迦陵頻伽──ことだまのこゑ

手猿樂師•嵐悳江が見た浮世を気ままに語る。

烙印ノ彷徨。

2024-06-25 15:05:00 | 浮世見聞記

ラジオ放送の觀世流「野宮」を聴く。

生前に光源氏と關係をもったことが、魂となった後も“烙印”となって現世を彷徨ふ、六條御息所の悲哀。 

謠ひの節付けは至って静かで優美だが、詞(コトバ)は光源氏への未練節。

醒めた愛になほも縋らうとするその有様が、いかにもオトコ目線の曲だなと思ってしまふ。





昔女は今日も「火宅の門」を出て、逢へるはずもない思ひ出を求めて現世を彷徨ふ。

かつて生靈にまでなった女である。

その情の強さには、悲劇を超へて淺ましくすら、私には映るのである。








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