もともとヒトの住んでゐない“町”を通り抜けて、私は道を急ぐ。
いまは雑々(ごみごみ)とした草と、陰った陽が殘していった蒸し暑さをかき分けて、
私はこれからの暑さを凌ぐことより、過ぎたあとの見通しのはうが先に立ったことで、まずは安堵への足がかりを得る。
晩には冷やして味はふ朝鮮麺をこしらへる。
韓流時代劇で、中宗に献上する“冷麺”のことで騒ぎとなるひとくさりを觀て、「ナルホド、秘訣は山から採取の天然水か……」と、自分もやってみたい氣になり、實行したまで。
物事のきっかけなど、概してつまらないことなのである。