所沢市民文化センターで、観世流の「一角仙人」を観る。
神通力を持った仙人が、美女の前に敢え無く撃沈する物語。
龍神を封じ込めるほどの神通力が、あろうことか生身の美女に敗れてしまうところに、オトコという生き物の悲しい本質がある。
おのれの想像力で観る“夢幻能”も楽しいが、こういったストレートな曲も好きだ。
ただ、文化ホール公演らしさを狙った照明や音響を多用する演出は、考案者のイメージ . . . 本文を読む
金春流の能を観に、国立能楽堂へ行く。
シテが揚幕へ入る間際、能面(おもて)の表情がわずかに動いたのを、わたしは見た。
まちがいない。
かすかに開いた唇から、わたしはなにかを聞いたのだ。
その声はもしかしたら、永遠に聞き取ることは出来ないかもしれない。
だがわたしは、それがかなう日まで、あなたのもとへ通い続けるだろう。
百夜でも、通い続けるだろう。
わたしのなかの、
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日本とベトナムの外交関係樹立40周年を記念した公演-「再びの出会い 二つの国の雅楽」を聴きに、横浜能楽堂へ。
遠い昔に中国で誕生した音楽はアジア諸国へと伝わり、日本では「雅楽」、ベトナムでは「ニャーニャック」と呼ばれて、ともに宮廷音楽として独自に発展した。
日本では一部の階級のみに伝承され、曲調はあくまでも厳かであるのに対し、ベトナムでは民衆の手で行われていた芸能や楽器も取り入れるなど、 . . . 本文を読む