神奈川縣立歴史博物館の特別展「仮面絢爛」を觀る。中世の日本では、ホトケの有難さを衆庶へ視覺的によく分からせて廣めるため、地獄に堕ちて鬼の責苦に遭ふ亡者を觀世音菩薩が現れて救ふ筋立ての寸劇がよく行はれ、その際に使用された菩薩の尊顔を象った面や、惡鬼の面が各地の寺院に傳存してゐるが、(※「菩薩面」)現在ではそのほとんどの藝能が廢絶し、遺された面たちはかつて佛法行事が權力者階 . . . 本文を読む
季節遅れな薹風の影響とかで、ここ數日嬉しくない天氣が續いてイマイチ足が向かなかった神保町の恒例古本まつりへ、午後からの晴天を幸ひ覗きに出かける。すでに手許にあるはずだが記憶が定かでないもの、創造の参考資料になるであらうもの、手に入れておいてまず損はないであらうもの、ジンとくる所縁のもの、その全てを手に入れて、さっと引き揚げる。──何事も興醒めは、ムダな混雑と騒音なのである。 . . . 本文を読む
ラジオ放送で、惡七兵衞景清をシテとする謠曲二番を、觀世流銕仙會の出演で聴く。平家方の武将であった惡七兵衞景清は、平家滅亡後も生き延び、落ちぶれてもなほ源氏打倒の闘志を燃やす忠将で、初めの「大佛供養」では奈良東大寺の大佛再建法會に臨席する源頼朝を狙ふが果せず、手にした刀の靈威を借りてひとまず姿をくらます壮年期の有様、續く「景清」では、つひに日向國へ流罪となり盲目の老人と成り果てたかつての忠将の、娘と . . . 本文を読む
久しぶりに、橫濱元町を歩く。ここに来ると、洋服と云ふものがいかに着るヒトを選ぶかが、よくわかる。衣服は、その人の外面より、その人の内面を飾るものである、と。こちらが選ぶのではなく、向かふに選ばれてゐる。よって私は、分相應な生き方に徹すべしと自戒する。 . . . 本文を読む
dmenuニュースよりhttp://topics.smt.docomo.ne.jp/article/yomiuri/politics/20241028-567-OYT1T50058?fm=d與党の自民党が過半数割れして191議席、野党の立憲民主党が躍進して148議席──ほかに選択肢の無い現状では、まぁさうもなるでせう。浮世で橫行する便乗値上げに無為無策、そのウラでセンセイたちがキタナイおカネのやり . . . 本文を読む
衆議院議員選挙の投票權と、最高裁判所裁判官の審査權を行使する。衆院選立候補者たちの公約を廣報で眺めたが、與野党ともに、ナニを云ってゐるのか、よくわからない。が、それで腹を立ててはいけない。尤もらしいことを、なんとなく、それらしく聞こへるやうに宣ふが、選挙公約である。いかにもアヤシイ商品の宣傳文句と同じで、あんなシロモノに欺されるはうが惡いくらゐなものだ。……と云ふことで、ふだん町内のあちこちにポス . . . 本文を読む
茨城縣結城市のダンスイベント「祭りゆうき2024」に“和の踊り”として参加し、現代手猿樂「すゑひろかり」を舞ふ。會場は野外(公園)と屋内(文化ホール)に設けられ、私は屋内に割り振られて、昼前と昼過ぎの二回、舞薹に立つ。一日のうち複数回の演舞が希望できるのはなかなか魅力的だが、私はまぁ、二回が限度だらう。假に三回では、舞ひながら余計なことを考へさうだ。今回の結城旅は、中世關東武士の名門だった結城家の . . . 本文を読む
東京都文京區の永青文庫にて、細川藤孝(幽齋)へ宛てた織田信長直筆の書状を數多公開した「信長の手紙 珠玉の60通大公開」展を觀る。 細川藤孝から始まる肥後細川家の下屋敷跡に建つ永青文庫にて、信長直筆と判明した書状が令和四年に一通發見されたことにより、全六十通の信長直筆の文書を所藏となった當館がこれら貴重文書を通して、戰國の世に強烈な個性を放った織田信長の素顔の一片を照らし見る、興味深い企画展。誤って . . . 本文を読む
大田區立郷土博物館の特別展「矢を放て! ~関東の弓矢、一万年~」を觀る。縄文時代の遺跡から大量に出土する鏃(やじり)から、その頃にはすでに存在してゐたと考へられる弓矢を、前半は出土品をもとに考古學的に、中世以降は武士必携の武器として歴史的に繙いていく、かなり内容量の濃い企画展。主に狩猟道具だったと考へられる古代については、考古學の下地が無い私などには難しか . . . 本文を読む
今日は暦では「霜降」──冬の寒さがやって来る日とされてゐるが、なかなかどうして湿り氣を帯びた暑さ漂ふ一日。 曇天では日が暮れるまで時間の推移も分からず、腹時計でやっと時刻を察する。秋がもう消滅したならば、それでも構はぬ。だがその代はりとして、すぐに寒くなってもらひたい。 . . . 本文を読む
やらうやらうと思ふばかりだった今年殘り二ケ月を過ごす支度について、やうやく今日より腰を上げる。 どうせ師走になって本當に走るくらゐなら、いまから助走をつけておいたはうが、よろしやろ。来る二十七日に投票の、衆院選立候補者の公報が届いてゐた。與党も野党も、立候補者たちはナニを宣ってゐるのか、無學者の哀しさでサッパリわからん。ただ、投票には出掛ける。何度も云ってゐることだが、ケチをつける權利を行使するた . . . 本文を読む
明け方に寒さで目を覺まされ、上着を羽織って再び寝床に潜り込む。いよいよ一年の締めとなるかういふ寒さがつひに訪れたか、私は待ち侘びてゐたぞよ、と。昼には町内を灯油の移動販賣車が巡回してゐた。ああ待ち侘びてゐたぞよ、この季節!精米の品薄と亂痴氣便乗値上げに腹を立て、ひと夏を即席御飯でやり過ごしてゐたが、今日より先日にいくらか安く手に入った精米を開封し、炊飯米に戻す。あくまでも假に、だが。 . . . 本文を読む
武州新座の蓮光寺で行はれた、「音楽と、おいしい」がテーマの地域イベントのなかで、房州木更津のご當地アイドル“C-Style”のライヴがあるとのことで、行ったことのない土地への小旅行も半ばかねて、ドレドレと行ってみる。自宅軟禁を余儀なくされてゐた人災疫病禍元年、TVのチャンネルをあれこれいじってゐるうちに房州ローカル局のバラエティー番組が映り、司會の元若乃花關の脇にヤンキー姿のお姉チャ . . . 本文を読む
いつまでも殘暑を引きずったやうな氣温の日中、目黒不動尊にお参りする。それまでは他の用事のためにどうしても駆け足でしか参詣できなかったので、やっとじっくりお不動様に御挨拶が出来て、やっと氣持ちが落ち着く。見れば、カマキリが日なたぼっこをしてゐる。もっと氣温も落ち着けば、ニンゲンも日なたぼっこが心地よいのだが。そのままの流れで、めぐろ歴史資料館にも立ち寄り、秋の企画展「目黒の戦後」を覗く。落語の傑作「 . . . 本文を読む
今日もいまだ湿度を含んだ暑さの殘るのが氣に喰はぬが、秋から冬、そして年末を見て、少しづつ支度をはじめる。何もしないでゐても、時間は過ぎていくのである。今年の夏をいかに乗り切るか、なんて考へてゐたのが、何だかんだと乗り越えて、いまは今年の殘り二ヶ月について考へてゐる。夕方に散歩で通った山の上の公園の径が、うっすらと霧がかかってゐるやうに見えた。まぁ私の日々はこんな眺めのやうなものだとつひ笑ふが、しか . . . 本文を読む