迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

ともにいたさよいつとても。

2015-05-22 12:32:22 | 浮世見聞記
大学生三年生の“保護者”を対象にした就職説明会が、いま企業では主流になりつつあると言ふ。 対象は、就職する本人ではなく、 その、 親。 大学生三年生と言えば、すでに成人(オトナ)の部類だ。 にもかかわらず、親は相変わらず子を“保護”する役柄から、抜けきれていない。 そんなものにいそいそと出かける当人たちは、それを良しとしているのか、あるいは自覚がないのか。 だから子は子で、顔つ . . . 本文を読む
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ほんとうのをんなのひと。

2015-05-20 19:19:57 | 浮世見聞記
東京都現代美術館の「山口小夜子 未来を着る人」展を見る。 彼女がトップモデルとして活躍した1970年代前半から1980年代後半にかけての時代は、わたしのちょうど生誕から少年期に当たっているため、彼女を見た直接の記憶はない。 しかし、今回展示された写真や映像が、この時代の彼女を克明に記録している。 いちど眼が逢ったら、 惹き込まれずにはいられない、 それでいてどこか近寄り難い、 . . . 本文を読む
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にっぽんとちゅうごくとせいようをみたり。

2015-05-15 19:59:37 | 浮世見聞記
例祭が斎行された横浜の伊勢山皇大神宮にて、「浦安の舞」の奉納を見る。 二人の舞姫が、檜扇と鈴とを持ち替えつつ、ゆったりとした動きをみせる。 その女性ならではの手の“表情”に、学び採るべきものを見る。 そして山を下り、横浜開港資料館で開催中の「異国の面影―横濱外国人居留地1895」展を見る。 現在は官庁街となっている山下町界隈だが、かつて幕末から明治にかけて、ここは外国人居留地だ . . . 本文を読む
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はなのくもじをしるべにて。

2015-05-08 23:04:53 | 浮世見聞記
町なかで思いがけずあなたに出逢うことで、 わたしはいまを生きるたのしみを知る。 “前が見えないから前を見て歩くのだ”- そうだ、 そうだとも。 はじめからなにもかもが決められている人生ならば、 代わりにそこへぬいぐるみでも、 置いておけ。 . . . 本文を読む
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あらためてあらためてあらためて。

2015-05-02 18:45:27 | 浮世見聞記
春の大祭が行われている明治神宮で、伝統芸能の奉納を観る。 狂言は和泉流の「清水」、能は半能で喜多流「養老」。 力強い謡いや囃子の音色が、新緑に囲まれた神前に澄み渡り、我が国の芸能の原点-神仏との結び付き-を改めて感じる。 昼過ぎからの奉納は長唄の日本舞踊で、素踊りの「外記猿」と衣裳付の「藤娘」。 今年二月に梨園随一の舞踊の名手が急逝したことは、いかに大きな痛手と損失であるかを、 . . . 本文を読む
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てきおうりょくとかやもうすらん。

2015-05-01 21:41:44 | 浮世見聞記
とあるお宅の、庭先のフェンスで見つけた光景。 植物のこういふ姿を見ると、環境や状況に適応できずに腐ってしまふ生き物など、ニンゲンくらいのものだらうと思ってしまふ。 ある人が、自慢そうにこう言った。 “俺って、挫折したことがないんですよ” つまり、 まだそれだけ、 幼いといふことですよ。 お坊ちゃん。 . . . 本文を読む
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