近頃は町なかで、ラーメンの無人販賣──自販機も含めて──を見かけるやうになった。が、私は試しに買ってみやうとまでは思はない。かつてはラーメンが好きでよく食べに行ってゐたものだが、ある時から体が受け付けなくなり、以来すっかり足が遠退いて現在に至る。それでまったく禁斷症状も出ないのだから、しょせんその程度の食べ物だったのだらう。無縁になってしばらくすると、浮世では店先に行列をつくって待つのがラーメンを . . . 本文を読む
地下鐵博物館の特別展「有楽町線車両のあゆみと収蔵品展 7000系車両を中心として」を覗く。丸ノ内線の混雑緩和などを目的に計画され、一般公募で“有楽町線”と命名されて昭和四十九年(1974年)十月三十日に池袋~銀座一丁目間で部分開業して以来、東京の地下輸送といふ重責を担ってきた7000系は、平成二十年(2008年)に開業した副都心線用として車体の帯の色と機器の付け替へなどの大幅な改造が施され、ちょっ . . . 本文を読む
橫濱市立中央図書館地下一階の橫濱市史資料室にて、「戦後の風景 占領から復興へ」展を觀る。もともとは進駐米軍の女性兵の所有で、のちに日本人男性の手に渡りさらに橫濱市へ寄贈された、終戰後占領下にあった橫濱市街のカラー記録。昨日の景色のやうに臨場感あふれる數々のカラースライド冩真にあるのは、自分たちの街を焼き拂った相手と上手に付き合ってゐる橫濱庶民たちの、淡々とした飾らぬ姿。橫濱港沖で、戰後に新しく二代 . . . 本文を読む
「電力需給ひっ(逼)迫注意報」と梅雨明け宣言が同日に出され、一気に酷暑の夏へ突入した感のある今日、夕方にスーパーへ買ひ物に寄ると、要冷蔵の食品が陳列されたケースの照明がすべて落とされ、店内にはその告知とお詫びの放送が流れてゐた。節電要請は明日も續く云々、これまでの後手後手な失敗を教訓に先手を打った自慢の注意報らしいが、露國の時代遅れな國盗り合戰の影響によるエネルギー資源不足、いまや毎夏恒例となった . . . 本文を読む
dmenuニュースよりhttp://topics.smt.docomo.ne.jp/article/mainichi/nation/mainichi-20220627k0000m040040000c?fm=dこれだけ炎天が續けば、さうだらうな、と思ふ。むしろ、令和四年は梅雨そのものが無かったのでは、と思ふくらゐに降雨の日が少なかった。 しかし、あのジメジメびしょびしょが大嫌ひな私には大いに幸ひ。 . . . 本文を読む
dmenuニュースよりhttp://topics.smt.docomo.ne.jp/article/yomiuri/business/20220626-567-OYT1T50116?fm=d今年五月に新設された「電力需給ひっ(逼)迫注意報」がさっそく發令云々。とくに、太陽光發電が効かなくなる15時~18時台は、電氣のムダな使用は控えませう云々。東日本大震災後の「計画停電」を思ひ出させる事態。あれ以 . . . 本文を読む
川崎大師平間寺へ、京濱急行線に乗って出掛ける。信州善光寺詣りと並んで今月に参詣したいと願ひ續けてゐて、ふうっと「今から行かう」と思ひ立つ。さう思った時が、御縁の結ばれた時なのである。境内に入ると、本堂の軒先に吊されたいくつもの風鈴が澄んだ聲で夏風に泳ぎ、参詣者に涼を送る。人災疫病禍の元年には不安ゆゑに何度も足を運び、二年目からは思ひ付ひた時に足を運び、いま三年目の半ばと云ふ節目に至 . . . 本文を読む
ラジオ放送で、寶生流の「千手」を聴く。源平合戰で源氏方に生け捕られ、出家の願ひも叶わず失意に沈む平重衡と、頼朝の命で慰めに訪れた遊女千手の、束の間の心の交流──かつて今回の放送と同じ寶生流の舞臺でこの曲を觀たとき、一度は平重衡との面會を拒否された千手が、いざ會へる段になり引き戸を開ける型をした際、面(おもて)がいかにも嬉しさうな表情を浮かべたのを、私は確かに觀てゐる。このあとで二人は、實はただ心だ . . . 本文を読む
師匠とも親しく、また同ひ年でもあった人間國寶が、今月二十三日に八十九歳で亡くなったと知る。私は“母校”において、その精力的且つ献身的な實技指導を受けてゐたが、私はそれに對し生意氣な態度を見せて不快にさせ、「あいつは扱ひにくい……」と嘆息させてばかりゐた。あの當時はまだまだ若かったとは云へ、いま思ひ返せば恐ろしいことをしたものだと思ふ。“若さ”と云ふことの怖さ──私はそのことを教へられてゐたことに、 . . . 本文を読む
今日も朝から一日が思ひやられる高温だったが、東京都心で正午前に35.2℃を記録する猛暑日となり、上州群馬では40℃云々。六月で猛暑日を記録するは前代未聞云々、ここまで高温になると蚊も愛想を尽かす云々、されど昼頃に東京メトロ副都心線内で大聲をあげて駆け回った四十男の如く、アタマの煮えた人種がさっそく代はりに湧いて出る。ニンゲンも、いまや蚊以下である。いまからこれで……、などと嘆息するなかれ。今夏はど . . . 本文を読む
東京地方は朝から氣温もさることながら、高い湿度にも見舞はれる。しかし日中を通して吹き續けた強い風が、体の熱氣を拂ってくれたのは幸ひ。今後は雨の予報もなく、いよいよ今月中には梅雨明けかもしれない。さうなると、夏。青々と澄んだ空、青々と廣がる田んぼ、そんな車窓を樂しみながらの鐵道旅行──その氣分に誘はれたのも、過去の噺。旅行をやめたわけではないが、まうあの風情は戻らない。しかし、いつかは出かけやう。い . . . 本文を読む
一人の高齢女性が道端に立ち、反対側の一點を凝視してゐるので何かと思ったら、昨日から公示が始まった選挙ポスターを見てゐるのだった。 國政選挙──ある意味、その季節の風物詩。私が投票權を行使するのは、すでに何度も述べてゐることだが、セイジに文句を垂れる權利を得るためである。投票もしない者に「どうせ何も変はりはしないんだから……」などと抜かす權利はない。しかし私も、一票を投じた者に本氣で民 . . . 本文を読む
澁谷周辺にゐると、數分おきに低空飛行する航空機の騒音に、氣持ちが落ち着きを失(な)くす。羽田空港に進入する經路が、かつてとは変更になったがための大音害。私はトウキョウ人で、東京圏から離れた生活はいまや考へられないが、しかしこんな音が降ってくる場所での生活は、もっと考へられない。驛の天井から、雛ツバメたちの元気な聲が降ってきた。ツバメが巣を構へる土地は、平和な土地。だからツバメは、“幸せの使者”とも . . . 本文を読む
長らく香港の“顔”として親しまれながらも、經營難で2020年3月より營業を休止してゐた水上レストラン「珍寶王國」が、人災疫病禍にトドメを刺される形で今月十四日、つひに香港の港から姿を消した云々。宮殿風のつくりはいかにも中華で、私などは行ったこともなければ、またこれからも行く御縁もなかったらうが、昔の映画で“Hong Kong”の場面と云へばまずこの水上レストランの映像(ゑ)だった印 . . . 本文を読む
両側に芝生の廣がる道で、犬をつれて散歩中のお婆さんたちが、「そこ毒キノコがある!」と言ってゐるのが聞こえたので、こんなところに? と觀察してみる。たしかに、芝生に紛れて白色の菌類あり。芝生茸(シバフタケ)?──毒性は無いらしいが、誤食を避けるためにもお素人サンはむやみに口に入れるべからず云々。もちろん、こんなものを口に入れる氣にはならない。“地雷”は意外と . . . 本文を読む