「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

       イジメ  ”ペンギンからの贈物”

2007-07-15 06:05:48 | Weblog
64年来の旧友がリュックにジャガイモを背負って訪ねてきた。彼が自宅
近くの貸農園で収穫したものだ。早速、老妻が肉ジャガにしてくれたが、
長い星霜の友情がにじみ出ていて美味しかった。

旧制中学時代の彼のアダ名は”ペンギン堂のペンちゃん”だった。彼の自
宅近くに「ペンギン堂」という文房具屋があり、店頭のペンギンの置物が彼
に似ているところから命名された、と聞いていた。ところが、成人してから
彼にそれを確かめところ、まったくのウソ。実際は彼の身長が低く歩く姿が
ペンギンに似ているので悪友が命名したとのことだった。

戦争中のあの時代、子供同士の間にイジメがあったかどうか覚えていない。
僕らは何の気なしに彼のことを”ペンちゃん”と呼び、彼もニコニコしていたが
実際は彼にとっては大変な苦痛だったのだと、後年、彼は僕に告白した。
一種の精神的なイジメだったのだ。

彼の場合、剣道も強く明るい性格だからよかったが、やはり身体的な特徴は
アダナにすべきではないと、この年になって思った。ガチャ目、ガマ(口の形)
十字管(ハゲの形)などなど当時、面白おかしく呼び合っていたが、呼ばれた
当人はイジメと感じていたかも知れない。

僕も”ペンちゃん”も過酷だった戦中戦後をの生き延びてきた。しかし、話は
昔話より現実的な血糖値や血圧の数値、薬の種類や量などであった。食糧
難のあの時代、ジャガイモは、とてもとても貴重、口に入らなかった。