横浜市鶴見区の矢向日枝神社で、同社の宮司家に伝わる奉納郷神楽を観る。
演目は「神剣幽助(しんけんゆうじょ)」と云ひ、能や歌舞伎では「小鍛冶」として知られてゐる曲である。
所々に入る解説と、三條小鍛冶宗近にひとつだけ台詞があるほかは、お話しはすべてお囃子にのせて無言で進行する。
その前を、幼児がキャッキャッと笑ひながら、走り過ぎる。
屋台からの香ばしゐ匂ひが、鼻をくすぐる。
射的の乾 . . . 本文を読む
先日、神保町の古書店で、柳田國男・著「傳説」の、岩波新書初版本を見つけた。
状態はあまり良くないため、価格はいかにも古書店らしく、五十円。
ちなみに、昭和十五年九月に新刊として発売された時の値段は五十銭と、奥付けにある。
昭和十五年-この年の出来事を年表でざっと見てみると、内閣は夏に米内光政から近衛文麿(第二次)へと変わり、また“バスに乗り遅れるな”を合言葉に、政党は自ら解散して「大政翼賛 . . . 本文を読む