迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

煮々覺々。

2023-03-31 19:40:00 | 浮世見聞記
ちょくちょく新作を出すサントリーのBOSSが、また面白いのを出したのを、自販機で見つける。カフェイン200㎎含有の、キャラメルカフェ。眠気覺ましの効果を狙ったものらしい。甘さを抑へたぶん、煮詰まったやうに濃いキャラメル風味に、刺激を覺ゆ。もふ一品は同じくのカフェオレ版。……の、わりにはミルク感が薄くて、こちらはイマイチ。どちらも、表面をツヤ消しにした缶が、よろしゅおす。賣価が上がる前に、やう味はっ . . . 本文を読む
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来薫櫻夢。

2023-03-30 19:09:00 | 浮世見聞記
散り始める櫻があれば、まだ盛りを誇る櫻もゐる。いまが一番、目に樂しい時間(とき)。前から氣になってゐた“春の音(こゑ)”が、やうやく手に入った。案外に佳い音で、なにか佳いものを創れさうな氣がする。次の櫻までの目標が出来た、今年の櫻季節(さくらどき)。 . . . 本文を読む
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小展大海。

2023-03-29 20:38:00 | 浮世見聞記
橫濱市民ギャラリーにて、「横浜開港から始まる写真の足跡」を覗く。展示物がすべて複製の小展ながら、幕末明治のニッポンにもたらされた偉大なる西洋文明のひとつ、“冩真”を持ち前の器用さで掌中文化へと成し得た、當時の日本人たちの人間力の高さを垣間見る。それは冩真を手本に、日本古来の画法へ独學でものにした西洋画とを融合させた五姓田芳柳の手による三點の肖像画が、ニッポン文明新時代の到来を、今なほ鮮烈に私へ語り . . . 本文を読む
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明日も縁なる櫻かな。

2023-03-28 19:44:00 | 浮世見聞記
昼の雨上がり、今日も思ひがけず目黒川のほとりまで行ったので、昨日と同じく櫻並木を見物す。今春はこちら方面へ出て来る用事もなく、現代名所の櫻は見ず終ひかと思ってゐたが、まだ見頃のいまに二日續けて逢へるも、面白い御縁だ。思ひがけず出かけて、思ひがけず昼食でお花見。雨天曇天も、櫻のゐるところだけはあたりを白く照らし、そこに立つ時だけは浮世を忘れる。花の魔力、おそるべし。 . . . 本文を読む
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今日見る明日の櫻かな。

2023-03-27 21:45:00 | 浮世見聞記
目黒まで来たつひでに、現代名所の目黒川の櫻を觀て行く。どうも今週が見頃らしい華並にカメラを構へて、自分も毎年同じことをやってゐるナ……、とは思へど、今年の櫻は今年だけのもの、来年はまた明日の櫻。おのれのなかだけの価値觀と世界觀だけを恃みに、籍をおく小さな組織の“改善”に挑んで結局は彈かれ自爆し、燃えカスになって以降はただ不平不満ばかりを口にするだけになった者を見たのも、ちゃうど目黒川の櫻が見頃を迎 . . . 本文を読む
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觀念的愛情。

2023-03-26 18:10:00 | 浮世見聞記
ラジオ放送で、喜多流の「雲雀山」を聴く。同じ出演者で同じ曲を聴いた憶(おぼ)えがあるので、たぶん再放送だらう。讒言によって命の危険にさらされた姫君を主君から護るため、乳母は雲雀山の草庵に姫君を匿ひながら花を賣って細々と暮らすうち、狩りに出かけた主君一行と再會し、前非を悔いる主君のもとへ姫君ともども帰参が叶ふ──乳母の姫君への主従を超えた情愛云々より、さうした心情を訴へる謠の節付けそのもののはうへ耳 . . . 本文を読む
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防災防犯衞生の記憶。

2023-03-25 23:30:00 | 浮世見聞記
澁谷區立郷土博物館・文學館にて、「同潤會アパートと澁谷」展を觀る。関東大震災の翌年にあたる大正十三年(1924年)、住宅復興を目的として當時の内務省社會局の外郭團体「同潤會(どうじゅんかい)」は設立され、代官山に續いて大正十四年(1925年)、表参道に面して“青山アパート”が建てられる。(※現在は“表参道ヒルズ”となった跡地に遺る青山アパートの外觀)地震などの災害に強い初の鉄筋コンクリート製で、各 . . . 本文を読む
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鶯宿櫻の幻。

2023-03-24 19:13:00 | 浮世見聞記
今年の櫻は、どうやら今が見頃らしい。都内の忘公園では氣の早いもので、もふ散り始めてゐる。満開の時期に雨模様が續くのは惜しいが、飲んだくれどもの汚い酒盛りが視界に入って来ないことだけは幸ひである。公園の一隅にシートを敷いて、慎ましげに暖のひとときを樂しんでゐる人たちに、春を見る。今年はじめて、鶯の聲に逢ふ。私のゐる町では、まだ逢へぬ。木を伐って、無駄に住宅を増やして、無駄にヒトが流れ込 . . . 本文を読む
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追戀源氏。

2023-03-23 19:08:00 | 浮世見聞記
國學院大學博物館の企画展「物語絵 嫁入本『源氏物語』」を觀る。江戸時代前期に製作され、村上源氏の久我家を經て國學院大學の所藏となった「源氏物語」の挿繪──物語繪は、國寶となってゐる繪巻と比べて繪柄にいくらか稚氣が感じられ、なるほど姫君の目に優しい愛玩物であったらうことを偲ばせる。王朝雅を絡ませた戀物語と云ふ、夢見る人の永遠の憧れと謎が、ここにもその足跡を遺してゐるわけだ。この長大なつくり物語の人心 . . . 本文を読む
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外界戀慕。

2023-03-22 23:20:00 | 浮世見聞記
歌舞伎での上演は珍しい、また觀たこともない「假名手本忠臣蔵 十段目」を觀ておきたくて、十數年ぶり、現在の小屋に建て替ってからは初めて、木挽町の歌舞伎座へ足を踏み入れる。「天川屋義平内の場」である十段目は、二昔前に國立劇場の文樂公演で一度觀たことはあるが、後半に義士の面々が片足づつ踏み出して見得らしきをする件りで客席から失笑が洩れてゐたこと以外は、舞臺を何も記憶してゐない。(※二代目市川左團次の天川 . . . 本文を読む
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【WBC】侍ジャパン、米国下し3大会ぶり世界一!大谷翔平が9回抑えて歓喜の胴上げ投手に

2023-03-22 13:30:00 | 浮世見聞記
dmenuニュースよりhttp://topics.smt.docomo.ne.jp/article/nikkansports/sports/f-bb-tp0-230322-202303220000473?fm=d私は野球には全くの門外漢であります。しかし、ニッポン國には世界に勝てるものがまだあることを世界に、そしてニッポン國民に示せたことについて、善い大會であったと思ひます。私はラジオ中繼で聴いて . . . 本文を読む
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【WBC】侍ジャパン、劇的サヨナラ勝ち!村上が決めた!09年以来3大会ぶり決勝進出

2023-03-21 12:30:00 | 浮世見聞記
dmenuニュースよりhttp://topics.smt.docomo.ne.jp/article/nikkansports/sports/f-bb-tp0-230321-202303210000486?fm=d私は野球のことは全くわからない。そもそも、興味がない。しかし、大谷翔平が逆転の足がかりをつくり、それを村上サマが仕上げた一連の瞬間をたまたま中繼で眺めてゐて心臓が震え、あの瞬間には思はず拍 . . . 本文を読む
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治水仁生。

2023-03-20 19:48:00 | 浮世見聞記
多摩川の西岸、神奈川縣川崎市中原區中丸子の住宅地に伸びる高い段差は、大正五年(1916年)に竣工した多摩川の堤防「有吉堤」の名殘りであり、(━が有吉堤の範囲)約2.2㎞にわたって築かれたそれは、明治以降も大雨などによる多摩川の氾濫に悩まされ續けた流域住民たちの治水への熱意と、その意を汲んだ當時の神奈川縣知事・有吉忠一の仁政の結晶でもある。(※ᤂ . . . 本文を読む
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怨情逍遙。

2023-03-19 10:16:00 | 浮世見聞記
ラジオで、觀世流「葵上」の再放送を聴く。賀茂祭で葵上の一行に辱められた六條御息所が、夜な夜な生靈となって葵上を苦しめる、光源氏の愛を失った誇り高き熟女の悲哀。能樂の普及企画などでよく採り上げられる曲ではあり、私もたひたび觀てゐるが、十二年前に都内の文化ホールで催された演能會でこの曲を觀た翌日、あの東日本大震災に遭った。その後、國立能樂堂の勤勞者慰勞企画のなかでこの曲を觀た時には──私はべつに勤勞者 . . . 本文を読む
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貴景勝が休場届け出、3日目の正代戦で左膝負傷…昭和以降で初の横綱・大関全員不在に

2023-03-18 18:40:00 | 浮世見聞記
dmenuニュースよりhttp://topics.smt.docomo.ne.jp/article/yomiuri/sports/20230318-567-OYT1T50061?fm=dありゃりゃ……、と今月の樂しみが一つ無くなり殘念には思ふものの、力士にケガはどうしても付き物、致し方なしとするより他にないでせう。肝心なときに……、と云ふは外野の無責任、付かず離れずのところで應援してゐるくらゐでち . . . 本文を読む
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