まう夏ではなし、かと言って秋でもない中途半端な陽気ですが、さうですか、“読書の秋”ですか………。いや、私は季節に関係なく一年中、本を読みますよ。読む本を切らすと、たちまち禁断症状が出るんで……。ですから常に買ひ溜めた状態になるんです。かういふのを、ツンドクとか云ふらしいですね。私は興味を持った本なら、分野に関係なくなんでも読みますよ。逆に浮世で話題の作品でも、興味がなければ完全無視です。もっとも、 . . . 本文を読む
江尻宿は清水港の町であり、かつては講談浪曲、そして任侠映画でその名を馳せた、“清水次郎長親分”ゆかりの地であるわけですが、潮風香る巴川にかかる稚児橋を渡って枡形に右折した先には伸びるのは、なんともらうらぶれた風情。町並みはきれいに整備されていますが、実際には店舗と更地跡の駐車場とがほぼ交互に並んでいる有様、却って痛々しい感じがあります。江尻東三丁目で左折した先が、かつては宿場の中心部だったようです . . . 本文を読む
旧東海道探訪、府中からさらに歩いて行きます。御幸町の華やかな街並みのなかに石碑で跡を伝える本陣跡を通り、やや落ち着いた雰囲気の伝馬町を過ぎると府中の出口、中心部からはなれたことが、続く横田町の家並みからもはっきりと分かります。春日交差点で国道1号線を斜めに渡り、JR線の線路を潜り抜けて曲金(まがりかね)地区に出ると、四つ辻を左に入って六分ほど歩き、黄金橋で再びJR線を潜り抜けて国道1号線に合流する . . . 本文を読む
生涯学習──それは“生涯現役”であるための、いちばんの秘訣と申せませう。アタマを使ふことを止めたヒトの末路を、私はこの浮世で何例も目にしてゐるつもりですが、「あのやうにはなるまい……」と自戒することも、またひとつの学習と申せませう。元号が変はらうがなんだらうが、大きな自然災害の頻発はおさまるところを知らず、近ひところでは今月上旬に関東地方へ上陸した、台風十五号の一件であります。災害対策の不手際ぶり . . . 本文を読む
無名メーカーの缶コーヒーと云ふと、口がひん曲がりさうなほどの、タダの砂糖水──その認識を過去のものにしさうなのが、↑の一品。販売者は「サンコー」と云ふ福岡県博多の会社で、嫌味のないスッキリとした味は、近頃の大手メーカーにはないもがある。そこで気がつく。當今は大手メーカーの製品ほど、見るからに個性が見へない、と。 . . . 本文を読む
『増税前の駆け込み需要が伸び悩んでゐる』?そりゃさうでせうよ。8%の税率がすでに高いのだから、そんな高価なまとめ買ひをする太平楽なんて、このご時世さうさういねぇやな。なぁに、これからはさらにムダな買ひ物をしない──これに尽きまさァ。さうすれば、自分の生活に本當に必要な物は何かがよりハッキリと見へてきて、お金を大切に遣おうってぇ良心も生まれるってもんよ。物が売れなくて困るのは、ムダな物 . . . 本文を読む
秋の開山忌が行はれてゐる神奈川県藤沢市の遊行寺にて、「踊り念仏」を観る。 開始の十五時まで、まうひとつの目的である遊行寺宝物館の特別展「真教と時衆」を見る。真教とは時宗の宗祖である一遍の二代目で、その偉業を本邦初公開の寳物などを通して追ふうち、時衆の僧たちが片瀬浜の地蔵堂で踊り念仏を興行してゐる絵巻に当たる。地蔵堂の近く、おそらくは道端であらう場所には、四方の柱に板らしきを載せただけの粗末な小屋に . . . 本文を読む
初夏から盛夏、といふより〝酷夏〟にかけて買ひ溜めた本を読破したいとは思ひますが、やはり手猿樂師としての活動の場を、多く得たいと思ひます。まずは、手作りした品を東京都目黒区の氷川神社へ持ち寄って販売する催しに、私も自作の現代手猿樂「那須与一」を持って参加することが決まりまして、http://www.okagemarche.net/まさに「おかげさまで」、であります。人から習ったものではなくて──つま . . . 本文を読む
午後から天気が怪しくなり、急遽外出先を変更したことで、上方落語の名演を収めたCDを廉価で手に入れるご縁に巡り逢ふ。笑顔そのままに明るゐ先代林家染丸の噺も魅力的だが、紆余曲折を経て戦後に重寳された橘ノ圓都の藝に、やはり耳を惹かれる。巧まず、落ち着ひた調子で運ぶ濃密な上方言葉から、クスッと笑ひを誘はれる幸せは、味に例へるとなんであらう……?かういふ〝名人〟はまう出ないとかなんとか、さうい . . . 本文を読む
横浜産貿ホールで、「勇気の証言─ホロコースト展」を観る。ナチスのユダヤ人迫害、その犠牲者の一人となったアンネ・フランク、一方で6000人のユダヤ人を救った日本人外交官杉原千畝──来場者は展示パネルの一枚一枚を食ひ入るやうに見つめ、なかには鼻をハンカチで抑へてすする人も見受けられた。人権といふこと、そして、『なぜ人は人を攻めるのか』といふ重い命題を、いまなお生々しい証拠物品と一枚一枚の写真が、来場者 . . . 本文を読む
ロビーでちょっと休憩しやうと入った公会堂で、高齢者たちの藝能交流大会が開催されてゐた。輪になって、和やかに「東京音頭」を踊ってゐる姿に、こちらもつひ頬がゆるむ。どんぐりの背比べでしかないタダの〝キレキレ〟な〝うごき〟を〝ドヤ顔〟で見せたがる煩いイベントより、私はかうした和気藹々とした催しのはうが、気持ちに合ふ。 . . . 本文を読む
dmenuニュースよりhttp://topics.smt.docomo.ne.jp/article/yomiuri/nation/20190917-567-OYT1T50122?fm=d激太りの元凶と云はれるかの飲料より、その容器を自販機脇などに設置されてゐるゴミ箱の口へ突っ込んで塞ぐ、あの捨てかたに私は不快を覺える。近頃はカップを片手に街中を歩く男女が当たり前のやうな光景になってゐるが、ニッポン . . . 本文を読む
街中の表通りでは、この頃やたらとクルマのクラクションを耳にする──そんな気がする。信号待ちの間じゅうスマホをいじってゐて青に変わったことに気づかず、後ろの車から喚起を促される場合もあれば、無謀運転のために傍を走行してゐたクルマから非難を込めて鳴らされる場合と、原因は様々なるが、これらはいづれも充分に、〝あおり運転〟への素地となりうる。これだけ社会問題化してゐながら増加傾向にあるのは、結局あおられる . . . 本文を読む
東横線の90周年を記念して平成二十九年にお目見えした二代目5000系〝青ガエル〟、約一年間の期間限定が「ご好評により」今夏まで期間延長となり、なおも「ご好評」によって、今夏からさらに「当分の間」運行を延長することが決まった。ただし、記念ヘッドマークと側面の「東横線90周年」のステッカーは外され、そのぶんスッキリとした外観には、昔ながらの「T.K.K.」マークが一際映える。我が尊敬する五島慶太が晩年 . . . 本文を読む
私が唯一見るTV番組の「笑点」が、九月後半の二週は休みになると知ってガッカリする。ラグビーW杯の中継とやらで、潰されるらしい。あれを楽しみにしてゐる人口なんて、果たしてどれくらゐいるのかしら、と思ふ。たぶん、従来からのラグビーファンより、報道屋の煽動になんの考へもなく乗せられてお祭り騒ぎする俄かモノが、大半のやうな気がする。かつて、五郎丸歩さんの〝ご〟の字も知らなかったはずの輩が、俄かに〝五郎丸歩 . . . 本文を読む