広島に原爆が投下されてから6日で73年になります。広島市の松井一実市長は平和記念式典で政府に対し、「国際社会が核兵器のない世界の実現に向けた対話と協調を進めるよう、役割を果たすことを求める」と訴えました。
広島市の平和公園で行われた式典には、85か国の代表を含むおよそ5万人が参列し、5393人を新たに加えた31万4118人の原爆死没者名簿が慰霊碑に納められました。
そして、原爆が投下された午前8時15分に全員で黙とうをささげました。
「平和宣言」で、広島市の松井一実市長は「世界では自国第一主義が台頭し、核兵器の近代化が進められている」としたうえで、政府に対し、「国際社会が核兵器のない世界の実現に向けた対話と協調を進めるよう、役割を果たすことを求める」と訴えました。
これに対し、安倍総理大臣は「核軍縮の進め方について各国の考え方の違いが顕在化している」としたうえで、「核兵器のない世界を実現するためには、核兵器国と非核兵器国双方の協力を得ることが必要で、わが国は非核三原則を堅持しつつ、粘り強く双方の橋渡しに努め、国際社会の取り組みを主導していく決意です」と述べました。
核保有国を中心とした国々と非核保有国との対立が続き、アメリカとロシアが核戦力の強化を打ち出すなど、核兵器廃絶への道筋はいまも見いだすことができていません。
曽祖父が被爆した広島市の14歳の女子中学生は、「この場所でたくさんの方が亡くなったことを忘れてはいけないと思います。核兵器は絶対になくなってほしいです」と話していました。
また、オランダから来た27歳の女性は「日本は唯一、核兵器の被害がどういうものか知っている当事者で、悲劇を二度と繰り返さないために世界に伝えてほしい」と話していました。
原爆の投下から73年になる6日、広島では、犠牲者の追悼と、核兵器のない世界の実現に向けた発信が続きます。(引用ここまで)
NHK 首相 核軍縮へ国際社会の取り組み主導する決意示す 2018年8月6日 9時14分核兵器禁止条約
安倍総理大臣は、広島市で開かれた平和記念式典であいさつし、核軍縮の進め方について、各国の考え方の違いが顕在化していると指摘したうえで、粘り強く核保有国と非保有国の橋渡しに努め、国際社会の取り組みを主導していく決意を示しました。
この中で、安倍総理大臣は、去年国連で採択された核兵器禁止条約をめぐる核保有国と非保有国の対立などを念頭に「近年、核軍縮の進め方について、各国の考え方の違いが顕在化している」と指摘しました。そのうえで、安倍総理大臣は「真に『核兵器のない世界』を実現するためには、被爆の悲惨な実相の正確な理解を出発点として、核兵器国と非核兵器国双方の協力を得ることが必要だ。わが国は非核三原則を堅持しつつ、粘り強く双方の橋渡しに努め、国際社会の取り組みを主導していく決意だ」と述べました。そして、安倍総理大臣は「核兵器の非人道性を、後の世にまた世界に、伝え続ける務めがわれわれにある。若い世代が被爆者の方々から伝えられた被爆体験を語り継ぐ。政府としてそうした取り組みをしっかりと推し進めていく」と述べました。(引用ここまで)
広島市 原爆・平和http://www.city.hiroshima.lg.jp/www/sp/genre/1005100002088/index.html
平和宣言 73年前、今日と同じ月曜日の朝。広島には真夏の太陽が照りつけ、いつも通りの一日が始まろうとしていました。皆さん、あなたや大切な家族がそこにいたらと想像しながら聞いてください。8時15分、目もくらむ一瞬の閃光。摂氏100万度を超える火の球からの強烈な放射線と熱線、そして猛烈な爆風。立ち昇ったきのこ雲の下で何の罪もない多くの命が奪われ、街は破壊し尽くされました。「熱いよう!痛いよう!」潰(つぶ)れた家の下から母親に助けを求め叫ぶ子どもの声。「水を、水を下さい!」息絶え絶えの呻(うめ)き声、唸(うな)り声。人が焦げる臭気の中、赤い肉をむき出しにして亡霊のごとくさまよう人々。随所で降った黒い雨。脳裏に焼きついた地獄絵図と放射線障害は、生き延びた被爆者の心身を蝕(むしば)み続け、今なお苦悩の根源となっています。
世界にいまだ1万4千発を超える核兵器がある中、意図的であれ偶発的であれ、核兵器が炸裂(さくれつ)したあの日の広島の姿を再現させ、人々を苦難に陥れる可能性が高まっています。
被爆者の訴えは、核兵器の恐ろしさを熟知し、それを手にしたいという誘惑を断ち切るための警鐘です。年々被爆者の数が減少する中、その声に耳を傾けることが一層重要になっています。20歳だった被爆者は「核兵器が使われたなら、生あるもの全て死滅し、美しい地球は廃墟と化すでしょう。世界の指導者は被爆地に集い、その惨状に触れ、核兵器廃絶に向かう道筋だけでもつけてもらいたい。核廃絶ができるような万物の霊長たる人間であってほしい。」と訴え、命を大切にし、地球の破局を避けるため、為政者に対し「理性」と洞察力を持って核兵器廃絶に向かうよう求めています。
昨年、核兵器禁止条約の成立に貢献したICANがノーベル平和賞を受賞し、被爆者の思いが世界に広まりつつあります。その一方で、今世界では自国第一主義が台頭し、核兵器の近代化が進められるなど、各国間に東西冷戦期の緊張関係が再現しかねない状況にあります。
同じく20歳だった別の被爆者は訴えます。「あのような惨事が二度と世界に起こらないことを願う。過去の事だとして忘却や風化させてしまうことがあっては絶対にならない。人類の英知を傾けることで地球が平和に満ちた場所となることを切に願う。」人類は歴史を忘れ、あるいは直視することを止めたとき、再び重大な過ちを犯してしまいます。だからこそ私たちは「ヒロシマ」を「継続」して語り伝えなければなりません。核兵器の廃絶に向けた取組が、各国の為政者の「理性」に基づく行動によって「継続」するようにしなければなりません。
核抑止や核の傘という考え方は、核兵器の破壊力を誇示し、相手国に恐怖を与えることによって世界の秩序を維持しようとするものであり、長期にわたる世界の安全を保障するには、極めて不安定で危険極まりないものです。為政者は、このことを心に刻んだ上で、NPT(核不拡散条約)に義務づけられた核軍縮を誠実に履行し、さらに、核兵器禁止条約を核兵器のない世界への一里塚とするための取組を進めていただきたい。
私たち市民社会は、朝鮮半島の緊張緩和が今後も対話によって平和裏に進むことを心から希望しています。為政者が勇気を持って行動するために、市民社会は多様性を尊重しながら互いに信頼関係を醸成し、核兵器の廃絶を人類共通の価値観にしていかなければなりません。世界の7,600を超える都市で構成する平和首長会議は、そのための環境づくりに力を注ぎます。
日本政府には、核兵器禁止条約の発効に向けた流れの中で、日本国憲法が掲げる崇高な平和主義を体現するためにも、国際社会が核兵器のない世界の実現に向けた対話と協調を進めるよう、その役割を果たしていただきたい。また、平均年齢が82歳を超えた被爆者をはじめ、放射線の影響により心身に苦しみを抱える多くの人々の苦悩に寄り添い、その支援策を充実するとともに、「黒い雨降雨地域」を拡大するよう強く求めます。
本日、私たちは思いを新たに、原爆犠牲者の御霊に衷心より哀悼の誠を捧げ、被爆地長崎、そして世界の人々と共に、核兵器廃絶と世界恒久平和の実現に向けて力を尽くすことを誓います。
平成30年(2018年)8月6日 広島市長 松井 一實
「日本国憲法・核兵器禁止条約・ノーベル平和賞」一言もなし!
これが唯一の戦争被爆国の首相の発言か!?
真に「核兵器のない世界」を実現するためには
被爆の悲惨な実相の正確な理解を出発点として
核兵器国と非核兵器国双方の協力を得ることが必要
というのであれば、その前に
日本が範を示すのが筋だろう!
非核三原則を堅持しつつ、粘り強く双方の橋渡しに努め
国際社会の取組を主導していく決意
非核三原則を堅持するというのであれば
核兵器禁止条約を批准できるぞ!
非核三原則顕示は嘘っぱち!
平成30年8月6日 広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式あいさつ
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2018/0806hiroshima.html
一発の原子爆弾が、街を一瞬にして破壊し、十数万ともいわれる貴い命を奪いました。あれから73年、一命をとりとめた方々にも、筆舌に尽くし難い苦難の日々をもたらしました。若者の夢や明るい未来が容赦なく奪われました。
原子爆弾の犠牲となられた数多くの方々の御霊(みたま)に対し、謹んで、哀悼の誠を捧(ささ)げます。
そして、今なお被爆の後遺症に苦しまれている方々に、心からお見舞いを申し上げます。
広島、長崎の悲劇を再び繰り返してはならない。唯一の戦争被爆国として、「核兵器のない世界」の実現に向けて、粘り強く努力を重ねていくこと。それは、我が国の使命です。
近年、核軍縮の進め方について、各国の考え方の違いが顕在化しています。
真に「核兵器のない世界」を実現するためには、被爆の悲惨な実相の正確な理解を出発点として、核兵器国と非核兵器国双方の協力を得ることが必要です。我が国は、非核三原則を堅持しつつ、粘り強く双方の橋渡しに努め、国際社会の取組を主導していく決意です。
その具体的な取組として昨年、核軍縮に関する「賢人会議」を、ここ広島で開催しました。
「賢人会議」を通じて有識者の知見も得ながら、核兵器不拡散条約(NPT)発効50周年となる2020年のNPT運用検討会議が意義あるものとなるよう、積極的に貢献してまいります。
また、その非人道性を、後の世に、また世界に、伝え続ける務めが我々にあります。
若い世代が、被爆者の方々から伝えられた被爆体験を語り継ぐ。
政府として、そうした取組をしっかりと推し進めてまいります。
被爆者の方々への援護施策については、保健、医療、福祉にわたる支援の必要性をしっかりと受け止め、被爆者の方々に寄り添いながら、今後とも、総合的に推進してまいります。特に、原爆症の認定について、引き続き、一日も早く結果をお知らせできるよう、できる限り迅速な審査を行ってまいります。
結びに、永遠の平和が祈られ続けている、ここ広島市において、「核兵器のない世界」と恒久平和の実現に向けて力を尽くすことをお誓い申し上げます。原子爆弾の犠牲となられた方々のご冥福と、ご遺族、被爆者の皆様、並びに、参列者、広島市民の皆様のご平安を祈念いたしまして、私の挨拶といたします。
平成30年8月6日 内閣総理大臣・安倍晋三