとの声もある。
しかし、九電は早々に安全は確認できたと動かし続けた。それでも地震の影響を懸念する国民の声を無視できなかったのだろう。きのう原子力規制委員会の臨時会合が開かれた。国の情報発信が不十分だった点は「率直に反省しないといけない」と認めつつ、肝心の運転継続の是非については「安全上の問題はない」として追認した。
規制委の田中俊一委員長は会見で「安全上の理由があれば止めなければならないが、今の状況で問題があるとは判断していない」と述べたが、あまりに漠然としている。これで住民の不安を拭いきれるだろうか。
確かに震源域と川内原発のある薩摩川内市は距離があって、震度は4にとどまった。揺れの勢いも、耐震設計のもとになる基準地震動よりはるかに小さかった。とはいえ今回、震源域は広がる傾向にあり、これから原発の近くでもっと強い揺れが発生しないとも限らない。
油断が何より恐ろしい。現に今回の地震との関係が指摘される布田川(ふたがわ)断層帯と日奈久断層帯は、政府の地震調査委員会が警戒を促してきた主要活断層に数えられていた。しかし被害が大きかった熊本県益城町(ましきまち)が4年前に作ったハザードマップでは、「今後30年以内の地震発生確率は極めて低い」として想定震度も若干低く見積もっていた。
活断層には地表に痕跡が現れにくかったり、長い年月で痕跡が消えたりしたものもあるという。今後、心配されるのはさらに別の活断層が動き、大きな地震を引き起こす可能性である。
九州以外にとってもひとごとではない。今夏の再稼働を予定している愛媛県の四国電力伊方原発の付近には、四国から近畿まで延びる中央構造線断層帯がある。
熊本などの地震が中央構造線に影響するかどうかは研究者の間でも意見が分かれる。
しかし地元からすれば、リスクを大きめに想定するのは当然ではないか。少なくとも活断層の現状と耐震設計の妥当性を再点検し、住民にもあらためて説明を尽くすべきであろう。
今回もう一つ浮き彫りになったのは、いざというときの情報提供がおろそかにされがちな現状である。九電にしても運転継続に対する住民の疑問にどこまで応えようとしていたか。さらに原子力規制庁がホームページでトラブルなしを伝えたのも最初の地震から半日以上たってからだ。あまりにも遅すぎる。
規制庁によると原発の立地自治体で震度5弱以上を観測した場合は一般向けに情報発信するよう内規で定めており、対象外とみなして当初は対応しなかったようだ。今後を改善する方向というが、住民の意識とのギャップが3・11以降も何ら変わっていないと考えたくもなる。
地震国日本の防災・減災では原発のリスクも切り離せないことを肝に銘じてもらいたい。(引用ここまで)
福島第一原発事故のそもそもの原因は地震である。
その原点に立ち戻り
原発の安全対策の在り方を再点検するべきだ
今回の被害を教訓に起こり得る地震の規模や影響を
じっくりと検討し直すべきではないか
とはいうものの停止は求めていない!
地震と原発/やっぱり原点に戻ろう
中日/東京新聞/2016/4/16 8:00
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2016041602000142.html
日本はやはり地震国。九州を襲った「震度7」に再び思い知らされた。福島第一原発事故のそもそもの原因は、地震である。その原点に立ち戻り、原発の安全対策の在り方を再点検するべきだ。
「今までに経験したことのない揺れだった」と、強い余震が繰り返される中、住民は不安に戦(おのの)く。「断層帯全体が動いたにしては規模が小さい」と専門家。さらに大きな地震の恐れがあった、ということなのか。あらためて思い知らされた。「いつでも、どこでも、強大な地震は起こりうる」
今月六日、福岡高裁宮崎支部は、今回の震源地からもさほど遠くない九州電力川内原発の運転差し止めを求める住民の訴えを退けた。
高裁は、対策上想定される基準地震動(最大の揺れの強さ)を「極めて合理的」と判断した。
住民側は「国内の原発ではそれを超える揺れが、二〇〇五年以降だけで五回観測されている」と観測地の過去の平均値から基準を割り出す手法に異議を唱えていた。
瓦や石垣が無残に崩れ落ちた熊本城の姿を見ても、同じ判断ができただろうか。
国会の福島第一原発事故調査委員会は、原因は津波だけでなく「地震による損傷の可能性も否定できない」と指摘。「小手先の対策を集積しても、根本的な問題は解決しない」と結論づけた。
ところが、電力会社も原子力規制委員会も、地震の揺れを甘く見すぎてはいないだろうか。
その象徴がくしくも九電だ。九電は、川内原発の再稼働がかなうやいなや、事故対策の指揮所になる免震施設の建設をあっさりと引っ込めた。それでも原子炉は止められない。
原発は無数の機器と複雑な配管の固まりだ。見かけは正常に動いていても、強い震動がどの部位にどんなダメージをもたらすか。その積み重ねがどんな結果につながるか、未解明のままなのだ。
断層のずれは、想定外の地震を起こす−。熊本地震の教訓だ。
規制委の審査を終えて次回再稼働候補とされる四国電力伊方原発の近くには、日本最大の断層である中央構造線が走っている。
今回の被害を教訓に、起こり得る地震の規模や影響をじっくりと検討し直すべきではないか。「いつでも、どこでも、強大な地震は起こる」。地震国日本では、これこそ社会通念であり、一般常識だからである。(引用ここまで)
原発推進に前のめりとなる安倍政権は
真摯に受け止めるべきだ
とはいうものの原発停止は求めていない!
熊本で震度7 「地震列島」の怖さ示した
【新潟日報社説】 2016/04/16
http://www.niigata-nippo.co.jp/opinion/editorial/20160416248204.html
また巨大地震が起きた。私たちは「地震列島」で暮らしているということを改めて胸に刻みたい。
熊本県を震度7の地震が襲い、倒壊した建物の下敷きになるなどして9人が亡くなった。負傷者は千人を超えている。最大震度を記録した益城町を中心に多数の建物が倒壊・損壊し、道路や電気、水道といったライフラインに大きな被害が出た。
余震も、震度6強という強いものも含めて頻発している。今後1週間は警戒が必要という。まずは救援・救護活動に全力を挙げるとともに、二次災害の防止に努めてほしい。
今回の地震で特徴的なのは、地震の規模が極端には大きくはないのに、震度7を記録したことだ。これまで日本で震度7を記録した地震は3回ある。1995年の阪神大震災、2004年の中越地震、11年の東日本大震災である。れぞれの地震の規模を示すマグニチュード(M)は、東日本のM9・0が最高で、阪神がM7・3、中越はM6・8だった。今回はM6・5と推定されており、これまでの3回に比べて小さかったのである。
今回の地震は内陸活断層による直下型地震との見方が強く、震源の深さは約11キロだった。規模は小さくても震源が浅かったため、その真上の地域で震度が大きくなったのだ。日本ではM6を超える地震は、たびたび発生している。活断層は日本各地にあり、未知の活断層も多いといわれる。今回のような地震は、いつ、どこでも起きる恐れがあると言っていいだろう。備えを怠ってはならない。
今回も犠牲者のほとんどが倒壊家屋の下敷きになっていた。耐震化を急ぐ必要がある。寝たきりの母と介護していた61歳の男性も犠牲になった。2人が運び出されたのは発生から約7時間後だった。発見が早ければ助かっていたかもしれない。地震をはじめとした災害時には、これまでも高齢者や障害者といった災害弱者が逃げ遅れて犠牲になることが多くあった。普段から地域で見守る仕組みをつくり、万一の事態に備えたい。家具の転倒防止や、非常食や災害時の持ち出し品を準備することなども忘れないでほしい。
今回、大きな被害を受けた熊本県に接する鹿児島県には、日本で唯一稼働中の川内原発がある。九州電力は異常はないとして発電を続けているが、地元などから不安の声も挙がっている。福島第1原発事故は発生から5年を過ぎても収束は見えず、いまだに10万人近い人たちが県内外で避難生活を続けている。巨大地震はどこでも起き得るということを示した今回の地震を、原発推進に前のめりとなる安倍政権は真摯(しんし)に受け止めるべきだ。東日本大震災の復興への道は半ばだ。今回の熊本も、復旧や復興に向けては幾多の困難も待ち受けるだろう。(引用ここまで)
再稼働の危険性を再度指摘しておきたい
とはいうものの停止までは求めていない!
熊本地震/「明日はわが身」の認識を新たに
愛媛新聞/2016/4/16 10:05
http://www.ehime-np.co.jp/rensai/shasetsu/ren017201604161687.html
熊本県益城町(ましきまち)で震度7を観測する地震が起きた。建物の倒壊などで9人が死亡、千人を超すけが人が出ている。まず救命救助活動を急ぎたい。
今回の熊本地震は余震の多さが特徴だ。翌朝までに100回以上発生。中には震度6強のものもあった。気象庁は今後1週間は大きな余震が続く恐れがあるとしている。今日の夕方以降は大雨が予想され、土砂災害が起きやすくなる。引き続き厳重な警戒が必要だ。
国内で震度7を観測したのは2011年の東日本大震災以来で、九州では初めてだった。改めて「いつどこで起きてもおかしくない」震災の恐ろしさを痛感させられた。愛媛でも万が一への備えを再確認したい。
益城町は熊本市の東に隣接するベッドタウン。町内に大規模な活断層である布田川(ふたがわ)・日奈久(ひなぐ)断層帯がある。江戸時代以降に周辺で複数の地震が起きた記録が残っている。1889年には熊本市付近で、マグニチュード(M)6.3の地震が発生、死者20人の大きな被害が出た。
今回の震源の深さは約11キロ。地表に近い場所だった。断層が南北方向にずれる形で動いた直下型地震とみられる。東大地震研究所の解析によると、震源から約20キロ以内が特に強い揺れに見舞われた。木造家屋に大きな被害を出しやすい周期1〜2秒の揺れが強いことも判明。1995年の阪神大震災との共通点が多いという。
確かに、今回の被災地では、古い家屋が倒壊し、落ちた瓦や倒れたブロック塀などが道路をふさいだ。耐震補強が不十分だったとみられる。住んでいる人が危ないのはもちろん、こうした倒壊物が救助活動の妨げになる。補強工事の大切さを再認識する必要がある。
また防災科学技術研究所(茨城県つくば市)は、熊本地震で10万人が震度6強以上の揺れに遭遇したと試算した。多くの住民にとって「想定外」であり、その後も続いた大きな余震への恐怖は想像に余りある。
愛媛をはじめ西日本では南海トラフ地震への対策が進められているが、専門家は「活断層は日本各地にあり、同様の局所型地震は日本列島のどこでも起こり得る」と警告する。すべての国民が人ごとではなく「明日はわが身」の意識を新たにしなければならない。
熊本地震は、活断層による直下型の威力をまざまざと見せつけた。
北陸電力志賀原発(石川県)や日本原子力発電敦賀原発(福井県)は原子炉建屋の直下に活断層がある、と原子力規制委員会が認定している。地震が起きた場合、周辺地域に及ぼす被害の大きさを考えれば、廃炉は避けられまい。 四国電力伊方原発の敷地前面にも中央構造線断層帯がある。基準地震動を最大650ガルに引き上げて対策を進めているが、専門家からは「不十分」との指摘もある。再稼働の危険性を再度指摘しておきたい。(引用ここまで)
原発再稼働派でさえも危機と脅威を訴えている!
原発の情報発信/災害時こそ迅速、丁寧に
富山新聞/2016/4/18 4:05
http://www.toyama.hokkoku.co.jp/_syasetu/syasetu.htm?
原子力規制庁が原発周辺で地震が発生した際の情報発信について対応を見直す。熊本地震の発生後に近隣の原発の安全に関する情報が不足していたため、菅義偉官房長官が正確で迅速な情報発信を指示していた。
鹿児島県の九州電力川内原発は地震後も運転を続けている。佐賀県には停止中の玄海原発がある。いずれも異常は発生しなかったが、地震で不安を覚えた住民は少なくないのではないか。
専門家や電力会社には大した問題ではなくても、住民の感覚は違うだろう。川内原発は国内で唯一、動いているだけに国内外で注目されている。正確な情報を遅滞なく発信するのは当然の対応である。
志賀原発を持つ北陸電力にとっても人ごとではない。熊本の地震を受けて災害時の対応に不備がないか点検してもらいたい。住民が不安な状態に置かれているときこそ情報が求められる。正確な情報が迅速に分かりやすく発信されるよう国や県、市町など関係機関との連絡体制を整えておく必要がある。原発の状態を的確に伝えるために日ごろから意思疎通を密接にしておいてもらいたい。
熊本地震は内陸の活断層が震源とされている。震源が浅いと局地的に大きな被害になることがあらためて分かった。原発の再稼働をめぐる審査では、原発の敷地や周辺にある断層の活動性が大きな問題になっている。内陸断層が原因とみられる熊本地震を受けて、断層に対する関心は一段と高まるのではないだろうか。
志賀原発では原子力規制委の有識者調査団が敷地内断層の活動性を認めた。北電が再調査の結果、活動性を裏付ける証拠はなく、活断層ではない、といくら主張しても有識者は判断を変えなかった。
北電は活断層でないという判断に科学的な根拠があると自信を持っているのだろう。しかし、それも理解されてこそ意味がある。有識者と対立する展開は住民の安心につながっているとは言い難い。
北電は志賀原発で地震対策を強化している。原発の再稼働を目指すのであれば施設面の対策に力を入れるのはもちろん、地震発生で高まる不安を謙虚に受け止め、丁寧に対応する必要がある。(引用ここまで)