迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

現實経済の現實。

2022-03-31 20:06:00 | 浮世見聞記
町田市立国際版画美術館の、「江戸の滑稽─幕末風刺画と大津絵─田河水泡コレクションを中心に」展を觀る。とても樂しみにしてゐた展覧會で、戰前の人気漫画「のらくろ」の作者であり、また八代目橘家圓蔵が十八番(おはこ)にしてゐた新作落語「猫と金魚」の作者でもある田河水泡が、“滑稽”の研究資料として蒐集した膨大な浮世繪の諷刺画を主眼に、二階の展示室全てを使って公開した好企画。江戸後期に意味を後付けしたものでは . . . 本文を読む
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面白うて寝られぬ。

2022-03-31 16:57:00 | 浮世見聞記
目黒川の櫻も、今週いっぱいで見納めになりさうだ。今年は散り始めが早い氣がする。美しいものは、そのはうがよい。惡いムシが付きやすいによって。 . . . 本文を読む
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在宅放痴。

2022-03-30 21:53:00 | 浮世見聞記
川崎市市民ミュージアムのオンライン展覧會より、「漫画の元祖? 明治ポンチ本とはナニモノだ!?」を觀る。そもそも「ポンチ繪」、または單に「ポンチ」とは、西洋渡来の諷刺画の総稱で、文久二年(1862年)に英人記者チャールズ•ワーグマンが橫濱で創刊した諷刺漫画誌「The Japan punch」の“punch(パンチ)”を、當時の日本人が“ポンチ”と讀んだことに始まる云々。のちには“放痴” . . . 本文を読む
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国立競技場建て替えで移植した樹木が「負のレガシー」に…神宮外苑再開発でも膨らむ懸念

2022-03-30 18:33:00 | 浮世見聞記
dmenuニュースよりhttp://topics.smt.docomo.ne.jp/article/tokyo/region/tokyo-168574?fm=d新國立競技場の敷地内に移植された樹木が黄色く変色し、人間ならば手術にあたる“容態”云々、そもそも造園業者が樹木を生き物として見てゐない云々──いかにも、徹頭徹尾杜撰の極みだった國辱的茶番大運動會らしい後日譚(オチ)であります。あれがいかに國 . . . 本文を読む
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備忘必須。

2022-03-30 07:22:00 | 浮世見聞記
志村けんさんが人災疫病のため3月29日に亡くなったと知って、今日で二年になる。まう二年か、と思ふ。衝撃と、脱力と、そして怒りがこみ上げたあの“事件”から、まう二年。外出先でまさかの悲報を知り、とたんに全身から力が抜けて、ほどなく突然の腰痛に見舞はれたのも、これと無関係ではあるまい。未曾有の疫病禍に為す術も無かった時期における志村けんさんの急逝は、あまりに象徴的であり . . . 本文を読む
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木下ほうかが謝罪「概ね間違っておりません」…芸能活動は全て無期限休止

2022-03-29 10:38:00 | 浮世見聞記
dmenuニュースよりhttp://topics.smt.docomo.ne.jp/article/hochi/entertainment/hochi-20220328-OHT1T51209?fm=d木下ほうか──またずいぶん懐かしい名前が出て来たと思ふ。一部報道では“名優”のやうに書いてゐるが、一般に浮世でこの人の顔と名前を認識してゐるのは、よほどヒマでTVばかり眺めてゐる人くらゐではないだらう . . . 本文を読む
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絢爛漫!

2022-03-28 20:02:00 | 浮世見聞記
東京も、本格的に櫻が開花する。令和四年前半の東京圏は厳寒續きにて、梅も河津櫻も開花が遅く、今年は本當に春が来るのかしらと心配になったが、めでたく杞憂に済む。“めでたい”とは、本来かういふことに用ゐる祝語なり。さうでない“メデタイ”は今は忘れて、待ちかねたる春を素直に愛でん。 . . . 本文を読む
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やさしい難役。

2022-03-27 09:55:00 | 浮世見聞記
ラジオ放送で、觀世流「玄象」を聴く。   本来は一月十六日に放送予定だったが、前日にトンガ諸島沖で發生した火山爆發による津波危機の緊急放送で、今日に変更になったもの。渡唐を志して摂津國須磨浦までやって来た琵琶の名手藤原師長と、須磨浦の老夫婦とによる雅樂の祭典、そして極め付けに登場する村上天皇の靈──さらには昔に海底の龍王に献じた名器“獅子丸”も登場して藤原師長に授けられるなど、能としては壮麗な大曲 . . . 本文を読む
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閑話忙忙。

2022-03-26 21:34:00 | 浮世見聞記
今日は荒天“春の嵐”になるとの予報にて、それを見越して今日の予定はすべて昨日のうちに済ませ、部屋でのんびり一日を過ごす。昼頃から本當にはじまった強風をときおり窓から眺めながら、なぜか自分だけ浮世から吹き残されるのではないか、と云った氣分に駆られたりする。私がそれで困ることは何も無いはずなのだが、かうした心身の休息日には氣持ちに余裕ができるためか、そんなことにまで氣を回したくなるらしい。ちなみにそれ . . . 本文を読む
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半世紀後の“勝利”。

2022-03-25 19:51:00 | 鐵路
新宿区立新宿歴史博物館の収蔵資料展「路面電車と新宿風景」を觀る。明治三十六年(1903年)八月二十二日に品川~新橋間の開業を嚆矢とする東京の路面電車は、関東大震災、第二次大戰の東京大空襲といった都市の壊滅的危機に晒されながらもそれを逞しく乗り越へ、人々の大切な“足”を提供し續けてきたが、昭和三十年代に入り都市が郊外へと廣がるにつれて移動手段も乗用車へ移るやうになると、物理的に従来の市 . . . 本文を読む
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京急脱線事故、男性運転士を起訴猶予に

2022-03-25 09:26:00 | 浮世見聞記
dmenuニュースよりhttp://topics.smt.docomo.ne.jp/article/yomiuri/business/20220324-567-OYT1T50258?fm=d今月24日、橫濱地検は運転士を起訴猶予──不起訴云々。長くかかりましたが、これは至極當然の結論であります。このことでいちいち被告にさせられては、人身事故も含め相手のマヌケのために日夜電車を停めさせられてゐる運転 . . . 本文を読む
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昨日の巴里を追憶す。

2022-03-24 20:03:00 | 浮世見聞記
目黒區美術館にて、「木村伊兵衛と画家たちの見たパリ色とりどり」展を觀る。木村伊兵衞と聞くと、私などは六代目尾上菊五郎が演じる「鏡獅子」の美事な舞台冩真を遺した名冩真家、と云ふ印象が強い。その木村伊兵衞が、國産化されたばかりのカラーフィルムを携へて1954年と55年の二度、佛國の巴里を取材旅行で訪れ、花の都の日常(ふだん)の一瞬を美事に切り撮った名品の數々を通し、私も50年代の巴里に遊ぶ。……のだが . . . 本文を読む
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いまは全てが仮初めにて。

2022-03-23 22:30:00 | 浮世見聞記
人災疫病禍のために長らく中止となっていたが、このたびやうやく再開された新橋驛SL廣場の古本市に出かける。先には神保町でも古本まつりが再開されたが、過去のまるで人垣でも眺めに来たかのやうな苦々しい経験から、そちらへは足を向けず。探してゐるものを見つけた時の喜びもさることながら、意外なものと出逢った時の格別な樂しさを、久しぶりに味はふ。しかしそれでも、日常の回復には程遠い . . . 本文を読む
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不要なお名残狂言。

2022-03-22 20:33:00 | 浮世見聞記
予報通りに朝から冷たい雨が降り、昼頃にはみぞれとなって午後には小雪が無ふ。毎年三月下旬になると、だいたい一日は冬の名残惜しみのやうな雪を伴ふ寒の戻りがある。ただ今年の異なる點は、先日の地震によって東京圏に電力を供給する東北地方の発電所が損壊して稼働が止まってゐるため、この寒さによる電力の消費に供給が追ひつかず、いつ飽和状態となって停電してもおかしくない状況にある、と云ふことか。今朝には「電力需給逼 . . . 本文を読む
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春の玄関口。

2022-03-21 18:22:00 | 浮世見聞記
昨日に東京で櫻の開花宣言云々、その途端に今日はあちこちで櫻を見るやうになったのは氣のせいか。きょう三月二十一日は、大和國明日村の高松塚古墳で、かの壁画が發見されて五十年云々。古墳と壁画にとっては、「受難の始まった日」であらう。そのまま放っておいてくれたら、後世の劣化したろくでなしどものために、自身まで黴だの何だのと劣化させられずにすんだものを。 . . . 本文を読む
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