迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

都心で28.1度、3月の最高気温を更新全国110地点で夏日

2024-03-31 22:02:00 | 浮世見聞記
dmenuニュースよりhttp://topics.smt.docomo.ne.jp/article/mainichi/nation/mainichi-20240331k0000m040098000c?fm=dその28.1℃とやらを記録した頃、私はまさにトウキョウ都内におりました。やはり念のため……、と思ってゐた冬の扮装(こしらへ)が野暮なくらゐの氣温に、外にゐて氣力がやや低下したことは否めません。 . . . 本文を読む
コメント

望郷藝術の勝利。

2024-03-31 17:10:00 | 浮世見聞記
新宿住友ビル三十三階の平和祈念展示資料館にて、企画展「極限下のエンターテイメント シベリア抑留者の娯楽と文化活動」を觀る。(※一部を除き展示室内撮影可)昭和二十年(1945年)八月の大日本帝國の敗戰直後、旧満州に駐留してゐた“関東軍”などの軍人たちは旧ソ連軍によって極寒のシベリアへ送られ、長らく抑留されてゐたと云ふ事實を私が初めて知ったのは、成人後に讀んだ露國人ジャーナリストによる渾身のノンフィク . . . 本文を読む
コメント

春の夕暮れ響くらん。

2024-03-30 17:54:00 | 浮世見聞記
銀座三越の新館九階で開催中の「三越と松竹衣裳所蔵 歌舞伎衣裳展」を覗く。六代目尾上菊五郎着用と現行の「藤娘」の衣裳が、昨年七月の日本橋三越開催時に續いて再び見られたのも嬉しいが、(※展示物の撮影可)今回は同じく六代目菊五郎着用と云ふ「京鹿子娘道成寺」の赤地の衣裳が、現行のものと並んで展示されるとのことで、その見學がいちばんの目的なり。赤地の衣裳は云はずと知れた金冠中啓の舞における衣裳で、(※六代目 . . . 本文を読む
コメント

ニッポン徘徊──疾風常磐線!

2024-03-29 19:54:00 | 鐵路
仙臺から東京への鐵路は、四年前に全線復活を果たした常磐線を利用する。平成二十三年(2011年)三月十一日の東日本大震災から、九年と四日をかけて見事に復活した令和二年(2020)三月十四日いらい、いつかぜひ常磐線で鐵道旅行を……、と願ひ續けて、今回の陸奥路旅でやっと實現す。太平洋に沿って走る常磐線があの日、津波により線路も車輌も著しく損壊した光景の記憶は、現在も深い傷と共に殘ってゐる。その後の復活工 . . . 本文を読む
コメント

東京都心で桜開花、平年より5日遅く気象庁確認

2024-03-29 17:06:00 | 浮世見聞記
dmenuニュースよりhttp://topics.smt.docomo.ne.jp/article/mainichi/nation/mainichi-20240329k0000m040001000c?fm=dこの知らせに、私の住む町の櫻も見に行ったみたら、こちらでもやうやく一輪の笑ひ初め。今年は寒暖の入れ替はり立ち替はりが多くていささか振り回された觀はあれど、まずはひとつ過ぎた季節の一里塚。……な . . . 本文を読む
コメント

ニッポン徘徊──日本一低くて“深い”山

2024-03-28 22:03:00 | 浮世見聞記
JR仙石線の陸前高砂驛より徒歩一時間強、宮城縣仙臺市宮城野區蒲生の“日本一低い山”──「日和山」を登山する。もともとは明治四十二年頃に地元の人々によって築かれた標高6mの人工の山とされ、以来地域の人々に親しまれてゐたが、平成二十三年(2011年)三月十一日の東日本大震災の津波により削られ、現在の姿となる。三年後の平成二十六年、國土地理院の調査で3mの「山」として確認され、いらい津波を耐え抜いた日本 . . . 本文を読む
コメント

ニッポン徘徊──亂るる戀、愛しき地蔵尊

2024-03-28 17:40:00 | 浮世見聞記
“河原左大臣”源融の古跡──文知摺石(もぢずりいし)を一見せんと、奥州は文知摺觀音を訪ねばやと、存じ候。古へより塔や石碑が多く奉納された境内に、一際目を引く苔むした大きな石塊が、件の文知摺石なり。源融と相思相愛となった當地の長者の娘が、融の帰京後は音沙汰も無く想ひ患ってゐると、件の石に戀しき男の姿が映って見えたことから、またの名を「鏡石」となむ云ひける。その後すぐに娘のもとへ届いた源融からの戀歌が . . . 本文を読む
コメント

ニッポン徘徊──約束固き罪深し。

2024-03-27 20:05:00 | 浮世見聞記
野州那須野の「殺生石」を見物す。二年前(令和四年)の三月、ひび割れにしみ込んだ露の膨張などが原因で二つに割れ、私のやうな故事来歴謂れ因縁好きどもを「妖異……!」と騒がせた件の靈石なるが、古冩真をよく見ると、すでに裂け目が入ってゐるやうであり、あのやうになるのは、どっちみち時間の問題であったやうにも覺ゆ。あれから二年、至る所でろくでもないことばかりが續く有様を眺めるにつけ、やはりあの時 . . . 本文を読む
コメント

雨為諦魅。

2024-03-26 19:18:00 | 浮世見聞記
雨天の大田區萩中の公園で見かけた、都電荒川線7000形車輌。廢車後にこの公園で“静態保存”されてゐるものだが、文字通り雨晒しで置かれてゐるその姿は、保存と云ふよりやがて朽ちるに任せた“風葬”のやうに、私には映ってしまふ。舞薹で使用されることなく、美術館やら博物館やらで展示されてゐる能面の表情がすっかり死んでゐるのと同じで、本来の用途から外れた鐵道車輌は、もはや生きてゐるとは云へないと、どふしても感 . . . 本文を読む
コメント

さくらの歩調(あしおと)。

2024-03-25 19:57:00 | 浮世見聞記
トウキョウは今日明日と雨模様云々、今日についてはさほど寒くないのが救ひなり。櫻は、寒緋櫻系はすでに咲きはじめてゐるが、忘公園で見かけたソメイヨシノは、四月に入ってから見頃になりさうな勢ひ。今年の春は、少しづつやって来る氣がする。春はやること、と云ふか、やりたいことがいっぱいある。しかし、勇み足にはならぬやう。 . . . 本文を読む
コメント

白麗無濁。

2024-03-24 15:14:00 | 浮世見聞記
ラジオ放送の金剛流「田村」を聴く。能ではたった三曲しかない勝ち戰さモノ(“勝修羅三番”)の一曲、清水寺縁起の長大な語り、満開の櫻を愛でての独吟、觀音の援護射撃で惡逆を退治する坂上田村丸(麿)の武勇傳──謠ひどころと聴きどころの詰まったこの名作の舞薹を、いつか水道橋の能樂堂で催された“納涼能”公演におゐて觀た、金春流八十世宗家の“白式”と小書(特殊演出)を付けた舞薹以来、私はこの曲を目にしてゐない。 . . . 本文を読む
コメント

夢はいつでも醒めにけり。

2024-03-23 18:37:00 | 浮世見聞記
觀世能樂堂にて、觀たかった能が三番見事に揃った企画を見つけたので、渋谷區松濤より銀座の地下に移った舞薹まで出かける。「弱法師」「熊野 村雨留」「安達原」の三番に共通して見たのは、“氣持ちと現實”。「弱法師」の俊德丸は、西に沈む陽を心の目で見た氣になってゐても、現實には盲目ゆゑに他人(ひと)に突き當って転倒し、「熊野」は平宗盛一行が絢爛たる京の櫻を愛でやうと繰り出したところで、今回の小書(特殊演出) . . . 本文を読む
コメント

ニッポン徘徊──「二番でいいんです」

2024-03-22 19:12:00 | 浮世見聞記
日本一短い國道(兵庫縣神戸市の國道174號線)、同じく縣道(長野縣上田市の縣道162號線)と訪ねたので、お次は“日本で二番目に短い國道”──國道130號線を訪ねばやと、存じ候。東京都港區海岸二丁目の日の出桟橋付近より、同芝四丁目の國道十五號線(第一京濱國道)の交差點までを結ぶ482mの道にて、(※-が國道130號線)私の足で普通に歩いて、5分23秒の所要時間。起點は海岸 . . . 本文を読む
コメント

時節任来。

2024-03-21 19:06:00 | 浮世見聞記
まだしつこく風が走る山手通りを目黒川にかかると、すでに櫻を迎へる準備は整ってゐた。トウキョウではすでに櫻が開いてゐるところもあれば、蕾がほころび始めたところもあり、まだ固く結んだままのところもあり。それは花の氣持ち次第。なんでもかんでも同じにしなくてよい。ニンゲンじゃァあるめェし。 . . . 本文を読む
コメント

春分氷風。

2024-03-20 20:07:00 | 浮世見聞記
午前中に、春のお彼岸のお墓参り。大切に備えた今日の予定。春分の日に天氣が荒れるのは恒例行事。冬の〆にか、雪が降った年もあった。今年は午後からにはかに空が鈍り、たちまち氷粒が落ちてきた。恒例行事ゆゑに驚きもせず。かうした難壁を越えれば、あとは春が来る。やがて暑くなる、とば口の……。 . . . 本文を読む
コメント