迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

えびら。

2012-02-24 17:27:58 | 浮世見聞記
梅ヶ枝を 箙に挿したる若武者が 太刀抜き払い 立ち向かふ 匂い立ちたる 花の香に 敵(かたき)はたちまち心を乱し 残らず討たれ 果てにけり。 . . . 本文を読む
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いきものぎらい。

2012-02-23 06:17:52 | 浮世見聞記
お客サマには愛想よく。 明るい声で、 にこやかに。 おやおや。 目玉はどこを向いている? わたしの目は、 胸にはないよ。 やはり三次元相手は、苦手のようじゃの。 . . . 本文を読む
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なるべくしてなる。

2012-02-22 19:49:22 | 浮世見聞記
孤独死。 人間としての交流が希薄になり、それが常識化した現代―その、帰結。 過疎化は地方だけの問題ではない。 都会では、人間同士の過疎化が進んでいる。 雨が降り出すと主婦たちが、 「雨だよ―!」 と大きな声で隣り近所に知らせ合いながら、外に干した洗濯物を取り込んでいた幼い頃の“ごく当たり前”の光景は、もはや過去のものだ。 過去を美化したがる人間の悪いクセをそのまま . . . 本文を読む
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はつゆき。

2012-02-20 14:55:19 | 浮世見聞記
端正とは 美しいと云ふこと。 その精霊が翻す袂に、 顰め面な理屈など いらない。 瞳(め)に映るままを 心に映し、 わたしもたおやかに 酔いしれる。 . . . 本文を読む
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ごますりあうもたしょうのえん。

2012-02-19 14:17:09 | 浮世見聞記
なりふり構わずのけ反り、 大笑いをしてみせる。 “救いの主”を前に、誰もが必死だ。 すべては、 この谷底の集落から抜け出すために。 その蠢くありさまに、 慄然とする。 わたしは自身の護符を強く握りしめ、 かねてより見つけておいた細道を、 振り返ることなく駆け登る。 “救いの主”はそのあとすぐに、 いなくなった。 忽然と。 驚くことはない。 すべ . . . 本文を読む
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ささ。

2012-02-17 22:40:47 | 浮世見聞記
深夜に千鳥足を見ると、 たまらなく哀しい気分に襲われる。 なにが楽しくて生きているのだろう。 いい服装(なり)をして、 みっともない。 その千鳥足をひっかけようとしている若者の顔を見たら、 そう見えるように若づくりした、 年寄りだった。 こちらのほうが、 よっぽど みっともない。 . . . 本文を読む
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ふぶいていやがるな。

2012-02-16 19:10:38 | 浮世見聞記
つまさきが あのまどのさきをむいていないとわかったとき いっしょうははじまったのだ。 たたきわってしまえ。 なにもみえもせぬものを。 みえもせぬものを。 . . . 本文を読む
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すれちがうはしゅくめい。

2012-02-14 22:23:13 | 浮世見聞記
あなたに あやまりたいことがある。 どうしても。 あなたと逢ったここにいれば、 あなたはまた、 ここを通るかもしれない。 かもしれない? 逢いたいひとには 面白いくらいに 逢えない。 だから だから けふも ここで待つ。 たぶん、 その爪で、 刺し通されることだろう。 . . . 本文を読む
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かたりあかすもむかしなり。

2012-02-13 22:48:53 | 浮世見聞記
向かいの席に座ったその人は、わたしを見て、驚いたやうな瞳(め)をした。 わたしはてっきり、あの人がわたしの目に、再び見えてしまったのかと思った。 見たくないと願うわたしの心底を、嘲るかのやうに。 わたしはすぐに、その人はわたしを誰かと勘違いしていると思った。 そう、思うことにした。 ほら、瞳(め)が違うだらう。 宿に着いたわたしのもとに、二通の便りが届いていた。 一通は明 . . . 本文を読む
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ほどうきょう。

2012-02-11 18:03:51 | 浮世見聞記
階段から頭が見えた時、 わたしはおや、とおもった。 あのひとは、 もういないはず。 立ち止まって戸惑うわたしのよこを、 知らぬ気に通りすぎる。 わたしは振り返る。 うしろ姿が見える。 消えてしまえ。 しかし。 またこの季節になれば、 必ず見えてしまうことだろう。 また見えてしまうことに。 わたしは手にしていたものを破り棄てる。 めでたいことじゃ。 . . . 本文を読む
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わらわばわらえほととぎす。

2012-02-09 18:44:26 | 浮世見聞記
あなたは この空の下に いる わたしも この空の下に いる あなたが この空を見上げるならば わたしも そうしよう 空 青い空 透き通った空 こうすれば 離れていても 見つめ合っていることに なるかしら あなた と さながら見みえし 昔男の冠直衣は 女とも見えず 男なりけり 業平の面影 . . . 本文を読む
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じりきほんがん。

2012-02-08 07:11:13 | 浮世見聞記
夢のなかで 決して 逢わない人がいる いつも おもしろい景色ばかりを 見せるからだろう わたしは その人の居場所を 知っている でも 逢いには行かない そこには 青く塗られた芝生が 広がっているだけだから 爪を噛むなど 愚かだ 逢わないのは 合わないから わたしは この道を 信じて拓く さあ けふも 次の宿をめざして . . . 本文を読む
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ありあけの。

2012-02-05 21:43:42 | 浮世見聞記
この宿でしばらく休もう。 自分で拓いている道だ。 なにも急(せ)くことはない。 昼間はお天道様が、 夜にはお月様が、 ちゃんと照らしてくださる。 . . . 本文を読む
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もつべきものはこでござる。

2012-02-04 22:41:30 | 浮世見聞記
『親の子を思う気持ちは、永遠の“片想い”と同じである』 と、誰かが言っていた。 お風呂で、 幼い子の体をタオルで拭ってやる親の姿に、 私は深い“情愛”を見出だす。 片想い― そういうものなのかもしれない。 . . . 本文を読む
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ひょうりいったい。

2012-02-03 18:41:36 | 浮世見聞記
上野の東京国立博物館で、「北京故宮博物院200選」展を見る。 モノクロームな書画よりも、皇帝が実際に身に付けていたと云う色彩美豊かな“朝袍”や装身具、調度品などに、自分が生まれる遥か昔の隣国に存在していた文化を実感する。 しかし、華やかなものを見れば見るほど、かつてそれらを“表舞台”で手にしていた人間たちの、“裏舞台”に思いを馳せてしまうのは、自分の悪いクセか? さて、今日 . . . 本文を読む
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