迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

もちたるばちをばつるぎとさだめ。

2014-04-19 19:49:06 | 浮世見聞記
矢来能楽堂にて、金春流の「富士太鼓」を観る。 雅楽の演奏家である夫を殺された、妻と娘の悲劇。 殺された夫は、太鼓(楽太鼓)の役者だった。 先に決まっていた太鼓の役者を蹴落として、自分がその役に就いたために、妬まれて命を落としたこの男に、わたしは同情できない。 そんな夫の身の危険を夢枕に予感した妻が、一人娘と共に、夫へ逢いに訪ねて行く- 女の身ではるばる旅をするなど一般的ではなかった . . . 本文を読む
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あおあおとはるかなる。

2014-04-15 22:49:26 | 浮世見聞記
川崎の東扇島へ、久しぶりに出かける。 日本の物流の中枢たる人工島だが、広々とした公園も整備されていて、この季節に出かけるには、ちょうどよい。 眺めれば、海。 見上げれば、空。 それは、万国へ通じる“道”でもある。 宏大な、道。 そうだ、ひさしく旅にも出ていないな。 いや。 いま、こうして生きていることが、旅なのですよ。 一日という頁を綴じあわせて、人生という旅行 . . . 本文を読む
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かぜのささやき。

2014-04-04 20:22:04 | 浮世見聞記
ふらりと道に出てみると、 あなたがそこに佇んで、 わたしに微笑みかけている、 …ように見えた。 あなたはふわりと袂をひるがえし、 “おいでおいで”と歩き出す。 いまこそ想いを伝えやうと、 わたしはふらりふらりと、 ついて行く。 ふらり。 ふらり。 ゆらり。 ゆらり。 ふら。 ふら。 ゆら。 ゆら。 やがて一陣の風が吹き、 あなたは散り消 . . . 本文を読む
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