「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

          明治生まれの母に感謝

2008-05-10 05:09:02 | Weblog
あす5月の第二日曜日は「母の日」である。いつから「母の日」が日本でも一般に
祝われるようになったのかー。少なくとも僕は母に感謝こそすれ正式に何かプレ
ゼントを贈った記憶はない。母は明治26年生れ、32年前の昭和51年、83歳で亡く
なっている。

わが家でも最近は老妻のところへカーネーションに添えて感謝のプレゼントが届く
ようになった。「父の日」もあるようだが、僕はいつだか知らないし、当然何か感謝
の贈物をされたことはない。

きのう産経新聞の「20世紀のきょう」というコラムを見たら「母の日」初開催として昭
和12年5月9日、東京・豊島園遊園地で開催された「母の日」の写真が載っていた。
12年は日支事変が始まった年だからその2か月ほど前の写真だ。森永製菓のセー
ルス・プロモーションの行事として行われたものだが、僕は「母の日」は戦後進駐軍
がもたらした米国の真似事だと思っていたので興味深かった。

森永製菓の「母の日」がいつまで続いたか判らないが、せいぜい数年だと思う。戦争
が激しくなって菓子類は配給制になり、やがて店頭から姿を消した。母親たちも隣組
の行事に狩出され「母の日」どころではなくなった。

僕の母にとって、この時代はきびしかった。19年5月、21歳の娘(僕の姉)が戦争の
過労から結核で早逝してしまった。一時狂乱状態になった母親だったが、生きて行
くために箪笥から自分の着物を取り出し、農家へ買出しに行き食糧に換えた。今生
きておれば115歳の母親だが、改めて「有難う」と感謝したい。