迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

真如の月ぞ。

2020-11-30 19:54:00 | 浮世見聞記
驛前でのちょっとした用事に、思ひがけず精氣を吸ひ取られるやうな疲勞を覺えて、これはアカン、と一度帰城し呼吸を整へる。散歩は厄拂ひと縁起を担ひで、先程とは真逆の方向を行く。夕方にならんとする空に霞のやうな雲がかかるを見、よく通ってゐるはずの道の端に、コムラサキの實が成ってゐることに初めて気が付くなど、やうやく普段の調子を取り戻し、この方向を散歩道に選んで正しかったと安堵する。復路の途中で寄ったショッ . . . 本文を読む
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お豆腐食べたうござらぬ。

2020-11-29 08:55:00 | 浮世見聞記
早朝にラジオ放送で、大藏流茂山家の狂言を聴く。演目は「布施無経」。坊さんも所詮は俗世の一員に過ぎないことを、哀しく可笑しく抉りだした傑作。……なのだが、シテにせりふ劇と云ふより、いかにも何か見ながら喋ってゐるなと云ふ感じがあり、聴ひてゐてちっとも樂しくない。大して上手くない朗讀を聴かされてゐるやうな。私が檀家だったら、こんなツマラナイ坊主など敢へて何もやらずにさっさと追ひ拂ふだらう。思へばシテの父 . . . 本文を読む
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こがねのこゑ。

2020-11-28 17:46:00 | 浮世見聞記
朝の小川で、こがね色の鯉に逢ふ。混迷ばかりを招くいまの浮世なれど、おそらく自分につひては、さう消沈することもないと、励まされてゐるやうに感じる。これは、さう云ふことなのだ。 . . . 本文を読む
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GoToトラベル利用感染報告は202人に

2020-11-27 20:37:34 | 浮世見聞記
dmenuニュースよりhttp://topics.smt.docomo.ne.jp/article/fnn/nation/fnn-112756?fm=d今回の人体感染實験、いよいよ以て大成功といふべきね。これほどまで筋書通りに事が運ぶなんて、誰かさんたちも思ってなかったりして……。動くな、と言ふことは聞かないけど、動け、と言ふことには大勢が率先して協カする、ってことが實証されたワケ . . . 本文を読む
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坂東玉三郎が濃厚接触者に12月公演7日まで待機

2020-11-27 20:06:00 | 浮世見聞記
dmenuニュースよりhttp://topics.smt.docomo.ne.jp/article/nikkangeinou/entertainment/f-et-tp0-201127-202011270000410?fm=dあららら……。一人のアタマの足りない者の行動が、あらうことか“人間國寶”二人の仕事を妨害する結果となったわけですか……。しかし、一人の感染が周りにどのやうな惡影響を及ぼすか、 . . . 本文を読む
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彷徨の舞。

2020-11-27 17:14:00 | 浮世見聞記
品川區五反田を歩行中、「池田山舞台」なる案内板が視界に入る。おそらくはどこかの能楽師の稽古舞台だらう。普段ならそのまま流すところだが、散策の續きの氣分で、「行ってみやう……」といふ気になる。旧街道探訪を彷彿とさせる狭い急坂を上り、いかにも高級さうな住宅地へ入った一角に、それを擁する建物は見つかった。……話しはこれでお仕舞ひ。ただちょっと寄り道をしてみたかっただけ。が、謠本と仕舞扇の手触りは戀しくな . . . 本文を読む
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食は雰囲気で味はふもの。

2020-11-26 22:21:00 | 浮世見聞記
旧新橋停車場 鉄道歴史展示室の企画展「走るレストラン~食堂車の物語~」展を観る。私が鐵道旅行をはじめた頃には、食堂車と云ふものはほとんど姿を消した後だったので、日本におけるその風情を知らない。その代はり、今は昔、佛國で一度だけ乗ったことがある。あまりにくつろぎ過ぎて降車驛に到着したことに初めは気付かず、あとで慌てて飛び降りるといふ、ちょっぴり苦い思ひ出付きで……。長距離 . . . 本文を読む
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危険な“トリセツ”。

2020-11-25 17:26:00 | 浮世見聞記
何年も前になるが、忘劇場内におゐて「客席内では帽子をお取り下さい」とのアナウンスを耳にした時、今どきのお客はそんな當り前なこともいちいち注意されなアカンのか、と呆れたことがある。しかし、それくらゐで驚ひてゐたら現今の浮世ではとてもやっていけないらしいことを、踏切脇の注意書から察する。こんな分かりきった、コドモのオモチャの取扱説明書じみたしろものを掲げておかなくては、踏切ひとつ満足に渡れぬのがよくゐ . . . 本文を読む
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てつみちがゆく──海上鐵路

2020-11-24 18:13:40 | 鐵路
品川区高輪の再開發現場でこのたび發見された、明治五年に鐵道が開通した當時の線路跡を、京浜東北線の車窓より望む。鐵道を敷設の際、現在の高輪あたりは土地の取得が出来なかったため、海上に築堤を造ってその上に汽車を走らせたことは有名な話し。(※明治四年頃の高輪築堤工事の様子。右が工事中の築堤)にもかかはらず、その後の埋め立てによって築堤は姿を消し、いまや痕跡も失はれたと思はれてゐたのが、實は長らく車両基地 . . . 本文を読む
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再び横濱村へ。

2020-11-23 20:22:00 | 浮世見聞記
横濱驛構内のモニターに、津波被害の予想図が映し出されてゐた。水色で示された箇所は、幕末まで海だったところである。つまり、自然はその気になれば、いつでも人間の造ったものを壊して、原形(もと)へ復せる力を持ってゐるといふことである……。 . . . 本文を読む
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片岡孝太郎が感染21日「親友がコロナに」と注意呼びかけ…出演公演中止に

2020-11-22 23:46:00 | 浮世見聞記
dmenuニュースよりhttp://topics.smt.docomo.ne.jp/article/dailysports/entertainment/20201122164?fm=d……もし仁左衛門さんの身に何かあったら、切腹どころでは済まないですな。 . . . 本文を読む
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貴景勝が照ノ富士との優勝決定戦の末、涙の大関初優勝来場所初の綱取りへ「強ければ勝てるし、…

2020-11-22 18:24:00 | 浮世見聞記
dmenuニュースよりhttp://topics.smt.docomo.ne.jp/article/hochi/sports/hochi-20201122-OHT1T50141?fm=d優勝してほしい力士が優勝してくれて、本當に嬉しい締めくくりとなりました。蒙古人横綱二人は別にだうでもよいとして、新たな大関が二人そろって休場といふ情けなさすぎる事態のなか、筆頭の大関としてよくその任を全うしたと思ひ . . . 本文を読む
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「自分の身は自分で守る」コロナ拡大下の3連休観光地で喜びと戸惑い交錯

2020-11-22 09:31:00 | 浮世見聞記
dmenuニュースよりhttp://topics.smt.docomo.ne.jp/article/mainichi/nation/mainichi-20201121k0000m040219000c?fm=dヒトはなんだか為政者ばかりをいい加減だの、杜撰だのって攻めてるけどさ、國民だって危機意識に對して充分いい加減の杜撰じゃないねぇ。人ゴミのなかに自分からノコノコ這ひ出て来て、「こんなに人出がある . . . 本文を読む
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見見えし。

2020-11-22 00:09:32 | 浮世見聞記
日の暮れる時間にふらりと出かけた神保町で、昨冬に別な場所で振った物が同じ値段で出てゐるのに逢ふ。呼んだのか、呼ばれたのか、なんであれ逢った。あの時、気持ちの底では惜しいことをしたと思ってゐた相手。今度こそ手に入れる。人体感染實験もいよいよ佳境に入るなか、さうした時世とは全く別なところで御縁はめぐって来る。別なところ──それがこの國難下を生きる術ではないか……?やはり今 . . . 本文を読む
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理想(ゆめ)の棲み家。

2020-11-21 15:02:00 | 浮世見聞記
つひ二日前に大工さんが空き地に入ったと思ったら、まう二階まで組み上げてゐる。建てるのが早いぶん、ガタつくのも早いか?なんであれ、職人の手仕事の音は耳に心地良い。響きが景気良いからだらう。我が城からそんな職頭の技を眺めながら、自分は生まれた時からいはゆる“土の上”に住んだことが無いと気が付く。そのせいか、さういふ所に住みたい願望と云ふか、感覺がない。數へるのも恐ろしい本と、手猿樂の面と . . . 本文を読む
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