一睡招春。

今日から四月、

浮世では新年度、

私は常のまま、今日も生きるのみ。

“夢”だの“希望”なんてものは、己の身の丈と云ふ現實を知ったうへで、見るなり抱くものだ。

「あの人は、大きな夢を見過ぎたのよ……」

人生の大先輩が私にさう話したのは、ちゃうどこの季節のことだった。

しかし「あの人」は、「大きな夢」をちゃんと身の丈に合ったところで形にしてみせてゐたと、私は信じてゐる。

信じてゐるからこそ、私はそれに倣って、今日も生きてゐるのだ。

そもそも、夢に大小なんてあるのかしらん……？