「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

         福祉”助っ人”と異文化摩擦

2008-05-17 05:13:53 | Weblog
インドネシアとのEPA(経済連携協定)で早ければこの夏にはインドネシアから
看護師400人と介護福祉師匠600人が来日する。6か月の日本語研修の後、
各福祉現場に配属され、実務研修に入る。そして日本の国家試験に合格すれ
ば一人前の看護師、介護福祉師として日本人と同じ給料が与えられる。

急速な高齢化社会の到来で、特別老人ホームなどの福祉現場では人手不足
だから外国からの"助っ人”大歓迎だと思っていたらそうでもないらしい。厚労
省や国内の看護師団体などは”日本人看護師の処遇改善が先決”と反対なの
だそうだ。確かに福祉関係の仕事は、他業種に比較して重労働の割りに給料が
安い。そのために専門家が職場に居つかないとの声もある。

こんな日本社会の状況下で外国から"助っ人”を迎えて大丈夫なのか。すでに
研修制度では、問題が多発している。一番多いのは"研修期間中”の待遇であ
る。医療"助っ人”の場合、国家試験に通るまでの研修期間中もきちんと給料
面で合意が出来ているのかどうかー。額だけ聞くと、自国にいたときの数倍なの
で魅力に思うかも知れないが、それだけ日本での生活費も高い。

それと心配なのは異文化摩擦だ。昨日の小ブログで紹介したアリフィン・ベイ
先生もその著「インドネシアのこころ」(めこん社 1975年)の前書きで書かれて
いるが、初来日の日、裸で入浴させられ、人前で他人に裸をみせない回教徒と
して耐え難かったそうだ。60年経っても日本の社会のイスラム理解はほとんど
変っていない。逆にインドネシア人にとっては当たり前のことも日本の社会で許
されないことも多い。相互理解なのだが、難しい。