迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

しんしんと。

2014-10-31 23:10:32 | 浮世見聞記
国立能楽堂で、“雪景色”をテーマにした公演を観る。 金剛流にのみ伝わる「雪」が目当てだったが、女流の筝曲演奏で西川流と花柳流の男性舞踊家が踊った「鉢の木」に、一流の技芸とはなにかを見る。 能楽の舞にはない、扇を持つ手のしなやかな動きが、 たまらなく 懐かしかった。 . . . 本文を読む
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うつくしくみせるにはうつくしいものをみるべし。

2014-10-18 22:27:14 | 浮世見聞記
水道橋の宝生能楽堂で、宝生流の「熊坂」を観る。 この曲のシテである熊坂長範は、平安末期に美濃国赤坂あたりに蟠居した大盗人。 その名前を初めて知ったのは学生時代、たしか「歌舞伎十八番の内 助六由縁江戸桜」で、花川戸助六とくわんぺら門兵衛との、 くわんぺら 「おきゃあがれ。おらぁ、くまたかだ」 助六 「くまたかちょうはーん。あ、おめぇ手が長ぇな」 といった、言葉あそびのようなセリフのやり . . . 本文を読む
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しばらぷう。

2014-10-08 20:08:43 | 浮世見聞記
横浜開港資料館で、「スイス使節団が見た幕末の日本」展を見る。 時は幕末、修好通商条約を結ぶために来日したスイスの使節団は、攘夷の世相に身の危険を感じつつ、条約に乗り気でない幕府との交渉に尽力した。 その一方で彼らは、折りをみて江戸や近郊を見物してまわった。 首席全権のアンベールが著した「幕末日本図絵」は、当時のニッポン人の風俗がかなり克明に描かれており、古写真を超えるリアルさで、現代人 . . . 本文を読む
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ははのちえ。

2014-10-05 19:11:02 | 浮世見聞記
雨が降ると店舗などの入り口に備えられる、ビニールの傘袋。 母親に連れられた女の子が、傘をたたんでそれへと手をのばしたとき、母親は、 「こっちのを使いなさい」 と、ゴミ箱に捨てられた使用済みのほうを指した。 なんで、と不思議そうに訊く女の子に、 「袋のなかは雨水だけなのだから、まだまだ使えるでしょ。もったいないわ」 なるほど、と思った。 底が破れてさえいなければ、充分に再利用できる . . . 本文を読む
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たのしくだまさるるがまことなり。

2014-10-01 19:30:23 | 浮世見聞記
渋谷のBunkamuraザ・ミュージアムで、2009年開催につづく第二弾、「だまし絵Ⅱ 進化するだまし絵」展を見る。 人の視覚をあざむくには、他人(ひと)とは違う発想で“もの”を見られる才能が必要なのだ、ということを知る。 展示された様々なだまし絵に、まんまと一杯くわされた人々は、だれもが思わず、笑みを浮かべている。 その表情に、わたしは人間が生来持っている『善性』を見た気がした。 . . . 本文を読む
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