迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

年瀬觀顧。

2024-12-31 20:13:00 | 浮世見聞記
今年にやるべきことは昨日までにほぼ“納め”て、殘りについては時節(いま)ではないと讀み、今日はのんびりと一年の締めを送る。高速道路はトウキョウ圏の人芥をそのまま下り線に移した帰省渋滞、商業施設では新年を迎へる準備萬端、正月朔日から働く人々にだけは、頭が下がる。能州の大地震に始まり、翌日には羽田空港で着陸直後の航空機が接触事故で全焼する大惨事が起こり、次は何だ! と不安で始まった令和六 . . . 本文を読む
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ニッポン徘徊──靈験石灯籠

2024-12-30 19:30:00 | 浮世見聞記
幕末に旧東海道と橫濱開港地とを結ぶ道として拓かれた“橫濱道”から分岐して、保土ヶ谷とを結んでゐた“保土ヶ谷道”を辿り、國道壱號線に行き當たったところで、國道沿ひの杉山神社に遺る「怪力石灯籠」を一見せばやと、存じ候。本殿へ通じる石段の両脇に建つのが件の石灯籠にて、今は昔、江戸の講中が伊勢神宮へ石灯籠を奉納せんと荷車に乗せ、牛に牽かせて保土ヶ谷までやって来たと . . . 本文を読む
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盗賊稚相。

2024-12-29 13:28:00 | 浮世見聞記
ラジオ放送で寶生流「熊坂」を聴く。美濃赤坂で金賣吉次の一行を襲った盗賊熊坂長範とその一党が牛若丸にみるみる撃退される曲で、曲趣もさることながら曲調も痛快爽快で私の好きな曲。舞薹で使用される面は「長靈癋見」、いかにも強面をつくって見せてゐる表情にこの曲の狙ひと性格がよく表れてゐて、それが長刀では叶はぬと素手で牛若丸を捕らえんとする焦りが、哀れにして滑稽で、そしてどこか同情を誘ふ。だから、この曲が好き . . . 本文を読む
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騒觀歡相。

2024-12-28 20:23:00 | 浮世見聞記
今日から年末年始の帰省が始まったとかで、東京驛を覗いて見ると、なるほど大賑はひ。三代の東京者である私には全く關係のない流れだが、かうして眺めてゐるぶんには面白い。なんでも今回は最大で九連休云々、しかし誰もが結局は後半にネタ切れして余暇(ヒマ)を持て余す、と聞く。棲家と職場の往復しかない生活文化が普段な面々、しょせんヒトは働いてナンボ、と云ふことだ。閑散とした大手町を通り、「将門塚」を訪ねる。今年一 . . . 本文を読む
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鐵文明ノ結晶。

2024-12-27 20:13:00 | 鐵路
東京都港區の物流博物館で、企画展「鉄道古写真展─鈴木直利氏コレクションから─」を觀る。元國鐵職員の鈴木直利氏が昭和五十三年に信越本線の碓氷峠旧線を歩いたことがきっかけで渉猟し集めた鐵道資料のうち、明治の鐵道黎明期を記録したかなり珍しい古冩真の數々を、疑似旅行の氣分で巡る。(※案内チラシより、明治二十三年頃の品川驛、現在の品川驛はこれより北方の高輪にあり)明治ニッポンが西洋文明の到来によってみるみる . . . 本文を読む
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「再想」。

2024-12-26 20:57:00 | 浮世見聞記
橫濱日本大通りの放送ライブラリーイベントホールで、“あぶない刑事”の特別展「HISTORY OF ABUDEKA 1986~2024」を觀る。昭和六十一年(1986年)十月五日のTV放送第一回から、今年に公開された映画版最新作までを紹介した企画ながら、中心は八作品の映画版とその冩實パネル展示にあり、(※展示室内撮影可)TVドラマ版については放送臺本が並べられてゐるくらゐで、撮影におけ . . . 本文を読む
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第三の石碑。

2024-12-25 21:26:00 | 浮世見聞記
池上通りを通るたび、東海道本線で大森付近を通過するたび、氣になってゐた「大森貝塚」の記念碑を訪ねる。明治十年(1877年)六月、貝類の研究のため来日した米國人學者エドワード・シルベスター・モースが、橫濱から東京へ向かふ汽車の車窓よりこの貝塚を發見した 話しは、我々も學校の授業で習った通り。(※東海道本線の車窓より見た現在の大森貝塚)鐵道と云ふ最先端の文明から縄文古代の文明を發見し、縄文期と云ふ古代 . . . 本文を読む
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半聖半俗合鴨。

2024-12-24 20:07:00 | 浮世見聞記
神奈川縣立金澤文庫の特別展「運慶 女人作善と鎌倉幕府」を觀る。鎌倉初期の名佛師であった運慶とその一派が遺したとされる佛像の數々を眺めてゐるうち、憤怒、または静美を湛えた尊顔から下は、まるっきり人間と變はらないではないか、と感じる。(※案内チラシより)地藏菩薩像を前にした年配の女性は、「綺麗だわ……」と惚れ惚れした息を洩らしてゐたが、それは理想を偶像化した表面的容貌に見とれてゐるだけで . . . 本文を読む
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一期一會のとき。

2024-12-23 20:05:00 | 浮世見聞記
昼過ぎに身内が老衰で静かに息を引き取ったと、知らせが入る。死への痛みも、苦しみもなく、静かに眠りについたと云ふ。さいごまで、幸せ者だと羨ましく思ふ。逢へばいろいろ樂しませてくれたのだから、當り前か。ただただ、 ありがたう。合掌 . . . 本文を読む
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しょせんは影なる戀。

2024-12-22 20:12:00 | 浮世見聞記
ラジオ放送で觀世流「戀重荷」を聴く。上流女性に戀をした下流老爺が、叶はぬ想ひと諦めさせられるために嬲られ憤死する筋立で、先行曲の「綾の鼓」を改作したのが本曲云々、老体で巌を持ち上げ歩いてみせやうと本氣になるところに、何人をも愚かにさせる戀の魔力を見る。果てに亡靈となって再び現れた老爺は、片想ひの相手を散々に責めた挙げ句、貴女の守り神になると云ひ出す心の脆さこそ戀の魔力のダメ押しにて、 . . . 本文を読む
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💢×※。

2024-12-21 19:18:00 | 浮世見聞記
埼玉縣さいたま市北區日進町の日進月歩で、「あらい太朗のふぅし漫画展2024」を觀る。今日は昼過ぎからの開場と聞いてゐたので、時間に合はせて訪ねたところドアが開かず、急遽お休みかと諦めかけてゐたら會主のあらい太朗さん本人が道の向かふからやって来て、無事に會場へ入れてもらふ。僅かな差で入れ違ひになるところで、やれ嬉しや。令和六年に共同通信社から配信された世相諷刺漫画の原画展、米価高騰で庶 . . . 本文を読む
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備えのユクエ。

2024-12-20 23:55:00 | 浮世見聞記
東京都千代田區神田錦町の一角で、門松づくりの様子を見かける。時代の流れで、需要もつくり手も減少してゐると云ふ門松づくり。考へたら、私自身も正月に備へた諸々を、ほとんどやってゐない。年賀状など、どこで購入するのかすらも忘れた。縁起担ぎが好きなくせに、さういふ作法を面倒くさがってゐる。一月朔日に能州で發生した大地震で、崩れた家屋に正月飾りが揺れてゐる様子を映像で見て、とてつもない虚無感を . . . 本文を読む
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てつみちがゆく──わたしと東京驛110歳

2024-12-20 15:41:00 | 鐵路
大正三年(1914年)に東京驛が開業して、今日で110年となる。【東京驛】(名)日本の鐵道の総拠點。東京驛方面に向かふ列車を“上り”、その逆を“下り”。東京驛を通り抜ける列車については、北方向の列車を“北行”、南方向は“南行”。二十四年前、東京から大阪へ移住して間もなく師匠を急に亡くして途方に暮れた私は、「とりあえず東京へ行けばなんとかなるかも……」の一心で東海道本線の夜行快速「ムーンライトながら . . . 本文を読む
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気樂文樂。

2024-12-19 19:00:00 | 浮世見聞記
橫濱紅葉坂の神奈川縣立青少年センターホールで、國立劇場主催の文樂公演を觀る。番組は三部制仕立てで、現在の技藝員では重厚な時代物など力量不足なのは火を見るより明らか、いまだに財産演目と有り難がってゐる時代錯誤な心中物などもとより論外、前例がないぶん先人藝と比べなくて済む新作物を並べた、第一部を選ぶ。大昔に人形振りの口上と足拍子をつとめた記憶がある「日高川入相花王」の古典物を前座に据ゑ、 . . . 本文を読む
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北朝鮮兵の死傷者「数百人」米報道、ロシア西部で戦闘参加

2024-12-18 16:35:00 | 浮世見聞記
dmenuニュースよりhttp://topics.smt.docomo.ne.jp/article/kyodo_nor/world/kyodo_nor-2024121801000183?fm=d『北朝鮮兵を巡っては、ロシア兵との「言葉の壁」が障害となり、指揮命令系統が十分に機能していないとの見方がある。』──鎌倉時代に日本を二度攻めてきた元軍(元寇)は、これまでに征服したクニの人々も動員した混成部 . . . 本文を読む
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