迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

不穏への疾走。

2020-02-28 20:27:00 | 浮世見聞記
日が暮れてから、買ひ物に出かける。

特賣でもないのに、即席麺が完賣に近い状態になってゐる。


さうしたものはもとより食さぬ性質(たち)ゆゑ、なんら影響はないものの、不穏を胸に、まう一軒を試しに覗ひてみる。


ここでは、九州におけるチリ紙騒動が、見事に傳播してゐた。


私は身震ひしさうになった。


何者かが奇怪な情報をばら撒き、大勢がたちまちそれに“感染”して、この有様。


支那肺病に勝る猛威ならん!


目に見へないウィルス以上に、かうしたデマに何ら疑ふこともなくコロリと乗せられる人々のはうに、私はむしろ怖さを覺へる。

──コロナウィルスならぬ、“コロリウィルス”の感染力よ!



あと半月ほどで、東日本大震災から十年になる。



あの時も衆庶は、食料品の買ひ占めに狂奔した。


あれから十年。


ヒトは、

なにも変はっていない。

なにも進歩していない。

なにも學んでいない………!



いま浮世は、おかしな、と云ふより、

いやな方向へ、

流れて行かうとしてゐる。






コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 距離の晴明。 | トップ | 純真の記録。 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。