「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

          葬儀の簡素化と香典返し

2008-09-16 05:25:31 | Weblog
前に小ブログに書いた20年来行きつけの床屋の主人がガンで亡くなった。ま
だ60歳代前半の若さである。日曜日がお通夜、敬老の日の月曜日が告別式
連休だが、東京では理髪店は月曜日が公休である。最後まで働き者らしい彼
の気の使い方だと感心した。僕と彼との関係はいっかいの客にすぎないが、8
年前僕がガンの手術で入院した時、わざわざ見舞に来ててくれている。心のや
さしい人であった。

東京の葬儀の形式も昔と変わってきた。父が死んだ昭和40年代初めまではお
通夜は自宅で文字通り近親者のみで行われた。告別式も自宅の場合が多かっ
たが、最近は両方とも葬儀施設で催される。また参列者も告別式よりお通夜の
方が多くなった。勤務の関係で昼間参列できないからであろう。

20年前、勤務していた北海道(札幌)で母を亡くした。葬儀はわが家には似つか
わしくないほど盛大であった。が、感心したのは、香典返しの慣習がいっさいない
ことであった。これは遺族にとって煩わしくない。開拓時代の慣習が定着したの
かもしれない。東京でも、次第に簡素化され、最近では告別式の席上、喪主の挨
拶状とともに渡すケースが多い。

最近、葬儀をせずに"故人を偲ぶ会””お別れの会”だけで済ます家庭も出てきた
という。考え方に相違はあるが、一生に一度、最後の機会になにも葬儀をせずに
この世とお別れするのは、どんなものだろう。葬儀の簡素化には賛成だが、儀式
なしの葬儀には反対である。亡くなったご先祖の霊は必ず墓場にいる。そう信じ
なくてはいけない。