「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

            サリドマイドの復活

2008-09-04 05:14:58 | Weblog
20年来お世話になっている理髪店の店主が、ガンの一種の「多発性骨髄腫」で店
に立てなくなった。今年初めから大學病院の入退院を繰り返していたが"自宅療養
でも大丈夫”と言われ帰宅した。が、実際は寝たきりで、医者に言われ外国からサ
リドマイドを輸入服用している。国内では製薬禁止になっており、高くても外国から
取り寄せなくてはならない。

昭和30年代に子育てをした僕たちの世代にとって、サリドマイドは森永砒素入り粉
ミルク事件とともに忘れられない。妊娠初期の女性が催眠鎮静剤としてこれを使用
した結果、四肢未発達の奇形児が309人も誕生した。昭和37年、厚生省は国内での
製造販売を停止した。

このサリドマイドが、最近「多発性骨髄腫」の治療薬として見直され、米国など17か国
では販売が許されている。わが国でも医者の許可があれば、個人的に服用は許され
ているが、一粒1万円もするそうだ。

「多発性骨髄腫」患者会の陳情を受けて、わが国でもサリドマイドの製造販売が近く厚
労省で許可になるとの事だ。サリドマイドの犠牲者の方々にとっては、なんとも複雑な
お気持ちだろう。でも条件付で"復活”を認められた。薬は一歩間違えば毒である。僕は
出来るだけ、薬はのまないことにしているが、周囲の同世代の中には”競う”ようにのん
でいる者もいて恐くなる。素人目にも薬の合併症ではないかと思われる年寄を見受ける
ことがある。