朝晩以外は秋らしくない今年の今日、ムラサキシキブは、今日が季節では秋であることを、私に教へてくれる。カボチャの化け物祭りの日になると、なぜか澁谷で發生する頓知氣騒ぎも、今年はだいぶ大人しかったらしい。あの連中そのものが、よほどバケモノと云ふものだ。 . . . 本文を読む
dmenuニュースよりhttp://topics.smt.docomo.ne.jp/article/mainichi/entertainment/mainichi-20231029k0000m200202000c?fm=d『同振興会によると、新劇場はホテルやレストランと一体化し、「国内外の人々の交流を生み出す文化観光拠点」となる予定。ただ、最近の建材費や人件費の高騰の影響で、これまで2 . . . 本文を読む
ラジオ放送の觀世流「安宅」を聴く。ラジオ放送でも、“またか”と思ふくらゐにいろんな能楽師(ひと)でよく謠はれる曲だが、今回は梅若櫻雪派の面々が、優美さと力強さが華麗に融合された謠ひを聞かせる。生と死を紙一重で渡り歩く男たちの物語、凄味で關を押し通らうとする一行に、「用事を思ひ出した」と躱してそそくさと入る富樫某に人間臭さを感じ、目一杯の同情を謳ひ上げて通行を許可する歌舞伎版より、私はこちらの方が好 . . . 本文を読む
夕方に散歩途中で、赤い月を見る。何かあるのかと、ハッとさせる表情(いろ)。いつかも赤い大きな真ん丸の月を見て、その時は何を感じ、そして何があったか──?憶えてゐないが、いまも私はここに無事生きてゐる事實がある。さて。日が落ちてから、雨が降り出し、雷が騒ぎ、その雷も落ちた。 . . . 本文を読む
群馬縣富岡市富岡1-1、“世界遺産”「富岡製糸場」を見物する。明治新政府の近代化政策のもと明治五年(1872年)に造られた官營の器械製糸模範工場にて、數多のうら若き“工女”たちによって紡ぎ出された絹糸は莫大な外貨獲得の最重要輸出品となる──その莫大な外貨が大日本帝國の軍事力強化に注ぎ込まれた事實については、この世界遺産に展示された資料はもちろん語ってゐない。世界遺産となったのはあくまで建造物であり . . . 本文を読む
奥州古道の一部とも考へられると云ふ、多摩地區の遊歩道を散歩する。十月も下旬とは思へぬ正午の強い日差しの下で見上げる紅葉は、秋はまだ遠しと苦笑ひ。この調子では、柿の食べ頃もいつになるやら……。 . . . 本文を読む
その建物の二階から、大正琴のこゑが降ってきた。「六段」かと思ったが、よく似たほかの曲のやうだった。大正琴にはほとんど馴染みがないが、しかし耳はいつも受け付ける。ニッポン人だな。昼食に、はじめてベトナム料理の“フォー”を食す。前にインスタント食品のそれを買ったことはあるが、ちゃんと料理されたものは今回が初めて。香辛料で辛味をつけなければ、そのまま舌を通過してしまふほどの、あっさりさっぱりな味。しかし . . . 本文を読む
朝、遠くの富士山が雪を戴いてゐるのを見る。今朝も冬の訪れを思はす冷え込みにて、夏の間中待ち焦がれてゐた空氣にやっと逢へた喜びを、胸深く味はふ。そして昼下がりには、東京都大田區矢口の新田神社に御縁を結ぶ。南北朝時代にこの地で敗死した新田義興を祀ったお社云々、この頃はよく古蹟に出逢ふ。たぶんこれも、秋の旅。 . . . 本文を読む
ラジオ放送の觀世流「松虫」を聴く。古への松虫とは現在の鈴虫云々、それをよく聴きたくて叢へ入りそのまま亡くなった親しい友人を、いまなほ慕ふ男の靈の話し。「死ぬ時は一緒に」とまで誓ひ合ったと云ふ男二人の“友情”のほどをどふ解釈するかはさておき、この曲の前半に謠はれる“酒”についても、そして“友情”についても、私には全く無縁の話しゆゑ、語るべき材料を持ち合はせぬ。ただ、友情を装ったウソつきたちの噺なら、 . . . 本文を読む
有樂町の東京國際フォーラム前で開催の「大江戸骨董市」を覗く。トウキョウの觀光行事の一つとして定着したからか、場所柄からか、どの見世も値段はお高め。よって値札の無い古物には要注意である。外國人觀光客を狙ってか、かつてに比べて西洋アンティークの見世も増へてゐたが、ガイジンさんたちはキモノやウキヨエに關心が高い様子。客層もヨーロッパ系の、見るからに財力のありさうな人々が多く、かつてのやうな見るからに見窄 . . . 本文を読む
dmenuニュースよりhttp://topics.smt.docomo.ne.jp/article/tbs/nation/tbs-6116634?fm=d『東京地裁で開かれている初公判で検察官はさきほど論告求刑を行い、猿之助被告について「被告の責任は重い」「両親は自殺の意思を有していたものではなく、被告の気持ちを酌み、自殺を決意した」「両親に与えた影響は大きい」と指摘。懲役3年を求刑しました。これ . . . 本文を読む
ダイドーが「さつまいもミルク」なるものを發賣、なんじゃそれは……? と、思はず吹き出しつつ、自販機に¥140を投入す。さつまいも風味が濃厚に口へ廣がると、甘みが後から追ひかけて来る。間違ひなく、さつまいものミルク飲料。飲み物と云ふより、食後のデザートに近い感覺。惡くないネ。 . . . 本文を読む
「文七元結物語」を觀に、歌舞伎座十月興行に出かける。三遊亭圓朝が口演して人情噺の傑作となった「文七元結」を、明治三十五年(1902年)十月に榎戸賢治が歌舞伎劇に脚色して五代目尾上菊五郎が初演し、こちらでも人氣狂言となり、(※六代目尾上菊五郎扮する「人情噺文七元結」左官長兵衞 昭和十七年四月 歌舞伎座)戰後に狂言作者の二世竹柴金作が整理した現行脚本「人情噺文七元結」は、私も故人十八代目中村勘三郎(な . . . 本文を読む
今月八日に埼玉縣坂戸市内の催しで「那須与一」を舞ふに先立ち、那須与一の神像が祀られてゐる東京都大田區中央の太田神社へ成功祈願をした、その御禮参りに訪れる。無事に舞薹をつとめ、いつか改めてお参りを、と心に留めてゐて、それが思ひがけなく今日と云ふ早い日に叶った、そのお招きのありがたさよ。 . . . 本文を読む