迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

散財散運ノ理。

2024-09-15 20:12:00 | 浮世見聞記
有樂町東京國際フォーラム前の大江戸骨董市を覗く。暑いのは相變はらずだが、湿度が少し下るやうになったぶん、いくらか出かけやすくはなり、初めてお目にかかるおタカラを見つけて、ほどほどのところで引き揚げる。九月はまだ半分殘ってゐる。だから“運”も殘しておかう。 . . . 本文を読む
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ニッポン徘徊──消失結城家の面影

2024-09-14 23:50:00 | 浮世見聞記
JR水戸線を利用して、數十年ぶりに茨城縣結城市に遺るかつての領主、結城家の墓所を訪ねる。源頼朝の隠し子と稱した初代朝光以降、關東武士の名門として波瀾萬丈の中世をあの手この手で生き延びてきた結城家は、十七代晴朝が養子として迎へた德川家康の次男秀康(十八代)の子の代になって“松平”姓となったため、自然消滅してしまふ。(※慈眼院跡の結城家御廟。初代朝光から十六代政勝までの供養塔が集まる)慶長六年(160 . . . 本文を読む
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魍魎爽快。

2024-09-13 19:14:00 | 浮世見聞記
恒例の平和島骨董まつりを覗く。布切れの山から、興味ある一片を見つけたが、値段が付いてゐない。かういふテの見世には、よくあるやつだ。見世主にいくらなのか訊ねると、「品(モノ)によりマス」かういふテの見世に、よくある返答(こたえ)。イヤラシイね。恐ろしい、恐ろしい。私はスッキリした氣分でそこを離れる。 . . . 本文を読む
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犬猿嫌災。

2024-09-12 19:35:00 | 浮世見聞記
日中はベタベタとした暑さで調子も上がらず、今日も散歩は陽が落ちてからにする。鐵道の跨線橋から北方の空を望むと、そこだけぼんやり浮かんだ雲が、時折白い光りを放つ。空と大氣が不仲だと、かういふ現象が發生云々。空もニンゲンも、浮世は寄ると触るとすぐにバチバチだ。 . . . 本文を読む
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JR貨物、全列車一時停止データ改ざん、荷物に遅れ

2024-09-12 12:31:00 | 浮世見聞記
dmenuニュースよりhttp://topics.smt.docomo.ne.jp/article/kyodo_nor/nation/kyodo_nor-2024091101001211?fm=d11日、貨車の製造過程における車輪と車軸の取付作業において、JISの定めた基準を超える圧力をかけてゐたにも拘ず記録を改竄された車両が564両發覺、一時は該當車両が7000両にも達し、JR貨物は點検のため全 . . . 本文を読む
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藝のクセもの。

2024-09-11 19:05:00 | 浮世見聞記
和泉流三宅右近一家の狂言二番を、ラジオ放送で聴く。謠ひ物の「鳴子」、語り物の「菊の花」、いづれも定型化された流れでとくに耳に留まるものはなかったが、「鳴子」のシテが長年の口癖なのだらう、臺詞の前によく「ぁ、いや……」と口にするのが耳に付き、そのために以下の臺詞がボヤけて聞こえてしまひ、もったいなく思ふ。人には誰でもクセがあり、藝能者の場合はそれを特徴(あじ)とする“藝”に轉化できてこそ、本物になれ . . . 本文を読む
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義務奔放。

2024-09-10 20:13:00 | 浮世見聞記
電車内で目に入った求人廣告の文句。もう大昔、私がその社會組織との訣別を決めた日、仲良くしてゐた女性にそのことを打ち明けると、え、と驚いてから、「好きなことを仕事にして、幸せとは限らないからねぇ……」と、しみじみ云ったことを、かうした時にふと思ひ出す。仕事には當然、“義務”と“責任”が伴ふ。そのためには當然、自分を圧殺する必要も生まれてくる。私はそれが、キライ。その時點で、“好きなこと . . . 本文を読む
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南無再縁行脚。

2024-09-09 22:20:00 | 浮世見聞記
久しぶりに川崎大師平間寺に参詣、心のなかのツマラナイものを置いて行く。そして多摩川を渡って池上本門寺の石段を昇り、大本堂で今年の殘りの日々について、ご本尊の聲を聞く。ここからは四十分モリモリ歩いて品川區西大井の“品川大佛”如来寺を、昨年五月下旬以来やうやく再訪し、五体の大佛を改めて仰ぐ。今日は鐵道があちこちで不具合を起こしたやうだが、帰りはそれらをスルリと抜けて結果オーライに帰宅できたも、やはり真 . . . 本文を読む
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當り前と云ふ平和。

2024-09-08 22:48:00 | 浮世見聞記
散歩の途中、新幹線の高架橋の下に立ち、小刻みに整列した橋脚を見て、この連續が静岡を經て、名古屋を經て、京都を過ぎ、大阪に至ってゐるのだな、と當り前なことを考へる。さう、すべては「千里の道も一歩から」。なにもしなければ、なにもなくそこに居續けて、お終いではないか。人災疫病禍の年までよく行ってゐた町で、便利に利用してゐたイトーヨーカ堂が閉店してゐるのを見て、ありゃ、と立ちすくむ。先月中旬 . . . 本文を読む
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掘返呼返招返。

2024-09-07 23:54:00 | 浮世見聞記
探してゐる資料を求めて、武州所澤で恒例の古本市を覗いてみる。結果は案の定に出逢ひはなかったが、“掘り出し物”と云ふ出逢ひには恵まれる。昔むかし、夏の日の記憶を呼び返す、その掘り出し物。夏がすっかり去ってから、その面影を掘り起こしに行きたいものだ。樂しいものが手に入った。帰りに寄った我が町のスーパーマーケットに、いまなほ精米など置いてあるわけもなく、我が棲家の炊飯器は、まだまだ夏休みを強いられさうだ . . . 本文を読む
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理解シ難キヲ理解シ。

2024-09-06 20:15:00 | 浮世見聞記
散歩の途中で見かけた店頭案内。今年の夏は予想通りな炎暑以上に、精米の流通制限に困らされたと、つくづく思ふ。TVニュースで、農協の廣報担當らしきが、新米の値上げについてもう聞き飽きた言ひ訳を並べ立てたあと、これも聞き飽きた「御理解をいただきたい」で締めてゐたが、實際には農家の藏に米の在庫は豊富だったと聞く。すべては米価も便乗値上げするための計略、九月の新米出荷に合はせて在庫米を品薄にして米価を吊り上 . . . 本文を読む
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因縁ノ真偽。

2024-09-05 20:11:00 | 浮世見聞記
國立公文書館の夏の特別展「お札に描かれた人物─公文書で見る紙幣の歴史─」を觀る。今年七月より發行の新紙幣に因んだ企画で、明治に始まった近代ニッポンの紙幣の歩み云々よりも、これまでの紙幣に選ばれてきた歴代肖像画を、銅版画美術を觀る感覺で樂しむ。(※フラッシュ無しで撮影可、以下同)紙幣の歴史は、そのまま偽造との闘ひの歴史にて、明治元年に紙幣の前身たる太政官札が發行された時、そのイタチごっこの火蓋は切っ . . . 本文を読む
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猛夏猛省。

2024-09-04 22:15:00 | 浮世見聞記
昨夜の余韻で朝方は涼しかった陽氣も、昼過ぎからは夏の日差しが戻り、散歩中は顔が熱かったが、あの不快な湿度が低かったのは幸ひ。これからまだまだ殘暑は續くであらうゆゑ、油斷は禁物なれど、まず盛夏は乗り越えられたかと感じる秋の風。令和六年の夏は昨夏より平均1.76℃上昇云々、屋内に避ける時間を多く得られたことで、今夏の熱暑はなんとかやり過ごせたが、さてさて来夏はいかなる“經験したことのない”經験をさせら . . . 本文を読む
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米価謎解。

2024-09-03 21:11:00 | 浮世見聞記
新米がやうやく出回るやうになったとは云へ、私がゐる界隈のスーパーではまだ見かけず、賣場に二袋だけ殘った5kgで¥3000のそれを前にして、なにやら悩んでいる高齢女性、スマホに向かって「ダメだ、無いよ」と話している高齢男性を見かけるばかりである。新米が出回っても、専門家センセイ曰く「価格が高めなのはまだ續く」云々、ふと、 ははぁこの異様な米不足の狙ひはそこだったか、と思ふ。諸物価の亂痴氣高騰が續くこ . . . 本文を読む
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清々快海。

2024-09-02 21:14:00 | 浮世見聞記
先月末の憂天を晴らすやうな空模様に誘はれて、夏の初めに訪ねた龍口寺を再び訪ね、やがて去る夏の風を聴く。江ノ電の軌道を渡って江ノ島に渡り、みんなゾロゾロと引っ張られる辨財天への参道を逸れて東浦へ回り、潮と風の嵐聲に負けじとひとくさり謠ってから、前回は乗らなかった湘南モノレールを次の移動手段に選んで、やっと自分らしい自分を得た一日を楽しむ。 . . . 本文を読む
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